2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol15

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:27:40 ID:B1fnbqHT
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
  ',     /`l  / , \_/ |
  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
    ',   /`|  u     ヽ
    ', /          /
    /  ̄\   、 -= /                   __
  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Y: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
      / /     |     └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
    /_/       |、       ` </////>、\ ヽ丿  /. : :|//// : .丶
    ,'          |′         ` <//∧ : > </.: : :////〉: : : . ヽ
    ,'          |            / 个:<〉. :〉》《/.: ://///: : : : : : . \
   ,'           |、          〈 . : :│: |/. :/│/.:///////: : : : : : : : : . )
  ,'            |′           \:ノ. : |: :/W/.:〈//////: : : : : : : : : :ノ
  ,'            |            /. : : : :|:///∧ : ∨///: : : : : : : : : . \

まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

前スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ユラユラ妄想】Vol14
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1249487623/
過去スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1231122796/
【とらドラ!】大河×竜児【ニヤニヤ妄想】(2スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1234443246/
【とらドラ!】大河×竜児【デレデレ妄想】(3スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236695653/
【とらドラ!】大河×竜児【イチャイチャ妄想】Vol4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237819701/
【とらドラ!】大河×竜児【ベタベタ妄想】Vol5
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1238865504/
【とらドラ!】大河×竜児【スキスキ妄想】Vol6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240317270/
【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1241386432/
【とらドラ!】大河×竜児【アツアツ妄想】Vol8
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1242374673/
【とらドラ!】大河×竜児【フワフワ妄想】Vol9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1243354181/
【とらドラ!】大河×竜児【クネクネ妄想】Vol10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244280781/
【とらドラ!】大河×竜児【ワクワク妄想】Vol11
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1245146459/
【とらドラ!】大河×竜児【モフモフ妄想】Vol12
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1246704738/
【とらドラ!】大河×竜児【ナツナツ妄想】Vol13
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1248388647/

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:28:52 ID:B1fnbqHT
【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった
非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

※避難所はまとめサイトにあります

★関連スレ
竹宮ゆゆこ103
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1244728077/
アニメ「とらドラ!」声優総合スレッド
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/voice/1207209886/
【竹宮ゆゆこ】とらドラ2!【絶叫】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1234536605/
【フラゲ】とらドラ!総合ネタバレスレ 3版目
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1236595750/
【間島淳司】とらドラジオ!【喜多村英梨】
http://atlanta.2ch.net/test/read.cgi/netradio/1229772543/
【PSP】とらドラP!part9【ポータブル】
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1244299142/
とらドラ!の逢坂大河ちゃんについて教えてください
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1240565215/
とらドラ!総合 
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/nhkdrama/1227538758/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 19皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246284729/
★キャラスレ
【とらドラ!】キャラ総合スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222905488/
とらドラ! 手乗りタイガー228匹目
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1246083609/
【とらドラ】逢坂大河は手乗りタイガー可愛い 5匹目
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237491771/
【とらドラ!】櫛枝実乃梨は夢に一直線かわいい9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1245016475/
【とらドラ!】櫛枝実乃梨SSスレ【まったり妄想】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244966136/
【とらドラ!】川嶋亜美はモデルかわいい Part.7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240611958/
【とらドラ!】狩野すみれは兄貴かわいい【会長】3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236426036/
【とらドラ!】能登×木原ラブラブ妄想&香椎と春田
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244190432/
とらドラの大河だけど
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1241841788/

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:29:47 ID:B1fnbqHT
まとめサイトより

Q、1話の机が吹っ飛ぶシーンどういうこと?超能力?
A、ちがいます。ラブレターを鞄に入れてたら人が来たので、ロッカー隠れようとして凄い勢いで移動したんです。

Q、とらドラ!ってどんな作品なの?
A、とらドラ!は高校生特有の『思春期』という限られたひとときの中、
 友達と過ごしながら楽しいと感じたり、ある時は落ち込んだり、
 またある時は恋に悩んだりしながら、毎日を過ごしていくという作品です。
 (雑誌インタビューより)

Q、何クールですか?
A、2クール25話(DVD8巻構成)です。

Q、会長とあーみんの区別がつきません。
A、川嶋亜美(あーみん・ばかちー):前髪が朝倉風、ややたれ目、胸がおおきい、モデル
  http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/toradora/images/chara/ami.gif
  狩野すみれ(会長・兄貴):前髪ストレート、ややつり目
  http://www1.atwiki.jp/toradora?cmd=upload&act=open&pageid=19&file=up49532.jpg

【一目でわかるとらドラ!一話】
@猛獣が襲い掛かってきた
Aお腹がすいていたのでご飯をあげた
B「気に入った。これからも飯つくってくれ、毛づくろいとかも頼むわ」
C襲われそうだし、ほっといたら死にそうなので、しぶしぶ飼うことに
Dご飯あげたら、ちょっと尻尾ふった ←今ここ
実際は竜児を犬扱いしている大河こそが
飼われている側っていうのが面白い

とらドラ! まとめwiki
http://www1.atwiki.jp/toradora/
とらドラ! AA保管庫(仮)
http://monabase.net/toradora

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:30:29 ID:B1fnbqHT
この板の設定

1レスあたり最大4096バイトで改行は60行まで可能
半角で4096文字・全角で2048文字です

Samba24規制は40秒です
一度書き込んだら40秒は書き込めません

バイバイさるさん規制は40秒以上開けて投稿しても
スレッドに同時に書き込む人数が少ないと発動します
ROMってる人は割り込みを遠慮せずむしろ支援する方向で

●を持っていると上記の規制は無効化されます
ただし調子に乗ってSamba24規制無視して連投しているとバーボンハウスに飛ばされます
たっぷり二時間は2ちゃんねる自体にアクセス出来なくなるので注意

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:08:02 ID:liVY+BNU
>>1
乙です。

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:12:12 ID:3zG3bmhz
>>1乙!

7 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:19:27 ID:jQ03Ptxh

◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿。季節は夏。

***

・ひそみにならうの


 右を向けば右を睨み、左を向けは左を睨む。これぞ「手乗りタイガー」、逢坂大河だ……じゃねえよ。
 竜児は声をひそめて呼びかける。

「おい、大河」
「なによ」

 そのくせ鈴みたいな可愛い声を出して大河が応えて、そして竜児に向かえば竜児を睨む。これが逢坂大河だ……まあ、そうだ。

「あまりきょろきょろガン垂れるなよ。乗客引いてんぞ」
「いいのよ、引くぐらいで」

 などと言って、大河は薔薇の唇もへの字に結んでみせるのだが、

「おわっ!?」

 カーブにさしかかった電車の床に足元を掬われ、見知らぬおっさんへとつんのめりかけるのを、竜児が襟を掴んで止めてやる。

「あぶねえぞ。ちゃんと足、踏ん張ってないと」
「踏ん張ってるわよ、ちゃんと。限界があるっての」

 竜児に首根っこを捕まえられて、吊り下げられたにゃんこみたいになったまま、

「……つかむとこ、ないんだもん」

 大河は不服そうに呟いて、今度は薔薇の唇を蕾と尖がらせる。



8 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:20:22 ID:jQ03Ptxh

 日曜日のお昼前。

 休日だというのに、いやむしろ休日だからだろうか。ラッシュというほどでは無いにせよ、都心へと向かう急行電車はわりと混んでいて。竜児と大河の二人はいわゆる電車の中ほどというやつ、押し込められてしまっていた。
 竜児はそれでも斜めに手を伸ばして、つり革をひとつ、なんとか確保していたが、

「てか、気安く触るんじゃないよ、このエロ犬」

 助けてやったというのにお礼も言わず、首を振って竜児の手をはじいてみせる、このろくでもないちっこいの……こと、大河の方はつり革に手が届くはずもなく、座席前を縦に走るポールも微妙に遠いのだった。
 仕方ない。

「じゃあ、いいぞ。俺を掴め……そうじゃねえだろ。ここらへんで勘弁しろ」

 掴めといえばここね!とまるで喧嘩腰、胸倉をつかんでちびのくせに竜児を吊り上げようとしてきた大河の手首を指でつまんで、シャツの腹のあたりに誘導する。

「うぅ……なんか、湿ってない? ここ。ばっちい……」
「仕方ねえだろ、夏なんだから。ちっとは汗もかく」

 ばっちい、ばっちいと繰り返し呟き、大河は綺麗な顔立ちをしかめてみせるものの、竜児のシャツを掴んで離す素振りはない。転ぶよりはマシ、ということなんだろう。

「おまえのほうがおかしいんだよ。そんな格好でなんで汗、かかねえ」

 そう言って、竜児は大河の「そんな格好」を眺め降ろす。



9 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:22:36 ID:jQ03Ptxh

 街に出て、お気に入りブランドのショップに行くからだろう、大河が着ているのはいつにも増してフリルをたっぷりと決めたそのブランドのツーピース。

 ガーゼ折りだから通気性はいいらしいが、それにしてもふんわりと膨らんだスカートは足首丈で、そりゃ夏じゃねえだろと竜児はやっぱり思ってしまう。
 思うだけでなく家を出る時、実際にそう口に出して突っ込んだら、ほら夏でしょうよと大河はミルク色の華奢な肩を示して見せた。
 たしかに上はノースリーブ、それだけが救いだと竜児は思った。自分で着ているわけでもないのだが。

 まあ、しかし。まさにその、自分で着るでもない大河の服を買いに行くために、竜児は大河に付き合って汗をかきかき、真夏の電車に揺られているのだった。
 竜児はもちろん荷物持ち、お買い上げになるのは大河である。値段のことは考えないことにした。そのトリプルガーゼブラウス一着で俺たち三人が何ヶ月、とか。

 やめやめ。

 電車に揺られて、大河の髪もふわふわと揺れる。天然の栗色に艶めいて、それはまるでわた雲のよう。ミルク色の肌を白いコットン地のドレスで包んで、大河は人ごみの暗がりでも輝くようだった。

 身体にあわせるように小さな顔だって、綺麗なものだ。ガラス細工のような優美な顎のライン、美しい鼻立ち。やはりミルク色に滑らかな頬、薄紅の薔薇の花びらを思わせる唇。
 なんともまあ、休日返上の美の女神に毎度のごとくド贔屓にされて、今日も大河はびっくりするほど美少女だ。鳶色に輝く宝石のような大きな瞳だって、裡に星屑を秘めてきらめかせて……

「……ふんむっ!」

 睨んでいる。右も左もガン睨みである。

「だから睨むなって、大河。さっきからなんだ、なんでそんな警戒する?」
「なんで、ですって? 当然でしょこのド鈍犬。女はね、外に出れば七人の敵がいるっての。言うでしょ? 知らない?」
「それ男だろ……」
「は! 男の敵なんか電車のどこにいるんだか。女にはいるわよばっちり、痴漢っていう敵がね」

 大河の口からそう聞いて、竜児も思わず眉をひそめる。

10 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:23:44 ID:jQ03Ptxh

「痴漢って、おまえ……まさか、あったことあるのか?」
「あるよ。お尻触られた」
「許せねえ……!」

 呟くや、まったく瞬間、たちどころに竜児は怒っていた。
 ふだんは大河の罵倒にも、暴力にさえもびくともしない温厚さで鳴らす竜児である。怒って、こんなあっという間に血をのぼせた試しなどない竜児は、むしろそのことに驚いたくらいだった。

 そりゃあいくら俺でも怒るのは当然だ、大事な……とつい考えて、大事ななんだ?と竜児は首をひねる。大事な、なんだというのか……大河は。
 そう、大河は……大事な飼い主だ。だから飼い犬の俺が激怒するのは当然なのだと、なんとかたどりついたわりには屈辱的なその答えに竜児は妙に安心、珍しく鼻など鳴らして納得する。

 そういえばこの路線、急行は特に痴漢が多いとか聞いたことがあった。今までは――竜児に出会うまでは、大河はきっと、ひとりでこの電車に乗って、服を買いに行っていたのだ。そして……

 そして。

 竜児はふたたび沸き立つ怒りもそのままに、誰をというわけでもなく、つい車両の中をぐるりと見渡してしまう。
 ばさばさ、あわわと、途端に車内は謎の喧騒に波打つ。本を持っていた客は本を取り落とし、携帯を持っていた客は携帯をお手玉し、本も携帯も持っていない客はいっせいに目を伏せた。え? なんだこれ、俺のせいか……?

「あー、あー、だめだめ。あんたは睨んじゃだめ。そっちシルバーシートだし。ペースメーカー止まるよ?」
「お、おう。そうか……って、俺の目は電波は出しちゃいねえぞ……たぶん」

 たしかに竜児は遺憾ながら、心穏やかに眺めても無駄に殺意をふりまくほどの凶眼持ちだけれど。さすがに電波はねえだろうと、でも竜児はなんだか心細くなって大河を見る。すると。
 大河はどうしたことか、愉快そうに瞳も細めて、小首を揺らして微笑んでいるようだった。よっぽど今の騒ぎが楽しかったとみえる。


11 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:24:50 ID:jQ03Ptxh

 ともあれ、普段はこれまた凶暴で鳴らす大河の機嫌がいいのは、竜児にしてもいいことなのだ……被害が減るからだ、もちろん。
 そして大河の微笑みに、腹に岩のように湧き上がった怒りもゆるりと解けて。解けてとけて、ちょっと待てよと怒りの最後のひとしずく。

「……で、そうだ。その痴漢はどうした」
「小手を掌握してひねりつぶしてやったわ。わかる? 掌握」

 そう訊いて、シャツを離した右手で、大河はやおら竜児の右手を握ってくるのだ。「手を握る」といえば聞こえは甘いが、

「ああ、いいよ! わかんねえけど、遠慮しとく」

 小指の付け根側を、小さな指を揃えて掴む大河のその力にはそんな甘やかさなど微塵も無い。それどころか瞬時に「あ、やばい、決まる」という確かな恐怖を竜児は感じて、焦って手を振りほどく。
 格闘技だか護身術だかの講釈をご遠慮されて、大河はたいそう不満げだが致し方あるまい。というか、やめろマジで。

 大河は不服そうに唇を尖らせたまま、振りほどかれた右の手を、汗で湿ってばっちいはずの竜児のシャツに戻して、掴みなおす。そしてふたたび、綺麗な眉根に縦じわを刻んでの360度やぶ睨みを開始。

「でもよ、もう睨まなくてもいいんじゃねえか、今日は。俺もいるし」
「あんたがいるから、なんなのよ」

 すかさず、なんなのよ、と来た。言われりゃたしかに、なんなのだろうか。俺が守る、とでも? とてもそんな柄じゃないが……とまで考えたところで、竜児は思いつく。

「そうだ。かわりに俺が睨んでやるよ」
「あんたがかわりに? だめよ、さっきの騒ぎを見たでしょ? あんたの目にはフォースがあるの」

 自分で言って面白かったのか、大河は意地悪そうにぷくくと笑う。

「俺はジェダイか」
「違うよ。物理力。まあ、暗黒の力ではあるわね……ぷっ」

 などと憎まれ口、大河はコロコロと本当に楽しそうに笑うものだから。申し出をすげなくされた上に小馬鹿にされたというのに、どうにも竜児は怒れない。かわりにつられて苦笑してしまう。
 やがて大河は、はぁ、とため息。私くらいの眼力でちょうどいいのよ、なんて言って。結局。

 またも右を左をガン睨みするのだ、大河は。大きな瞳を眇めて星ぼしの輝きを縮め、眉根も寄せて白い額には深い縦じわを刻んで。やっぱりどうにも、竜児にはそれが気に入らない。まったくそこが問題だ。それさえなければ大河は本当に――


12 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:25:48 ID:jQ03Ptxh

 どうしてそんなことをしてしまったのか。ほんとうに、つい、

「大河」

 呼びかけて。正面を向いた大河の眉根のひそみを、竜児は撫でていた。
 右手を伸ばして親指の腹で、優しく。

「なに?」

 さしもの反射神経を持つ大河も不意を突かれたのか、ただただきょとんと大きな瞳をまあるくしてみせる。撫でた瞬間に竜児が予期したようには、振り払うことも、手ではじくことも、罵ることもせず。おとなしく竜児の指に撫でられるにまかせている。

「睨むのはいいけど、縦じわやめろよ、大河。クセがつくぞ。本物のしわになる」

 言って、なんとも妙な声が出るものだと竜児は思う。まるで低くて優しい声。

「なんないよ」

 それを聞いた大河はといえば、消えかけていた縦じわを竜児の指の下でぐっと深くしてみせるのだ。この天邪鬼が。

「なるよ。近所の不味いラーメン屋のおばさんみたく」
「近所のって、あの札幌ラーメンの?」
「そうだよ。大橋で札幌もねえだろって、前通るときいつも必ずおまえが言う」

 そうだ、と竜児は思う。苦労して、嫌なことがあって、その度に眉根を寄せて。そしてあのおばさんの額からはしわが消えなくなった。

 そうだ、だから、気になっていたのだ。竜児は、ずっと。

 大河が綺麗な眉根をしかめて縦じわを刻むたびに、出会った頃から竜児にはそれが嫌だった。大河はまだ少女で、だから苛立ちを解けば、そのしわも跡形もなく消える。けれどもし、このままなら。
 このまま、大河がしょっちゅう苛立ってばかりでいるままに、年をとっていったのなら。いつしかそれは消えない本当のしわとなって大河の額に刻まれるだろう。働かなくなった旦那に代わって不味いラーメンを作り続けている、あのかわいそうなおばさんのように。

「いやだろ?」

 俺は嫌だ。


13 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:26:31 ID:jQ03Ptxh

「うん……嫌だね」

 ろくでもない例えに使ってしまいまったくもって申し訳ないが、おばさんのダシはさすがに効いたようだった。大河の縦じわが解けて消えたのを、竜児は撫でる親指の腹で感じる。

「よし」

 と竜児は、すっと大河の眉間から手を離す。目で見てもしわが消えたことを確認して、竜児が満足げに微笑んだのもつかの間。

「ふんむ!」

 と大河は気合一閃。ぎんっ、とばかり眉根をしかめてみせる。

「なんでだよ!?」

 竜児は手を戻し、ふたたび大河の眉間を親指で撫でる。さすがの竜児もこれには腹が立ちそうになるが、

「ふっ」

 怒るかわりに、軽く吹いて笑ってしまった。撫でれば途端にひそみは消えて、大河は細めた瞳にいたずらっぽい光をたたえている。これは、つまり……。

 今度は無言で、竜児は撫でていた指をすっと離す。
 いっそ微笑んでいるのかと見まがうような表情もつかの間、

「んむ!」

 またも大河は、ぎんっ、と。

「だからおまえさ……」

 竜児は苦笑して、大河の眉根をまたまた優しく撫でてやる。


14 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:27:44 ID:jQ03Ptxh

 つまり、大河はふざけているのだった。いったい何が気に入ったのか、じゃれているというか、つまりは撫でろ!ということなのだ、大河は。その、証拠に。
 竜児に眉間を撫でられれば、途端に大河はひそみを解いて、やはりそうだ。今度ははっきり、上目遣いに竜児を見ながら、にこにこと微笑んでみせる。本来の美貌を輝かせる、そんな大河はなんというか、とても……とても……

 とても、なんだ?

 今度の竜児はちょっと当惑、手を離す。
 大河は微笑んだまま、一瞬、時を止めてみせて。やっぱりまたもや、

「む!」

 ぎんっ、と。おねだり。

「だからしわ刻むなって」

 こんなのは、面白いに決まっている。だから竜児はやっぱり笑って、だから竜児はやっぱり愉快で、拒むなんて出来っこない。
 揺れる電車はあぶないから、大河の髪をあまり乱さないように気をつけながら残る指を猫っ毛に挿しいれて、親指の腹で大河の眉間を撫でてやる。優しく、優しく。

 優しく、撫でられて。

 大河はまるでうっとりとしたかのように目をつぶって、長い睫毛を上向かせる。眉も持ち上げ、顎も上げて雪色ののどを晒して、大河はまるで竜児に撫でられてふわりと持ち上がるようだった。

 竜児のシャツをしっかりと掴んで、竜児に撫でられて持ち上がって。大河の滑らかにふくらんだ頬はもちろんミルク色で、よもや赤くなんかなっていない。
 だから竜児はときめいても、勘違いなんてしない。大河の白いのどから子犬のような声が漏れたように聞こえたのも、きっと錯覚。そうだ。

 大河は撫でられて、まるで犬か猫みたいに、ただ心地よくなっているだけだ。だけど。
 だけど、そんな大河は、なんというか、ほんとうに。


15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:33:55 ID:P2gz5jou
支援

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:35:28 ID:jQ03Ptxh

 そっと、ゆっくりと。雪色の肌を痛めないように撫でながら竜児は思う。ああ、言ってやらねえが、思ってやるとも。ほんとうに、大河。おまえは、なんて、なんて、なんて。

 なんて馬鹿なんだ、おまえは、大河。そんな顔を俺に見せてどうする。そんな顔は、惚れた奴に……北村にこそ、見せるべきじゃないか。
 瞳を閉じておもてを捧げる、美しくて小さなおまえ。そんな、まるで、おまえがキスをする時のような顔は、大河。おまえは、なんて、なんて、なんて。

 可愛いんだ。
 薔薇の唇。
 ちくしょう。

 震えそうになった親指を離す。ぽん、と、そっけなく大河の頭を叩いてやる。

「おわりだよ、大河」

 ゆっくりと目蓋を開けて、大河の瞳が竜児を見つける。すかさず竜児は、

「もう撫でねえからな。やめろよ?」

 先手を打って、大河は不服そうに唇を尖らせる。唇を尖らせて、眉をひそめかけて――
 おっとっと、とでもいう感じ。大河は瞳も大きくして眉を晴れさせる。アホの大河は、それでも顔の下だけで不服を表現しようとして、薔薇色の唇をなんだかもにょもにょしている、その顔といったら。

 よっぽど竜児は安心する。微笑む。

「腹減っただろ、大河」
「……ううん、すいてない」

 ぐきゅ。

「……すいた」


17 :ひそみにならうの ◇eaLbsriOas:2009/08/27(木) 00:36:13 ID:jQ03Ptxh

 真実を告げる大河の腹の音に、つい、肩まで揺らして竜児は笑いを噛み殺した。大河はあいかわらず不服そうなツラだったが、

「……じき、駅だ。降りたらまず、なんか食おうぜ」
「うんっ!」

 飯の時には良い返事。大河もようやく笑顔になる。

「なにがいい? 大河」
「んとね……っそう! とんかつの老舗の本店があるの! 表参道の方!」
「おう、とんかつ来たか……いいよ。じゃあ、それだ」
「うむ!」

 大河の返事に応えるように、窓の外にホームが流れ込んでくる。駅に入る速度なのかこれがという、毎度のスピードだ。やがてブレーキがかかり、電車が制動に入る。

 竜児は大河の肩を抱いてやる。倒れないようにだ。自然なことだ。大河も別段、気にはしない。電車が止まれば、俺はすぐに手を離す。

 電車が止まって、竜児はすぐに手を離す。

 ドア付近の乗客が降りる後について、

「さあ、行こうぜ」
「うん!」

 竜児は大河に先に立たせる。ドアの下から吹き上がる熱気にスカートもフリルも揺らめかせて、ホームを焼く日差しに一瞬、大河はほんとうに白く輝く。
 いつしかまわりの乗客が微笑んで見守っていたことにも気づかないまま、ふたりは真夏のホームへと降り立つ。


***おしまい***



18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:38:17 ID:jQ03Ptxh
支援感謝

途中、行が長すぎるのエラーが出たので
不自然にならないところで改行しました。

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 01:14:06 ID:P2gz5jou
>>17
作者も代理もおつかれさまー
いいねいいね、この距離感がいかにもとらドラだね!


20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 02:58:34 ID:WoWy5Xaq
「な、何こっ恥ずかしいこと、新スレから言ってんのよ!そ、そういうことはもっとむむむムードとか…」

「おまえなぁ!」

「ひゃー!?」

「…今夜、泊まりに来いよ」

「…うん」

その夜。

ギシギシアンアン

新すれおめおつ

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 17:02:12 ID:Hx3Oy/zu

「どうしよう」
先程の実乃梨とばかちーの口喧嘩のせいだろう。何となくぎこちない空気の中、木原達が楽しみにしていたガールズトークもすることなく皆早々に床に就いた。
真っ赤になった顔を隠すように布団の中で丸まっているがさっきから眠れない、竜児に抱き締められていた時の感触が消えない。忘れなきゃと思えば思うほど竜児の匂い、ぬくもり、息遣いが鮮明によみがえって来る。
実乃梨との中を応援しなければならない私がこんなのでいいのだろうか?いいはずがない。でも、ダメだダメだとはわかっていてもこの体が竜児を求めてやまない。もっともっと抱き締めて欲しいと思ってしまう。
そもそも竜児もズルイのだ。男達四人、あんなところで何をしていたのか知らないが、襖から出て来るやいなやいきなり抱き締めて引きずり込むなんて。今まであんなに触れられたことなんてなかったのに私が竜児のことを意識した途端にそんなことしてくるなんて。
ばかちー達の話題が私に移って外に出にくい雰囲気になってよかったのかもしれない。あのままいたら抵抗することも出来なくなって竜児に身を委ねてしまっていたかもしれないのだ。

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 17:04:37 ID:Hx3Oy/zu

それだけは絶対にダメだ。この思いだけは誰にも知られるわけにはいかない。だっていくら思っても届くことのない思いなのだから。竜児が好きなのは実乃梨だ、そう自分に言い聞かせる。壊れそうな心には目を向けないで。
そういえば、今日の口喧嘩を聞いていてやっぱり実乃梨は竜児の事を何とも思ってないわけではないと確信できた。たぶん好きなのだろう。
だったら竜児を拒んだのはなぜ?決まってる、私のせいだ。私には竜児が必要と実乃梨が思っている限り竜児を受け入れることはないだろう。だったら竜児がいなくても私は大丈夫、と思わせるしかない。
でも…でも一体いつまで頑張れば私は竜児への思いを消すことができるのだろう?強くなることができるのだろう?ずっとずっと息が苦しくてたまらないのに。
長い長い旅路のような夜が続く…

23 :名無しさん@お腹いっぱい:2009/08/27(木) 17:07:02 ID:Hx3Oy/zu
>>17おつです。
いつも楽しみに読ませてもらってます。
原作8巻を読んでたら修学旅行の夜に襖から這い出たあとに大河が顔を怒気やらなにやらで真っ赤にしたり、情けなく手で真っ赤な顔を覆ったり、翌日竜児に話しかけられたら驚いて味噌汁をかけたりしてくれたので勝手に深読みして夜眠れない大河を想像(妄想)してみました。
「そりゃ違うだろ」という方がいたら一つの妄想としてスルーしていただけたら幸いです。
初書き込みなので改行等変なとこあったらすみません
(というか変ですね、ほんとごめんなさい)。
駄文失礼しました。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 17:23:27 ID:QAkqthDt
>>22
初投下お疲れ様。
みのりんとあーみんの会話を聞いてしまった大河の気持ち…切ないっすね。
改行は…22氏の内容だと一文毎くらいでも問題なさ気な気がする。

そしてGJです♪これから一緒に頑張りましょう!
あっ!でも投下する前に宣言した方がいいかも。

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 19:33:35 ID:cCsS3C2E
>>17
いいですね。こういう感じのお話。こういうの好きです。
乙でした。

>>23
お疲れです。
想像と妄想から話は生まれますから、次回作期待してます。


以下、途中までとなってました真夏のシンデレラ、続きを投下します。
今回は少し長めです。
前回までと若干、雰囲気が違うかもしれません。

26 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:35:19 ID:cCsS3C2E
『大河』と、ある意味校内で恐れられている竜児の相棒を呼び捨てに出来る存在はそう多くない。
それを意図もたやすくやってのけてしまったこの少女は何者だろうと竜児はふたりのやり取りを眺めていた。
大河の名を呼び、車から飛び出して来るなり、大河の両手を取って、懐かしさいっぱいだと全身を使って表現する。
この清掃工場で所長をやっている叔父を表敬訪問した帰りだと言い、偶然の再会を大げさに過ぎるほど喜んでいた。
大河は一応、礼儀として応対しているが、あまり会いたくなかったと言うのが感じられ、ふたりの間に夏と冬ほどの大きな温度差があるのを竜児は感じざるを得ない。
「もう、びっくりしたよ。てっきり、高等部に来ると思ってたのに・・・外部を受験したって聞いたから」
「悪かったわ、言わなくて」
まるでお前にそれを事前に説明する必要があるのかと言わんばかりの大河。
「変わったね、大河」
「私は何も変わってない」
「ふうん・・・もしかして彼氏?」
ようやく、大河の隣にいる竜児が視界に入ったのか、大河と竜児を見比べてそんなことを聞く。
「竜児は私の・・・」少し言いよどんでから「そう、大事な人」と大河は付け加えた。
「そうなんだ」
ジロジロとぶしつけな視線で竜児を眺め「やっぱり、変わった」と断罪するように一方的とも言える決め付をした。
竜児はその物の言い方に少しムッとする思いを抱く。竜児と一緒にいる大河がまるで不良の色に染まったのではないかと非難しているニュアンスが感じられたからだ。
「みんな、大河のこと心配してたよ」
「おかげさまで、元気にやってるわ、そう伝えておいて」
話はこれで終わりだと言うように大河は見えない扉を少女の前で閉じた。
まだ、何か話し足りなさそうな素振りを見せながらも、大河の素っ気無い態度に歓迎されていないのを感じ取ったのか、「仕方ないね、そう言うことしたんだから」と竜児には意味不明な言葉をつぶやいた。
「うん、仕方ない・・・か」
自分を納得させるようにその少女は頷くと、大河に都合のいいところまで送ると車を指差した。
ずっと無言だった大河は「もうすぐバスが来るから」・・・と言い、その申し出を拒絶する。
「そう」
断られることをあらかじめ予感していたのか不愉快そうな顔も見せず、「また、会えるといいね」とだけ言い残して少女は去った。


27 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:36:38 ID:cCsS3C2E
大河は少女を乗せた車が走り去った方角をそのままじっと見つめ続けていた。
その大河の後姿が何だかいつも以上に小さく見え、胸を衝かれた竜児。
悲しみと言う色で塗り潰された背景を従えて立ち尽くす大河。
竜児は声を掛けないで要られなかった。
「な、なあ、大河」
「うるさい!!!話し掛けるな」
叫んでいるけどどこか弱い大河の声に混ざる湿り気。
これが自宅の近所ならそのまま、走り去ってしまいそうな大河の様子に竜児はそっとしておいてやる以外に方法を見出せなかった。
道路に背を向け、道と清掃工場を隔てるフェンスに歩み寄る大河。
そのままフェンスの金網を右手でぎゅっと握り締め、大河は何かに耐えている。
泣き顔こそ見せてないが、心の中ではきっと涙の降水確率、高そうだった。

傘ぐらいしか貸してやれないけどな・・・しばらくして、竜児は大河の背中に声にならない声を掛けて脇に腰を下ろした。
大河は側に来る竜児を拒絶することなく、自分の足元に座る竜児を見た。
「・・・竜児」
「よう、少しは落ち着いたか?」
「ちょっとだけ・・・まさか、こんなところで会うなんて思わなかったから・・・取り乱した」
「会いたくない相手か・・・お前にもそんなやついるんだな」
「会いたくないっていうか、顔を見れば思い出すから・・・嫌なこと」
「誰だって、そんなもののひとつやふたつ抱えてるさ」
「竜児も?」
「ああ、だからそれくらいで止めとけ。傷口なんて覗き込んでも気持ち悪いだけだ。前を見ろ」
「前って?」
「大河が進みたいと思う方角が前だ」
「私の行きたい方角か・・・わかんないな、まだ」
その大河は空の彼方を見ていた。
大河を真下から見上げる形になった竜児はその目元がわずかに光っているように感じられ、何ともいえない気持ちになった。


「ねえ、竜児」
「なんだ?」
「そんな風に足元に座ってると本物の犬みたい。忠犬なんとかいうの」
「駄犬から昇格か?」
「竜児は駄犬じゃない。今日は名犬」
「やっぱり犬かよ。いい加減、犬は卒業させろ」
「そっか、竜だっけ」
「そうだ。竜だ」
「並んで立つんだよね。竜と虎は」
いつか竜児が言ったことを思い出すように大河は言う。
「ああ、だから、虎が悲しめば、竜だって悲しい。虎が嬉しければ、竜も嬉しいんだ」
「・・・ごめん」
「謝ってばっかだな今日は。で、何で謝るんだ?」
「竜児に不快な思いをさせた」
「さっきのやつのことか?」
大河はコクリと小さくあごを動かした。
「初対面で好かれるほど自惚れちゃいねえし、ああ言う対応は慣れてる」
「竜児」
「なんだ?」
「何でもない」
あきらかに何でもなくない顔をして、大河は話を打ち切り、片足をブラブラさせながら足元の小石を靴のつま先に載せ、もてあそぶ。


28 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:39:30 ID:cCsS3C2E
「ちっ」
大河は軽い舌打ちと共に小石を宙に跳ね上げ、落ちて来たタイミングに合わせて思いっきり蹴り飛ばした。
弧を描いて飛んだそれは道路の向こう側にある電柱に当たり、路上を転々とする。
2度、3度とアスファルトの上で跳ねた小石はそのまま道路わきの側溝へ落ちて行った。
転がった石を視線で追い、大河はつぶやく。
「何が・・・違うって言うの」
「違うって?」
「あの石」
「石がどうした」
「落ちた・・・排水溝に」
「そうだな、確かに道路の上には残っちゃいねえ」
「どうして?ねえ、どうしてそうなったの?」
「そりゃ、お前の蹴った力とか地面の反射とかいろいろあるんだろう。物理の難しい式でも当てはめれば答えが・・・」
言いかけて竜児はやめた。
大河がそんな答えを欲しているんじゃないと気がついたからだ。
座った竜児の前にある大河の固く閉じられた左手。
それが少し震えている。
ためらうことなく、竜児は両手でその大河の手のこぶしを包み込んだ。
「竜児」
視線を下に向けて大河は竜児を見る。
「座れよ、立ってないでさ」
竜児は掴んだ大河の手を引きつけた。
「うん」
フェンスを背もたれに竜児と大河は並んだ。
「あと・・・何分?」
大河がバスの来るまでの残り時間を問う。
「1時間以上あるな」
「乗せてもらえば良かった」
「そう思ってるのか」
「だけど、そうすればこんな暑い所で待たずに済んだじゃない。私がちょっと我慢すればいいんだし」
「大河!」
「何よ。急に大声で」
「本気か?それなら怒るぞ」
「何で竜児が怒るの?」
「当たり前だ。俺は大河にそんな思いをさせてまで楽しようとは思わねえ。暑くて結構。大河とふたりでいる方が何倍も嬉しいからな」
「ふ〜ん」
「な、何だよ?急にニヤニヤして」
「嬉しいんだ。私と居ると」
「・・・空耳だ。聞き流せ」
「竜児がそう言うなら、そういうことにしておいてあげる」
「勝ち誇ったみたいに言うな」
「今日の大河様は機嫌がいいのよ。でも、言葉には慎みなさい」
「今度は上から目線かよ」
「クスッ・・・竜児には感謝してるから」


29 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:40:46 ID:cCsS3C2E
「き、急に何だ」
小さく笑った大河はすぐに表情を改めるといつもと違った真剣な目で竜児を見る。
「今日、そばに居てくれた」
「昨日も一緒だったろう」
「ううん。たった今、居てくれたことが嬉しいんだ、私」
「そうか?」
「そうだよ・・・竜児がいなかったら、私・・・何をしたか分からない」
「さっきのやつにか?」
「うん。殴ったりはしないけど、言った後でひどく後悔するようなセリフ、吐いたかも」
「だけど、溜め込むのも良くないぞ」
「酷いセリフを言うの?」
「それも良くねえな。そうだ、穴でも掘ってそこへ吐き出せ」
「王様の耳はロバの耳・・・竜児のお胸の黒レーズンって」
「おま、何気に酷いことを言うやつだな」
「言えって言ったのは竜児」
「俺の前で言うな」


道端の名も無い雑草をむしる手を止め大河がポツリと言う
「竜児は何にも聞かないんだね」
「大河が言いたくないことを無理には聞かねえ。そのまま仕舞っとけ」
竜児は自分の胸を叩いた。
「それとも言いたいなら愚痴でも何でも聞いてやるぞ」
構わないの?そんな感じで竜児の顔を数秒,凝視した大河は竜児の瞳から了承の意を読み取ると話し始めた。
「・・・竜児・・・知ってるよね?私が私立中学の出身だって」
「そう言えば、そんなこと言ってたよな」
「竜児は不思議に思わない?」
「何をだ?」
「私立からわざわざ公立高校へ来るなんて・・・」
「おう、言われればそう感じるけど、理由はあれこれあんだろ」
「もう、分かってると思うけど、さっきの子、クラスメートだったんだ・・・」
「それにしちゃ」・・・ずいぶん、よそよそしかったなと後の言葉を付け加えず竜児は黙る。
「中学の時は・・・良く一緒に行動してた」
それはクラスメートではなくて友達とは言わないか?竜児の疑問は募る。
それから大河の口から紡ぎ出される話に、竜児は耳が放せなくなった。


「小学校から高校までエスカレーター式の学校に通ってた。良くも悪くもお堅い感じの学校」
「何となくイメージは沸く」
「最初は真面目だったんだよ、私・・・何?その信じられないって顔」
「わりい・・・あまりも意外で」
「私だって最初から・・・こんなんじゃない」
手乗りタイガーと言うふたつ名を持つ大橋高校の有名人はかつて平凡な普通の人だったらしい。
生まれた時からそんな風になる人間はいねえ・・・当たり前かと竜児は思う。
大河が言うには小学校にあたる初等部でごく普通の少しやんちゃな一生徒でしかなかったそうだ。
その大河の学園内での生活態度が目に見えて悪化したのは中等部へ進級してしばらくした頃だったらしい。

30 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:41:57 ID:cCsS3C2E
初等部高学年の頃から目立ち始めた大河の両親の不仲は1年余りに亘る家庭内別居の末、大河の母が家を出て行くという形で幕を閉じた。
そしてまもなく、正式な協議離婚が成立し、大河は父親と生活を共にすることが決められた。
大河は既に父を見限り、新しい恋人の下に奔った母親を許せず、父親との同居を喜んだものの、その喜びがぬか喜びであることをまもなく思い知らされたのだ。
新しい母親だと大河の父が逢坂家に連れて来た女性は若くて綺麗な人だった。
大河も最初は素敵な人が母親になってくれたのを受け入れ、この親子関係はうまく行くかと思われたのだが、破綻はすぐにやってきた。


「裏表があるって言うのかな、あれって」
「二重人格か?」
「それもちょっと違う。例えば、体操服に名札付けるじゃない。真ん中におっきく名前書いてさ」
「ああ、2−C高須ってやつか」
「そう、それ・・・頼んだんだよね、中等部に入って間もない頃。付けてくれって新しい母親に」
「付けてくれたんだよな?」
大河は首を振った。
「それは・・・ひどくないか」
「自慢じゃないけど、私の家事全般がどんなレベルか竜児も知ってるよね」
「ああ、十分すぎるほどな」
「・・・ちょっとはリップサービスしたら・・・否定できないけど」


体操服へ取り付けるゼッケン・・・「1−C 逢坂」と書かれたものを新調した服へ縫い付けること。中学生になったばかりの大河にとって裁縫など家庭科の授業で真似事程度にしかやらなかった手技で、これをキレイに縫い付けるなんて芸当は逆立ちしても無理な技。


「だから、寝る前にお願いって頼んだ。明日、使うからって。でも、結局翌朝になっても、そのままだった」
「ついうっかりとかじゃなくて?」
「あれだけ言って忘れるなら若年性健忘症。私がきちんと言わないから分からなかった、なんて言い訳を父親の前でしたの、あいつは。つまり、そう言うこと」
「それが裏表か」
「私が全部、悪いみたいな話になっちゃって・・・そんなのが何回もあって・・・ああ、私、嫌われてるって・・・・・・分かっちゃったんだ」
そこだけ声のトーンが落ちる大河。
「親父さんには言わなかったのかよ?言いつけるみたいであれだけど」
「言ったわ、何度も。でもその都度、あいつの味方ばかり」


唇を噛むような悔しさを感じながら、大河はいつしか、義理の母親の味方ばかりする父親へも不信の念を向けるようになっていた。


31 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:43:25 ID:cCsS3C2E
「早朝奉仕って言うのがあったの」
「何だ、そりゃ」
「まあ、手っ取り早く言えばボランティア活動よ」
「川原でごみ掃除とかやるのか」
「そんなもの。で、早朝って言うくらいだから朝、うんと早いの」
「早いって、どれくらい?」
「学校集合6時半」
「そんなに早い時間か?」
「うるさいわね。あんたにはちょうど良くても、私には早いの」
「へいへい」


学校では月に何度かクラスごとに早朝奉仕と称して朝早く登校し、学校の外回りを掃除する催しがあった。
大河は連続してその活動を欠席した。もちろん、大河はさぼろうとした訳ではなく、ちゃんと出るつもりでいたのだ。
しかし、早起きが苦手な大河を朝早く起こしてくれる人が逢坂家には誰も居らず、結果的に大河は出席回数0と言う不名誉な結果を伸ばし続けることになる。



「ほら、早起きって苦手じゃない、私」
「それは言えるな。俺が何回起してやったことか」
「別に、起してくれなんて頼んでないでしょ」
「じゃあ、明日から独りで起きられるんだな、偉いぞ、大河」
「なんか、その言い方むかつくんだけど」
「俺は事実を述べただけだ」
「う〜、竜児がそこまで言うなら、独りで頑張って起きてあげる」
「そ、そうか・・・大丈夫か・・・」
「疑わしそうにすんな。大丈夫よ。目覚まし100個くらい買って来るから。あ、それから言っておくけど、起きるのは私。鳴ってる目覚ましを止めるのは駄犬の役目」
「おま、無茶な真似を・・・わかったよ、今まで通りでいこう・・・それが平和な道だ、お互いにとって」
「そうね、竜児の目覚ましが一番だから・・・何?その顔。誤解しないでよ。私は目覚ましのアラームが嫌いなだけなんだから」


不参加が続けば、当然のごとく、クラス担任よりお説教などをされることになるのだが、逢坂家の事情などを担任が斟酌してくれるはずも無く、大河はただ一方的に言われるばかり。
それは大河にとって非常に面白くないことで、必然的に態度に出る。
もうそれだけで教師の言うことを聞かない反抗的な生徒と言う烙印を押されてしまう。


32 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:44:59 ID:cCsS3C2E
「反抗するつもりなんてなかった」
「あ〜、良く分かるぞ、大河の気持ち。俺も似たような経験あるからな」
「竜児も?」
「お説教の途中でにらみ返したつもりはないんだがな。危うく校内暴力の首謀者にされるところだった」
「竜児が・・・本当は虫も殺せないような竜児が・・・もしかしてガラスでも割ったの?なんかおかしい、それ」
「そこ笑うなよ。ガラスは割っちゃいねえ。拭いたくらいだ。で、結局はわかってもらえたけど、大変だったんだぞ」
「そっか、竜児はわかってもらえたんだ。良かったね」
「大河はどうだったんだよ」
「私?私は・・・駄目だった」


良識のあるクラスメートも忠告をする。いわく、「逢坂さん、態度を良くした方がいいよ」と。
家で母親とのやり取りによるストレス、そして理解してくれない教師とのあつれき。
大河のストレスは高まり、暴発寸前だった。そこへ、クラスメートの親切めいた忠告。
そして大河の理性は飛んだ。
こっちの事情も知らないで勝手なことほざくなと机の中から30センチ定規を取り出し、忠告してきた相手ののど先に突きつけた。
大河のにらみが恐かったのか、相手はそのまま泣き出し、結果として大河ひとりが悪者にされ、クラスの中で浮いた存在と成り果てた。


「なんか私、それで浮いちゃったんだ学校で」
「淡々と言えるな・・・もっと感情を込めてもいいぞ。俺はドンと受け止めてやる」
「なに両手広げて期待してんのよ。泣いたりしないし、すがりついたりもしない」
「それは残念だ」
「犬のくせにそんなに気を使わなくていいの。本当にバカ犬なんだから・・・。だけど私、みのりんにだってこんなこと話した事無い。あんたが始めてよ」
「いいのか、俺なんかで」
「いいの、その代り、最後まで聞きなさい」
「おう、任せとけ」


独りの方が気楽と斜に構えて学校生活を過ごし始めた大河だったが、その周りをいつしか黒い噂が飛び交うようになった。
いわく、学校の外で不良グループと付き合いがあるとか、夜の街で見かけたとか言う類のもの。
良家のお嬢さんたちは想像力が豊かだことと笑って無視していた大河だが、中にはそれを真に受ける人間もいる。
ある日、大河は複数の評判の良くない上級生に人気の無い場所へ呼び出された。


「生まれて初めてもらったわ、果たし状」
「なんだそりゃ」
「ご丁寧なことに毛筆で書いてあるのよ、それ。おまけに文体まで格式ばってて、時代錯誤もいいところ。捨てちゃったけど、残しておけば笑いのネタになったのに」
「なんて書いてあったんだよ?」
「ようするにアンタはこの学校に相応しくない人物だから、性根を入れ替えてあげるって言う内容」
「ずいぶん勝手なこと言うんだな」
「それが、正義だったんでしょ。呼び出した連中の」
「で、どうしたんだよ、大河は?」
「行ったわよ、呼び出された場所へ」
「無茶だろ、いくらなんでも」
「・・・竜児の言う通り無茶だった。だけど逃げるのはもっと嫌」

33 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:47:23 ID:cCsS3C2E
相手は大河の生活態度が目に余ると、ゆがんだ正義の名の下に多勢で修正を加えようと目論んでいたのだ。
負けん気の強い大河だったから、あえて危険を承知で現場へ乗り込んだものの多勢に無勢で歯が立たず、己の見通しの甘さを呪う事になる。
複数人で押さえつけられ、背中まで伸びた大河の髪はバッサリと切られようとした。



「陰湿だな、それは」
「でしょ・・・大暴れすればなんとかなるって思ってた私も馬鹿だったけど」
「で、どうなったんだよ?」
「助けてくれた人がいたの」
「助け?」
「うん、神社の境内だったんだけど、そこの神主さん。怪我の手当てもしてくれて」
「怪我って、大河」
「激しく抵抗した・・・負けちゃったけど・・・そんな顔しないでよ、竜児。でもいいこともあったんだ」
「いいこと?」
「うん。その神主さん、拳法の達人で、それからいろいろ教えてくれた」


大河の瞳に彩る炎の様なきらめきを見た神主は大河にそのままだといつか身を滅ぼすと忠告をした。
余計なお世話だと反抗する大河に木刀を渡し、大口を叩くならそれでこの自分を殴ってみろと挑発する神主。
木刀を掴んだ大河だったが、結果から言えば木刀はかすりもしなかった。
息を切らして倒れこむ大河に強くなりたくないかと神主は謎を掛けて来たのだ。


「一年くらいかな、護身術とか教わった」
「木刀の使い方もか」
「教わったけど、それがどうかした・・・あ」
「俺はだな」
「あの時は久しぶりに使ったから、腕が鈍ってたのよ」
「いや、鈍ってたくらいでちょうどいい・・・そうじゃなきゃ、俺の命が危なかった」
「やだ、竜児。私が本気で襲うわけないじゃない」
・・・笑えねえ、竜児の感想である。


大河の神主通いは神主が任期切れで他の神社へ移動になり1年足らずで終わった。
神主の教導は時に過酷で、竜児は大河が垣間見せた内容に唖然とする。
殴られなきゃ・・・殴った時の痛みって分からないじゃない。
大河のさらっとした物の言い方に凄みを覚え、竜児は隣に座る小柄な少女を改めて見つめてしまった。
大人しく座っていれば観賞用の高価な人形だって逃げ出す、超が付くくらいの可愛いさで輝く女の子。
恐らく10人中10人がその外見だけで判断してしまうだろう。儚げで守ってあげたいと。
誰がその内面に恐るべき破壊力を持っていると想像し得るだろうか。
竜児自身も新学期早々、大河に殴られている。
あの廊下でぶつかったハプニングの時だ。
竜児は大河に殴られた衝撃と迫力負けでしりもちをついてしまったのだが、殴られた痛みそのものはそう大きなものではなかった。
怪我もしなかったし、あざも痕も残らなかった。
それにもかかわらず、あの瞬間、竜児は逢坂大河が恐れられている理由を全て知ることが出来たのだ。
大河なりに計算された力加減で殴られたんだと、竜児ははっきりここに自覚した。


「そう言えば、呼び出した連中はどうなったんだよ?」
「卒業までしっかりお返ししておいたけどね」
「律儀だな、それは」
「やられて黙っているほどお人好しじゃない」
手乗りタイガーの片鱗をのぞかせて大河はニヤリとした。


34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 19:49:47 ID:QAkqthDt
支援


35 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:51:24 ID:ijJFYma1
すっかり大河の周りには人が寄り付かなくなった。
2年生に進級し、クラス替えが行われたが、大河は新しいクラスになっても状況が変わらないことを再認識するだけだった。
そんな時、大河の前に現れたクラスメート。
それがさっきの女の子だったのだ。



「朝拝さぼって、朝ごはん食べてた時だったかな。意識したのは」
「朝拝?」
「ああ、私が通ってた学校、カトリック系のミッションスクールだったの。だから、授業の前に毎日、礼拝堂でお祈りとかするのが朝拝」
「なんか想像つかねえ、大河がお祈りしてる姿」
「失礼ね。クリスチャンじゃないけど、真剣に祈ってたこともあるんだから」
「だけど、さぼったりしていいのかよ」
「いいわけないじゃない。そういう学校に通ってるのに」


この頃の大河は授業こそ出席していたものの、学校の公式行事のかなりの部分をパスし始めていた。
一度定着してしまった評価はそう簡単に覆せる物ではない。
だから今さら取り繕ったってどうにもならないと大河は開き直っていた。
それ以外にも学校側の理屈で、いろいろなことを押し付けられるのに反発する気持ちが大河の側にあったせいもある。
朝拝に参列を求める担任に「信教の自由」と大河は取り合わなかった。
ますます、扱い難い問題児と評価を下げることは分かっていても大河は気にしなかった。
学業さえしっかりやっていれば、とやかく言われる筋合いはないと突っぱねていたのだ。
実際、大河の成績は学年で上から数えた方がはるかに早いくらい上位にいた。
その点で教師は文句の付けようが無い上、大河自身、制服を着崩したり、校則違反になるようなアクセサリーを付けたりすることはなく、別の視点から見ればある意味、極めて模範的な生徒だったと言える。


「学校で朝ごはんって?」
「コンビニのおにぎり。作ってくれる人、いないし」
「そんな食生活でよく倒れなかったな」
「毎日じゃなかったから・・・あの女が居ない日はお手伝いさんが来てたし」
「そのころから知り合えてたら、いろいろ作ってやれたのにな」
「・・・何か、言った?」
「いや・・・独り言だ」



私に近づくなと警告をしたのにも係わらず、大河に接近するクラスメート。
孤独でいる事に大河も疲れて居たのかも知れない。
ある相談をきっかけに急速にふたりの間の溝は埋まり、親しく付き合うようになっていった。


「相談って何だったんだ?」
「うるさいわね。あんたには関係ないこと」
「顔、赤いぞ」
「だあ〜。るさい。この話はおしまい」
「お、おう」


36 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:52:38 ID:ijJFYma1
両親の離婚と再婚。
二人の家庭環境は驚くほど似ていた。
家で居所が無いと溢す相手に大河は強い共感を覚える。
一方で相手も自由闊達に振舞う大河にあこがれていたと言う。
時々、何かをエスケープするくらいで大河ほど思い切ったことが出来なかったと言う相手に私と行動を共にすると評判が悪くなっても知らないよと大河は念を押す。
・・・かまわない。それが相手の答えだった。



「天然とか言ってたっけ」
「そのクラスメートが、か?」
「そう、私、天然なんだ・・・最初の頃、そう言った」
「川嶋みたいなやつだな」
「ばかちーとは違う。あいつにばかちーみたいな根性、なかったから」
「川嶋は筋金入りだしな」
・・・自分を天然とか言う奴にろくなのはいない。
竜児は大河がいつか言ったことを思い出していた。


そのクラスメートは人あたりも良く、確かに大河は一緒に居て楽しく感じることも多かった。
勉強を教えあったり、ショッピングに出かけたりと大河にとって中学生らしい日常を送ることが出来たのもこの頃だった。
クラス替えが無いまま3年に進級し、受験とは無縁の環境にあって、大河は家庭で相変わらず冷戦が続いていたものの、充実した学校生活を送れたのは彼女の存在が大きかったと言える。



「あのままだったら、私、息がつまってどうかしたかもしれない」
「どうかって・・・?」
「それこそ噂みたいに夜の街へ繰り出して、木刀振り回してたかも」
「夜の番長かよ」
「もしかしたらなってたかもね」
自嘲気味笑う大河を見ながら、竜児は大河がまっとうに今まで生きて来てくれたことに感謝の念を抱いた。



そんな様子が変わったのは3年生の夏休み明けからだった。
何週間ぶりに会ったクラスメートは変わっていた。
明らかに分かるくらいお化粧をして、髪にはパーマがゆるくウエーブしていた。
あまりの変わりように、心を少し病んでいるように大河には感じられた。


37 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:53:50 ID:ijJFYma1
「急にモップでガラス割ったんだ、あいつ。何枚も。楽しそうに笑いながらね」
「正気じゃねえ」
「詳しいことは知らなかったけど、家庭の事情がややこしいことになってたみたい」
「おかしくなる位にか?」
「うん。隠し子とか自殺未遂とか、聞いたけど」
「どんな家なんだ」
「何度か行ったけど、大きなお屋敷だった。メイドさんもいた」



日頃の行いのせいか、校内のガラス割りは大河の差し金ということにされてしまった。
実際、大河は一枚もガラスを割っていない。
むしろ暴走するクラスメートを止めようとして、割れたガラスで怪我をした位だった。
しかし、学校側はそう見なかった。
ひとつは校内の風紀を取り締まる生徒総監役の教師が交代していたこと。
前任は年配の慈母のような人物だったが、その時、役目についていたのは前任と正反対の方針を持った教師で日頃の大河の生活態度に目を付けていた。
もうひとつはクラスメートが大河を庇わなかったこと。
誘導尋問のように聞かれたせいもあったが、指示したのは大河、実行はクラスメートと言う図式がでっち上げられていった。



「冤罪事件を見るような気がするが」
「それより性質が悪い。いつのまにか私の知らないところでそうなってたんだから」
「で、どうなったんだよ?」
「当然、親、呼び出しね」



多忙を理由に逢坂家の大人はその呼び出しに応じなかった。
一方でクラスメートの親は呼び出しに応じていた。
処分自体は反省文の提出と言う形で落着したものの、大河は納得しかねる部分があった。
一緒に処分を下されるのは構わない、実際にやっていなくても、相手のことを思えば、受け入れるのに大河はやぶさかでなかった。
でも・・・と大河は思う。なんで、本当のことを言わないんだ、あいつ・・・嘘付くなんて。
信じていた相手への疑念が生まれる。
・・・大河の親も来れば反省文、いらなかったかもね。
この不用意な一言が無ければ、何事も無かったかもしれない。
うちの親が来たのは世間体だけだから・・・そう言うクラスメートとの間にいつしか大河は距離を感じ始める。
そして事件の第2幕が開く。



「大河のドラマ・・・大河ドラマ」
「なにバカなこと言ってんの」
「いや、なんかすげえなと驚いてるだけだ」
「もう、聞くの嫌になった?」
「いや、続けてくれ。大河が話したくないことなら聞かねえけど、お前が言いたいことならどんなことだって聞いてやる」
「そんな覚悟で聞かなくていい。そんなにすごいことになったんじゃないし」
・・・しかし、それは大河言うほど簡単なことではなかった。


38 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:54:56 ID:ijJFYma1
デートクラブ?
大河は耳を疑った。
クラスメートがいかがわしい何かに嵌っているらしいと聞かされたからだ。
嘘と一笑にふしたものの、もしかしたらと大河は思わずに居られなかった。
最近のクラスメートが精神状態の平衡を欠いている事を大河は承知していた。
そして事実は半分正解で半分不正解。
確かにクラスメートは風紀的に妙な組織に籍を置いていた。ただし、活動をしたことは無く、名前だけの登録に過ぎなかったのだ。
しかし、学校当局にとってそれは大変に由々しき事態。
査問委員会が開かれることになった。



「無茶して親の気を惹きたかったんでしょ、きっと」
「それが大河とどう関係して来るんだよ」
「私の名前もあったの、そのへんてこクラブに」
「げ、おまえ、まさか・・・」
「そんなわけないでしょ」
「だよな・・・脅かすなよ」


こともあろうにクラスメートは自分の名前だけでは無く、大河の名前も勝手に登録していたのだ。
ひとりでは恐いとか、取るに足らない理由で・・・。
大河は完全な無実でこの件とまったく無関係だった。
しかし、悪意ある動きが大河を追い詰めることになる。

クラスメートは意気消沈していた。
多勢の教師に取り囲まれ、厳しく問い詰められるに及んで、明らかにやり過ぎたと思い始めていた。
退学処分・・・そんな言葉をちらつかせる学校側。
そんな動揺するクラスメートに甘言を投げかける生徒総監。
・・・これはあなたの考えたこと?違うでしょ・・・。

一方で大河も別室で教師達に取り囲まれていた。
クラスメートと同じ様に退学処分などをほのめかされても全く動揺しなかった。
知らない・・・事実無根・・・クラスメートに会わせろと、堂々と主張していた。


「で、会えたのかよ?」
「会えた。あんまり思い出したくないことだけど」
「嫌なら言わなくもいい」
「もうここまで来たら止まらない。竜児だって知りたいでしょ」
「知りたく無いと言えば嘘になるな」
「いいわ、最後まで聞かせてあげる」


39 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:56:20 ID:ijJFYma1
うつむいたままクラスメートは大河を見ないで・・・「逢坂さんがやろうって言いました」・・・小さな声で査問者達の前で告げた。
卑怯者・・・大河は頭に血が上るのを止められなかった。
クラスメートに掴みかかろうとしたのを寄ってたかって押さえつけられた。
学校当局者にとってそれは真実を口にするクラスメートの発言を封じようとする行為以外の何もにも映らなかった。



「最悪だな・・・言葉もねえ」
「あんときの・・・あいつの顔・・・ああ、終わったなって思った」
「それでか・・・久しぶりに会ったのにあんな態度になったのは」
「ま、ね。他にもいろいろあったけど・・・向こうはまだ友達だと思ってるんでしょ・・・後で聞いたけど、私がやったことにすればいいようにするとか言われたみたい」
「そっか」
「私なら・・・そんなことしない」
大河は少し寂しげに横を向いた。
「その後も、いろいろあったんだ」
やや、あってから大河は付け加えた。



後日、大河は面談室へ呼び出された。
決定した処分を言い渡されるためだ。
面談室の前まで来て大河はあの女が部屋から出てきたことに驚いた。
呼び出されても来ることすらなかった自称母親がどうしてここにと大河は思ったのだ。
その女は大河をチラリ一瞥すると冷笑を浮かべ、何も言わず大河を見下したようにすれ違った。
面談室に入った大河は処分内容を母親に伝えたと言われ、その内容を帰宅後聞くように告げられる。
そして、大河はその内容を帰宅してから、自分の部屋のドアに貼り付けられた封筒で知ることになった。
学校名が書かれた茶封筒にA4サイズの紙が一枚。
・・・高等部推薦者名簿不採用通知。
それにはそう記されていた。



「何だそれ?」
「最初に竜児にも言ったよね、エスカレーター式の学校だって」
「ああ、そう言えば」
「だけど無条件じゃないんだ。一応、中等部からの推薦って形が取られることになってて。ようするに推薦はしませんってこと」
「じゃあ・・・」
「高等部へは行けない事になったの。私。」
「ひでえ、そんなのありか」
「竜児が怒っても仕方ないでしょ」
「そうだけどよ、あんまりじゃねえか・・・無実で・・・そんな処分内容」
「だけど、もっと堪えたのがあの女の態度・・・普通、部屋のドアにそんなもの貼る?」
「・・・しねえと思うぞ」
「勝ち誇ったみたいに次の日、笑うのよ・・・私が何をしたっていうの!」


大河の忍耐も限界だった。
もう我慢出来ない。
久しぶりに家に居る父親を掴まえて叫んでいた。
「こんな家・・・出て行きたい」


40 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 19:57:39 ID:ijJFYma1
「後は竜児も知っての通り。あのマンションに置いて行かれて、ほったらかしよ」
「はあ・・・大河」
「なに?」
「お前、すごいよ。俺だったらとても耐えられない」
「大げさ・・・過ぎたことだし・・・それに・・・そのおかげでいいこともあったし・・・」
「いいこと?」
「わ、私に言わせる気!それを」
「何だよ、もったいぶらなくても」
「だって、私があのまま高等部へ行っちゃったら・・・竜児とは・・・会えなかった」
「うっ・・・」



今の学校だってマンションから近いって理由で適当に選んだ。
でも、それが正解だった。
竜児の隣に居られるから・・・。

いろいろな組み合わせがあって大河が今、俺の隣にいる。
何かの歯車がひとつ違っただけで、こうはならなかった。
竜児を見つめる大河がこの上なく貴重な物に思えて、竜児は不思議な気分になる。


「でも、なんでさっきの奴は学校に残れて、お前は駄目だったんだよ?」
「後で知ったんだけど、ようするに親が学校に頭を下げたかどうかの違い」
「頭を下げる?」
「そう。うちの娘が不行跡をしましてとか言ってお詫びするの。寄付金も払ったんじゃない。地獄の沙汰もなんとかで」
「大河のところは・・・」
「はい、分かりましたって書類だけ受け取ったんでしょ。で、その後のアプローチは無し」
「結果オーライだけど・・・俺は大河に会えて良かったって思う。だからその点だけはお前の親に感謝する」
「逢坂さんの親が酷くて良かったね。竜児」
「ああ、そうだ」
「私も・・・それだけは感謝かな・・・長い話、聞いてくれてありがと・・・竜児」
「大河」
真摯な姿勢で大河を見つめる竜児。
「竜児」
それに答える様に見つめなおす大河。
「なんか・・・照れるね。じっと見てると」
「俺は飽きないぞ、大河を見てると」
「そう?じゃあにらめっこする?・・・ほらほら、ブタさん」
鼻をつぶしておどける大河。
「やめとけ、ホントにつぶれるぞ」
「ねえ、竜児」
「なんだよ」
「ホントに私がブタ鼻になっても笑わない?」
「笑わねえ、例えブタ鼻でも大河は、大河だ」
「ありがと・・・私も・・・竜児に会えて」・・・幸せと大河は声に出さないで付け加えた。
「ん、聞き取れねえ、最後、なんて言ったんだよ?」
「聞こえなくていい・・・今は。・・・あ、ほらバス来た」


ふたりを救い出す、2時間待ったバスがゆっくりやって来るのが見えた。


41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 19:59:51 ID:zrp9wOd1
面白いんだけど…
スレ違いのような気がする。

42 :真夏のシンデレラ4 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/27(木) 20:00:29 ID:ijJFYma1
支援感謝。
連投規制に引っかかるのが分かっていたので、別の手段へ切り替えました。
ID途中で変わってますけど、気にしないで下さいw


大河をしてこんな家を出て行きたいって言わせた理由って何かと思いこんなエピソードを考えました。
いくら親と仲が悪くても自分から出て行くなんて大河は言わないと思ったんですよね。
でも、こんな理由があればと、妄想を働かせました。
単体で考えた話だったんですけど、それだと竜児が絡ませ難くて、今書いている話に割り込ませました。
オリキャラは難しいので名無しで肉付けをほとんどしてません。
以前書いたとある話とリンクしてますけどね。

鬱展開にならないように注意したんですが、重かったですかね。


以上で終わりです。
次回は1週間以上先の予定です。


43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 20:07:37 ID:YF7ssNJb
なぜか読後に、最終話じゃなくて第一話のほうのコレが脳内再生された。


・・・・この世界の誰一人、見たことがないものがある。
それは優しくて、とても甘い。
多分、見ることが出来たなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。
だからこそ、誰もそれを見たことがない。
そう簡単には手に入れられないように、世界はそれを隠したのだ。

だけどいつかは、誰かが見つける。
手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。

そういうふうに、できている。

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 21:27:53 ID:KF5GwYqh
>>41
またお前か

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 23:41:34 ID:sQ3z9MO8
>>17
新スレ早々、いい話を乙です。(代理投稿さんも!)

締めの 
> まわりの乗客が微笑んで見守っていた
に、じんわり来ました。 互いを想い合う気持ちが溢れてたんですね。きっと。
北村、みのりん、あーみんが見てたら、思いっきり突っ込みそうw


>>23
初投稿、乙でした。
夜、枕並べて、3人3様で何を考えていたのか、という妄想が膨らみました。


>>42
乙でした。アレの話が織り込まれているわけですね。
重いけど、引き込まれました。新しい母親との絡み、ありうるかも。
次の展開を楽しみにしています。


前スレ埋めなきゃ、でも何も思い浮かばん…

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 00:01:35 ID:LCBEtf5R

>>17
新スレしょっぱなから読ませるねぇ。

>>23
たしかに、あの時期の大河の気持ち、きゅーんとせつなくなるねぇ。
ちょーなるぜー、ちょーなるぜー。

>>42
すんごく、のめり込んで読んでしまった。
明日電車でよもうとおもったのに、こんちくしょーーーーー!!

みなさん、GJ x 10000 !!



47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 00:15:08 ID:NKiqUUj+
>>23
初おつかれさまー
大河の揺れる気持ちが伝わってきてGJでした
特に見づらいわけでもないと思うよ

>>42
いやこれは良く練られてて読み応えがあったし面白かった。
大河の過去はどうしても暗くなりがちだけど、
随所に配慮も見られるし、個人的には全く問題ないと思う。


48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:27:43 ID:0+cKDak1
>>23
切ねぇ。

勝手な深読みじゃなくて、大河の心情をきちんと描き切れてるよ。このときの大河は壊れそうな心を隠したまま明るく振る舞ってるんだよなぁ。

一点だけアドバイス。大河視点で書く時には「実乃梨」じゃなくて「みのりん」と書いた方がそれっぽくなるよ。
「ばかちー」とバランスも取れる。

次回作楽しみにしてる。

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:37:19 ID:BgJdDdA5
前スレがうまりました。

梅氏どの>> GJでした!!

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 10:05:18 ID:y2vNxIKI
「ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「おうっ!?」

「あー、勉強だるい…」

「なんだよもう…」

「あんたはいいわよね。掃除でストレス解消してるんだもの」

「掃除はいいぞ掃除は。心も綺麗になっていく気分だ。お前もやらないか?」

「まあ確かに認めるけどあんたはやりすぎ!」

「なにぃ!?どこがやりすぎなんだよ?」

「だってそうじゃない。自分ちだけじゃ飽きたらずおじいちゃんちや私の家まで大掃除するんだもん!!」

「綺麗になった部屋を見たいという義務を果たしただけじゃないか」

「あんたは欲求に素直になっただけ!!あーもう頭きた!私も欲求に素直に従う!!」

「お、おうっ!?」

ギシギシアンアン

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 12:44:53 ID:FRS7XS4z
「竜児、ちょっとしたゲームがあるんだけどね。」
「ん?なんだゲームって。」
「10回ゲームって言うんだけど、知ってるわよね?」
「ああ、知ってるぞ。」
「じゃあその前に、私が竜児に話しかけるから竜児は私にフラボノガムって言って。」
「あ、ああ。(古くね?大河。)「いくよ?梅ガム。」
「フラボノガム。」
「ミントガム。」
「フラボノガム。」
「風呂場のゴム。」
「フラボノガム。」
「あ、あれ?言えた…」
「だって有名だろコレ。」
「う…ふん、少しはやるようね。ならこれはどうよ。」
「大抵のやつは知ってるからな。マイナーな奴のほうがいいぞ。」
「じゃあ、サハラ砂漠でさそりに刺されたって10回言って。」
「大丈夫?って言う気だろ。」
「う、じゃあトイレって10回言って。」
「そんなに行ったの?って言うだろ。」
「うう…じゃあ、じゃあね…」

必死に考え、閃いたらしい。

「愛してるって…10回…言って。」
「愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる。」

「私は?」
「愛してるに決まってんだろ。」
「ふふ…照れくさい…」

ごめん、休憩中に走り書きで書いた。許してくれ。運転しながら思いついたんで…

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 14:02:42 ID:GIwho5an
>>51
2828

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 14:36:20 ID:oE4R83gv
きゅんとくる

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 21:42:01 ID:4q7mH5t4
前スレ埋め立て乙でした

>>17
なんか、いいなぁ。
とろけそうだ

>>23
たいぐぁー(´;ω;`)ブワッ

>>42
上級生のくだり、イヤな汗をかきながら読んでました。
大河が傷つくトコが直視できない体になってしまったようです。


55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 01:07:55 ID:6pCNyuU5
同じく、前スレ埋め立て、乙でした。
いやー、文豪のこれ読みたいから、駄作投下して埋めるのを躊躇してしまうよ。
嘘です。 書けないです。すいません・・・

短期的な方に目が行きがちでしたが、竜児と実乃梨の手繋ぎゴール、そうか、そうだよな…
「1人」は元々の1人ではなく、2マイナス1、もしくは3マイナス2の1人か・・・ 

「…この夜が終わってしまえば、きっとたぶん大丈夫になっていくと思うから」
アニメでは竜児がこう語り、原作では5人に向けて綴られていたこの言葉、ほとんど大河だなぁ。
読み込みが足りん。 3週目行かなきゃ。


>>54
こんなところに俺がいる。
同じくイヤな汗かいたよw

でも前スレ終わり近くで誰が書いてくれてたように、全部ひっくるめてとらドラ!で竜虎なんだよな・・・

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 02:19:11 ID:bukF+NEC

竜児「よし、大河に質問だ」
大河「何よ?」

竜児「金曜日の夜といえば?」
大河「ギシアン!」

竜児「土曜日の夜といえば?」
大河「ギシアン!!!」

竜児「それじゃ日曜の夜とい・・・うわっ!」



ギシギシアンアン

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 02:32:51 ID:bukF+NEC
>>295
炒飯作って嫁に食わせたら二度と料理すんな的なことを言われた

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 02:34:14 ID:bukF+NEC
なんという誤爆/(^o^)\

すみません。。。

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 02:46:01 ID:xpQ6e5KU
本当かネタかはわからんけどリアルに嫁いるのにこんな文書いてるとしたらアンタはスゴイ

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 08:14:58 ID:f9fMTSlt
>>59
嫁さんに相手してもらえないんだよ。きっと
(うちもそうだもの。。。。)

さーて焼飯でもつくるとするかぁ!!

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 21:50:56 ID:RO5sXJEy
おっと奇遇だな
俺の晩飯も炒飯だったぜ
肉無しだったけど

62 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/30(日) 02:13:47 ID:XnMaoTmL
とらドラ!三題噺「話」「理由」「インコちゃん」



「やっちゃん、すごく喜んでたね」
「そりゃ当たり前だろ。お前が行っちまった後しばらく、泰子がどれだけ寂しがったか……」
「うん、そうだよね……ごめん」
「あ、すまねえ、そうじゃなくてだな、泰子がそれだけ大河のことを大事に想ってるってことだ」
「うん……できればもうちょっとやっちゃんとお話したかったな」
「仕事があるんだから仕方ねえよ。それに、話ぐらいこれからいくらでもできるだろ」
 そんな話をしながら二人は階段を昇る。
「ただいま、っと」
 いつものように扉を開けて家に入る竜児。
 だが大河は玄関の前で立ち尽くしたままで。
「大河、どうした?」
「ん……なんだか……帰ってきたんだって感じがして……
 私じゃなくて竜児の家なのに……不思議。なんでだろう?」
「……思い当たる節はいくつかあるけどよ、まあいいじゃねえか、理由なんてどうでも。
 大河がそう感じたんなら『帰ってきた』ってことで。
 だから……おかえり、大河」
「うん……ただいま、竜児」
 大河はぴょん、と軽く跳ねる様に玄関に。
「そうだ竜児、ブサ鳥は元気?自分の名前言えた?」
「おう、インコちゃんはいつだって元気だ。名前はまあ……あと一歩、かな」
「どれどれ……うわ、相変らず見事なまでのブサイクっぷり」
「ほーらインコちゃん、久しぶりの大河だぞー」
「た……たた……たい……が?」
「そうだ、大河だ。帰ってきたんだよ」
「たいが……あ……あい……さか!」
「そうだ、逢坂大河だ」
「おお、やるじゃないのブサ鳥」
「あい……あ……あい、してる……たいが」
「……へ?」
「っ! い、インコちゃん!?」
「た……たい、が……あい……あい、らびゅー」
「……まさか竜児、ブサ鳥相手に練習でもしてたわけ? うわキモっ!このキモ犬!」
「お、男の純情をキモイとか言うんじゃねえ!」
「たい……たいが……あい……あい、たい」
「え?」
「あい……たい……あい、たい……あいたい……あいてえ、よ……たいが」
「……竜児」
「……おう」
「……ごめんね」
「謝らなくていい」
「でも……」
「みんなで幸せになるために選んだことじゃねえか。それに、寂しかったのは俺達だけじゃねえだろ。大河だって……」
「……うん、寂しかった、会いたかった……」
「だけど、こうやってまた会えた。だから、もう寂しくねえ。
 もう離さねえぞ、大河」
「うん、絶対に離れないから。もう、二度と……」

63 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 05:43:52 ID:mm8d0fDs
インコちゃん GJ! あれ? 
竜児、漢だね。
そうだよね。大河の本当の家って、ここしか無い様な気がする。
あ、竜児のいるとこ、か
いつも乙です。



64 : ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 07:42:30 ID:dcv4uLWQ
とらドラ!, againを投下させてもらっている VW.RtTKf1Eです。

前回から、1ヶ月近く経ってしまいました。1スレに1回は書ければと思っていたのですが、
思いのほか忙しく、辛い状態を引っ張ることになってしまいました…

まだちょっと重い展開が続きます。シリアスなのが苦手な方はスルーしてください。
すいません。

「Vol.13 ナツナツ妄想」の
>305 からの続きになります。

ではここから11レスいきます。
●あるから、連投規制は大丈夫???

◆Eby4Hm2eroさん、投下直後になってしまい、すいません。





65 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 07:45:23 ID:dcv4uLWQ

[真相]

「すいません。ちょっと私用で出かけてきます!!」
実乃梨は用具を片付け、グランド整備を終えると、シャワーを浴びるのもそこそこに、ソフトボール部の
合宿所を飛び出し、駅に向かって駆け出した。

女子ソフトボール日本代表の一翼を担う選手とはいえ、社会人チームでは1年目。後片付けは
実乃梨の他、一番下っ端の仕事だ。タテ社会の日本スポーツ界では、まだまだ実績より年次が
優先される。勿論、実乃梨もその世界に骨の髄まで浸かっているのだが。

軽いジョギングであっという間に駅まで辿り着くと、目的地に向かう電車のホームへの階段を
一気に駆け下りた。今日は久しぶりに遠征から合宿所に帰ってきてため、用具の片付けに思ったより
時間が掛かってしまった。竜児との待ち合わせ時間には間に合いそうにない。

ピッ、ピッ、ピッとケータイを操作し、竜児に電話をかける。メールよりも話した方が早いだろう。
「あ、高須君? 今、大丈夫?」
「ああ、ちょうど乗り換え待ちだ」
「ゴメン、練習が長引いちゃって、私はこれから電車に乗る所。15分ぐらい遅れると思う」
「わかった。俺は予定通りに着けそうだから、先に大河がいる店に行く。川嶋が送った地図は持っているか?」
「うん、あるよ」
「じゃ、店の近くまで来たら、ケータイ鳴らしてくれ。どんな様子になっているか分からないしな」
「分かった。電話する」

丁度のタイミングで滑り込んできた電車に乗り、半分ほど空いている座席には座らず、扉に向かって立ち、
ゆっくりと流れていく夜の景色に目をやった。かかとを大きく上げ下げし、下腿三頭筋を鍛えるトレー
ニングを行いながら。

高校時代に出会った無二の親友にもう何年会ってないんだろ。淋しくなるから、いつの日か実乃梨は
数えるのをやめていた。そして、もう1人の親友から送られてきた地図に目を落とす。
「こんな近くにいたなんて、馬鹿だな私。何やってんだろ… あ、あーみんに怒られたばかりだっけ…」

一昨日、地図をFAXで送ってもらった時に亜美と少しだけ電話で話した。
『…“実乃梨ちゃんのせいじゃない、仕方なかったんだよ”なんてお優しい慰めは言わないから。
とにかく、やっと見つけた手掛かりなんだから、あいつがいたら絶対掴まえて。私は撮影で行けないし、
実乃梨ちゃんが頼り。高須君だけじゃ手に負えない、いや高須君だから手に負えないこともあると思う。
しっかり掴まえて、私達のタイガーを取り戻して…』

「そうだよね、あーみん。掴まえて、いっぱいお仕置きしなくちゃ、大河に」
その名を口にするだけで、胸の奥からぐっとこみ上げてくるものをこらえて、実乃梨はつぶやいた。
「まだ負荷が足りないようだねぇ。よしスクワットでもやるか!」

それから数十分、ハードトレーニングで周囲の乗客をドン引きさせた実乃梨は、
目的の駅に到着した電車の扉が開くと、ホームに飛び出して猛スピードで階段を上っていった。

* * * * *

「高須君っ、遅れてごめん! あーみんが教えてくれた店の近くまで来たよ、大河は?」
ケータイの向こうから、(離せ!)とか(おい!)とか何やら怒号が飛び交っている。

「櫛枝っ、いいところに! 今、店の裏口から飛び出してった。そっちに行ったら捕まえてくれ!
黒のドレス、そう、高校のクリスマスパーティーの日に着ていたようなっ…」
切羽詰まった竜児の声、どうやら亜美の勘は当たったらしい。

「そっちって… 」
その瞬間、豪奢な髪を振り乱して、路地の向こうから駈けてくる親友の姿が視界に入った。
ぶわっと高鳴る胸の動悸と共に、全身に力がみなぎるのを感じる。そう、スコアリングポジションに
ランナーを置いて打席に立つ、あの感覚だ。

「っ、見つけた! 任せて高須君、必ず掴まえるから!」

66 :とらドラ!, again  ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 07:49:02 ID:dcv4uLWQ

実乃梨は路地の出口の真ん中に両手を広げて立ちはだかると、一声、叫んだ。
「大河!」

俯いたまま駈けていた大河の足が止まり、顔を上げる。10m程の距離を挟んで実乃梨と大河の目が合う。
実乃梨の脈拍はさらに高くなった。
その瞳、間違いなく大河。本当に大河…なんだね。

感傷に浸ってしまいそうになる実乃梨の心を、大河の叫び声が打ち破る。
「どうして? なんで? なんでみのりんまでいるのよ!!」
瞬時に向きを変えると、大河は逆方向に走り出した。

アレッ、私ミスった? 声なんか掛けずに捕まえた方が良かったっけ? なんて反省は
コンマ5秒で消え、実乃梨は大河を追って走り出す。
「大河、待って… って、待ちやがれコンニャロー!!!」

手乗りタイガーの異名を持ち、卓越した運動能力を誇っていた大河も、女子ソフトボール日本代表、
不動の1番打者の脚力にかなうはずが無い。100mも行かないうちに、実乃梨に肩を掴まれ、
バランスを崩した大河はかつてのドジっぷりを遺憾なく発揮し、見事に転んだ。

「っ痛!」
「大河! 大丈夫かい? ごめんよ、力入りすぎっちまって」
実乃梨は大河の身体を起こそうとしゃがみ込んだ。その隙に大河は再び駆け出そうとするが、
その腕は実乃梨にがっちりと掴まれている。

「はなして、はなして、はなしてー!」
「大河、無理だよ。膝、擦りむいて、こんなに血がでてるよ」
「いやーっ!!」
「大河、落ち着けよ! 私を見て、実乃梨だよ。あんたの親友。ずっと昔から、今も」
運命の歯車が大きく動いた高校2年のバレンタインの日、かつて実乃梨がそうしたように、
両肩を掴み大河を壁に押し当てて叫ぶ。

「あんたを連れ戻しにきた。一緒に帰ろう!」
「だめ! だめなの、もう誰も私に関わっちゃいけないの! だって、みんなを巻き込むことになったら、
私、本当に耐えられない!」
何かを押し止めるかのように、大河も実乃梨の両肩に手を伸ばすと、俯いたまま叫び返した。

「高須君はどうするの?」
大河が息を呑む音が聞こえる。
しばしの沈黙のあと、ゆっくりと顔をあげた大河の口から思いもつかない言葉が吐き出される。

「竜児のことはもういいの。いいから。だからねぇ、みのりん、みのりんが竜児をしあわ…」
「ふっざけんなっっっっ!!!」

―パンッ―
暗い路地裏で乾いた音が響き渡った。

そんなことは絶対に言わせない、聞きたくない。実乃梨の平手は大河の頬を打っていた。

「あんた、高須君の気持ち、考えたことある? 今まで1日いや1秒たりともあんたのこと忘れずに、
ずっと待って、待って、耐えて、耐えて、あんたを探して、探して、どうしてだよ大河!
なんで、なんで何も言わずに居なくなっちゃんたんだよ!」

「それは…… だって…… だって… りゅ……  えっ?」

ふわりと大河の肩を覆うように上着が掛けられた。
遅れて追いかけてきた竜児のスーツだった。



67 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 07:54:25 ID:dcv4uLWQ

「櫛枝、有難う。もう…いいよ。
足、ケガしちまったな。お前相変わらずドジだな。おぶってってやるから乗れよ」

実乃梨の目の前で、さっきまで激しく抵抗し、声を張り上げていた大河の熱がみるみるうちに
冷えていく。背を向けてしゃがみこんだ竜児を前に、大河は身じろぎもせず、立ちすくんでいる。

見かねた実乃梨は、大河を抱きかかえるとエイッと竜児の背中に乗せた。
大河は暴れずにおとなしくしていたが、竜児の背にはもたれかからず、両手で竜児の肩を固く掴んでいた。

「いいよ、高須君。大河、ちょっと軽くなったね…」

3人は無言のまま、来た道を辿って、店に戻っていった。

* * * * *

実乃梨は店の奥にある、従業員部屋を見回していた。
テーブルと椅子、ロッカーなどが置かれた簡素かつ殺風景な部屋は、店構えと従業員の数にしては、
広い造りだった。寝泊まりできるベッドもあり、誰かがここで暮らしていそうな雰囲気がする。

部屋の真ん中に置かれたテーブルの横で、大河はパイプ椅子に座り、片手に消毒液、片手に脱脂綿を
持ってしゃがみ込んだ竜児から傷の手当を受けている。

「ちょっとしみるぞ、いいか大河」
「ん、…っつぅっ」
「傷は浅いから、すぐ治ると思うぞ」
「うん… だいじょうぶ…」

ったく、恋人同士、久しぶりの再会なのにこの2人はなんでこんなに大人しいんだ? 
抱き合って喜びあったって、こっちはちっとも構いやしないのに… ちょっと絡んでみるか

「はは、ごめんよ大河。ちょっと力が入り過ぎちゃってさ、相変わらず足速いもんだから、
つい本気になっちゃったよ。手乗りタイガー、ここに在り! だね」
「ううん… みのりんは悪くないよ。私が勝手に転んだだけ。ドジだし」
…つまんない返事。

竜児は時々大河の顔を見上げながら手当に専念している。包帯を巻きながら、大河にぽつりと話し掛けた。
「元気に… してたか…?」
「……うん」
「そか… 頑張ってるんだってな。店のマスターにちょっと聞いたぞ」
「……うん」

* * * * *

大河をおぶって3人で店に戻ってきた時、マスターは心配そうに裏口の前で待っていた。
「ケガしちゃったのかい? バイ菌入らないようにすぐ洗った方がいい。おい、ちょっと手伝ってやれ!」
マスターは若いバーテンを呼ぶと、大河を奥の洗面所に連れて行かせた。

その間に竜児と実乃梨は、自分達の素性をマスターに話した。
2人が大河の高校時代の同級生で、竜児は大河の彼氏でありフィアンセである、という自己紹介を
中年と初老の端境ぐらいのマスターは困惑した表情で聞いていた。

「そんな大事な人がいるなんて話は聞いたことないが」
「でしょうね。あいつは俺達に迷惑掛けないよう、黙って姿を消しました。ずっと探していて、
偶然見つけることができたんです」
「そうか… ではあいつらの仲間ではないんだな。いやすまん、その筋の者かと思ったのでな」
「いいんです、慣れてますから。それより、あいつらって誰のことですか?」
「いや、こっちの話だ。彼女は、とらちゃんはもうずいぶん長くここで働いている」
「とらちゃん って大河のこと?」
「ああ、源氏名だ。本名を呼ぶ訳にはいかんだろう、あまり目立ちたくない身に」

68 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 07:57:51 ID:dcv4uLWQ

“とらちゃん”ってそのまんま過ぎて、源氏名になってないじゃん
実乃梨はツッコミたかったが、竜児の真剣な横顔を見て、自重した。

「大河の事情をご存じのようですね? 失礼ですがあなたは一体?」
「私はこの店のマスターだ。とらちゃんの保護役でもあり、監視役でもある」
「監視役ということは金融屋の仲間ですか?」

竜児と実乃梨が同時にぐっと拳を握りしめる様子が伝わったのだろう、慌てて、両手を振りながら言った。
「いや、私は雇われの身だよ。彼女に何かあると咎めを受けるのでね。警戒しているんだ。
君達は彼女を連れて帰りたいのだろうが、彼女なりに今、一生懸命頑張っているんだし、ここで
手荒なことは勘弁願えないかね」
「それは大河に話を聞いてから考えます。あ、さっき割ってしまったグラスは弁償させて下さい。
あと、救急箱はありませんか?」
「グラスは気にしなくていい。救急箱はそこだ」

そして、洗面所から戻ってきた大河の手当を竜児が引き受けたのだった。

* * * * *

「よし、これでいいだろう。血は止まってるから、風呂の後、擦れて痛くないようにガーゼ当てとけ。
ほら、これ持ってけよ」
「うん。あ、ありがと…」

「ねぇ大河、ずっとどうしてたの? あいつらに暴力とか嫌な目に合わされてない?」
実乃梨はさっきから傷の手当ばかりで、何も尋ねようとしない竜児に代わって、大河に言った。

「大丈夫。そういう目にはあってないから… 身体とかに物理的な証拠を残すまで追いつめて、
警察に駆け込まれたら元も子もないから、そこまではしないもんよ。少なくとも今のところはね。
それにあいつらに守ってもらっている、そんな状態」

実乃梨がきっかけを作ったことで、ようやく竜児も大河に尋ねる気になったらしい。
「何から守ってもらってるんだ? 金融屋の狙いは今のお父さんに借金を払わせることだろ?
さっきマスターが“あいつらの仲間か?”とか言ってたけど、借金の他にまだ何かあるのか?」

核心に触れる話に、さっきまでのしおらしい態度から、みるみるうちに大河の瞳に警戒の色が浮かび、
存在が急に遠くなっていく。

「……言わない。アンタ、パパに会いに行ったんだって? 余計なことを」
「俺もあれから色々調べてみた。北村にも尋ねてみた。なぁ、借金の契約書なんてニセモノだろ?
なんでそんなものに大河が縛られなきゃいけないんだ? 裁判で申し立てとかできるんだろ? 
保証人になってないって。百歩譲って借金があるとしても、自己破産とか何か方法はあるだろ?」

「はぁ? アンタ何言ってんの? あいつらがそんなことさせる訳ないでしょ? この馬鹿犬。
とにかく、アンタやみのりんには関係ないんだから帰ってよ。黙っていなくなったのは悪かったわ。
でも、こうして元気でやってる。だから、心配しなくていい」
「おい大河。それで、はいそうですか?って帰れる訳ねぇだろ。全部話してくれよ。何が起きてるんだよ?」
「やだ。話さない」
「おまえなぁ」

相変わらず2人の距離は縮まらない。
実乃梨は歯痒い思いで大河と竜児のやり取りを見つめていた。

揉めそうな雰囲気を察したのだろう、マスターが従業員部屋に顔を出してきた。
「手当は済んだようだね? じゃあ、とらちゃん、今日はもうあがりな。そのケガじゃ、立ち仕事は
無理だろう?」
「え? でもマスター…」
「大丈夫、時給はちゃんといつもの時間でつけておくからさ」


69 :とらドラ!, again  ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:01:40 ID:dcv4uLWQ

大河は竜児と実乃梨の方にチラッと一瞥をくれたあと、
「わかりました。すいません。じゃ、そうさせてもらいます」
と言うと、ロッカーから着替えが入っているらしいカバンを出して、奥の更衣室へと消えて行った。

「マスター、教えてください。大河の借金はいくらなんですか? 前にあいつの今の父親に
尋ねたけど、教えてもらませんでした。相当な額だということは推測できるんですが」

マスターは竜児と実乃梨の顔を見比べると、しばし黙考。やがて言ってしまった方が、
この場は揉めずに済むと思ったのか、ポツリ、事も無げにつぶやいた。

「3億」
「は?」
「だから3億円。大卒のちょっといいサラリーマンの生涯賃金と同じぐらいかな」
「何それ? そんなの大河に払える訳ないじゃん」
「…そうだよね。だから父親にすがりつけって言ってるんだけどね。なかなか頑固な母娘でね。
自分達で何とかするって言って聞かないんだよ」

「マスター、余計なこと話さないでくれる…」
振り返ると、黒のドレスを脱ぎ、紺色のパーカーにグレーのスエットパンツという
地味な服装に着替えた大河がそこに立っていた。
豪奢な髪は、少しはみ出しているが大きめのキャップに押し込められ、小さく、細身の身体は
遠目には少年のようにも見える。

「あ、いや、すまんな… お、おい、送っていってやれ」
少しバツが悪そうに答えると、マスターはさっきの若いバーテンを呼んだ。
声を掛けられた青年は元気よく「ハイッ!」と声をあげると、手慣れたように大河の着替えが入った
カバンを持ち、裏口に向かった。ケガした足を軽く引きずりながら、大河も裏口に向かって行く。

「いつも悪いわね」
「いいっす。これも僕の仕事っすから」
「じゃあ、また明日。足の具合が良くなかったら連絡しなさい」
「すいません、マスター。でも大丈夫だと思います」

大河は竜児と実乃梨の方を振り返ると、言った。
「じゃあね。ここには二度と来ないで。生きてるぐらいの連絡はするからさ」
パーカーのポケットに両手を突っ込んだまま、大河は裏口から店を出て行く。

「おい、ちょっと待てよ、大河! こっちはまだ話が終わってねえぞ!」
竜児と実乃梨は慌てて後を追い、店の外に出る。大河は2人をチラと見もせずに、背中越しに
「アンタにあっても、私には無いの。ついてきたりしないでよね」
そう冷たく言い残すとバーテンのあとについて、ひょこひょこと歩いていってしまった。

竜児と実乃梨は大河の姿が路地の向こうに消えるのを、あっけに取られたように見つめるしか無かった。

取り残された2人に、マスターが幾分安堵したように声を掛けてくる。
「さて、君たちも帰りなさい。とらちゃんも事情を話す気はないようだし、もし、君たちが無理矢理
連れて行くというなら、一悶着あるだろう。そうしたら、とらちゃんはまたここから逃げなきゃ
いけなくなるかもしれない。君たちは今のささやかな平穏まで、あの子から奪うつもりかい?」

「平穏? 今の大河のどこが平穏なの?」
実乃梨は思わず大きな声をあげてマスターの方に振り返った。
マスターは困ったような笑みを浮かべつつ、2人に諭すように語りかける。
「今夜寝る場所がある。明日働く場所がある。それが平穏ってもんさ」
「そんなこと聞いてるんじゃなくって…」
「櫛枝…」
竜児はマスターに詰め寄らんとする実乃梨の腕を掴み、首を横に振った。
実乃梨の動きが止まり、その様子を見て、マスターは店の中に消えていった。

2人は店の裏口の前で、ぽつんと取り残されたように、立ち尽していた。

70 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:05:17 ID:dcv4uLWQ

「高須君、意外と落ち着いていたね」
実乃梨は竜児の方を見ずに、低い声でささやくように話し掛けた。

「…俺の気持ちは、櫛枝が大河を掴まえた時に言ってくれたからな。聞こえてたんだ…
すまんな、いつも損な役回りばかりさせて」
「まったくだよ」
「あともう一つ、すまなかったな」
「なにが?」
「大河が変なこと言って…… その、俺をしあわせに、とか」

―パンッ―
実乃梨は竜児に向き合うと、その頬を平手で強く、打った。

「くし、えだ…?」
「さっき大河には一発喰らわせたからね、これでおあいこだよ」
「おあいこって、何だよ?」
「高須君、どうして大河を行かせたの? なんで力ずくでも引き止めなかったの?
私、高須君にそうして欲しかった。あの言葉だって全然本心じゃない、分かるでしょ?
もっと抱き締めるとか、手を掴んで“行くな”って言うとか、なんでもっと踏み込もうとしないの?
私には分かんないよ、高須君が」
「……すまない」
「謝るんなら、大河にでしょ。高須君、まさか3億円にびびってるんじゃないよね!」

竜児は実乃梨に打たれた頬に少し触れると、意を決したかのように1つ息を吐いて、言った。
「あのさ、櫛枝…」
「何?」
「情けない話なんだけどさ… 見えなかったんだ、大河の心が。どこを掴んでいいのか分からない。
こんなこと、大河と知り合ってから初めてだ」
「……」
「今まで色んな大河を見てきた。笑ったり、怒ったり、拗ねたり、泣いたり、甘えたり… 
でも、どんな時でも手を伸ばせば掴める所というか、ツボみたいなのが分かる気がしてたんだ。
なのにさっきは……見えなかった。ただ平板だった。どこを押せばいいのか分からなかった。
目を見て話しているのに、大河がそこにいないように感じた。だから踏み込めなかった」
「たかす…くん」
「俺がそんな気持ちなのに、大河の手を掴んでも、抱き締めても何も届かない、むしろ逆効果じゃないか
と思っちまった。ははっ、情けないよな、全く。フィアンセを前にして、何やってんだろうな、俺」

「そっか…」
実乃梨も竜児を真似るように、ため息を一つ吐く。
「大河はいつも高須君に心を開いていたからね。高須君をその…私に譲ろうとした時も、心の中では
高須君を支えにしてたし… 戸惑ったの、分かるよ。拒絶する時は徹底してるから。大河は」
「経験、あるのか?」
「え? ああ、昔のこと。大河のお父さんの最初の時のさ」
「櫛枝が大河のウチに行かなくなった、アレか」
「うん。仲直りするの、大変だったんだから。他人の家のことに口だすな、余計なお世話だって…」
「……」

「でも高須君、気づいた? 大河、あんなに傷ついているのに、1滴も涙を流してなかった・・・」
「ああ…」
「私が掴まえた時も叫んではいたけど、涙は見せなかったよ。あの大河を前のように戻すには相当な壁を
乗り越えなきゃね。高校の時は本心を隠して、自分自身に向き合おうとしてなかったけど、今は自分で
考えて、強い意志でこの状況を受け入れている。前向きだと思ってる」
「でも、それは決めたというだけで、望んでいることじゃねぇ。だから、あいつの心が掴めるよう、
まず情報が欲しい。あいつにどんな足枷があるのか、何に苦しめられているのか」
「そうだね。じゃあ…」
「多分、さっきのマスターなら話してくれるだろう」
「うん、人は良さそうだったもんね」


71 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:10:18 ID:dcv4uLWQ

「ところで櫛枝、もし大河を抱き締めてたら、どうなったと思う? あいつ、俺に縋ってくれたかな?」
「うーん…」

実乃梨は額に手をあてると、しばし考えるフリ。実のところ、答えは分かっている。
「噛みつき、突き飛ばし、蹴りの三連コンボが3秒の間に決まって、“触んなエロ犬”の罵声付き、かな?」
「だろ。ったく、櫛枝もひでえよな、なんで抱き締めなかったんだ!って、平手打ち喰らわせやがって」

大河を中心に理解し合った者同士の、戦友に近い特別な信頼感。2人の間に遠慮は無い。

「ハハハハ、わりぃ。ごめんな、高須君… 実はさ、あのまま大河がいなくなるかもって思うとさ、
怖かったんだよ、少し」
「そう…だな」
「でも、やっぱり難しかったと思う。ただ手を掴んでもね。もっと知らなくっちゃ、今の大河を」
「ああ。じゃあ、店に入ってマスターが仕事終わるの待とうか」
「うん、行こう。高須君!」

* * * * *

再び店に入ってきた竜児と実乃梨を見て、マスターはやれやれという表情を見せた。
しかし、竜児は無言のまま、マスターの目を真っ直ぐに見る。生半可な圧力には屈しない、という
強い意志を宿して。
マスターは、軽く首を振ると別のバーテンに水を出すように言い、再び2人を追い返そうとはしなかった。

やがて、他の客の姿が無くなった頃、マスターは自ら竜児と実乃梨のテーブルに足を運び、
腰を下ろすと、あごの下に手を組みながら2人を見回した。

「私にとらちゃんのことを聞きたいんだろう?」
竜児と実乃梨は黙ったまま、コクリと同時に頷く。

マスターから聞かされた大河の話は思ってもみない、厳しく、苦いものだった。

「最初、チンケな同業者から持ち込まれた逢坂陸郎の債権は、楽に回収できそうな、オイシイ案件という
触れ込みだった……」

本人は行方をくらましているが、連帯保証人は20才になったばかりの実の娘。その母親は再婚し、
娘を引き取って父親の違う弟と共に仲良く暮らしている。
再婚相手の夫は、地元では名を知られた老舗企業の3代目。さらに母親はある嫌疑から警察とヤクザ
両方から目を付けられ、裁判沙汰になったり、騒ぎになることは避けたいはず、だから再婚相手の
3代目を頼って、借金の肩代わりを願い出るんじゃないか、という目論見だった。

何せ妻であり、4代目となる息子の母親からのお願いだ。母親は娘に対して強い負い目があるらしいし、
他人の借金とはいえ、無碍にはしないだろう、交渉しながらじっくり絞り取れれば、と考えたわけだ。
ま、あの会社の資産を手に入れられるチャンスにウチの上の目が眩んだ、とも言えるが。

「ところが、大河と大河の母親は今の父親を頼らず、夜逃げした」
竜児は目論見が外れてしまった理由を一言で表した。

「ま、そういうことだ。逃げ出す可能性も考えて、追跡者を用意していたから、あっけなく
掴まったわけだけどね。そして今、ここにいる。自分達の力で借金を返すと言ってな」

「借金の方は大きな流れが分かりました。もう1つ、大河の母親への嫌疑ってなんですか?
警察とヤクザに目を付けられているというのは前にも聞きましたが、一体?」

マスターは竜児と実乃梨を順番に見て、目に宿る覚悟を確認したうえで話した。
「麻薬密輸の疑い、だそうだ」


72 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:15:19 ID:dcv4uLWQ

「え?」「なにそれ?」
2人は同時に声をあげていた。

「逢坂陸郎と、とらちゃんの母親は、世界中から家具やら建築用の材料の輸入を手広くやっていた
らしいな。そして、逢坂陸郎は表の商売だけでなく、裏のビジネスでも儲けていたんだ」

「大河の母親もそれに関わっていたんですか? 」
「本人は否定している。だが、心当たりはあるようだ。何か裏がありそうと思いながら、取引条件の
良さに目をつぶり、契約と輸入の手続きを進めたことがあったらしい。
警察には、第三者を装った逢坂陸郎から、とらちゃんの母親が犯人の疑いに足る情報や書類が
タレ込まれているようだね。自宅の方にも警察が来たらしいじゃないか…」

「警察できちんと話をすれば、ただの誤解で、本人は関わっていなかったと言えるんじゃないですか?」
マスターは一度、あおぐように視線を上に向けると、やれやれと呟いてから、姿勢を元に戻した。

「最近、警察が麻薬の密輸や使用の撲滅に力を入れているのは知っているね。麻薬を紛れませて、
日本に持ち込まれた輸入品の書類、その多くにとらちゃんの母親のサインが入っていたら?」
「え…?」
「警察は容疑者に近い、重要参考人として彼女を見るだろうね。日本の警察ではクロの疑いが強い場合、
引っくり返すことはなかなか難しい。身の潔白が証明できるまで長期間かつ何度も出頭を要請されて拘束、
もしくは逮捕、勾留に踏み込まれて、裁判で長期間争うはめになる… その可能性も否定できない。
そうなったら、まだ母親に甘えたい盛りの弟はどうなるんだろうね…」

その瞬間、大学1年のXmas頃から大河の母親の具合が悪くなった理由、大河を睨みつけ、ごめんねを
繰り返した理由に、竜児は気付いた。
最初は借金の肩代わりのお願いだったのが、警察とヤクザにタレ込むぞという脅迫になり、
それでも成果が得られないと、最後は大河を巻き込んでの実力行使。そうなるまで大河の母親は
1人で逢坂陸郎と戦っていたのか? それともここまで追い込まれるのは、やはり後ろ暗いことが
あるのだろうか?

「ヤクザはどう絡むんですか?」
竜児は「あいつらの仲間」とマスターに言われたことを思い出して、尋ねた。

「麻薬の密輸を手配していた人間が行方をくらました。供給が止まると困る人達は誰かな?」
「やっぱり、あいつの金はそういう金だったんですね」

大河が高2まで住んでいた高級マンションや高級車、高級ブランドの洋服を始めとする荒い金遣い、
そして、いつか感じた逢坂陸郎への嫌悪感、その全てがここで繋がった。

「2人の人間が密輸ルートを知っている、もしくは実務に携わっていたとしておいて、
片方が雲隠れしてしまったら? 残りの1人を掴まえて、ルートを復活させようとするか、
乗っ取ろうとするだろうね」

竜児は、大河が巻き込まれた罠の全貌を把握して、戦慄を覚えた。
「つまり、覚悟を決めて警察に駆け込んでも、ルートをつぶされたくないヤクザが、本人か家族に危害を
加える恐れがある。全てあいつの、逢坂陸郎が借金を肩代わりさせるために仕組んだこと、ですか?」

「ま、そうだね。借金さえ無くなれば、彼はまた裏の世界では動けるようになる。
そのために二重三重のトラップで追い込んでくる。端から見れば、全て違法だし、押し止めたり、
出るところに出ればカタがつくように思うが、気がついた時には身動きが取れないっていうのは
嵌められる時にはよくあるもんさ」

「…実感こもってますね」
「推察のとおり、私も似たような人生を歩んでいるから、ここにいるんだよ。ここはね、
そういう人間が集まっている場所なんだ。さっきとらちゃんを送っていった彼も、ここに
住み込んで働きながら借金を返してる」


73 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:19:04 ID:dcv4uLWQ

「大河をそんなところに混ぜるな!」
今まで黙って話を聞いていた実乃梨が立ち上がって、吠えた。
「そんなの、ヒドいよ。どうして大河がそんなことに巻き込まれなきゃいけないの? 大河は
何もしていないのに。あの親父、やっぱり許さない! 私が見つけ出してひねりつぶしてやる!」

竜児は再び実乃梨の腕を抑えるとなだめるように言った。
「櫛枝、落ち着け! この人に言ってもしょうがないだろ。ただ、俺も同じ気持ちだけどな、
って、あ、すいませんマスター、そんなところとか言って…」
マスターは苦笑を浮かべながら、気にしていないという風に、顔の前で手を振る。
「いや構わんよ。君達の気持ちは良く分かる」

「聞かせて下さって有難うございました。最後にひとつだけ。あいつは、大河はどうしようと
しているんですか? どうやってこの事態から抜け出そうとしてるんですか? 教えて下さい」
「やはり、警察とヤクザと事を構えるのは割に合わない。正反対だが一度拘束されたら、次に
いつ帰って来れるか分からないという点では同じだ。親子が離ればなれになるリスクは取れない、
というのがあの2人の、特にとらちゃんの考えだ」

「だから3億の借金を返すと…」
「ああ、逢坂陸郎は借金を肩代わりしてくれたら、警察には送った資料は捏造だったと告げ、
ヤクザには密輸ルートを自ら復活させて、手を引かせる。そういう約束になっているらしい」
「そんなのあのクソ親父が守る訳無いじゃん、また利用されるだけだよ」
実乃梨は目の前のグラスを握りつぶさんばかりに掴み、わなわなと振るわせている。

櫛枝、頼むからもうこの店のグラスを壊さないでくれ… 
竜児は祈るような思いで実乃梨を見るが、当の本人はそうしないと治まりがつかないようだった。
マスターはただ1人、動じることなく話を続けている。そして話は大河の気持ちの核心に触れていた。

「そうかもしれないな。ただ、借金を肩代わりして、向こうの要求を叶えた時、逢坂陸郎を
掴まえるチャンスがある、そんなことを考えている風だったな…
自分達の責任であの男を野放しにはしない、とらちゃんが一度そう言ったことがある。多分、
君達のような関わりのある人間にまで害が及ぶのを防ぎたい、という思いがあるんだろう…」
竜児は全身の血液がサーッと引いて行くような感覚を覚えた。
「あいつ、ば…か…野郎。そんな、なんでも1人で、いや母娘で背負い込みやがって」

「母親は表に出ると危険だから、生活費はとらちゃんが稼いでいるんだ。朝、弟を保育園に送った後、
日中はウチと関わりのある法律事務所で働いている。とらちゃんは英語ができるから、書類づくりの
事務には重宝されている。弟を迎えにいった後は、ここで働く。それで3人の暮らしは十分賄われている」
「でもそれじゃ、借金は全然減らないじゃないですか? 利子だけでも莫大な…」
「それが利子は払われているんだ。勿論、契約書上の金利ではなく、法定金利の上限しか払ってないが。
あの母親にはやはり商売の才覚があるんだろうね。家にいながら、逢坂陸郎に渡さなかった財産を
昔の人脈を通じて投資をし、それなりのリターンをあげているんだ。ただ、元本を減らすまで
なかなか…ね」
「そんな! じゃあ、いつまでもこのままってこと?」
「どうだろう。運が良ければすぐかもしれない。運が悪ければ… ま、私に分かることではないな」

「大河はここにいて安全なんですか? 外で働いたり、保育園の送り迎えをしたりしても。
ヤクザに見つかりそうになったことは無いんですか?」
竜児が一番聞きたかったこと、それはまた大河がいなくなる恐れ。

「100%の安全なんて、引きこもらない限りありえない。が、そんなことをしたら、ヒトは
おかしくなってしまう。幸いこの土地は、大きな工場がたくさんあり、日本中いや世界中から
出稼ぎの人間が集まってくる所だ。よそ者は珍しくない。ま、これまで警察、ヤクザとも
近づいた気配はない。自宅から離れ、本人達に縁もゆかりもない土地だから、見つけるには
君達のように偶然だけが頼りになると思う」

「そ、そうですか…」
竜児は安堵のため息をつく。自分達に恵まれた偶然が逆に出る恐れを棚に上げてるのは
分かっているが、マスターに言われると、何となく大丈夫な気になってしまう。


74 :とらドラ!, again  ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:23:12 ID:dcv4uLWQ

「勿論、出歩く時は目立たない恰好で、通る道は毎日変える、夜、ここから帰宅する時はウチの者が
送って行く、というルールは徹底している。白昼に人通りのある所で拉致される可能性は低いだろう。
尾行の確認の仕方、撒き方は教えた。さらに用心のため、とらちゃんは母親と弟とは別に暮らしている。
とらちゃんは目立つから、いつか見つかるリスクはあると思っていたが、君達が先で良かった、かな?」

「それより、あなたのような方が見守っていて下さって、大河は幸運だったと思います」
「だから、ただの監視役だよ。3億円取りはぐれるようなことになったら、私の責任も問われるからね」
そういうと、マスターは穏やかに微笑んだ。

竜児は立ち上がるとマスターの方に歩み寄る。
「お願いがあります! 俺達、今日はこのまま帰ります。俺達が来たことであいつがまた逃げたりしないよう、
見ててもらえませんか? 無理矢理連れ出すなんてことはしません。あいつを救う手段を見つけたら、
またここに来ます」
「君達…」
「だからそれまで大河のことを…
「「よろしくお願いします」」
実乃梨も立ち上がると、2人は同時にマスターに向かって頭を下げていた。

「いい仲間なんだな、君達は。とらちゃんがここまで頑張れるのが少し分かった気がする。
今まで通りにしかできないが、希望に添う努力はしよう。私もとらちゃんは笑っていた方が可愛いと思う」
「マスター…」
「じゃあ、遅いから今日はもう帰りなさい。何かあったら連絡しよう。約束する」
「「有難うございます」」

* * * * *

2人が店を出ると同時に、フッと店の看板の灯が消えた。
まだ週の真ん中だから、もう飲みにくる客もいないのだろう。

駅に向かって歩きながら、2人は驚きと怒りが覚めやらない状態で、自ずと声が大きくなっていた。

「高須君、大河の状況、想像以上…だったね」
「ああ、でももう怖くねぇ。敵の正体が分かれば、あとはどう解決するか、それを考えるだけだ。
大河が何故拒絶したか、その気持ちも良く分かったし」
「おお、さっきよりずいぶん威勢が良くなってきたねぇ、いいよいいよー」
「余りの話のデカさに感覚が麻痺してるだけかもしれねぇけどな。でもこんな状態に大河を置いておけねぇ、
一日も早く救い出す方法を見つける」

「そうだね。またみんなで集まって相談しようよ。もう立派な社会人なんだし、なにか思いつくことが
あるかも。能登君は週刊誌の記者になったんでしょ?」
「ああ、なんか希望と違う配属で、毎日張り込みやらされてるって、ぼやいてたな」
「きっとこういう裏の世界の話にも詳しいよ。対処できる人も知ってるかもしれない。今週末はどう?」
「わかった。皆と連絡取ってみる。櫛枝はこれから合宿所に帰るのか?」
「うん、まだ電車あるみたいだし、門限破っちゃたけど、コーチには連絡してある。大河のことは
話してあるんだ… 高須君は?」
「会社の宿舎に戻るのは難しそうだから、この辺りのビジネスホテルに泊まって、そのまま研修所に行くよ。
悪かったな櫛枝、遅くまで。来てくれて有難う」
「あたりまえだよ、だって、大河だよ、大河のことだよ。大河は私にとって…」

実乃梨の足がぱったりと止まる。
やっと会えた、大河に。その実感が急に込み上げてきたのか、実乃梨は震えを抑えるように
両腕を身体に回して、つぶやく。
「大河、消えないよね。もう、いなくならないよね」

竜児は実乃梨の両肩に手を置くと、強く力を込めた。
「ああ、まずはマスターを信じよう。それに大河の状況を見ると簡単には動けないだろう。何の
根拠もないけど、まず大丈夫だと思う。ヤクザに見つからない限りは…」
「そうだね。信じよう…」


75 :とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:28:42 ID:dcv4uLWQ

もし、夢というものが現実と虚構が入り混じりった仮想的な体感現象を指すものなら、
これは夢じゃない。単に昔の記憶を甦らせて、なぞっているだけ…

私は誰かのベッドに横になっていた。ぼやけた頭のせいで、ここがどこで、いつからこうしているのか
全く思い出せない。
眼を開き、頭を動かして、自分のいる場所を確かめなきゃと思うけれど、身体に全く力が入らない。
まるで何かに絡めとられているようだ。

やがて目覚めたいのではなく、このまま、もっと横になっていたいという自分の本能に気付いた。
理由はこのベッドの匂い、つまりベッドの主の匂いに惹かれているのだ。
ずっと探していた。ううん、知らないものを探していたというより、あるべき所に還ってきた、
そんな言葉の方がしっくりくる安心感。それが目覚めを拒んでいる。

女は匂いで男の遺伝子の型を見分け、自分からもっとも遠い型を持つ男の匂いを好ましいと感じる、
いつか何かのニュースかテレビで見た記憶がある。理屈は分かるような気がするけど、そんな塩基の配列で
片付けられるようなものじゃない、もっと深い奥底の心の原型、そう、魂での結びつき、そんな感じ。

いつまでもこのゆりかごに抱かれていたい、魂の海をたゆたっていたい、そんな自分がそこにいた。

やがて、遠くから音が聞こえてきた。騒々しいけど、小気味よい、鉄と鉄が触れ合う音。火が燃え盛り、
油が爆ぜる音。そして、なんとも形容しがたい、香ばしい匂いが心の奥底で感じている匂いをゆっくりと
覆い隠して行く…

「に、……にんにく……」
ひとときの魂との邂逅は、身体の生存本能と生理的欲求を満たす、その匂いによって、幕を閉じることになる。
心の片隅にほんの小さな欠片を残して。

遠くから声が聞こえてくる。出会ってから僅かしか聞いたことがないはずなのに、どこか懐かしい声、
高須君、いや竜児の声。あの時、そんな自覚があったのか、今ではもう分からない…

「……逢坂。逢坂大河、起きろ…」

* * * * *

ハッと、大河は目を醒ました。
窓の外はまだ深い闇の中。時計を見ると、いつもの習慣通り目覚めるべき時間の直前を針が指している。
1年で最も夜明けが遅いこの季節、太陽の光が辺りを照らし出すのはまだ先だ。
布団の上に身を起こすと、眠りの中で自分が見ていたことをぼんやりと思い出していた。
夢を見たのは随分久し振りな気がする。昔はよく見ていたけど、どうしてだろう…とまで考えたところで、
一気に昨夜の記憶が甦ってきた。

「そっか… 会ったんだもんね。竜児に…」
誰もいない1人っきりの8畳間で、ひとりぽつりとつぶやいた。

ハッ!
大河は慌てて自分の頬に触れて確かめる。そして、安堵の息を吐いた。
…うん、大丈夫、泣いてない。竜児に会っても、みのりんに会っても私は泣かなかった。
約束を守った。自分との約束。全てが終わるまで決して泣かない。泣いてなんかやるもんか…

布団から立ち上がり、着替えようとしてパジャマのズボンを下ろすと、膝の擦りむいた傷が
目に飛び込んできた。引き攣れる感じはあるが痛みはもう無い。
そして、これが昨夜の出来事が本当だったことの証…

「………」
傷を手当してもらっていた時のことをほんの数秒間だけ思い出すのを自分に許した後、
大河は顔をあげ、手早く着替えを済ませた。
そして、大きめのキャップを目深に被ると、部屋のドアを開け、母親と弟の住む家に向かう。

負けない。終わるまで決して負けない。運命にも自分にも誰にも…

76 : ◆VW.RtTKf1E :2009/08/30(日) 08:32:49 ID:dcv4uLWQ
今回は以上です。
だらだらと長い文章をすいません。設定はこれでほぼ終わりになると思います。
あとは・・・ですね。

つらい大河を見るのが嫌な方、すいません。私もそうなんですが、こんな目に合わせといて
ヒドイ奴ですね。
次こそそんなに間を空けずに行きたいところです。


77 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:38:42 ID:qdL6EFbP
>>76
これはつらいなぁ。。。
(作品が悪いという意味じゃないよ。)
ハートがえぐられるようだぜ。
朝からダブルマックx5個ぐらいたべたぐらい
ヘビーだったぜ!!

> 次こそそんなに間を空けずに行きたいところです。
たのむぜぇ。
傷口開いたまま生きてくのは辛すぎる。。。。

78 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 11:07:32 ID:qdL6EFbP
■選挙

大河「今日は、選挙の日ね。」
竜児「そうだなぁ。スレが過疎ってるのもそのせいかもしれねぇなぁ。。。。」
大河「そんなわけないじゃない。
   ところで、あたし達もいかなくっちゃいけないんじゃないの?」
竜児「まだ、高校生だから選挙権はねぇよ。」
大河「そっかぁ、つなんないのー。
  そういえば、私たち去年、生徒会に立候補したんだよね。」
竜児「そうだったなぁ。
  みんなの前で喋るって緊張するよなぁ。
  大河はよくがんばれたよな。」
大河「あら、私だって緊張してたのよ。
  でもね、忠犬がいっしょだったから、頑張れたのよ・」
竜児「お、駄犬から忠犬にランクアップかぁ?!
  って、やっぱり犬かよ!!」
大河「ふふふ、ところで竜児。
  竜児だったら、どんな公約を掲げていたの?」
竜児「そうだなぁ。
  週3回の道路清掃の義務付けとかどうだ?
  世の中のためになるし、たのしいぜ!!
  いっぱいのゴミがかたづいていくさまがよ。。。
  くくく、笑いがとまらねぇ。。。」
大河「ひぃぃぃぃ。私が聞いたのが間違いだったわ。
  もうやめて、その般若面で笑うのは。」
竜児「ちっ、せっかく色々想像できたのに。
  ところで、大河が立候補するならどうするんだ?」
大河「うーーん。
  特にないわね。なにもなし。
  あ、でも立候補するものはあるわ!!」
竜児「お?、何に立候補するんだ?」
大河「私”あいさかたいが”は、高須竜児のお嫁さんに立候補します。
  そして、私がしあわせになります。」
竜児「生徒会とは関係ないし、さらに自分の幸せかよ!!
  いいよいいよ、幸せにしてやるよ」
大河「ありがと、竜児。」




と言うわけで、選挙権行使してくるぜ!!
駄文失礼!!

79 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 18:07:15 ID:07O0VXHa
俺も選挙権行使に逝ってくる ノシ


80 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 18:23:26 ID:Ndo1ptt/
期日前投票余裕でした

81 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 18:25:41 ID:Ndo1ptt/
>>78
私”あいさかたいが”は、高須竜児のお嫁さんに立候補します。
そして、私がしあわせになります。

(*´Д`)ポワワ

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 20:14:55 ID:H19qUMFR
againの人GJです

ここからどうやって幸せになるか見物だね

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:12:00 ID:B//woin8
>>62
帰ってきた。のくだりに幸せを感じた

>>76
大河を想う竜児と竜児に焦がれる大河が切なかった
シリアルな展開を乗り越えていく二人を期待してます

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:14:20 ID:23Tqlx5N
シリアル……

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:30:08 ID:07O0VXHa
あれ…牛乳に、フルーツグラノーラ…。。

とりあえずgjです。

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:36:55 ID:ZIrSC94z
サクサク……アマアマ……

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:42:23 ID:KfAzrJix
>>78
開票結果:総投票数 1。無効票0。    当選。



88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:44:27 ID:KfAzrJix
「シリアル・クリーナー」ってタイトルでSS一本書けそう。

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 22:49:50 ID:23Tqlx5N
>>78
>>87
有権者が一人しかいないなw

90 :83:2009/08/30(日) 23:00:53 ID:B//woin8
シリアスでした、失礼w

>>88
是非頼むわw

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 23:39:23 ID:Ndo1ptt/
今さっきAT-Xでとらドラ21話やってたんだけど最後に大河が
「どうしたって…竜児のことが…好きなんだもん…」
って言うところは何度見てもせつねえ

92 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:11:03 ID:Vij/lG5D
前スレ>>206のゆかたいが書いてたものですが、続きかけました。

コメントくださったみなさんありがとうございました。

ここのスレの人は親切に教えてくれて感謝してます。

さげれてますかね??トリップできてますかね??

5、6スレ分だと思います。

>>88   お願いしますW

93 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:15:58 ID:Vij/lG5D
集合場所は大橋の河川敷の入り口だった。人で混雑した。河川敷は『THE・夏祭り
』といった雰囲気であった。会場に近付くにつれて大河の目は普段にも増して、
いっそう輝きを放ちまるで、まるで……まるで餌を前にした虎じゃないか!!と
思わせるほど、ヨダレを垂らしていた。大河の家を出た時のいかにも『デートに
行く乙女』からすっかり変貌してしまった。

竜児はつい微笑んでしまう。乙女な大河も好きだが、やはりこっちの大河も好き
なのだ。と、いうよりもお互い浴衣で夏祭りデートといった少し高校生には背伸
び地味た今日のデートに、すっかり緊張してしまっていた竜児は、大河の愛らし
い虎っぷりを見て、つい緊張の糸が切れてしまったと言ったほうがより正確なの
かも知れない。

「おーい。高須ぅ!こっちだこっち!」北村の声が聞こえる。声のするほうには
、もう竜児と大河以外のメンバーは揃っていた。「悪い悪い。待たせちゃったみ
たいだな。すまねぇ。」

「高須、そんなことより、今日サイコーじゃねぇ。」 「たかっちゃん、俺もう我
慢できないよぉ。」
能登と春田はやけにテンションが高いご様子だ。
「祭りだもんなぁ。そりゃ、サイコーだよ。」と、竜児が言い終わるか終わらな
いかのタイミングで「「ちげーよ。浴衣だよ。浴衣!!」」能登と春田の強烈か
つぴったりと息の合ったツッコミをくらう。

「見てよ。たかっちゃん。亜美ちゃんに奈々子様に麻耶たんの浴衣姿なんてそう
そう見れるもんじゃないよぉ。俺もぉ死んでもいい。」春田が言った。竜児は大
河がだって、いや大河が一番可愛いじゃねーか。と口には出さないものの少し頬
を赤らめてチラッと実乃梨と戯れる大河を見た。「2人ともどうしたの!?」春
田の言葉に慌てて「「なっ、なんでもねぇよ。」」とこれまた、息の合った……
息の合った?2人?

竜児の横で顔を真っ赤にした能登がいた。(可愛くない。)

「しょ、しょーがないだろう。なんか、あの、その、だから、つい、意識してし
まうんだ」能登はここ最近木原に気があることを認めはじめたのだ。そして、元2-C
の連中(主に奈々子と亜美、北村)が、二人をくっつけようとPUSHしているのだ。

「あれぇ、高須くぅん。そんな顔赤らめちゃって、もしかして亜美ちゃんの浴衣
姿にグラッときちゃったとか?」亜美が竜児にその美貌をふりまく。「コラー!
ばかちー、竜児は、そのわわわわ私のなんだから、手だすんじゃないわよ。」大
河もまた、顔を真っ赤にした。そんなに恥ずかしいならもっと言葉を選べばいい
のに。「わかったわよ。もぉ、そんなに赤くなっちゃって。可愛いやきもちタイ
ガー。」亜美は、大河をからかう。「川嶋もそのへんにしとけ。大河、俺はお前
だけだよ。」竜児は照れながら虎を宥めた。
「いやー、夏だからなのか、いつもお熱いねぇ。お二人さん。」実乃梨がいつも
のようにって、「櫛枝、鼻血でてるよ。」っと奈々子、続けて「さっ、揃ったこ
とだし、屋台行こ。屋台!ね!まるお。」と、麻耶。
「そうだな、みんな揃ったことだし、8時から始まる花火までに屋台を満喫するぞ
。」と、北村のいかんなく発揮されるリーダーシップをもとに、屋台の方に皆で
足をむけた。




94 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:19:27 ID:Vij/lG5D
「とうろこし、唐揚げ、たこ焼き、焼きそば、かき氷、わたあめ、リンゴ飴。ど
れも美味しそうね。」大河は腹の減った虎モードに突入すると何か食べさせなけ
れば食べ物のことばかりだ。「甘いものはあとな。まずは、ちょっと腹も減った
し食い物食べようぜ。」竜児の提案に、「おお!高須きゅん、いいことゆーぜー
。去年この祭りの屋台で焼きそばのバイトしてたんだ。その時の大将のとこ行け
ばサービスしてくれるかもよ。」と、実乃梨が続く。一行は、元実乃梨のバイト
先である屋台へと向かった。

「大将、焼きそば九人前お願いします。」実乃梨が元気一番、いかにも気前の良
さそうなオヤジに向かって言う。

「なんでぇ、櫛枝じゃねえか。てめぇ、元気にやってんか?」「へい!!お陰様
でこのとおり、元気だけが取り柄っす。」と、妙に息の合った師弟関係を連想さ
せる会話だ。「お前の頼みだ去年バイトしてくれたからなぁ。ここは、盛るぜえ
。ちょ〜う盛るぜえ!」と、てんこ盛りのサービスをしてもらえた。皆、声揃え
てお礼を言った。実乃梨のあの名言はこの焼きそばの屋台発祥だったんだな。と
大河と二人笑ってしまった。
「サンキュー、大将!!大将も元気でねぇ。」っと実乃梨は大将に軽く手をふっ
て「さぁ、食べよう。」と、皆のところへ戻ってきた。

皆一様にありがとうて、実乃梨にも礼を言う。超大盛焼きそばをたらふく堪能す
る。亜美や奈々子や麻耶には少々多い様子だった。それを見て、ここぞとばかり
に能登と春田そして、当然のように大河は三人の残りの焼きそばを食べていた。
勿論、能登は麻耶の焼きそばを。

人もだいぶ増えてきた頃皆各々好きな食べ物を堪能していった。春田はフランク
フルト、能登はわたあめ(可愛くない。)北村と竜児はとうろこし。実乃梨と大河
はリンゴ飴。亜美、麻耶、奈々子はかき氷を食べた。

食べ物を堪能した一行は、北村の提案で金魚すくい大会をしようとのことになっ
た。「祭りといえば、金魚すくい。さぁ、誰が一番すくえるか勝負だ。」

高校生が九人も並んで金魚すくいを興じるなど、少し羞恥心がわいたが、このメ
ンバーでなら自然と楽しかった。
「あぁ、たかっちゃん。やぶれちゃったよ。」一番はじめに破ってしまったのは
、テンションだけは、一人前だったのだが。

続いて破ってしまったのは、大河だった。「あらやだ。遺憾だわ。」続いて、亜
美「亜美ちゃん、金魚いらねーし。」

続いて、北村。「おっ、破ってしまった。はっはっはっは。」続いて、奈々子。
「あれっ、金魚すくい得意だったのになぁ。」
能登は、麻耶にすくい方を教えている。能登は金魚すくいが得意なのだ。地味な
特技だが能登に合ってるように感じた。続いて竜児も破ってしまう。「おう。ま
ぁ、五匹すくえたし、こんなもんか。」

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラぁ!!」隣を見ると実乃
梨が凄い勢いで金魚をすくい続けている

95 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:21:45 ID:Vij/lG5D
「いやー、ついついすくい過ぎてしまったよ。前に弟と金魚すくい大会に出たこ
とがあるんだよ。」
「みのりん、やっぱただ者じゃないね。」

「っお、もうこんな時間かありがとうな、高須に逢坂。二人のデートに便乗して
こうして遊んだわけだが、そろそろ花火が始まるまで30分前だ。高校最後の夏に
いい思い出ができた。今からは二人でデートしてくれっ。俺たちは俺たちで楽し
くやっとくからさ。」北村が図書館で言ってただろっと言うように竜児に微笑み
かける。あぁ、ありがとう。と竜児も北村に微笑む。
「おう。それじゃ、お言葉に甘えさせてもらってもいいかな。行こう。大河。皆
、ありがとな。」竜児の返事に一同ニヤニヤする。

大河は、竜児の横にトコトコとやってきて顔を赤らめ俯いていた。皆に別れをつ
げて、二人は人混みに消えていった。



「ねぇ、竜児。さっき、射的屋さんの景品でおっきい虎のぬいぐるみがあったの
。それがほしい。とって。」上目遣いでねだる大河。一年前は、家族同然で意識
などしていなかったはずのクラスメート。いつの間にか気になっていた。もしか
したら、出会った頃から………。なんて可愛いんだろう。こんな可愛い子が自分
の彼女であると思うと改めて竜児はてれてしまう。こんな可愛い顔でねだられる
と、なんでも与えてやりたくなってしまう。ずるい。

「おっおう……//わかった。とってやるよ。射的か。射的は俺の得意中の得意
だ。」

「おじさん、一回お願いします。」大河の言うぬいぐるみは一番大きな射的屋の
目玉商品だった。大河が望むならとってやる。

料金を払って、銃を握る。竜児の目がいつにもまして、つり上がる。口がにやけ
、カビと戦う時の笑みを浮かべる。「おっしゃっ、いくぜ。オラオラオラ。」虎
の大きなぬいぐるみがゆれる。「くそっ、おやっさん、もう一度だ。」いつの間
にか、「どこかの組の人が射的屋で銃を暴発している」と、ギャラリーまででき
ていた。


「もう、金がねぇ、おやっさん、最後の一回だ。仕留めてやるぜ!!二丁よこし
な。しょうがねぇ、最終奥義をだす。高須流、ダブルマシンガン!!」と、竜児
は二丁の銃で奇跡の連射。大きくゆれる虎。「あばよ。」ベストのタイミングで
竜児が最後の一発を華麗にベストの角度、位置に当てる。ゆれる。大きくゆれる
。「いっけーーー竜児ぃ〜〜〜!!」その大河の声に合わせて、虎のぬいぐるみ
は大きくゆれたすえ…………落ちた。

「おぉ〜。すげー!!」「やったぜ、兄ちゃん!」など、ギャラリーが湧いた。
大河はキャッキャッと喜んでいた。竜児は思う。こんな可愛くてパワフルなそう
、大河のこんなにもパワフルで眩しい笑顔が側で応援してくれたら、何でもでき
る。

96 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:27:38 ID:Vij/lG5D
銃を置く。いつもの竜児に戻る。「ほらよ、兄ちゃん凄かったぜ。あの姉ちゃん
にやるんだろ?いいもん見せてもらったお礼だ。こいつも持ってきな。」そうい
って、射的屋のおじさんは大きな虎のぬいぐるみとともに、小さな犬のぬいぐる
みもオマケでくれた。

「ありがとうございます。」竜児はぬいぐるみを受け取ると、大河を見つめた。
ギャラリーが再びわく。

大河にそのぬいぐるみを渡してやる。「とってやったぞ。」「あっ、ありがとう
………//」「おっ、おう……//」
ギャラリーから拍手が送られた。最初はただの野次馬魂にあふれていた野次馬の
目は、今はもう二人を温かく見守るそれに変わっていた。二人は照れる。ギャラ
リーにもお礼を言う。っとその時、
ピューーーードーーン!!

「あっ、始まっちゃった。」大きくて綺麗な花火が夜の空に上がる。ギャラリー
があわてて散る。

「おう。綺麗だな。てか、大河が行くぞ!!」

「えっ?行くって、どこ行くのよ。ここでいいじゃない。ここ花火大会の会場な
んだし。」

「ここじゃ、もういい場所とられちまってるからな。それに、俺、この花火はお
前と。大河と二人きりで見たいんだよ……//子供の頃、泰子と二人でよく来た
秘密の場所があるんだ。俺についてきてきてくれ。」竜児は大河の手を引いく。
「わかったわ。私も二人きりで見たいから……//」大河は、ぬいぐるみをギュ
ッと抱き締めた。


会場からどんどん遠ざかる。裏山へと続く階段を昇る。
階段を昇りきると少し細い道が続き、目の前には小さな神社があった。そして、
竜児は大河の手をギュッと握って大河に微笑みかけた。大河は思わずその笑顔に
見惚れてしまった。

「よかった。なんとか間に合ったみたいだ。さぁ、大河行こう。」

「う、うん…//」

97 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:29:29 ID:Vij/lG5D
神社の裏にはさらに細い道があって普段夜は誰もよりつかないだろうその小さな
神社の裏にこんな道があることを知っている者も少ないはずだ。
その先には電波塔がたっていた。電波塔は金網で包囲されていて、その周りはブ
ロックで固められている。そのブロックの上に竜児はすぐに飛びのる。手をさし
だして、「登れるか?」そう言いながら大河に手を差し出した。

普段、大橋高校で『手乗りタイガー』と呼ばれている大河のことだ竜児の手を借
りずとて彼女なら容易にブロックへ飛び乗ることができるであろうが、大河はそ
のミルクのように透き通る華奢な手を竜児の大きな手に重ねる。触れたかったの
だ。少しでもこの愛しい竜児に触れたかった。二人は幸せいっぱいに笑い合う。

ブロックへそって、電波塔の裏側へ行く。

「わぁ!!凄い……」大河は、はしゃぐことも忘れ目の前に広がる花火に見入っ
てしまう。

「凄いだろ。さぁ、そこに座ろうか。実はな今日ここへ来ようと思ってたから、
ちゃんとシートも用意しておいたんだぜ。」竜児が指さすところにはシートが敷
いてあり、風で飛ばされないようにご丁寧に石までおいてあった。

そこに二人腰を下ろして、黙りこくって炎と金属が魅せる、色とりどりに夜空に
輝く花火を見た。

最初に沈黙を破ったのは大河。「竜児、ぬいぐるみありがとう……//」「おっ
おう。まぁ、なんとかとれたな。」「でも、驚いちゃった。竜児、銃を握ると人
格変わっちゃうんだね。父親の遺伝子が竜児の眠られるヤクザ魂をくすぐるって
やつ?」大河は笑う。「そうなんだ。なぜか昔から屋台の射的屋に行くとああな
るんだ。泰子にも同じようなこと言われた。」普段なら落ち込むとこれだが、大
河のおねだりに応えられたのは父親の遺伝子のおかげだ。今日は少し感謝するぐ
らいだった。

「それに、虎と犬って。まるで、私と竜児みたい。」「おう!?って、俺はまだ
犬なねかよ。」二人して笑う。


98 :ゆかたいが ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:30:43 ID:Vij/lG5D
大河はほんとに嬉しそうに花火を見る。竜児は花火を見る大河を見てしまう。花
火が色を変える度、そのミルクの肌を纏う奇跡に近いフランス人形のように精巧
なつくりをもつ大河の顔が花火の色に染まる。

竜児は本当にに綺麗だな。と思う。大河の喜びはしゃぐ姿、こんなに綺麗なもの
を竜児はいつまでもこんなに綺麗なものの一番近くで大河の隣で見ていたかった


「綺麗だね。。。ねぇ、竜児。来年もまた一緒に見にココに来よう……//」

「おう。でも、俺はココに来なくたって見れるけどよ。綺麗なものは……//」
「えっ!?竜児、なんか持ってるの綺麗なもの。」

「お、おう………//なんてか、そう………つまり、大河の喜ぶ顔が一番綺麗だ
な…………//なんて。」
「竜児……//だぁいすき。でも、それは私も同じよ。そっその、あんたの笑顔
が世界でいちばん魅力的なの……//」可愛い。可愛いすぎる。「大河……//
こっちこい。」「うん………//」大河は竜児の胸に体を預ける。
「好き。」「あぁ、俺も好きだ。」「愛してる。」「愛してるよ。必ず幸せにし
てやる。」二人は静かにそして優しく互いに愛しい相手に、キスをした。





美しく輝く花火。虫の鳴き声が少し聞こえる。夏から秋へと季節は変わろうとし
ている。

季節は変わる。同じように人の心は変わる。しかし、竜児と大河の心は決して変
わらないだろう。なぜなら二人は互いに互いにとって、手に入れるべきたった一
人なのだから。
                      (end)

99 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/08/31(月) 00:36:30 ID:Vij/lG5D
以上で、『ゆかたいが』終わりです。

駄文ではありますが、僕の処女作なので読んでやってください。


コメントくださった方、ありがとうございました。

また、次の作品も構成はたっていて書くだけなので

またよろしくおねがいします。



100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 00:54:00 ID:El6Fzhf3
>>99
少々厳しいことを言うと、誤字脱字や漢字・句読点の使い方のおかしい所が散見されるのが気になった。
投稿前に何回か読みなおしてチェックするといいと思う。

で、内容的にはGJ
特に竜児と居て楽しそうな大河が可愛い。状景が脳裏に浮かんだよ。

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 00:58:12 ID:tlqRb4Dv
>>99

GJ!!! 

こういうラスト好きだ。

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 01:39:42 ID:WG2YSVD4
>>99
(*´Д`)ポワワ

あと快適な2chライフのために専ブラ導入だ

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 04:06:00 ID:aib96beq
>>99
おつかれっした!

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 12:43:18 ID:ZiNW7/vo
>>99 面白かったよ

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 20:08:57 ID:rtsQVsDY
処女作にしてはやるじゃねぇかGJ

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/31(月) 20:36:36 ID:Fl/tMF58
>>99
GJ!
誤字と脱字には気をつけてね〜

ってか、竜児の射的スキルがwww

107 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/01(火) 00:14:38 ID:wqj/NIM9
まず、コメントくださった方々ありがとうございました!

>>100
>>106
すいません。読み返してみると誤字脱字だらけでした。
以後、投下前確認させてもらいます。


>>102
ありがとうございます!!専ブラって無料なんですかね??ほんと初心者ですいません。

>>101
>>103
>>104
>>105
ありがとうございます!!次回も頑張りたいと思います!!


僕みたいな初心者の駄文でも、優しく受け入れていただけてうれしいっす!!

ほかの作者さんの投下めっちゃ心待ちにしてます。



108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 00:51:15 ID:d6HBysmV
PC初心者を見ると自分にもこんな時代があったんだなあと

>>107
無料だお

おすすめ
Jane Style
http://janesoft.net/janestyle/

Jane View
http://www.geocities.jp/jview2000/

ファイルの圧縮・解凍はわかる?

109 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/01(火) 01:33:59 ID:wqj/NIM9
>>108
ありがとうございました!!

Zipの解凍はあわかります!!

ありがとうございました!!

110 : ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:14:08 ID:7lhq3kpx

こんばんは。>>88さんではありませんが、
シリアルにヒントをもらって勢いで書きました。
この方向ならクリーナーとも被らないと思いますので投下させて頂きます。

111 :朝の挨拶 ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:15:25 ID:7lhq3kpx


ルカ「お母さん、目玉焼きまだー?」
竜児「俺のも頼む、半熟でな」
康児「朝は和食がいいんだけどなー母ちゃんご飯無いのー?」
大河「あーもう! いっぺんに言うんじゃないっての!」
竜児「康児、気持ちは分かるが我慢しろ」
ルカ「私は洋食の方が好きだけどな」
康児「日本人と言えば米だろ、米?」
大河「あーはいはい。明日はそうしてあげるから、さっさと食べなさいよ」
竜児「いいからおまえは自分のシリアル食え。パンも食え」
康児「姉ちゃん、牛乳取って」
ルカ「はいはい」
康児「……よっと、サンキュ」
ルカ「康児、いつまでフロスティ食べてる気?もう子供じゃないんだから……」
康児「やだよ、姉ちゃんのは乾いたコーン食ってるみたいでまじーんだもん」
ルカ「……ガキ」
康児「何だよいいだろ、これだってちゃんとカルシウム取れるって!」
竜児「まぁまぁ、朝っぱらからやめとけ、二人とも」
大河「はい、竜児の目玉焼きね、あと竜河のも」

「おう」 「ありがと」

康児「えっ、俺のは無しかよ母ちゃん!?」
大河「あんたは後で……大体、一番食べるの早いでしょうよ」
康児「へーい」
竜児「おうっ! みんす圧倒的だな……何年ぶりだろうな……」
大河「ちょっと竜児、新聞広げないでよ!」
ルカ「康児、牛乳返してよ、ほら」
康児「はいよー」
竜児「どれどれ、今日の目玉焼きちゃんはどうかなー?」
ルカ「お父さん、怖い顔で笑わないで」
竜児「うっ……」
大河「ぷぷっ……もっと爽やかに笑えば言われないかもよ、竜児?」
康児「あー父ちゃん。あんま気にすんなって、何か竜河姉は昨日から機嫌がわりーんだ」
ルカ「康児ぶつよ!?」
康児「うへぇ……」
竜児「ははっ 機嫌が悪い女子には近寄るべからずだぞ、康児?」
康児「分かってっけど……でも今のはしょうがねーじゃん!」
ルカ「もう……お父さんまで康児の味方するんだ!」
竜児「んなことねえよ……って、おい、大河……たいがぁ!?」
大河「何なのよさっきから!? あんたらそろいも揃ってうるさいったらないわ!」

ガン!――

大河「はい、康児の目玉焼き。……ほら、取りなさい」
康児「やっぱ……母ちゃんだよな……一番迫力あるのは……」
ルカ「……決まってるじゃない」
大河「んー?」
康児「何でもない!」
竜児「……おい、大河。食卓にフライパンを置くな。それにな……」
大河「何よ?」
竜児「この目玉焼き、半熟じゃないぞ? 点数を付けるなら45て……」
康児「ああ旨そうだなあ今日もありがとう母ちゃん!(棒読み)」
ルカ「いつもうるさくしちゃってごめんねお母さん!(棒読み)」
大河「……なんか引っかかるけど、まぁいいわ。早く食べなさい」

「「はーい」」


112 :朝の挨拶 ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:16:18 ID:7lhq3kpx

大河「…………で?」
竜児「……………………い、いや……」

康児(なんか見つめ合ってるよ!?)
ルカ(あれは睨み合ってるって言うのよ、このバカ! ていうか、一方的にお父さんが睨まれてるのよ!)
康児(何だよ、姉ちゃん! バカって言うなよな!)
ルカ(これ以上お母さんを刺激しないでよ! あぁもう、私の静かな朝ごはんが……)
康児(姉ちゃん、諦めようぜ……それは無理だぜ?)
ルカ(…………)

大河「そこ……なにヒソヒソ話してんのよ?」
ルカ「いいいいやいや、何でもないよ?」
康児「そうそう、賑やかで楽しいなっつってたんだよ!」
竜児「お、おうっ! そうだよな、大河のおかげでいつも旨い飯が食えて最高だな!」
大河「あらそう?」
ルカ「うんうん、最近また上手になったよね?」
康児「もう絶対間違いないぜ!」
大河「ふふん……そりゃダテに毎日作ってないっての、そんなのいいから食べるのよ」

チーン――

ルカ「あっ、パン焼けた」
大河「あー私が取ってきてやるわ」

パタパタ――

大河「ふ〜ふふふ〜ん♪ ららら〜♪」
竜児(なんつうか……単純だな)
ルカ(お父さん、変な事言わないでよね!)
康児(母ちゃん怒らすなよな! こえーんだから!)
竜児(いつもの癖でな……悪いな……)

パタパタ――

大河「……はい、竜河」
ルカ「あ、ありがとう」
大河「それから、ほら、豆乳も飲みなさい。イソノボンボンよ!」
ルカ「はーい」
康児「イソフラボン……」
竜児「……言うな」
康児「これって何の効き目があんの?」
大河「あんたは健康のためだけに飲みなさい」
康児「……姉ちゃんは?」
竜児「……ごちそうさま」
大河「はい、お粗末様。竜児、もういい時間じゃない?」
竜児「おっと、もうこんな時間か、そろそろ出るぞ」
大河「うん、気を付けてね。はい、バッグ」
竜児「おう。それじゃ、行って来るぞー」

「「いってらっしゃーい」」


113 :朝の挨拶 ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:17:19 ID:7lhq3kpx


大河「ちょっと竜児…………ねぇ……」
竜児「ん? って、ここでか? 二人に見られちまうじゃねえか」
大河「だって玄関暗いし、二人とも慣れてるから別に平気よ……」
竜児「……ったく……しょうがねえな……」
大河「それじゃ……いってらっしゃい、竜児…………んっ」


ルカ「お熱いことで……」
康児「あーはいはい。どうせ見慣れてますよ」
ルカ「……ここに思春期の乙女がいるっていうのに」
康児「ぷっ! お、乙女ってか?」
ルカ「毎朝毎朝、ほんっと飽きないのかな?」
康児「俺が分かるわけねーじゃん」
ルカ「それもそっか……ま、康児に色恋沙汰を聞いたのが間違いか」
康児「色恋沙汰と全く縁が無い姉ちゃんに言われてもな……」
ルカ「何よ! 私だって色々あるんだからね?」
康児「へーへー あ、あれか、男子剣道部の主将? どうしても勝てないんだろ?」
ルカ「普通に考えて男子に勝つのって難しいんだからね?」
康児「でも、気になってるんだろ?」
ルカ「……そ、そういうんじゃないって」
康児「富家先輩、だっけ? ま、姉ちゃんが勝てないなら、よっぽど強いんだろうな」
ルカ「今日の部活で勝つもん」
康児「でもさ、勝ったら余計に告白なんか出来なくね?」
ルカ「こっ! 告白なんかしないって! その前に別に好きとかそんなんじゃ……」
康児「あーあーはいはい。いいねいいね、甘い青春ってやつだ」
ルカ「そういうあんたは好きな子とかいないの?」
康児「あ、醤油取って……サンキュ」
ルカ「ごまかすな」
康児「何だよ、いいじゃん、俺の事は……」
ルカ「とぼけたってダメ。あの大人しいマネージャーの子でしょ?」
康児「うっ!? ゴホッ! ゴホッ! い、いきなり何を……」
ルカ「やっぱりそうだ! へー ほー ふーん」
康児「ちくしょ、ニヤニヤ笑いやがって」
ルカ「違うの?」
康児「あーそうだよ! 悪いか!」
ルカ「康児はおしとやかなタイプがいいのかー」
康児「母ちゃんと姉ちゃん見てるとな……活発な子ってのはちょっと……」
ルカ「元気があっていいじゃん」
康児「それはそうだけどさ……父ちゃんのようになりたくないだろ?」
ルカ「あぁ……ね」
康児「俺は亭主関白を目指すんだっ!」
ルカ「お父さんみたいな家事万能な人っていいと思うんだけどなぁ……」
康児「とか言って、自分だって質実剛健!みたいな野郎に惹かれてるんだからなー」
ルカ「……う」
康児「へっへー図星だろ? あ、もしかして昨日も負けたから機嫌わりーの?」
ルカ「う、うるさいなっ!」
康児「俺も恋とか出来るんかなー? 目付きもこんなんだしよー」
ルカ「男は見た目じゃないよ、お父さん見ててわから……」


竜児「……んむ……おい……さすがにそろそろ……時間が……」
大河「…………あっ……何よ……その分走りなさいよ……ほら……」

「まだやってたんかよ!?」  「長すぎでしょ!?」


114 :朝の挨拶 ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:18:11 ID:7lhq3kpx


竜児「ほら、怒られちゃっただろ?」
大河「だって…………ね、もうちょっとだけ……」
竜児「だーめだ、もう走らないと間に合わねえくらいだ」
大河「……あっ、竜児っ! んもう! あんたらが邪魔するからよ!?」

「そんな事言われても……」 「……ねぇ」

大河「そうだ、竜児。今日の晩御飯なにが食べたい?」
竜児「んーあぁ、そうだな……魚で頼む」
大河「分かった、早く帰ってきてね!」
竜児「おうっ!」
大河「ほらほら、行った行った」
竜児「おいおい、押すなって大河」
大河「しょうがないから、玄関までお見送りしてやるわ」

パタパタパタ――

ルカ「行っちゃったね……」
康児「ああ……もう帰って来なくていいよ……」



大河「……ねぇ……もぅ…………ぃぃ……ょ?……」
竜児「マジで間に合わないって! ちょ、コラ! たっ……」





ルカ「………………」

康児「………………」

ルカ「…………本当に帰って来ないね」
康児「父ちゃん猛ダッシュ乙って……感じかな……」
ルカ「康児は……せめて腕力で勝てる子が……いいかもね」


ガチャ―― バタン――


大河「抑え〜られな〜い♪ 逢い〜たい〜よ〜♪」
康児「はやっ! もうかよ?」
ルカ「……しーっ」

パタパタパタ――

大河「ふふふ〜ん♪ ふふふ〜ん♪ ららるらら〜♪」
康児「………………」
ルカ「……………………」
大河「んー何よ? 二人して羨ましそうな目で見ないでよね」

「見てないよ!」 「見てねーし!」 


115 :朝の挨拶 ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:19:27 ID:7lhq3kpx

大河「そうだ……あんたたち、晩御飯なにが食べたい?」
康児「えーっと……何だろ、肉かな?」
ルカ「うーん……私もお肉がいいな」
大河「何言ってんのよ? 竜児が魚って言ってるんだから魚に決まってるでしょ?」

「……却下されたね」 「……何で聞いたんだ?」

大河「そんで、今日こそ『旨い、旨いぞ大河!おまえ最高だ!』とか言わせてやるわっ!」
ルカ「が……がんば……」
康児「父ちゃん細かいからな……また採点が始まるよな……」
大河「なんたって『また上手になっちゃった』んだもんねぇ……くふふふ……」
ルカ「……康児、分かってるよね?」
康児「はぁ…………またかよ」
ルカ「私の静かな晩御飯のためにっ!」
大河「まだ進化を止めないなんて我ながら素晴らしいわ……見てなさいよ竜児!」
康児「今度数学見てくれよな?」
ルカ「任せておいて!」
康児「ちょー腹減らして帰ってくるぜ!」
ルカ「私もっ!」
大河「ほら、もう遅刻しちゃうわよ? あんたたちも、とっとと学校行きなさいよ」

「「はーい」」

大河「何がいいかな……やっぱりブリ? サンマはただ焼くだけだしね……あぁ迷うわっ!」

「「いってきまーす」」

大河「はいはい、いってらっしゃい」



end


116 : ◆askgvpoGB. :2009/09/01(火) 21:20:52 ID:7lhq3kpx

以上です、ありがとうございました。
しかしこの書き方はどうしても見づらいですね・・・
それでは〜

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 22:06:50 ID:f8UaqqCq
次世代ものきたこれ
ちゃんと夫婦してる雰囲気がよくあらわれてますな

>>116
2ch的には見やすいし読みやすい

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 22:26:03 ID:VofelMC4
>>116
GJ!
思わずニヤけちゃったぜコノヤロー!

読みにくいってこともないよ〜。


119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 22:33:16 ID:mzgMwN6Q
>>116
乙&GJ!
兄妹(姉弟?)の「やれやれ」な感じにほのぼのしました。
親がこれだけラブラブだったら、子供も健全に育ちそう!

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 22:46:07 ID:VofelMC4

「竜児、寒い」
「……抱きつくのはいいけどよ、窓閉めればいいんじゃねぇか?」
「あら?開いてたの?どーりで……」
「お前、わざと知らないふりしてたな?」
「……へへ。だって、寒い中で抱き合うって、すっごい気持ちいいじゃない?」
「おう、確かにな。でも、そんなことして風邪でもひいたら大変だろ」
「大丈夫よ。そうなったら、汗いっぱいかいて叩き直すのよ!こうやってね!」
「そ、そうくるか!」

ギシギシアンアン

「う゛ー。風邪かも……」
「秋も深まってるってのに窓開けたまま寝るヤツがあるかよ!」

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 22:55:07 ID:wqj/NIM9
>>116
GJっす!!

竜虎はいつまでたってもこんな感じがして
よかったっす。

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 23:06:22 ID:x0XpdTdT
>>107
初とは思えんかったねぇ。GJでした。

>>116
朝からほのぼのいちゃいちゃと盛りだくさんですなぁ。
書き方は見やすかったけどなぁ。。。

>>120 追い討ち

> 「う゛ー。風邪かも……」
> 「秋も深まってるってのに窓開けたまま寝るヤツがあるかよ!」
大河「じゃぁ、温めてよ!!」
竜児「しゃーねーなぁ」

ギシギシアンアン


こうでなくっちゃ!!


123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 23:18:39 ID:jI5dZiR2
>>120
オチがいい

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 23:32:41 ID:wqj/NIM9
大河「ねぇ竜児。もぉすぐ秋ね。」
竜児「そうだな。秋といえば、読書の秋だな。」
大河「そおね。もう一度とらドラ!を読むかっこうのチャンスよ。」
竜児「大河。お前なんていいこと言うんだ。えらいぞ。よしよし。」
大河「やたー♪竜児に褒められたっ♪エヘヘ。」
竜児「よぉし。ご褒美に今日はサンマに松茸、栗ご飯。デザートにプリンも作ってやる。」
大河「やたー♪くっりご飯♪くっりご飯♪」
竜児「……待て大河!!なんかデジャブだぞ。……っあ!!そうだ!!またふとっちまうぞ。」
大河「なぁ〜に言ってんのよ竜児。秋はスポーツの秋でもあるのよ。」
竜児「おう!!いっぱい運動して、いっぱい食べて健康的だな。」
大河「でしょ!!そぉと決まればさっそく汗かきにいくわよ。」
竜児「まさか、この展開って……」
大河「当ったり前でしょ。」
竜児「だよなぁ〜//」


ギシギシアンアン

125 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/09/02(水) 02:35:46 ID:crucrnTW
お題 「眉」「モデル」「刃」



「……社長、今時街角でモデルのスカウトって、古くないっスか?しかもこんなイナカで」
「いいの。えてしてこーゆー所にこそ金のタマが眠ってたりするもんなのよ」
「タマじゃなくて卵っスよね、それ」
「五月蝿いわね。ごちゃごちゃ言ってないであんたもイイ男捜す!
 言っとくけど、そのへんに転がってるようなのじゃ駄目よ。なんか強烈なアピールポイント持ってるようじゃないと」
「はいはい、そんな簡単に見つかりゃ苦労はないんスけどね」
「……見つけたわ」
「へ?どこっスか?」
「ほらほらあそこ!駅ビルの前!」
「え〜っと……ひょっとしてアレっスか?確かに強烈っていうか目が怖いんスけど……周りの人が避けてるっスよね」
「あの研ぎ澄まされた刃のような眼差し……間違いないわ、あの子は磨けば光る原石よ!
 そう、コンセプトはワイルド&クール!」
「ワイルドっていうか、只のワルっスよね」
「なよなよした草食系ばっかりの世の中に、一匹狼がガツンと殴り込みをかけるのよ!」
「一匹狼って実際には群を追い出された、むしろ落ちこぼれらしいっスけどね」
「あ・ん・た・は・さっきから余計な事ばっかり言ってるんじゃないわよ!」
「痛い痛い!痛いっス!こめかみグリグリは勘弁して下さいっス〜!」
「さて、問題は声をかけるタイミングよね……何してるのかしら」
「さっきから腕時計チラチラ見ては眉根寄せてるっスから、待ち合わせで相手が遅れてるんじゃないっスか?」
「……あんた、ホントに視力だけは無駄にいいわよね」
「いやあ、照れるっス」
「どうせなら待ち合わせの相手が来てからのほうがいいかしら……別タイプのイイ男かもしれないし」
「あ、来たみたいっスよ……うわ、小さいけどすごく可愛い女の子っスね!
 社長、どうせならあっちの子スカウトしたほうがいいんじゃないスか?」
「……帰るわよ」
「へ?声かけないんスか?」
「あんた、相手の女の子が来た時のあの子の顔見てなかったの?
 まー緩んじゃって、あれは狼なんかじゃないわ、犬ね犬。それもバッチリ調教済みのやつ」
「はあ……そんなに緩んでました?アタシには笑っても怖い顔にしか見えなかったんスけど……」
「デレっデレだったじゃないの。そうか、待ってる時の様子はあの女の子心配してただけだったってワケね。
 ワイルドなんてとんでもない、根っからマイルドだわ、アレは。あーあ、あたしの勘も鈍ったかしらねー」
「社長は勘以前にセンスが……」
「何か言った?」
「いえ、何も」

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 03:47:45 ID:+WBob7i9
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm6288381

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 08:45:43 ID:PW2BQ+BI
根っからマイルドw
確かに竜児はそうだわ

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 09:11:15 ID:yj+Y9tru
>>124
ギシアンすると女性はものすごいカロリー消費するが男性は飴玉二個程度だそうだ

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 16:05:21 ID:avDh/VJD
>>128
それって射精に関するカロリー消費だった気がするけど。
経験者ならマグロでない限りそんなもんでは済まん事は経験的に判ると思うが…

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 16:18:21 ID:xQHMhDcQ
>>128
>>129
確かに筋肉痛になることもあるもんな

まぁなんせ竜虎だ  そんなカロリーですまないこと確かだなww

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 23:16:37 ID:SaS6Fpf+
亜美「ひさしぶりに来たら、寂しいわねぇ。」
大河「あっ、ばかちー。何しにきた!!」
亜美「あら、すごい剣幕ねぇ。またりゅうじくんと夫婦喧嘩ぁ?」
大河「うるさい。うるさい。
  喧嘩なんてしてないし。喧嘩もしない。
  竜児は超やさしんだから。」
亜美「あーあ、だからダメなのに。
  いい?確かにとらドラは高須くんのやさしさと
  あんたの意地っ張りでうまく構成されいるの。
  でもね、裏を返せば、高須くんは優柔不断の草食系なのよ。」
大河「ま、まぁそうだけど。。。。」
亜美「仮に、高須くんが肉食系男子だったら、
  あんたはもっと早く幸せになっていたはずよ。」
大河「ほんと?ほんとなの?」
亜美「例えばだけど、一巻の最後のシーン
  『俺は竜になる。お前の傍らに居続ける。』
  のくだりの箇所だけど、こうなっちゃってるのよ。

 『なに、生意気いってるの?!なんで私があんたなんかに呼び捨てにされなきゃいけないのよ!何が対等よ。図々しいっ!立場をわきまえろバカ竜児!!』
 『・・・中略・・・だいたいなによ。あーあ、まさか、あんた』
 『まさか、私のこと好きなの?』

大河「われながら、ひどいわね。」
亜美「そう、普通の男の子なら落ち込んじゃうわよ。
  で、この後、高須くんは、否定しちゃうんだけど。
  じゃーん、ここからが本題!!

『肉食系竜児その壱』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大河『まさか、私のこと好きなの?』
竜児『・・・』
大河『ふふーん。答えられないんだ。そうよね。
  みのりんと私、二股なんてできないわよね。
  私はいいのよ。犬に好きになられても。犬だし。』
やはり虎は恐ろしい。こちらがたすけてやっているのに、
食われているじゃないか。
ニヤリと歪む大河の口元を見ながら、竜児は竜の牙を向き返す。



132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 23:17:49 ID:SaS6Fpf+

竜児『好きになったら悪いか!!』
大河『はぁ?あんたなにいってるのか、わかってるの?』
竜児『おれは、もうお前に告白している。
  さっきいったろ?お前の傍らに居続ける。って
  お前こそ、意味分かってるのか?』
大河『だ、だってあれは、あれはその、
  わたしが、北村くんにふられて竜児が勢いで、、』
竜児『勢いで言ったとしてもだ、
  前言を撤回するようなつまらない男にはなりたかねぇ。
  男に二言はねぇ。大河はどうなんだよ?!』
大河『わ、わたし?!わ、わたしは。』

竜児『あ、すまねぇ。お前の意見なんて興味ねぇ。
  俺は、俺の好きなようにさせてもらう。
  お前が好きだ。』
大河『あっ、んん、く、くるしい。。。』

くちづけってこんなに強引なのかと大河は思う。

竜児『これが俺の答えだ。
  というわけで、腹減ってるだろ?
  スーパー狩野屋で豚肉かってかえろうぜ?』
大河『って、私の意見はどうなるよ?
  あんた、みのりんはどうするのよ?』
竜児『いったろ?
  お前の意見に興味はねぇって。
  お前が好きだって。さ、帰るぞ。』
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大河「これ、強引過ぎない?」
亜美「いつも、あんたがやってることじゃない。
  それを高須くんにや、ら、せ、た、だけ(ハート)」
大河「ちっ、ばかちーのくせに発情してんじゃないわよ!!」
亜美「あーら、逢坂さん。なにかいったかしら??」
大河「べっつにぃ。」
竜児「大河、帰るぞ。
  お、川嶋も一緒か?」
亜美「あーら、やさしい王子さまがおむかえよ?
  今夜楽しみよねぇ。」
大河「うるさい、うるさい。
  竜児帰るわよ!!あんた今夜覚悟しなさいよね!!」
竜児「はぁ?俺がなにしたっていうんだよ?」

亜美「というわけで、つづくのかしら???」

To be continue ?


133 :寝言 レベル1:2009/09/02(水) 23:32:31 ID:Y35/orUL
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。
初心に返る新学期。
***

・寝言 レベル1

 恋ヶ窪ゆり(独身・30才)は授業をしていた。
「This is a pen...」
 高須竜児は焦っていた。
「起きろ、大河……! おい……起きろって……!」
 逢坂大河は居眠りしていた。
「……むにゅ……あによ……」
 クラスの連中はひそひそと沸き立った。
「うひょー……!」
「来るよタイガー来るよ……!」
「おまえらまだ授業中だぞ……!」
「アホくさ……」
「寝言は寝てからイェア……!」
 竜児はさらに焦った。
「大河……! 起きろって……大河……!」
 大河は 寝言を 吐いた!

「……うぅん……もぅ、竜児ったら、寝かせてよ……このエロ犬……」

 クラスの連中はざわざわと沸き立った!
「むひょ――――っっ!?」
「寝かさないの高須寝かさないの!?」
「おまえらまだ高校生だぞ!?」
「マ、マジで……!?」
「夏休みに花は散るもの……私、やっぱり幽霊なんか……うんうんっ!」
 竜児は焦って叫んだ!
「ち、ちげえって!? 流れ的にふつうだろ!? あとエロ犬ってのはあいつの口グセだ!」
 大河はまだ眠っている!

「……竜児の……美味しい……」

「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ――――――っっっっっ!?」」」」」
「メシのことに決まってんだろが!?」
 独身(30)は授業をしたかった。
「うぅ……もぉ、このクラス、いや……っ!」


***おしまい***

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 01:19:41 ID:EYmO9DlT
>>132
お帰りなさい!
肉食系シリーズ化ですね、分かります。

>>133
トラドラクエストですね、分かりますw

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 01:34:29 ID:li9eDbN2
>>131-132
これはいい!続け!


余談だが けいせん で変換すると少しだけ幸せに近付くらしい

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 01:36:37 ID:li9eDbN2
>>133
OTOSHIGORO

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 06:46:23 ID:Nqhn2f2z
>>135
kwsk


138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 07:59:26 ID:ntsI958p
>>132
おかえんなさいGJ!!
続け!
>>133
ええのぉ


139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 09:07:27 ID:li9eDbN2
>>137
けいせん を変換すると
━ とか ─ とか ┃ とか ┠ とか出てくるから

携帯なら候補に出てこなくても単漢変換とか漢字変換とかそういうのに出てくるから

140 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 14:16:14 ID:ntsI958p
ゆかたいが書いた者です。コメントくださった方々ありがとです。


新しいのできたんで、投下します。

今回はちょっとかわった文体で読みにくいかもです。

駄文ですが、どうぞお願いします。

141 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 14:23:40 ID:ntsI958p
タイトル『ヤンキーだって』
深井な!プロローグ
--------------------------------------------------------

はじまりは、高一の春休みだった。

--------------------------------------------------------

大河はその日駅前の新しくできた弁当屋にむかっていた。駅に向かうには中央公
園を抜けると早い。しかし、中央公園はヤンキーのたまり場で有名だった。時刻
は夕方の6時半。大河の性格である。ヤンキーのたまり場に、引くことなど到底考
えられなかった。当然の如く中央公園を突っ切っていく。

ここで、この駄文の作者の脳細胞が単細胞でできていることを証明するようなベ
タな展開が起こる。
そう。中央公園のヤンキーが二人組が大河に絡むのだ。

全くもって単純構成極まりないお決まり展開である。
いや、それも当然の流れなのかも知れない。やはり大河である。ご存知の通り内
面は狂暴きわまりない天上天下唯我独尊娘であるが、容姿はというとフランス人
形に生を与えたような精巧な顔のつくりにふわふわの茶色がかったシルクの髪を
持つという、もし美の女神がいるのならその寵愛を一身に受けたと表現せざるを
得ないという美貌の持ち主だ。

「あっれぇ〜。彼女、一人なわけぇ?今から俺らと遊びに行かね?」「行くべ。
行くべ。」などと絡んでくるヤンキー二人組に対し、大河はギラリと睨み付ける
。「おい。やめろ。」大河が鉄拳をお見舞いしようと構えた時であった。大河の
後ろから男の声がした。これまた、このボンクラ作者の考えそうな流れを裏切ら
ない形で竜児が登場してみせたのだった。



142 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 14:25:42 ID:ntsI958p
しかし、今回の竜児はいつもと少々勝手が違うようだった。「あん?何ちょーし
こいてんだおめぇ!ひねっちまうぞコラッ!……って。こいつ知ってるぞ。」「
………間違いねぇ。高須だ。デッドマン高須だぁ。ひぃーー」
「「高須くん、すいませんでしたぁ!!」」ヤンキーは一目散に逃げ出した。

デッドマン高須、大橋界隈でその名を聞いて喧嘩を売るバカはいない。
高須。老若男女問わず皆平等に暴力をふるい、骨が折れる音を好み、血の匂いを
求め、悲鳴の中で生きる。
悪辣、狂暴、卑劣、残虐おおよそ、悪いとされる形容詞が当てはまり、高須とも
めて助かった者などいない。(ほとんどデマ)それが高須竜児だった。

まぁ補足しておくと竜児はヤンキーはヤンキーだけど、高校に入って少し落ち着
いたようなのだ。中学の時にはグレていた。よくある思春期の事情である。ただ
、彼は喧嘩が強かったんだ。中学一年にして巨大勢力大橋第二中の頭だった。そ
こから、老若男女の下りがきているのだろう。しかし、元々根は真面目で勉学も
中々できる。いい高校に入って泰子に楽をさせてやりたい。子供心にそんなこと
を思い県内では進学校と言われている大橋高校に入学した。ただ、高校に入れば
高校にも不良はいる。入学したての頃、大橋高校最強と言われていた不良グルー
プに喧嘩を売られ、あっけなく勝ってしまった。周囲の反応は皆さんの想像通り
であった。高校デビューを少なからず、いやおおいに狙っていた彼はまた少しグ
レた(←これはネタ的な意味だよ。)




「大丈夫か?」

大河はその声の主を見上げた。その男はいかにもヤンキー。俺に近寄るな。とい
った顔面の持ち主だった。ハッキリ言ってタイプではない。タイプではないのだ
けれど…

大河とて女だ。悪い気分はしなかった。むしろ…
「ぁわあぁ、ありがとう。……その、助かったわ。」
そう言って振り返ってみせた大河に、竜児は見惚れてしまった。

「っお、おう。そっか。この公園はもう通るんじゃねぇぞ。ああいう輩多いから
。……お前みたいなんは特に狙われっからな。」またまたヤンキー顔に似合わず
頬赤らめちゃってぇこのヤロー。

それが伝染して大河も真っ赤になった。それは、ほんっの少しだけだが、ロマン
チックな出会いをした相手なのだ。当然だ。だって作者の願望ベタベタ妄想だも
ん。

「じゃ、俺は帰らないといけないから。気を付けろよな。じゃな。」そう大河に
言って竜児は大河に背を向け歩きだす。ヤンキー設定のくせに照れ屋さんなのか
このヤロー。


143 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 14:26:49 ID:ntsI958p
「えっ?あっ、うん。えっ?あっ、あの。名前とかっ…その、お礼とか………」
大河が思わず竜児を呼び止める。

「いや、別にそんなつもりじゃねえから。」竜児はそう言い残すと、まだ暖かく
なりきっていない少し肌寒い春の公園の奥へと歩いていってしまった。作者は思
う。キザだ、キザだ。このご時世でキザだ。だっさー。でも、いいんです。これ
は俺の妄想だから。


トクン。

------------------------
そう胸に今まで感じたことのない高揚を感じたのは………二人ともだった。おい
おい、はじめっから両思いかよ。ちっともおもしろくねぇぞ。しかし何度も言う
が、これが作者の妄想なんだからしょうがない。張り切っていこう♪

-----------------------------------


「泰子。今日は豚カツだからなぁ。早く支度しろよ。へへぇん♪」

「わぁ〜。豚カツだぁ。やっちゃん、りゅうちゃんの豚カツ大好きだよぉ。ん?
りゅうちゃん、今日なんかいい事でもあったのぉ?」
「おっおう?なんもねぇよ。早く支度しろ。」

「えぇ〜。でもでも、りゅうちゃんさっきからニヤけっぱなしだよ。」

「ニヤけてなんかねぇよ。今日は、そうだな。。。あれだ。豚が特売だったんだ
。」よかったよかった。竜児はこのSSの中でも、この設定でも家事はちゃんとす
るどうやら母親思いの良い子みたいだ。それでも、キャベツを千切りにしながら
、そんなニヤけないでくれ。妄想とはいえ、お前の笑顔はまだ恐いんだ。


-----------------------------------

大河は家に着き食事をすませた後、一人今日の出来事を思い返していた。

また、、、会えるといいな。そう小さく呟いた。


-------------------------------------


読んでくださった皆さんも溜息をついてしまったのではないでしょうか?こんな
の竜児じゃなぁい。そう叫んでしまってはいないですか?

ですが、これが竜児です。今回僕が描いた竜児なんです。しかも、はじめから両
思いです。不快かも知れませんが、どうかこのキザったるい竜児と大河のこれか
ら始まるストーリーを見守って頂けたら幸いです。

深井な!プロローグ終

144 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 14:28:59 ID:ntsI958p
以上です。

続きものなんで、ちょくちょく投下していきたいです。

変な文章ですまそ。

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 15:03:15 ID:2R6NwPV1
>>144
乙!
上手い!しかも面白いw
ベタベタな展開だけど竜虎なら問題無し。
続き期待しておりまする。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 15:04:25 ID:nymERAwE
なんか異才を放った作品ですね、pcで書いてるみたいですけど携帯さんのことも考えて改行してあげてはどうでしょう?寝る前にベッドの中で読む人も多いですし

147 :牛丼屋に来たの◇eaLbsriOas:2009/09/03(木) 16:52:18 ID:t78N0REx
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿。
選ぶ美味しさ……
***
・牛丼屋に来たの

「牛丼一丁ぅっ!」
「おい、おまえ……! こっちだ、こっち……!」
「なによあんた、うっさいわね。へいお兄さんっ! 牛丼一丁……へ? なに? 券売機? あれ?
 あれはウチの駄犬……売機……」
「だから言ったろ……」
 とことことこ。
「竜児、頭出して」
「はぁ、頭? こうか?」
 ぽかっ。
「いてっ!? おまっ、なんでぶつ!?」
「どうして券売機のこと教えてくんないの!? 恥かいちゃったじゃないよ!?」
「俺呼んだぞ!? おまえが入るなりカウンターに突進したんだろが!?……あ、あー、俺としたことが
 ……大河、以後ひそひそ声だ。マジ頼む、追ん出される」
「わ、わかったわよ……」
「……で、なんにする? 大河」
「え? なんにするって。牛丼以外、なんかあるわけ?」
「おまえどこまでわき目もふらねえんだ、外にポスターもあったろ? ほら、ご覧の通りだ、
 ここは他にも定食とかカレーとか、選べんだよ」
「外のポスターって、別の店の宣伝だと思ってた……おお……」
「さ、なんにする?」
「どっ、どどど、どうしよう? な、なんにしよう? なんにしようねえ竜児っ!?」
「おまえほど券売機前でときめいた女もいねえだろな……まあ、牛丼でいいんじゃねえか?
 おまえ、牛丼目当てで来たわけだし」
「うむむ、そ、う、だ、ね、え……」
「じゃあおまえ、牛丼な」
 ピッ。
「あ、せめて大盛りに……」
「遅えよ。てか、並でも結構量あるから充分、って泣くほどのことじゃねえだろ!?」
「うぐ……りゅ、竜児は何にすんのよ」
「まあ、俺も牛丼かなあ。ひさびさに試すか」
「えーっ、そんなのつまんない! あんたはこっち!」
 ピッ。
「おま、勝手に押すな!? だいいちつまんねえってなんだよ……って、あー、豚焼肉定食ね。
 まあいいか……」
「あとカレーも」
 ピッ。
「だから勝手に押すなって!? もうおしまい! 返金!」
 チャリチャリチャリーン!
「えーっ、もっと……」
「もっとじゃねえよ。あーあこれ、食いきれんのか……? マジで量あるんだぞ、結構」
「大丈夫大丈夫! さ、しけたツラしてないで、とっとと座る! あ、んん……んみゅ?」
「変な声出すな。どした」
「ね、竜児、どこ座るといいの……?」
「迷子ヅラすんなよ、どこでもいいんだよ。店員さん困ってるだろが。まあ、カウンタ……あれ、
 奥、テーブル席あるな。あっちにしようぜ、せっかくだ」
「うん!」

148 :牛丼屋に来たの◇eaLbsriOas:2009/09/03(木) 16:53:51 ID:t78N0REx
 てくてく、とことこ。
「よっと。テーブル席なんて出来たんだな……」
「よっこらしょーい! ふいーっ!」
「なんでひと仕事終えた感だおまえ……あ、食券。これ、お願いします」
「お水、飲ぉーもおっと……んぐ、んぐ」
「宣言もいらねえぞ……」
「……あれ? ちょっと、竜児。汚い耳かして……!」
「汚い余計だよ……おう、なんだ……?」
「おしぼりないの? ここ」
「ああそうだ、ここは……出ないかな。まあ、こんなこともあろうかとだ。持って来てる、これ使え」
「合点だ! ……おててを拭きましょうねーっと」
「なんかおまえテンション高けぇな……ああ、そうか、はしゃいでんのか……」
「ん? なに? なんか言ったキモ犬?」
「ひでえのは変わらねえか……なんでキモ犬だ」
「だってなんか、ニヤニヤしてんだもん」
「え? してたか俺。してねえだろ」
「ううん、してた。私見て、キモキモ! やめてよね、食事前なのに!」
「おまえの食欲が落ちるほどなのか、俺の笑顔は……あ、サラダ来た。豚定、俺です。ありがとうございます」
「……あれ? サラダ私のは?」
「おまえ牛丼単品だろ? サラダはねえよ。ああ、そうか、サラダはつかねえんだった」
「えぇっ、ひどい……っ。しかも二回言った……うぐ」
「いやいや。おまえ食え、これ。野菜は大事だ」
「えっ? くれるの? ぜんぶ?」
「ぜんぶかよ。まあいいよ、それでも」
「あ、ありがと……竜児は、どうすんの?」
「なにがだ? ああ、サラダか。まあ追加で買ってもいいんだが……」
「買いなよ、追加で。野菜は大事!」
「ふっ……まぁ、いいわ。俺は」
「えーっ。じゃ、じゃあ、半分こする……」
「いいんだぞ、全部食べても」
「やだ、半分こするの!」
「なんでムキだ……いいよ。じゃあまあ適当に残せ。てか、取り皿もらうか? あんのかなここ」
「いらないよ取り皿なんて……あんた、いるの?」
「俺か? いや、俺は……俺はべつにかまわねえけど、おまえがいるかと思ってさ」
「私はいらない」
「お、おう。そうか。イマイチおまえの基準がわからねえが……ま、いいや。食え食え」
「うん。んじゃお先に、いっただっきま」
「お、来たぞ。カレーこっちです、牛丼はそっちで。ありがとう」
「わーい、牛丼!」
「おう、まさしくな。じゃあ、食おうぜ」

149 :牛丼屋に来たの◇eaLbsriOas:2009/09/03(木) 16:55:23 ID:t78N0REx
「うんっ! いっただっきまーす!」
「よしよし、いただきますっと」
「あーん、っと」
 ぱく。もぐもぐもぐ……ごくん。
「……どうだ? ってか、テンションモロ下がりだな……」
「わかる? あのさ、竜児……」
「なんだ、耳か……どした」
「……牛丼って、こんなん……?」
「……こんなんじゃねえか? どした、不味いか?」
「……不味くはない、けど……あんたの牛丼のが美味しい……」
「おう……そ、そりゃあ、嬉しいけど、よ……」
「……照れんな、キモい」
「……耳元で罵んなよ……っと、あ、すんません。豚定、えっと。ここらへんに置いて下さい。どうも」
「うわあ……け、けっこう、ありますな……?」
「ありますなじゃねえよ、言ったろ? どれも基本、ウチで言えば大盛りなんだよ、ここの。
 まあ、おまえの食欲に期待……」
「……」
「……できねえのか……? まあ、がんばるべ。食うぞ、大河」
「……」
「……マジか、一口で牛丼だめか。あー、じゃあほら。カレーと交換だ、大河」
「いつもすまないねえ……」
「それは言わない約束だろ……どうだ、カレーは」
「おお? これは……もぐもぐ……なんか、意外に、わりと……?」
「おう、そうか。まあよかった。ここ、むしろカレーのファンってのも多いらしいからな」
「えっ? じゃあ、牛丼は? やっぱ吉牛とかのがいいわけ?」
「いやあ、どうなんだろうな。そう言う人もいるけど、俺は正直たいして違わねえと思う。
 てかな、牛丼てのがそもそも、どうにも完成した食い物だって感じがしねえんだ、俺には」
「完成……?」
「うん。たとえばな、カツ丼とか親子丼とかは完成した丼だと思う。素材だ卵のとじ具合だとかは、
 まああるけど、そりゃ腕とかの問題でさ。基本は変わらねえ、てか変えようがねえ。変えたら別モンになる」
「ふんふん」
「あとな、豚丼ってのもある。いや、ここにもある牛丼の煮汁で煮ただけの、ぶっちゃけ適当な
 ヤツじゃなくて。北海道の豚丼だ、十勝だかの。これはいっぺん食ったことがあるだけだけど、
 よく出来てた。基本はうな丼のたれで豚ロースを焼く、いわば豚の蒲焼なんだが、
 こげも香ばしくて美味いし、なにより火が通っても豚は充分に柔い。これも基本、完成してると思う」
「おお……豚丼食べたい。食べに行こ、竜児っ!」
「こ、今度な……? そこでだ、問題の牛丼なんだが。俺の牛丼食べたろ? 大河」
「うん。てか、食べたに決まってるじゃないよ。そんで、専門店と比べたいーって、ここ来たんだもん」
「比べたいとか言ってたか? おまえ。ひとりじゃ入れない、入ったこと無いから連れてけ連れてけー
 って、駄々こねられた記憶はあるんだが……」

150 :牛丼屋に来たの◇eaLbsriOas:2009/09/03(木) 16:56:57 ID:t78N0REx
「う、うっさいよ!? そっ、それで、あんたの牛丼食べたから、何?」
「おう、それさ……いや、さっきはおまえ、俺のが美味いって褒めてくれたけど、それでもまあ、
 あのくらいにしかならねえんだよ。ぶっちゃけ、すげえ美味いってんじゃ無かったろ、俺のも?」
「うん!」
「うおお、いい返事傷つくな……まあでも、そうなんだよ。俺もわかってる。でな? 俺はあの煮汁、
 砂糖炒ってカラメル作るところから入ってる。牛もまあ、そこそこのヤツの切り落としだけど、
 しゃぶしゃぶの要領でささっとくぐらせて、レア気味の食感にして。レシピ的には完璧なはずなんだ、
 てめぇで言うのもなんだけど。それでまあ、ようやくここよりちょっとは美味くなるわけだ。
 でも、そんだけだ。どうしてもそれ以上にならねえ」
「な、なんか難しい話になってきたね……科学?」
「料理だよ。まあ、科学……いや、料理だ。まあつまりな、基本のレシピがまだ弱いって感じがするんだよ、
 牛丼は。未完成なんじゃねえかな、もっと詰めれる気がする」
「ふんふん」
「てかな、牛がそもそも難しい肉なんだよ。薄切りにしても、火が通ればすぐ固くなる。牛はやっぱり、
 厚めに切ってレアに焼くか、煮込んだ方が柔らかくて旨い。火がしっかり通るやり方で薄切りにする
 ってのは、薄くしねえと固くてしょうがねえから、仕方なくそうしてるだけなんじゃねえかって気が」
「竜児……竜児……!」
「するんだよなあ、まさに苦肉の策……って、なんだ、どうした大河」
「店員、睨んでるよ……」
「うわやっべ。俺、声大きかったか? す、すんませ……」
「店員、奥に逃げたよ……あんたチラって見たから」
「お、おう。う、うん、まあ、なんだ? しばらく来れねえなここ……って、あれ? 俺の豚焼肉定食は?」
「食った」
「うぇ!? か、カレーもたいらげた後でか?」
「うん!」
「じゃ、じゃあ俺は……この、牛丼か」
「そう、あんたはその、イマイチと力説していた牛丼を食べるがいい! ……ぷくくっ!」
「鬼かおまえは……」
「ん……でもね? 竜児。ほんとはね?」
「なんだよ?」
「あんたの牛丼、とっても美味しかったよ? すっごく、美味しかった」
「おうっ? おう、そうか。そりゃ……あ、あんがとよ……」
「うん……牛丼だけじゃなくてね? いっつも、いっつも、美味しいの……あんたのご飯、大好き。
 ありがとね、竜児……」
「あ、ああ。そうか。な、なんだよ、大河、急に……いや、なんてか、ま、まいったな、俺。
 す、すげえ嬉しい……ぞ……」
「ん……だからね? 竜児……」
「お、おう。なんだ? た、大河」
「だから……今はそのイマイチな牛丼を食うがいい……ぷっ!」
「お、おお、おおお、おおおおお……この、鬼っ! てかおまえ、サラダどうした?」
「ぜんぶ食った」
「やっぱ鬼だ! 鬼だおまえは、大河!」


***おしまい***

151 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 17:41:54 ID:ntsI958p
コメントくださった方々ありがとうございます。処女作『ゆかたいが』では
誤字脱字が多かったので今回はそこを見直してみました。

>>150
GJっす!!代理投稿ってどんなんなんですか??
すいません。まだ初心者なんで。

>>145
ありがとです。頑張ります。べたべたっすよねW

>>146
キーボード苦手なんで携帯で書いてメールでPCに送って書いてるんですよ。

もう少し改行にきをつけてみますね!!

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 17:52:53 ID:DUjIj+Xc
>>146
お前が言うなw

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 17:54:12 ID:DUjIj+Xc
まあ改行に関して言えば2ch的には文節で改行するのがベスト

…なんだけど、改行位置も作風のひとつとして俺は読んでる

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 17:57:50 ID:DUjIj+Xc
>>151
2chへのアクセス禁止に巻き込まれて書けない人がいるんだよ
んでまとめサイトにある避難所掲示板に書き込んでるんだけど
その作品をこっちに転載してんの

キーボード苦手とは…
これはもう毎日2chで遊んで慣れるしか無いね

てか投稿したら一度どう表示されてるか見てみた方が良いかと

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 20:58:05 ID:QNstgL54

>>117>>118>>119>>121>>122
感想どうもありがとうです。
特に見づらくも無かったようで何より。

>>150
ときめき大河が可愛いなー
すっかり秋だし食い物ネタいいよねw

>>151
GJでした、次回も期待してます。
改行は前回より大分見やすいと思いますよ。
キッチリやろうとすると手間掛かるんで負担にならない程度でw

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 21:02:46 ID:dWEzMCab
>>139
そうじゃなくてそれが出てきて何ができるのか聞いてんだけど


>>144
いいねw
所で深井な!ってどゆこと?
とりまGJ

157 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/03(木) 21:24:40 ID:ntsI958p
>>153
>>154
解説ありざっす。じゃ、毎日やってみますw

>>155
できるだけっていう方向性でがんばってみます。ありざす。

>>156
このSSのタイトルが『ヤンキーだって』

で、プロローグのサブタイトルが深いなです。

単に不快なってのを深井なにしただけです。

143の不快かも知れませんが、どうかこのキザったるい…からきてます。
わかりずらw

すまそ。

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 22:13:12 ID:pWtzkyIZ
>>142
デッドマンって聞いて、列車運転中に運転士の意識喪失などの異常事態が発生した場合
自動的に列車を停止させる保安装置が浮かんでちょとワロタ

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/03(木) 22:38:33 ID:mG1cr0OU
>>156
罫線を使えば

ーーーーーーーー
よりも
━━━━━━━━
とか
────────
とか見栄えのいい区切り線が使える

160 : ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:13:56 ID:5mmGWDLD
>>42です。
真夏のシンデレラ4にいろいろ感想など頂きましてありがとうございます。
できるだけ注意したつもりですが、嫌な汗をかかせた方、スイマセン。

>>144
続き待ってますね。

>>150
こういう感じの大河と竜児が好きですね。
オチも楽しかったしw


適当な区切りまで書けましたので、以下「真夏のシンデラレ」続きを投下します。

161 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:15:59 ID:5mmGWDLD
「食べないのか?」
「・・・うん、ううん」
大盛りのデコレーションパフェを前にして、大河は借りて来た猫の様に大人しかった。
いつもの大河が100ワットの電球なら、今の大河は高須家のトイレの電球の明るさ。30ワット電球でやや明朗さを欠いていた。
つい、数十分前に大河と竜児は2時間待った念願のバスに乗り、JRの駅前まで戻って来たところだった。
戻る途中のバス車中で大河は静かで、日頃の快活さに影が射しているのを否定出来ない。
そんな大河を気遣って、竜児はバスから降りたところで見つけた駅ビルの中にあるファミレスへ大河を誘いこんだのだ。
「どっちだよ?MOTAAINAI。お前が食わないなら、俺が食う。寄こせ」
「あげない。これは私の」
「じゃあ、食え、どんどん食え・・・食って、元気出せ」
「・・・ん」
ノロノロと大河はスプーンを手にするとパフェの頂上を崩し、真っ白なクリームを口へ運んだ。
「・・・甘い」
少しだけ大河の表情に光が差して、朗らかになった。
「プリンもどうだ?」
「食べる・・・おいし・・・」
カラメル色の欠片を舌に載せ、味わう様に大河は飲み込んだ。
「竜児」
「何だよ、うまくないのか?」
「ううん。プリンはおいしい。・・・その、何て言うのか・・・また竜児に迷惑かけた」
「かまわねえって。むしろ俺は大河のこと、あれこれ聞けて良かったって思ってる。それより心配なのはおまえの方だ」
「私?・・・なんともないけど」
「つい、勢いに任せて聞いちまったけど、大河がそれを話すことで嫌な思いを追体験したんじゃないかって」
「へ?そんなこと気にしてたんだ。つまんない事ばかり心配して禿げても知らないから」
茶化すように大河はジェスチャーでかつらを被るマネをした。



162 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:17:05 ID:5mmGWDLD
「俺は真面目に聞いてるんだ」
「なら、私も真面目に答えてあげる」
柔和な表情を改め、大河は言葉を選ぶ。
「トラウマって言うの?確かに蘇ったし、昔の古傷も見たわ。さすがの私もちょっと滅入った気分、久々に味わった」
「だから・・・」
「竜児は黙って。話せばそんな気分になるって分かってた。でも、私は話したかったの・・・知って貰いたかったから、竜児に・・・私のこと」
「・・・大河」
まっすぐこっちを見る大河の厳しい視線の中に揺らめく感情のともし火を見つけて竜児はそれ以上何も言えなくなってしまった。
「押し付ける気もないし、聞き流してくれてもいい。話したこと、後悔してない。それだけは知っておいて」
「分かった、大河のその気持ち・・・受け取っておく、ちゃんとな」
竜児の答えに大河は体全身に入れていた力を抜き、どこか安心したみたいに顔に貼り付けていた能面を剥ぎ取り、ノーマルな表情のパーツと取り替えた。
「なんか、急にお腹すいてきちゃった」
スプーンを再び手にした大河はいつも食べっぷりを発揮し、瞬く間にデコレーションパフェを食べつくした。
口の周りにクリームを付けたまま、おいしかったと言う大河に紙ナフキンを手渡して、竜児は口元を指差してやる。
「付いてんぞ、クリーム」
「んん・・・取れない」
小さな口から赤い舌を伸ばして付いたクリームを舐め取ろうとする大河。
「拭け」
「もったいない・・・ん、んん、もうちょっとかな」
「はしたないだろ」
あくまで舐め取ろうと無駄な努力を続ける大河の姿に竜児は実力行使に出た。
席を立ち、座る大河の脇から手を伸ばし、頬に付いたクリームを指先で拭い取ると、自らの口へ含む竜児。
「竜児が・・・竜児があ・・・食べた。私のパフェ」
悲しそうな声を出し、大河は名残惜しそうに竜児の口元を見る。
「人聞きの悪いこと言うな。ひと口分にもならねえ量だろ」
「それでも、食べたことに変わらない。食べ物の恨みは恐いんだよ、ね、竜児、知ってるわよねえ」
そう言った大河の口の中に牙を見た気がして竜児は自分の席へ後戻り。
そのままメニューを大河に渡し、好きな物、追加しろよと自棄のように言い放った。
「そうこなくちゃ」
嬉しそうにメニューを見てクリームあんみつを追加する大河に竜児は念のため言っておく。
「もうすぐ予約したディナーの時間だぞ」
「そっか、もうそんな時間」
大河はお腹に手をやり、「う〜ん」とうなりながら腹具合と相談する素振りを見せる。
「大丈夫だって」
「何がだ」
「私のお腹の虫が言うの、あんみつ食べても大丈夫だって」
「甘い物は別腹か・・・ほどほどにしておけよ」
「うん」
弾けるように笑う大河はスポットライトをあてたかの様にきらめいて見えた。
いつもの大河が戻って来たのに安心したのか竜児も釣られて一緒に追加注文を出していた。


163 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:18:35 ID:5mmGWDLD
「このカッコで・・・いいのか?」
竜児は自分の全身を下から上まで見渡した。
「大丈夫でしょ、そんなに格式ばったお店じゃないし、昨日、インターネットで予約した時もドレスコードの指定無かったから」
「大河はそれなりの服装だけどよ、俺は・・・ジャケットくらい着て来れば・・・抜かったか」
本日のメインイベント、ホテルでのディナー会場へ到着した大河と竜児。
地上20数階建てホテルの地下にうやうやしく構える高級そうな店舗が目的のお店だった。
いかにも高そうな物を食べさせますと言った雰囲気が店の外まで漏れて来ていて、ファミレス程度しか行った事が無い竜児に無言の圧力を加えて来ている。
普段、入り慣れない店構えに竜児は思わず及び腰。
「こんなにすごい所だんなて思わねえから」
「文句言わない。Tシャツ、Gパンなら入店お断りって可能性もあるけど、今日の竜児の服装ならカジュアルで認められるから、何も言われない」
「そうなのか」
「そう、ほら、しゃっきとしなさい。もっと堂々として」
「お、おう」
「じゃあ、入るわよ」
「ま、待て、大河」
「もう、何?」
「ちょっと、深呼吸」
その場でスーハーする竜児。
「あのね、竜児。変なところへ入るわけじゃないんだから」
あきれたように言う大河に竜児は踏ん切りが付かず往生際の悪さを露見する。
「心の準備がまだなんだ」
「じれった!」
とうとう切れた大河は竜児を突き飛ばすようにして店内に送り込んだ。


「いらっしゃいませ」
黒のベストを着た従業員に慇懃に出迎えられ、「ど、ども」と竜児はトンチンカンな応答を返す。
既に余裕をなくした顔つきでテンパル竜児に見切りをつけて、大河は仕方ないといった感じで竜児の前に出た。
「予約してた高須です」
「高須様ですね、承っております」
キーボードを叩いて、ディスプレイ画面に視線を這わせた黒服は予約が入っていることを確認すると、「高須様。2名様ご案内」と告げ、店内の入り口付近に待つ別の黒服へ業務を引き継がせた。
「予約したのは大河だろ?何で俺の名前で予約なんだ?」
「普通はそういう物なの」
「そう・・・なのか?」
テーブルへ案内する黒服の後を付いて行きながら竜児は小声で大河に問い質した。
なにせ、竜児にはお店を予約すると言う発想すらなかったのだ。
昨日うちにそれを大河に指摘され、そのやり方がわからず、竜児には珍しいことだが全てを大河へ丸投げしていた。
「こちらのお席になります」
店内の一画にあるテーブル席へ案内した黒服は備え付けの椅子をゆっくり引いて着席をうながした。
思わず竜児が席に近づくと黒服が一瞬、困ったような表情を浮かべる。
「竜児」と大河は声を掛けて竜児の前に回り込むと、そのまま椅子に座った。
続けて竜児も座ったわけだが、頭上に疑問符を付けて大河を見ている。
「こういうとこは女性優先なの」
「そうなのか」
「そう・・・・・・別に順番なんてどうでもいいけど、お店から見下されるのは不愉快じゃない」
「知らなかった」
「別に竜児が気に病むことじゃない。ことわざにもあるでしょ。郷に入っては郷に従えって」
「面目ねえ」
「事前にレクチャーしなかった私も悪かったけど、そんなにへこまないでよ」
「いや、いつもみたいにグズ犬、ダメ犬と言われた方が気が楽だ」
「言わない。竜児はグズでもないし、ダメでもないから。そんなつまんないマナーのひとつやふたつ知ってたって偉くない。だけど、いつまでもそんなこと言ってるんならホントにグズ犬以下・・・私は・・・竜児にそんなスマートなところ期待してない」
「・・・ひでえ言い方だな」
「スマートにエスコート出来る奴なんていっぱいいる。・・・そんなのは上辺だけ。竜児は・・・違うと思ってる。・・・そう思うのは私の買い被り過ぎ?」
「作法、いっぱい間違えるぞ。それでもいいのか?」
「いいよ。竜児となら恥かいても構わない」
「言ったな。で、さしあたってこのずらりと並んだナイフとフォーク、どう使うんだよ?」
「外側から順番に料理が変わるたびに使い分ければいいの。分からなかったら、私のが取るのを見て、同じ物を使えばいい」
「お、おう」


164 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:21:10 ID:5mmGWDLD


「失礼致します。お飲み物はいかが致しますか?」
黒服が恭しく竜児に差し出したのは見慣れないアルファベットが並んだメニュー。
英語?いや違う・・・何て書いてあるんだ?エジプト象形文字の前にした考古学者の気分をたっぷり味わいながら、解読不能だと竜児が半分パニックになり掛けた時、大河が手助けを出した。
「竜児、私たち、まだ未成年でしょ」
大河のこの言葉に竜児は目の前のメニューがいわゆるワインリストのような物だと理解できた。
・・・食前酒ってやつか、これは。
もちろん、飲んだらまずいよな・・・じゃあ、何を頼めばいいんだ?
そうだ、アルコールが入っていなければいいんじゃないか。
「アルコールの無いもの・・・そう、ノンアルコールで・・・何かありますか?」
竜児の問いにミネラルウォーターかノンアルコールワインなら用意可能と答える黒服に「ワインの方を」と竜児はオーダーを入れた。
かしこまりましたと黒服が行ってしまってから、竜児はホッと一息。
「あ、あれで良かったのかよ」
「正解」と大河は胸の前で小さく拍手。


「これ、ワインだよな?」
「見た目だけね」
竜児と大河の前に置かれたグラスに湛えられた半透明の液体。
「中身はようするにグレープジュースってことか」
「ま、そんなもの・・・じゃあ、竜児」
「おう」
大河はワイングラスの柄を器用に掴むと目の高さに捧げ持った。
竜児も同じように大河をまねてグラスを持ち上げた。
照明のやや落ちたほの暗い店内。
テーブルの上にある蜀台の赤いろうそくの灯がゆらゆらと大河の白い頬を淡い色で浮かび上がらせる。
持ち上げたグラスに越しに見える大河がいつもの大河に見えなくて、竜児はドキリとした。
もともと美少女と言っていい大河の素質。涼しげな目元から細く伸びる鼻筋、可憐な花のような口元。
そしてそれらを取り囲むシャープな顔の輪郭とあいまって個々の作りの良さを際立たせていた。
加えてふんわりと大河を包むように伸びる色素の薄い長い髪とアクセントのように付けられた赤いリボン。
さっき、お店に入る前に「ちょっと」と言いながら化粧室に消えた大河。
ブラシを丁寧にあてたのか、不自然に跳ねたところも無くサラリと流れるように整った大河の後ろ髪。そこへちょこんと小さな可愛らしいリボンが結びつけてあった。
化粧室から出て来た大河を見て竜児は一瞬、目を瞬かせたのだ。
今、目の前にいる見慣れたはずの大河が、まるで初めて見る女の子に見えて竜児は戸惑う。
・・・大河・・・だよな?
美化補正用のフィルターでも通してるんじゃないかと、竜児はまばたきを数回してみたものの、大河は雰囲気は一向に変わることは無かった。
「どうかした?竜児」
「あ、いや、なんでもない」
まさか、見とれてたとも言えず、竜児はあいまいに誤魔化した。
「乾杯しよ」
「そ、そうだな」
「それじゃ、かんぱーい」
より高く、グラスを持ち上げる大河に合わせて竜児もグラスを掲げた。
「んん・・・ん」
口を付けてグラスの中身を飲み乾して行く大河。
「ふう・・・おいしい」
グラスをテーブルへ置き、目を細める大河。
口元にこぼれた雫を手でそのまま拭おうとし、「あっ」と言う顔をすると、その手を慌てて引っ込めた上で、何事も無かったかのようにナプキンの裾を上品に使って見せる。
その取り澄ました様子に竜児は微笑みを隠せなかった。
「何よ?おかしい?」
じっとこっちを見てる竜児に気が付き、大河はいつも調子でじろりと竜児をにらむ。
「私だって完璧じゃないわ。笑うことないでしょ」
「いや、わりい。笑ったわけじゃないんだけど」
「じゃあ、何?その締まりのない口は。無駄に大口あけてるんじゃない。小さくなるように縫い合わせてあげよっか」
いつもの調子の大河に竜児は変な安心感を感じてますます表情が緩み、大河をかっかさせた。


165 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:22:37 ID:5mmGWDLD

前菜に始まり、スープ、魚料理とコースは進んで行く。
さすがに有名シェフの料理だけあって、竜児の舌は驚きの連続を味わっていたが、慣れないナイフとフォーク遣いに悪戦苦闘が続き、せっかくの料理を味わう余裕を欠いていた。
そんな中、それにしてもと竜児は思わざるを得ないことがある。
目の前の大河のことだ。
さっきから竜児の前で大河は流れるようにナイフやフォークを使いこなしていた。
上手にパンを切り分け、ほんとんど音を立てずにスープを飲み、フォークで巧みに料理を口元へ運ぶ姿はとても高須家の夕食の席上では見られない光景。
容赦なく人のおかずに手を出し、あまつさえぽろぽろとご飯粒をこぼしながらチャーハンをがっついて食べていたあの大河とこの大河は同一人物かと竜児は目を疑う思いだった。
時折、滑るのかガシャンとお皿とナイフが派手な音を立てるのが大河らしいと言えば大河らしいし、肉がうまく切れなくて「チッ」と舌打ちして見せるところも大河そのもの。
それでもと・・・竜児は思う。
俺よりもはるかに洗練されている・・・大河にとってこんな場所で飯を食うことは別に珍しいことじゃなかったんだろうな。
改めて今まで育って来た環境の違いを竜児は感じてしまう。
大河が住んでいるマンションを見れば逢坂家の財力と言うか家格が上流に属していることは疑う余地が無い。
そんなT中で暮らして来て、TPOで使い分けられるなんて、大河、おまえはやっぱり凄いよ。
淑女なんて言葉、似合わねえとか思ったけど、俺が間違ってた。大河は立派なレディだ。
もしかしたら、大河だって両親と不仲でなければ、「お嬢様」とか言われる様な存在だったのかもしれないな。
・・・しかし、『大河、お嬢様』か・・・似合わねえ・・・。
執事に誘導されて高級車の後部ドアからドレス姿で降り立つ大河の姿を思い浮かべたものの、竜児の脳裏では歩き始めた瞬間に見事にこける大河が映し出されていた。
そこで竜児は「ぷっ」と思ったままに吹き出していた。
「あによ?にゃにがおかしいの?」
「口の中のもの、飲み込んでからしゃべれ」
「ん・・・んぐ、んぐ」
「慣れてるよな、大河」
「初めてじゃないしね・・・最近はないけど、父親とかに良く連れられて来た時期もあったしぃ・・・りゅうじいは・・・」
・・・?
「ああ、俺は初めてだな、こんな店」
・・・大河?
「そうなんだあ・・・竜ちゃんは初めてでがんすかあ・・・」
「・・・・・・大河?」
「えへえ、やっちゃんのまねえ・・・似てるかな・・・えへへ」
大河が変だ・・・竜児ははっきり認識した。
「大河・・・どうした?」
「ろうもしない・・・私は・・・ふちゅうだよん」
トロンとした瞳に回らない呂律。そして朱を塗ったように赤らむ目元。
これが意味するところは・・・竜児は嫌というほど知っている。
仕事から帰って来る時の母親にそっくりだから・・・。
「大河、ちょっといいか」
「らに?」
竜児は大河の前に置いてあるワイングラスを掴むと、その中身を少量、口に含んだ。
舌とのどにちょっと焼けるような感覚を感じ、間違いないと確信する。
そして、大河が追加注文したボトルを手に取った。
最初に飲んだノンアルコールのワインがおいしかったらしく、大河はコース料理が始まってまもなく、ボトルごと追加したのだった。
竜児はどうも口に合わない感じがしてミネラルウォーターにしたのだったのだが・・・。


166 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:24:10 ID:5mmGWDLD

・・・アルコール度数 15%未満

ボトルのラベルに描かれた文字が大河をおかしくした原因だと教えていた。
本物のワイン・・・飲ますなよ。未成年に。
大トラと化しつつある大河を前にして竜児は頭を抱えたくなった。


「・・・あえして」
竜児の手元に行ったワイングラスを取り戻そうとする大河。
「ダメだ」
「え〜竜ちゃんのいけずう・・・鬼、あくまあ・・・ドケチいぬう」
「もう、おしまいにしような、大河」
これ以上飲ませるわけにはいかねえぞ。
「らあ、じゃんけん・・・しよ・・・わたしがあ・・・勝ったらあ・・・ね」
「はいはい。じゃんけんは昼間さんざんしたから今日はおしまい」
「ちぇ・・・つまんあい・・・竜児、つまんなあい・・・何か、面白いことして?」
「面白いこと?」
「らによ・・・できないってるうの、このらめいぬ」
酔っ払った口調じゃ迫力ねえなと思うものの、妙に据わった感じのする視線に何かしないと大河が暴れ出しそうな予感がする竜児。

「・・・ちょっと待て」
竜児は少し思案してポケットの財布から百円玉を一枚取り出すとテーブルの上に置いた。
「ひゃくえ〜ん」
「そうだ、百円玉だ」
「ろこが、面白いの?」
「まあ、待て。今からこの百円玉をテーブルに埋めてやるから」
「うひょ・・・ろうやって?」
「見てろよ」
竜児は百円玉の上に右手を載せて百円玉を覆い隠した。
そこへ左手を重ねて百円玉をテーブルへねじ込むような仕草を繰り返し、最後に右の指3本で百円玉をテーブルへ押し込むようなポーズ。
「はい」
掛け声と共に竜児がテーブルから手を放すと、不思議なことに百円玉は消えていた。
「す・ご・い・・・竜児、すごいよお」
大河といえば目を見張って子供のように大はしゃぎ。
身を乗り出すようにして百円玉が消えた辺りを摩訶不思議なものを見たと言う風に見つめた。
単純すぎるトリックなのだが、まさか大河がここまで大喜びするとは思わず、かえって竜児の方が面食らう。
その大河は酔いの赤さと興奮の赤さが相乗して、ピンク系のチークでもひと掃きしたんじゃないかと思わせる面立ち。
ナチュラルメイクをしたみたいになっていた。
妙に子供ぽい大河のテンションと大人びた感じにすら見える外見のギャップに、竜児はしばし、大河から視線を外せない。
「竜児・・・えへへ」
テーブルに頬づえをついて竜児を見つめる大河。
「な、何だよ。嬉しそうに笑って」
「るうじってえ・・・よく見るとおね・・・言っちゃおうかな・・・あのね・・・かっこいい」
「そりゃ、どうも」
しらふだったら絶対に大河はこんなこと言わないよな。
どこまで本気なんだか。
まあ、酔っ払いのたわ言として聞き流しておくのが一番か・・・それにしても・・・泰子の言うことは当ってたな。

・・・大河ちゃんはね。きっと楽しいお酒を飲むよ。酔っ払ったら朗らかになって、一緒にいると楽しいよん。大河ちゃん、早く大人にならないかな、そしたらうんとおいしいお酒、ごちそうしちゃうのに。

さすが、酒のプロ。見事に予測どおりだぜ。
ちなみに竜児は酔っ払うと愚痴り始めるタイプだそうで、息子に大甘な泰子でも、竜児とは飲みたくないときっぱり言い切った。


167 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:26:06 ID:5mmGWDLD
既にコース料理はメインディッシュが終わり、デザートを残すのみとなっていたのだが、そのデザートを運んで来た黒服に竜児は軽くクレームを付けた。
・・・酔っ払いを作ってくれてありがとうと言う気持ちだ。
状況を把握するや、すぐさま支配人を伴って戻って来る黒服。
支配人は平謝りに謝った上、今日のお代は頂きませんと言い、お詫びの品まで付けて竜児と大河を店から送り出した。
・・・くれぐれもこのことはご内密に。
同じ銘柄だからってノンアルコールと普通のワインを間違えて出した上に、事故とはいえ高校生に飲ませたんだから、万一、表沙汰にでもなれば店の看板に傷がつくというもの。
くどいくらい念を押していた。


「歩けるか?大河」
「らあいじょうぶ」
と、本人は言い切るが、行動がともなっていなかった。
ホテルのロビーへ続く廊下を俗に言う千鳥足で竜児が手を放すと右へ左へフラフラと進み、そのまま柱に頭から激突する始末。
「いらあ〜い」
大河はぶつかったところを押さえて、その場にうずくまる
「た、大河、大丈夫かよ?大きな音がしたけど」
「らいじょうぶじゃない。痛い」
見れば、小さなこぶが出来ていた。
「これは痛そうだな・・・ちょっと待ってろ、ハンカチ濡らして来る」
近くにあった化粧室へ竜児は飛び込んだ。


「これでどうだ」
竜児はほどよく濡らした冷たいハンカチを大河に出来たこぶに当てた。
「少しいいけど・・・まだ、痛い」
「ホント、わりい、大河。しっかり捉まえておくんだった」
手を放したばかりに申し訳ないことをしたと竜児は大河に頭を下げた。
「自分で、歩くって言ったんだから・・・竜児のせいじゃない」
ロビーのソファに大河を座らせ、竜児も隣に腰を下ろした。
「でも・・・悪いと思うなら・・・あれ・・・して」
「あれ?」
あれとは何のことだろうと竜児は首をひねる。
「あ、あれって言ったら、あれよ」
歯切れ悪く大河はあれの正体を明かさない。
「はっきり言えよ。出来ることなら何でもするから」
「嫌って言わないでよ」
「おう」

・・・大河が少しモジモジしながら言い出したのは痛みを消すおまじないのことだった。


168 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:28:05 ID:5mmGWDLD

「いくぞ」
「うん」
「痛いの、痛いの、飛んでいけえ〜」
半ばやけっぱちで竜児は大河に出来たこぶに手を当てて、痛みが飛んでいくとされるやや幼児向けの万国共通の呪文を唱えた。
「・・・もいっかい」
「痛いの、痛いの・・・」
以下ループで繰り返すこと数回。
いい加減、竜児が恥ずかしくなって来た頃、大河は終了を宣言した。
「もういいよ・・・竜児。痛くなくなった」
「いいのか?」
「うん、これ以上は竜児も辛いでしょ」
「そんなことはねえぜ、何度でもOKだ」
「もう十分だから、いいよ。・・・なんか急に懐かしいことしてもらいたくなっちゃって」
「懐かしいか」
「小さい頃・・・よく転んだり、ぶつかったりしたんだ。その時、よくママ・・・母親がしてくれたの。今の竜児みたいに」
「ごつごつした手だったけどな」
「ううん、竜児の手、温かかった・・・目をつぶっていたら、あの頃と変わらない・・・・・・パパもママも仲良くて・・・私が・・・いて・・・それで・・・・・・竜児が・・・いる・・・・・・・・・の」
「・・・大河?」
ソファの縁に頭を預けた格好ですうすうと寝息を立てている大河。
その寝顔は穏やかで、いい夢でも見ているのか、とても幸せそうだった。
こんなところで寝ちまってしょうがねえなと竜児は思わないでもなかったが、大河の様子に起すのもためらわれ、少しだけ寝せてやることにした。
大河の顔に掛かる前髪をそっと手で払いのけてやりながら、ここまでやって来た不思議な関係に竜児は想いを馳せる。
・・・まさか、こんなに仲良くなるなんて思いもしなかったぜ。
・・・いろいろあるけど、俺はおまえが居てくれて良かったって本気で思ってる。
・・・よく考えたら、こんなに自然体で付き合える女の子って、初めてだ。
・・・不思議な奴だよ、大河。
・・・気が付けば、いつもおまえが視界の中にいるようになったんだもんな。

眠気は伝染するもの。大河の幸福そうな寝顔を眺めている内に、竜児も夢の国へのパスポートを手にしていた。

竜児が眠りに落ちる寸前、大河の唇は「竜児」とその名を呼び、続けて数文字分の声にならない動きを見せた。
空気を振動させること無く消えた言葉。
大河は自分でも知らないうちに、心の奥深くにある引き出しを開けていた。
その中身が何であったのか・・・竜児は聞くことは出来なかったし、大河自身もその言葉を発してしまったことに気づいていなかった。


「ん・・・寝ちまったか」
浅い眠りを物音で破られて、竜児はうたた寝から目を覚ました。
睡眠時間はほんの30分くらいだろうと見当を付けた竜児はロビーの壁時計を見て仰天する。
「12時近いじゃねえか」
もう深夜と言ってもいい時間帯。ついさっきまで人気の見えたロビーは閑散としており、人の姿が見えなかった。
大河は、ソファーからずり落ちそうな姿勢で寝こけており、あともう少しでソファーからお尻が落ちそうなくらい危なっかしい。
「大河、おい起きろ。大河、起・き・ろ!」
肩を軽く揺すってやると、「んん・・・なに・・・もう朝?」などと寝ぼけた声を出し、両手で目をこすりながら上半身を起した。
「竜児・・・?朝ごはん・・・何?」
ボーっとした顔で竜児を見て朝食の献立を聞いて来る大河。
「朝じゃねえ。真夜中だ。ついでに言うとメシはねえ」
「朝じゃない・・・おやすみ・・・すう」
「寝るな!」
そのまま、また寝てしまいそうになる大河を竜児は急いで正気にさせた。
「・・・っつたく、どうする?」
「どうするって?」
「終電、間に合わねえ」
俺としたことが不覚と、竜児はほぞを噛む。
ここから大橋へ向かう郊外電車のターミナルまではまだ電車がありそうだったが、その先はもはや絶望的だった。

169 :真夏のシンデレラ5 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:29:31 ID:5mmGWDLD

「じたばたしても仕方ないでしょ?」
「仕方ねえ、タクシーで帰るか・・・」
そう言ったものの料金がいくらになるか想像が付かない竜児。懐具合が痛むが止む終えないと腹をくくった。
「そうと決まれば・・・」
竜児の物言いを受けて大河はソファーから勢い良く立ち上がった。
しかし、それがいけなかったのかも知れない。
立ち上がった途端、ストンとその場にしゃがみこむ大河。
「どうした?」
「・・・なんか、気持ち悪いかも・・・」
「戻しそうなのか?」
「こう、なんか・・・胃の辺りがきゅっと・・・うぷ」
「トイレに行って来たらどうだ?」
「そこまで酷くない・・・ちょっと休んだら直りそう・・・でも、乗り物とか乗ったら自信ない」
この大河の弱気発言に竜児は進退きわまった。
このままここで夜明かしか・・・でもいつまでも居られないだろう、ここ。
さっきから、チラチラとホテルのポーターらしき人が竜児たちの様子をうかがっていた。
恐らく0時を過ぎたら退去を求められる気がする。
だけど、ここを出て深夜の町をさまようなんて真似はリスキー過ぎた。
一応、竜児も大河も高校生。
万一、補導でもされたら目も当てられないことになる。
・・・困ったぞ。
竜児の困惑が大河にも伝わったのか、大河が言い出した。
「ねえ、竜児。ここホテルでしょ」
「・・・そうか、ここへ泊まれば問題解決・・・」
・・・いいのか?
竜児はちょっとためらった。
いくらなんでもそれはまずいだろうと常識が頭を過ぎったからだ。
仮にも年頃の女の子と・・・いくら相手が親しい大河とは言え、ふたりだけと言うのは不穏当。
竜児的には思いっきりNGなのだが、他に妙案も思い浮かばない。
まさにハワイ旅行が掛かった最終問題の回答を司会者から迫られた心境を味わっていた。
・・・ファイナルアンサー。
竜児の脳内でこだまするみのもんたもどきの声。
竜児はチラと大河を見る。
その大河はひたすら眠そうに竜児を見ている。
竜児と一緒に宿泊するということに対して、無頓着そうな大河の様子に竜児は決断した。
「部屋あるかどうか、聞いて来る」
フロントを指しながら竜児は言った。



170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 00:32:25 ID:pH9RHpNM
通りがかりに支援

171 : ◆x6jzI2BeLw :2009/09/04(金) 00:36:48 ID:V3XS1k8s
以上となります。

大河ってがさつな様で実は完璧にマナーをこなせるんじゃないかなんて思ったもので。
こんな雰囲気で書いて見ました。


次回はまた1週間先くらいの予定です。

最後で連投規制かよw
支援感謝。

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 00:40:59 ID:/eTAyDA4
>>171
鼻血が出るぐらいGJだったぜ。

> 大河ってがさつな様で実は完璧にマナーをこなせるんじゃないかなんて思ったもので。
オレもそう思うに一票!!
大河はしっかりリードしてくれるいい女だ。
以上、来週が楽しみだぜ!!


173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 00:43:55 ID:Bhum4WKo
>>171
やっばいです。。。。GJすぎます。やばいっす。。。

首ながぁくしてまってます。。



174 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/04(金) 01:09:43 ID:/eTAyDA4
竜児「おい、大河、なにもこんなタイミングで投稿しなくても。。。。」
大河「いいのよ、真夏のシンデレラさまの影に隠れて、
  こんな駄文シンデレばいいのよ。
  あんなGJの後だと逆に、無視されていいのよ。」
竜児「ほんとかよ?
  おれ、しらねぇぜ。」
大河「責任はあんたがとりなさい。」

★に★く★し★ょ★く★り★ゅ★う★じ★


??「おれは、高木ブーだ!!、おれは高木ブーだよー、ヘイ!!
  ずんたかたん、ずんたかたん、ずんたかたん、ちっちっちっ
  ずんたかたん、ずんたかたん、ずんたかたん、ちっちっちっ」
大河「おはよー。みのりん。朝から何歌ってるの?」
竜児「おぅ。なに『元祖 高木ブー伝説』うたってんだ?」
櫛枝「おはようさんさん、おふたりさーん。
   高須くん、よくわかったねぇ。
   この、高須リュー伝説を!!」
竜児「おぅ。前に能登にCD借りたことがあるんだ。。。
  って、なんで高須リューになっている?!」
櫛枝「ふふふ、まぁ、おいおい話すとしよう。。。。」
大河「気になるなぁ。
  ところで、みのりん、今日は特別期限が良さそうね。」
櫛枝「そうさ、とれたてぴちぴちって、漢字変換ミス!!
  っていうのはさておき、分かるかい大河!!」
大河「分かるよ。だって親友でしょ!!」
櫛枝「ふぉふぉふぉ、ワシはうれしいよ。
  実はだねぇ。
  昨日、あーみん仙人からいろいろとききましてのう。」
大河「ま。まさか。。。。」
櫛枝「そう、そのまさかじゃよ。明智くん!!

  じゃーん、第2回肉食竜児伝説!!!」

大河「や、やっぱり。。。。」
竜児「はぁ???」
櫛枝「高須リュー伝説はここに関係するのじゃよ。ふぉふぉふぉ」
竜児「意味がわかんねぇ。」
櫛枝「『まるで、無力なオレは、まるでまるで高木ブーのようじゃないか』
  だよ。」
竜児「やっぱりわけわかんねぇよ。」
大河「わたし、まったくわからないわ。」
櫛枝「いいかい、お二人さん。
  草食の高須くんは無力なんだよ。
  大好きな大河を捕まえられず、冬になくんだよ。
  この歌は警告なんだ。わかるかい?」
大河「そ、それで、無理やり『肉食』に持っていきたいわけね。」

175 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/04(金) 01:10:57 ID:/eTAyDA4
櫛枝「そのとーり。
  今回は2回めだから、原作2巻ね。
  ぺらぺらぺらぁぁぁ。じゃん。
  P115ページ。
  あーみんが初登場して、大河があーみんを引っぱたいたところを
  北村くんにみられて、大河は一人で家でないてるシーンね。」
竜児「ちゃちゃ、いれるようだけど、
  2巻は最後のP256の、俺が川嶋に色仕掛け、仕掛けられて、
  大河にみつかるところじゃねぇのかよ?」
櫛枝「くっ、いたいところをつくねぇ。
  じゃが、そこはシチュエーションがむづかしすぎるのじゃよ。
  原作では、大河、北村くん、高須くんのお母さんが
  いっしょにかえってくる。
  ここで『肉食竜』を発動はひじょーーーーにむづかしい。」
大河「もういいわ、さっさとおわらせてよ。
  このシリーズあまりにもはずかしいわ。」
櫛枝「うむ。でははじめるぞよ。
   いちおう。前置きね。
   原作は以下のようになっているのだよ。」

///////////
「・・・おぅ」
最高級マンションの二階フロア。
ゆっくりと開かれた柏野とビラから除いたその顔に、竜児はおもわず仰け反って頷く。
「な、なにがあった?」
「・・・」
無言の大河は頭から毛布を被さり、・・・中略・・・どうやら一人で泣いていたらしい。
///////////

櫛枝「で、このあと、引きこもり大河は、いつもどおりうだうだやって、
  高須くんちに、とんかつをたべにいくんだが、、
  若い男と女、ふたりっきりだと、うっひっひっひ。。。」
大河「みのあん!!、鼻血でてる!!」




176 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/04(金) 01:11:47 ID:/eTAyDA4
  『肉食系竜児その弐』
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
竜児『な、なにがあった?』
大河『・・・』
竜児『おい、まてよ』

大河は、かぶっていた毛布を引きずり、寝室へむかう。
先ほどまでそこで泣いていたのだろう。
その後を、竜児はついていった。
大河は、ベッドに座り込みまた、毛布をかぶる。

竜児『おい。』
大河『・・・』
竜児『大丈夫かよ?本当に』
大河『・・・ね・・・』
竜児『ん?』
大河『北村くん、本当に私のこと嫌いになったのかな?』

こいつは本当にそんなこと思っていたのか?
竜児は頭が痛くなる。

竜児『おまえもしっているだろ。北村がそんなやつじゃないことぐらい。
  北村はあのファミレスでのことを全部見ていたんだよ。』
大河は、少し毛布をとり、軽く頷く。

頷いたときにみえてしまったのだ。
大河の白い肌。少し膨らんだ胸が。。。。

大河がかわいいのだ。
ほうが涙に濡れて、あまりにもかわいくうつくしい。


問;若い男と女が二人、ベットの上ですることは?
答:押し倒すに限ります。


大河『きゃ。な、なにするの?!』
竜児『なにするの?って見りゃわかるだろ?
  お前を押し倒したんだよ。』
大河『そうじゃないだろバカ犬。
  こんなことしてどうなるかわかってるの?!!』
竜児『わかってるよ。子供ができる。』
大河『バカ竜児、バカ竜児。
  そんなこときいてるんじゃない。
  私傷ついてるのに、なにするんだ!!』
竜児『わかってる。
  お前が泣いてるから元気づけようと思って。』

ここは勢い、勢いが大事だ。そう男はいつだって、勢いだけで生きるものだ。


177 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/04(金) 01:12:42 ID:/eTAyDA4
竜児『だからな。』
大河『わからないよ。
  わからない。わたしわからない。』

竜児は大河にマウントポジションをとっており、大河はまったくうごけなかった。
必死ににげようとしているのだが、竜児が力ずくで抑えているのだ。

大河『わからない。わからない。
  竜児は分かってくれると思っていた。
  私の悲しみ、怒り、喜び、
  一緒に感じてくれると思っていた。
  ほんとは、竜児のことちょっと好きだったのに。
  すごく好きになりかけていたのに。。。』
竜児『・・・』
大河『わからないよ。なんで、なんでそうなるのよ?』

とらは泣いていた。
心のそこから泣いているようにも見える。
さすがの竜児もそれ以上、力をかけられず。。。。

竜児のほうを強烈ないたみがはしった。
とらが、ビンタをくらわしたのだ。
大河は泣いていた。ぼろぼろ涙をこぼしながら。。。。

大河『ちかよるな!!、二度と私に。
  あんたなんか、あんたなんか・・・』
竜児『・・・』
大河『好きだったのに、好きだったのに。
  なぜなのよ?!なんでなのよ!!』
  
  
竜児『す、すまねぇ。
  ちょっと悪ふざけが過ぎた。
  ほんとにすまねぇ。』
大河『・・・』
竜児『ほんとは、お前に元気になってほしかった。
  それだけだ。
  泣いている大河を見ているのはつらい。
  いつも横で笑っていてほしい。
  それだけだ。』
大河『・・・』
竜児『ほんとにすまねぇ。
  お前があまりにも綺麗で、かわいくて。
  本当に好きだったんだ。
  押し倒したことは誤る。
  お前がもう二度と近づくなって言うんだったら、
  それも仕方がねぇ。。。』
大河『・・・』
大河『そ、そんなことない。
  あ、あんたは私のためにおいしいご飯を作ってくれるだけいいのよ。
  そ、それ以上のことをしようとするからだめなの。
  わ、わたしを抱きたかったら
  そ、そ、その』
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



178 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/04(金) 01:13:35 ID:/eTAyDA4
竜児「おい、櫛枝。しっかりしろ!!」
大河「みのりん!!、鼻血がとまらない!!
  ど、どうしよ!!」
櫛枝「ぐはぁ。ふっかーーーつ」
竜児「って、まだ鼻血でてるぞ。
  無理するなよ。」
櫛枝「と、いうことで今回はどうだったかなぁ?」
大河「って、だれに喋ってるのよ????」
櫛枝「ちなみに。『おかえりなさい』ってかいてくださってるかたが
  おられるようじゃが、以前もこんなのがあったのかのう
  なにせ、新参者(今年の二月ぐらいからかのう)でのぅ。
  ごほごほごほ。」
竜児「おい、櫛枝むりするな。すこし休め。」
櫛枝「おぅおぅ、すまんのぉ」

大河「というわけで、今回はこれでおしまい。
  避難所さんGJ!! 
  牛丼おいしいよねぇ。
  「くぎゅーーーーーどん」なんちゃって
  ゆかたいがーさんもGJ!!

あら、いやだ。真夏のシンデレラさまもおられるじゃない。
GJGJGJGJ
  
  じゃぁ、次回も。試してガッテン!」
竜児「って、つづくのかよ?」

To bo continue?



179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 01:34:35 ID:LDZzYAEY
GJ!続きを期待してます!

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 01:57:46 ID:l5feEktT
筋少………



181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 02:16:09 ID:/eTAyDA4
>>180
参考文献:
http://ja.wikipedia.org/wiki/元祖高木ブー伝説

筋少はいいよ、筋少は



182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 02:19:03 ID:b9X+SwhB
>>171
いいねーいいよーまじでイイ!!!
相変わらずの読み応えGJでした

>>178
シリーズ化ktkr!
二月って古参だろ今となってはw

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 02:31:35 ID:63tOstin
>>171
おらこげん店さ行ったことねえがら描写出来る人は尊敬するだ

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 02:34:18 ID:63tOstin
>>174-178
メメタァ具合が良い

185 :バトン  ◆.CzKQna1OU :2009/09/05(土) 00:43:54 ID:E8um3aSg
櫛枝「ごふぉ、ごふぉ。
   さすがに体力を使いすぎたようだよ。。。
   このくしえだ、一生の不覚。。。。」
北村「櫛枝じゃないか。
   だいぶ疲れているようだが、どうしたんだ?」
櫛枝「やぁ。北村くん。
   この櫛枝、一生の頼みがある。。。。。」
北村「一生の頼み?」
櫛枝「これを受け取ってほしい。」

櫛枝から北村に渡されたのは、黒いバトン。
そして、表面には以下のように書いてあった。

『肉食竜』


北村「こ、これは!!」
櫛枝「そう、これこそ、肉食系竜児を発動させる
   『黒いチワワバトン』
   略して『クロチバ』だ。」
北村「クロチバ。。。。。
   なんというか、あまりにも責任のあるものを
   うけとってしまったようだな。」
櫛枝「私は、もうだめだ。
   後はたのんだよ。北村くん!!
   ぐふぁぁぁぁぁぁ」
北村「く、くしえだ。。。。。
   おれは、おれは。。。。」


To be continue !!


186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 00:58:06 ID:bqr4uBS6
続きが気になる。。。


187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 01:19:46 ID:IACBoh6Q

『夏と秋の間とは味わい深いものです
 中秋の名月・・・・・そうだ京都に行こう
   たーらら♪ たらら♪ たらららー♪ JR東海 』

「・・・おう、京都もいいな」

「ジジくさ・・・」

「おまえに情緒なんか求めちゃいねえよ」

「ねぇ竜児?」

「なんだ?」

「そうだギシアンをしよう!」

「はぁ!?」

「ささ、脱いで脱いで」

「ちょ、ま・・・」

「問答無用!」



ギシギシアンアン

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 01:26:31 ID:nJS0hTWS
>>185 オマエこんなとこに居たんだな、なんか久しぶりに見かけた

妹は成長してるか?

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 01:54:37 ID:E8um3aSg
>>188
はれほれはれ?
弟はいるがなぁ。妹はちょっと。。。。。
(どっちかといえば、きつめのおねぇさんがほしい どMですが、何か?)

>>187
京都いいとこ一度はおいで。
観光産業さかんな町よ!!たっぷりお金落としてねぇ//


190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 02:02:43 ID:nJS0hTWS
>>189 vipでやってたじゃんトリでググったらまだあるんじやないか?
それよりみなみけはもう書かないのか?

191 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/09/05(土) 02:19:02 ID:55dTW8Pa
お題 「口」「眼差し」「ソフトボール」



「……もうすぐね」
「おう。だけど、あんまり無理するんじゃねえぞ」
 大河と竜児、二人の眼差しの先にあるのは決戦の舞台。
「私を誰だと思ってるのよ。安心して見てなさい、軽〜く優勝してみせるから」
「おおっと、そいつは聞捨てならねえな」
 背後からの声に振り向く二人。
「みのりん!」
「櫛枝……どうしてここに?」
「高須くんよ、そいつは言わなくてもわかってるんじゃないかい?」
「……それじゃあ、やっぱりお前も……」
「そう……目的を同じ物とする同士、今日ばっかりはお互いに敵ってわけさ」
「みのりん……私、みのりん相手でも手加減はしないからね」
「ふ……確かに普通なら私では大河には敵わないかもしれないね。
 だけど気づかないかい?この会場に漂う微かな香りを……」
「……これって、まさか!?」
「しまったな、こいつは想定外だ……」
「そう……今回のメニューは辛口ビーフカレーなのさ!」

 毎年十月に行なわれる大橋牛祭り……要は畜産・酪農関係のイベントである。
 牛の品評会に子供向けバター作り体験、牛肉の試食にビアガーデン、物販各種、さらにはなぜかヒーローショー等ステージイベント。
 そして大河的目玉イベントが、大食い大会――優勝賞品として国産和牛肉10Kg也――である。

「……大河、どうする?さっきも言ったが無理はしなくていいぞ?」
「……大丈夫、行けるわ。ここで止めたら何の為に来たのかわからないしね」
「それでこそ大河だぜ。だけどこの櫛枝実乃梨、ソフトボールで鍛えた腹力にかけて負けるわけにはいかないねえ」
「いや、ソフト関係ねえだろ。というか腹力って何だよ」
「ぶっちゃけるとソフト部の三年追い出し焼肉パーティー用の肉の調達でね。
 部員の期待がこの肩……いやさ、胃袋にかかっているってわけだよ」
「お、おう、そうなのか……」


『……屈強な男達が次々と倒れていく中、残ったのはなんと美少女二人!
 その量も!速さも!まったくの互角!次々とカレーが、ごはんが、口に胃袋に消えていくーッ!
 ……そして今!なんということだ、用意されたカレーが底をついてしまったーッ!!』


192 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/09/05(土) 02:22:35 ID:55dTW8Pa
 帰り道、竜児は大河を背負ったまま歩く。
「大河、どうだ?」
「うー……まだちょっと痛い……」
「辛い物苦手なくせに無理するからだ。半分とはいえせっかくいい肉貰えたのに、その前に腹壊したら意味ねえじゃねえか」
「……竜児とやっちゃんで食べればいいのよ。元々そのために出場しようと思ったんだから」
「おう、そうだったのか。俺はまたてっきり大河が一人で全部食べるつもりなのかと思ってたぜ」
「あんたの中で私はどんだけ食欲魔人なのよ。まあ、確かに自分が食べたかったってのも……あるけど」
「……なあ大河、料理人の一番の幸せって知ってるか?」
「なによ急に」
「料理する人間にとってはさ、自分の作った物食べて、美味しいって喜んでもらえるのが一番嬉しいわけだよ。
 その点大河はさ、いつも俺の料理を美味い美味いって言ってくれるじゃねえか」
「それは、竜児のご飯が本当に美味しいから」
「ほら、な。そういうのが嬉しいんだよ。もちろん泰子も喜んでくれるんだけどさ、
 やっぱり大河も居てくれねえと、料理作ってて張り合いが無いというか、ちょっと寂しいというか……
 だからさ、あんまり無茶しねえでくれよ……って、大河?」
「……すー……」
「……寝ちまったのか。お腹一杯になって寝るって、子供かお前は」
 微笑みながら歩く竜児には見えない。大河が自分の背中で頬を赤らめていることは。


193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 02:35:17 ID:E8um3aSg
>>190
すまねぇ。ググったけどわかんなかったよ。
(ググれねぇカスだなぁ)

>>192
最後にキュンってなるのがよいですね。
毎回うまいなぁ。GJです。


194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 08:37:08 ID:ao3b9QSs
『肉食竜』 さん
シリーズ化キボンヌ!!好きですこういうのw

三題噺さん
いつもすげーなって読んでもふw
あいかわらずGJ!!

真夏のシンデレラさん
さっきおもわず初めから読み返してきましたが、
これ芸術じゃん!!期待してもふ!!

195 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/05(土) 09:06:47 ID:E8um3aSg
大河「竜児!!ちょっとあんたどうするのよ?」
竜児「どうしたんだ?」
大河「期待してくださっている方がおられるわよ?」
竜児「まじでか?どっちがいいんだ?
  ギャグパートとシリアルパート。
  作者自体はギャグみたいな生物だぜ!!
  ”◆.CzKQna1OU”も遊びみたいだぜ!?」
大河「遊びだったのね?シクシク。。。
  みんな真剣に自分自身を区別するためにつけてるっていうのに
  最低の生き物ね。
  でも、ギャグとシリアルかぁ。
  どっちなのかしらね?
  わ、わたしはシリアルがすきよ。」
竜児「コーンフレークかよ!!
  はぁ。」
大河「ど、どうしたのよ!?」
竜児「参ったなぁ。。
  誤字脱字チェックしなきゃならねぇなぁ。」
大河「あ、あんたノーチェックだったの?」
竜児「男は、過去は振りからねぇからな。前の方向にだけあるくんだよ。」
大河「・・・かっこいいんだか、ずぼらなんだか。。。。」


仕様です。。。


★肉★食★竜★の★た★の★し★い★学★校★

大河「はーい、竜児、あーーんしてぇ。」
竜児「って、おい、恥ずかしいからやめろよ。」

いつものお昼の風景。毎日毎日同じことの繰り返し。


ピンポンパンポーン。

北村「あなたの恋の応援団。失恋大明神北村祐作です。
  本日もよろしくお願いしまーす。」
  
いつものように、北村の独演会がはじまるが、
聞いている人がいるのやらいないのやら。。。。

大河「北村くんも、よく続けられるわねぇ。」
竜児「もう、一年近くやってるからなぁ。
  やめられねぇんじゃねぇの?」
大河「でも聞いてるの、ほら、私たちぐらいよ。」

たしかに、聞いている生徒は竜児と大河ぐらいのものだった。

竜児「先生たちの間では、結構人気があるみたいだけどな。」
理由が独身(31)の七変化であることは大きな声では言えないことだ。


196 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/05(土) 09:09:25 ID:E8um3aSg
北村「それでは、本日のご依頼です。
  3年女子 T.A.さんですね。よみますね。
  『こんにちわ。私には素敵な彼氏がいますが、
   草食系でこまっています。たすけてください。』
  とのことです。
  では、ご相談への返事の前に、リクエスト曲をどうぞ」
   
大河「ぷぷぷ、某テレビ局の探偵ナ○トスク○プみたい。
  それに、草食系だってべつにこまらないのにね。」
竜児「?」
大河「どうしたの、竜児?」
竜児「いや、なんでもない。少し引っかかっただけだ。」



197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 09:10:21 ID:E8um3aSg
北村「リクエスト曲は、筋肉少女帯『日本印度化計画』です。」

   おれにかれをくわせろー、もえるからさがおれをあいにするぜ!!

竜児「!!!!」
大河「ど、どうしたの竜児!」
竜児「まずい大河。すぐに、放送室へいくぞ。
  俺たち、はめられている!!」
大河「ど、どういうこと。
  あーん。ミートボール。」
竜児「いいから、はやく!!」


朝から悪い予感はしていた。
北村の態度がいつもとちがっていたのだ。
自分には思い当たる節はなく、少し引っかかっていたのだ。

竜児「先日櫛枝が口ずさんでいた曲を覚えているか?」
大河「うん。高須リュー伝説でしょ。それがどうかしたの?」
竜児「あれも筋肉少女帯の曲だ。
  さらに巧妙に歌詞が変えられている!!」
大河「えぇ?」
竜児「それに、3年女子 T.A. だ。」
大河「え?え?え?、わたし?
  なんで?私依頼なんかしてないよ!?」
竜児「だから、だから、はめられてるんだよ?!
  くっそぅ、北村め、なんでこんなことを。。。。」
  
  
放送室の扉を勢いよく開き、とびこんだものの、
北村の姿は?!

??「やっときたな。高須。逢坂」
入ってきた扉のほうから聞こえてきた声の主はやはり。。

大河「北村くん!!」
竜児「北村!!てめぇ。なんでこんなことを
  勝手に依頼文を捏造しやがって。。。。」
北村「おい、まて。依頼文はオレが書いたわけじゃない。」
大河「じゃ、じゃあだれが????」
北村「わからん。だがもう手遅れだ。
  放送はいつも録音再生でやっている。
  もう遅い。
  
  ちなみに今回は3回め、
  第三巻P202
  川嶋との水泳勝負の練習にきていた、逢坂と高須だが、
  あめがふってきて、喧嘩してしまうシーンだ。
  逢坂は『(自分の気持ちを)自分だって、知らないもん!!』
  というのだが、高須はそれを聞きそびれてしまう。
  あのとき、高須がしっかりと逢坂の言葉を、気持ちを
  受け止めてやれれば、」
  
竜児「く、くっそーーー」
大河「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」



198 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/05(土) 09:11:09 ID:E8um3aSg
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一応補足:
竜児は大河に水泳の練習はもう止めようという。
「オレのことなんてどうもいいだろ。」という竜児に、
大河は怒ってしまい。二人は言い合いになって・・・
(ってしってるよね?)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『肉食系竜児参』

立ち上がり、テーブル蹴り倒し、パラソルを引き抜いて投げつけた。

大河『なんで?!なんでよ!?なんで、わかってくれないの?
  私は怒ってなんかない。最初からそういってるじゃない。』
  『勝手に想像して分かったような顔をする!
  それがいなやのむかつくのっ!
  私が竜児をどうおもってるかなんて、
  どこの誰が本当にわかるの?!
  誰にもわかるはずないんかない。
  ・・・自分だって、しらないもん!』
  
大雨の中、かすれていく大河の最後の言葉を
竜児は聞き逃さなかった。

竜児『自分の気持ちなんてわかるやつはいねぇよ。
  ましてや人を好きになるかどうかなんてわからねぇよ。』
大河『分かったような口をきくな!!』
竜児『まぁ、しずかに聞けよ。』

竜児は一歩一歩ちかづいていく。

竜児『相手をどう思うかなんて、
  0と100で区別できるもんじゃねぇ。
  ましてや、その中間の数値をはかることなんかできねぇ。
  それは恋かもしれねぇし、そうじゃないかもしれねぇ。』
大河『あんたは、恋の伝道師かなにかなの?』
竜児『まぁ、黙って聞け』


199 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/05(土) 09:12:43 ID:E8um3aSg
大河の前に立ち、竜児は深呼吸をした。

竜児『オレと大河は、0でも100でもねぇ。
  少なくともお互いを知っている関係だし、
  逆に付き合っているわけでもねぇだろ』
大河『・・・それは、そうよね』

竜児『だけど、いまのオレには、それを90にすることはできる。』
大河『ど、どういうこと』

こういうことだ。

逃げないように両手でほうをおさえ、その柔らかい唇に
竜児は。。。。

大河は蹴り返すこともできずに呆然とたっていた。
キスなどしたこともなかったし、すきかもしれない相手に
いきなりキスをされて、ただただ、たちつくしていたのだ。

竜児『これで、90
  あとは、100にするかどうかは、大河が決めろ。』
大河『い、い、いきなりすぎて、答えられないわ。
  は、はじめてだったんだからね。
  わかってるの?
  はじめてなのよ?』
  くしゅん。
竜児『ほら、雨降ってるのにこれ以上つづけたら、
  風邪ひいちまうぜ。とりあえず帰ろう。』
大河『まだ、100じゃないんだからね。
  私がきめるのよ?!
  わかってるの?』
  くしゅん
竜児『わかってるよ。』
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


200 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/05(土) 09:15:23 ID:E8um3aSg
北村「うーーー。」
竜児「??」
大河「どうしたの?北村くん」
北村「だめだ。
  1回目、2回目にくらべ、筆がのらない!!
  逢坂が軽すぎる!!!
さらにぃぃぃ!!!」
大河「さらに!?」
北村「一部、名無しでお腹いっぱいじゃまいか!!
  だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
竜児「やめろ、北村!!
  お前が軽すぎだ!!
  服を脱ぐなぁ!!」
大河「わ、わわかめぇぇぇぇぇ」
  きゅーーーぱたん。
  

竜児「大河!! だめだ、完全にのびてやがる
  今日はここまで、
  これ以上やってらんねぇ。
  北村、早く服着ろ!!」

  
To be continue ?  


201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 09:21:24 ID:bqr4uBS6
お三方ともグッジョブです♪
毎回楽しみに見てます。


202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 09:35:55 ID:ICeYpkUX
たまに台詞のあとに「。。。。」ってつける人がいるけど
あれはなんのためにつけてるの?

あと、台詞前の名前。内容で大体誰が喋ってるのかわかると思う。はっきり言っていらん

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 09:53:19 ID:E8um3aSg
>>202
すまねぇ。
本当は、・・・って書きたいんだけど、
・の文字をうつと/になってしまうんだ。
(まぁ、手抜きだ!)
調べとくよ。

ご指摘サンクス。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 10:17:10 ID:7bRMQOeV
このフリーダム具合がたまらんなー

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 10:18:51 ID:7bRMQOeV
>>202
セリフの前にキャラの名前つけるのは好き好きでいいじゃないか
それはそれで作風のひとつなんだし

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 10:22:41 ID:7bRMQOeV
>>203
PC…っていうかWindowsならMS-IMEでもATOKでも
「・・・」を変換すればちゃんと…「三点リーダー」になるはずだけどねえ

てか半角モードになってるから「・・・」が「///」になってるだけかと

かな変換モードでちゃんと打ちましょう
最初は誰でも初心者です

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 10:58:38 ID:E8um3aSg
>>206
ありがと。
でもWindowzじゃないんだわ。
嫁さんもとらドラもOSもいっしょ。
愛してしまった以上、止めるわけにはいかないこともあるんだよ。
おっと、これ以上聞かないでおくれよ。
ま、初心者ぬけだせるように頑張るよ。

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 12:35:09 ID:L1TYbwP0
>>207
Windows以外ならMacか携帯しかないね
「…」をコピーして使うとか辞書登録するとかいろいろ方法はあるはずだ

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 12:47:33 ID:IACBoh6Q

>>202
ごめん。。。。。 とか、
落ち込み気味な心情を表す事が多いんじゃないかな

>台詞前の名前
会話多めのSSの場合、無いと困る時があるんだよ
読み手に混乱を与えるかもって時に付ける

>>207
「・」を「…」になるように辞書登録するのもいいよ

た→大河「」 り→竜児「」 ぎ→ギシギシアンアン とか登録するようになると末期

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 12:57:22 ID:vjBX+1vo
俺的には台詞前の名前はつけない派。
台詞だけで喋ってる人間を読者わからせるのも、筆者の技量のひとつだと思ってる。
でも、これだって考えのひとつに過ぎないんだし、そこは個人の好みでいいと思うよ。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 17:18:27 ID:E8um3aSg
>>209
> た→大河「」 り→竜児「」 ぎ→ギシギシアンアン とか登録するようになると末期
これはちょっと便利かも!
早速登録登録!!

練習も大事だよね。
大河「竜児!!」
竜児「大河!!」
ギシギシアンアン、ギシギシアンアン、ギシギシアンアン、ギシギシアンアン


>>208
大河「しかないってなによ。」
竜児「おい、やめとけ。」
大河「超漢字とか、Zetaとか、GNU/Hurdとかあるじゃない。
   なによ、少数派だからってバカにしちゃって!!」
竜児「だれもわかんねぇって。」


212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 17:49:07 ID:+dERKJHT
夕刻の高須家。慣れた手つきで夕飯の支度を進める竜児。
「竜児ぃ……」
不意に居間から弱々しい呼び声。
「どうした大河。晩飯ならまだだぞ」
じゃがいもを切る手を止めずに答える。
「違う。そうじゃないの」
「じゃあなんだよ?」
「うるさい。ちょっと黙ってな」
自分から呼んでおいて理不尽な……と思ったが、口には出さない竜児。なぜなら、大河が後ろから竜児の腰に両腕を回したから。そのまま額を押しつけるような感触が背中にあるが、大河は何も言わない。
「なんだ?怖い夢でも見たのか?」
振り向かず、今度は人参を切り始める竜児。腰に回された腕に少し力が入るが、大河はやはり何も言わない。
「また昔のヤツか?それとも食糧危機になる夢とかか?」
トントントン……。コトコトコトコト……。
包丁がまな板に落ちる規則的な音が、鍋の奏でる音に包まれて高須家の隅々にまで響く。後ろにしがみつくお姫様は少しだけ、背中に押しつけた額をぐりぐりと動かす。
「……あんたは黙って背中を貸してればいいのよ」
大体図星か……。竜児は軽くため息をついて、次々と食材を切っていく。本来なら後回しにする工程も今終わらせてしまうようだ。
大河に少しでも長く、背中を貸してやるために。



……腹減ったよぅ

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 19:05:24 ID:E8um3aSg
>>212
竜児「腹減ったなぁ・・・」
大河「あんた、つくりなさいよ!!」
竜児「それよりさ。」
大河「・・・なによ」
竜児「つまりさ。」
大河「わかったわかった。」

ギシギシアンアン、ギシギシアンアン、ギシギシアンアン


214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 20:00:35 ID:nJS0hTWS
>>213 人の作品を茶化すようなことは止めた方がいいぞ、少なくともこの話の雰囲気でギシアンは無いと思う
他の作品に乗っかるなら話の系統を見極めた方がいい

荒らし行為だと思われるぞ

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 20:13:53 ID:UHRUWqtM
このスレではギシアンはエールだって聞いたぜ!

ニヤッと出来たんだし、よいではないか
でもまぁほどほどになw

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 20:15:53 ID:Xy4UCWBm
俺は>>212は腹減った勢いの書き込みなんかな、と思った
から>>213がそこまで空気読めてないと思わなかったよ・・・

まぁ人の作品に乗っかるときは気を付けるべきだが。

217 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:18:25 ID:f2rxSPKI
お久しぶりです。
いや戻って来ちゃった、戻って来ちゃったよ。
俺の事を覚えてる、もしくは知っている人がまだいるか不安だが、しばらくROMってた俺も久々に書き始めてしまったので、投下行きマス。
タイトルは……久々にまとめ人様にお願いしようかな。
次より投下、まだ完結までいってないから、ある程度投下した後は不定期更新します。
なるべく早く書き上げるんで宜しく。
いくぞぉぉぉ!!

218 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:20:32 ID:f2rxSPKI
「ふぇえ?竜ちゃん何処行くのぉ?」
泰子が眠そうに何度も頭をカックンカックンさせながら尋ねる。
「言ってあったろ?旅行だよ」
俺は少しの、いやそこそこの、いやいや多大な不安を覚えながら靴を履く。
大丈夫、大丈夫だ。
こんな事は前にもあったじゃないか。
修学旅行や林間学校の時もなんだかんだで泰子もインコちゃんも生きていた。
……家は酷い惨状だったが。
「じゃあね、やっちゃん」
大河も準備が整ったのか、白くつばの大きい帽子を被りながら泰子に挨拶する。
そう、今日から旅行なのだ。
夏休み前、大河は川嶋との水泳対決に負けて何故か俺が川嶋の家の別荘に行くことになった。
けどまぁ、負けたのは俺のせいもあるし、いろいろあって俺の他に友人の北村祐作や、く、くし、櫛枝実乃梨も来ることになった。
その際、結局負けた大河も来ることになった。
本人曰く、
『身の回りの世話する奴がいなくなるじゃない?』
だそうだ。
それは否定しない。
全く持って自分の身の丈に合う、正しい認識だ。
しかし、それを直そうという気は無いのだろうか。
……無いんだろうなぁ。
俺は内心溜息をつきながらも、こいつが一人で居た時の部屋の惨状を想像し、これでよかったと思い直す。
集合場所は駅のホーム。
もうみんな来ているだろうか。
駅について待つこと数分。
『ピリリリリ♪』
携帯が鳴る。
「もしもし?」
『あ、高須君?ごめん亜美ちゃん仕事で遅れそうなの!!その代わりすっごい場所用意したから!!先に行っててくれる?場所は……』
「あ、ああ、ああ、そこでお前の名前を出せばいいんだな?わかった。でもまだ北村や櫛枝が来てないぞ?」
『えっ!?そうなの?わかった。そっちには私からも連絡しとく。とにかく高須君とタイガーは先に行ってて。向こうに行く時間指定しちゃってて、数人だけでも先に行ってて欲しいの!!』
「ああ、わかった」
電話を切る。
「ばかちーなんだって?」
自分の旅行バッグに腰掛けて待っていた大河が気だるそうに聞いてくる。
「ああ、なんでも川嶋の別荘よりいい場所に行ける事になったそうだ。その関係で代わりに仕事が増えて川嶋は少し遅くなるんだと。先方に時間指定してあるから先に行っててだとよ」
「ふぅん、でもまだみのりんと北村君来てないよ?」
「そっちには川嶋から連絡入れるってさ。とにかくこの電車に乗って先に向かおう」
「しょうがないわね」
大河は「よっこらしょ」と腰を上げ、歩き出す。
白く大きな帽子が、小さく揺れた。

***

219 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:22:03 ID:f2rxSPKI
「で?」
「いや、でって言われてもな……」
俺にだってわからないのだ。
いや、場所が不明、とかそういうベタな展開ではない。
それはちゃんと電話で聞いていたので大丈夫。
記憶力には多少なりとも自信があるし、教えられた通りに来られた。
だが、
「ちょっと、本当にココなの竜児?」
「う〜む……」
悩む。
めっちゃ思い悩む。
何せ、川嶋の指定した場所は、超、いや超超超凄いホテルだった。
ざっと通常の三倍。
何階建てなんだこれ……?
めちゃくちゃでかいぞ。
なんていうか外から見ただけでたじろいでしまう豪華さだ。
「ねぇ、ばかちー何か危ないことでもやってんじゃないの?」
そう大河が疑うほど、目の前のそれは凄かった。
とてもじゃないが、俺のような一小市民なんかは一生かかってこも来れそうに無いようなホテルだ。
しかも、ホテルの前には海が広がり、砂浜には宿泊客と思しき奴らがうようよいる。
中には海水浴だけに来ているものもいるようだが、見た感じ金持ちっぽい奴が多い。
「世の中にはこんなとこがあるんだなぁ」
「そうねぇ、セレブってやつかしら」
流石の大河も、これには納得したらしい。
俺から見たら大河も十分セレブなのだが、その大河をしてセレブと言わしめるここの凄さは、想像以上だ。
これなら川嶋が遅れるほど頑張っているというのも頷ける。
「まぁここでじぃーっと、見ていても始まらないし、早く中に入りましょ、竜児」
「お、おぅ」
多少尻込みしながらも、俺は大河と一緒にホテルへと入る。
中は……涼しい。
クーラーが程よく利いており、ふわふわした赤い絨毯で床は敷き詰められ、周りは豪華なアンティーク揃い。
瞬間的に、自分は場違いだと感じてしまう。
しかし、大河は先程こそ少し尻込みしてたものの、中に入ると当然のようにフロントに向かい、
「ちょっと、川嶋亜美の紹介で来たんだけど、話は通ってる?」
どうどうと話し出した。
フロントに立つスーツを着た男は、
「はい、少々お待ち下さい……はい、伺っております。全部で五名様のご予定ですね?」
すぐに対応してくれた。
「大変おそれいりますが、お名前をお聞きしても宜しいですか?」
「私は逢坂大河、であっちが高須竜児よ」
「はい、逢坂様と高須様ですね。それでは本日遅れて来られるのは北村様、櫛枝様、川嶋様で宜しかったですか?」
「ええ」
「かしこまりました、では一度お部屋へご案内致します」
男は何処までもかしこまり、へりくだったように話す。
「ええお願い」
大河はふわりと振り返る。
「何やってんの竜児?」
「いや、お前すげぇな」
「は?寝てんの?」
「……なんでもない」
こいつ、人がせっかく褒めてんのに……。
「お荷物お持ちします」
「あ、すいません」
スーツ姿の男が荷物を持ち、そのまま部屋へと向かう。
どうにも、こういうところに来たことが無いせいか緊張してしまう。
こんなトコに泊まるのか……。

***

220 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:23:06 ID:f2rxSPKI
予感はしていた。
外から見てアレなのだ。
これは予想してしかるべきだった。
しかし、
「部屋、広すぎないか?」
俺は一人ぽつねんとソファーのはじっこに座る。
なんか一人で座るのがMOTTAINAI広さだ。
しかもフワフワしていて弾力が凄い。
きちんと腰掛ければ、かなり沈むような……そんな感じ。
しかも部屋には風呂がついていてジャグジー。
どんなスイートルームなんだこれ……?
川嶋は部屋を二つ手配していた。
一つは男子用、もう一つは女子用といったところだろう。
しかし、ベッドが一つしかないのは何故だ?
俺に北村と同じベッドで寝ろということか?
……流石にそれはごめん被りたい。
ベッドも大河の家にあるようなベッドの5倍くらいあるようなでかさだが、それでも体裁というものがある。
まぁ、いざとなったらこのソファーで寝よう、広いし。
『ピンポーン』
チャイムが鳴る。
一部屋ごとにチャイムが着いているようだ。
多分大河だろう。
「はいよ」
俺は扉を開けた。
「こっちの部屋はどんな感じ?」
大河がペタペタとスリッパで入ってくる。
「おおーっ!!こっちもひろーい!!ん?ベッドは一つなんだね、とぉっ!!」
大河はスリッパを放り投げ、ベッドにダイブする。
ふよんふよんとベッドの弾力で跳ねながら大河はベッドの中心で大の字になる。
「凄いわここ。ばかちーには感謝してやってもいいかも」
「そうだな、凄すぎだな」
「まぁいいじゃないの、アンタの好きなタダよ?」
「それはそうなんだが……落ち着かないというか」
「貧乏性ね」
大河は笑いながらベッドの上でベタベタと足を裸足でバタつかせる。
俺はスリッパを拾いながら、
「向こうも似た感じか?」
「うん、でも向こうはベッドがちゃんと三つある。こんなにでっかくないけど」
ポンポンと大河はベッドを叩く。
余程気に入ったのだろうか。
と、そんな時、
『ピリリリリ♪』
携帯が鳴る。
「もしもし?」
『あ、高須君?ごっめーん』
「おぅ川嶋か。凄いぞここ。お前凄ぇな」
『えへっ♪どう?惚れた惚れた?』
「あのなぁ」
『でもざんねーん♪っていうかマジゴメン。私行けなくなっちゃったーあははは……はぁ』
川嶋は最後に溜息を吐く。
「は……?おい……今なんつった?」
『仕事がきつきつすぎてそっちに行けそうに無いの。本当にごめんね高須君』
「いや、お前それじゃ俺たちここにいないほうがいいんじゃないか?」
『それはダメ。先方に無理言ったのにやっぱやめますじゃ困るから』
「マジか……」
『それと……』
『ピリリリリ♪』
川嶋が何か言いかけた時、大河の携帯が鳴った。

221 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:24:39 ID:f2rxSPKI
「はい、あ、みのりん!!もう遅いよ!?え?え、うん、うん……ええっ!?」
大河は携帯に出る。
どうやら相手は櫛枝のようだが、何か様子がおかしい。
「うんうん……どうしても……?……うん、うんそれじゃ仕方ないね。うん、うん、いやいいよ、うん……じゃあがんばってね」
大河はそう締めくくり電話を切ると同時にしょげかえる。
『高須くん?』
「ああ、悪い、今大河に櫛枝から電話があったようなんだが……」
『そっか……それじゃあタイガーはもう聞いたんだね』
「何をだ?」
『それはタイガーに聞いて。後はまぁ……がんばってね。それじゃ私も忙しいから!!プツッ───ツーツー』
「?」
俺は首を傾げる。
「……竜児」
そんな俺に大河は憔悴したように、
「みのりんと北村君来れないって」
「は?」
とんでもない事を言った。
「なんか急に強豪校との男女ソフトの試合が組まれて、周りの士気も高くてとてもじゃないけど抜けられないって」
「マジか……川嶋も仕事で来られないらしい」
「……竜児、これ私たち帰った方がいいんじゃない?」
「そうしたいところだが、川嶋が結構無理してここを取ったらしくてな、今更やっぱいいですとは言えないらしい」
「……何となくわかるわ、しがらみってやつね」
「多分な……」
「「はぁ……」」
楽しみな夏休みの旅行気分から一気に辛気くさいモードになってしまった。
『ピンポーン』
と、チャイムが鳴る。
「はい」
返事をして開けると、そこにはフロントにいたスーツ姿の男。
「大変申し訳ありません、その、折り入ってお願いがございます」
男は俺の顔を見るなりふかぶかと腰を90度くらいに曲げて頭を下げる。
「ど、どうかしたんですか?」
「はい、実は突然あるお得意様の宿泊予定が入りましてどうしてもお部屋の都合が合わなく、先程丁度川嶋様より三人のキャンセルのお電話があったもので、もし宜しければ一部屋……」
「「え……」」
ただひたすらに頭を下げ続ける男の人。
後でわかったのだが、その人は副支配人らしい。
俺たちはただ驚き、ポカンとするしかなく、気付けばもともと二人の予定だったこの男部屋に大河の荷物ごと大河は収まることとなった。

***

222 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:25:55 ID:f2rxSPKI
「なぁ、いい加減機嫌直せよ、仕方ないじゃないか」
「うるさい」
空は晴天、白い砂浜、かかる波飛沫。
俺たちは気分を変えるべくビーチに出ていた。
大河はビーチに出てからもふくれっ面だ。
よっぽど同室にされたのが面白くないらしい。
「機嫌直せって。ほら、せっかく海に来たんだし泳……ぐのは止めて砂の城でも作るか?」
「アンタ、バカにしてんの?」
ギロリと大河は俺を睨む。
学校のスクール水着とは違う、ヒマワリの刺繍の入った水着は、惜しげもなく大河の肌を露出させる。
「い、いやそんなつもりは……」
「ふん、どうだか。だいたい私肌焼きたくないし」
ぷいっと大河はそっぽを向く。
あちこちにたてられたパラソルと備え付けの椅子。
その一つに俺たちはいた。日差しは結構強い。
「あーもう、俺にどうしろってんだ?日焼けが嫌ならクリームでも塗るか?」
「うん、じゃあお願い」
半ばヤケッパチに言ったことだったが、大河は案外すんなりとそれを採用した。
「……え?俺が塗るのか?」
「アンタ以外誰がいんのよ?ハッ!?アンタもしかしていやらしいこと考えたの?この駄犬、ずうずうしいにも程があるわ!!エロ犬!!発情犬!!」
散々な言いぐさだが、全てを否定できないあたり、何か悔しい。
口には出さないけど。
「んじゃあ俺は塗らん、それでいいだろ!?」
「はぁ!?クリーム塗らないと私が日の下で歩けないじゃない!!」
「お前な、言ってることめちゃくちゃだぞ!!」
「うるさい!!さっさと塗れこの駄犬!!あ、変なことしたらモルグに葬り去るから」
大河はポイっとクリームを投げて寄越す。
腹立たしいが、まぁ大河もさっきの件で虫の居所が悪いのだろうし我慢することにする。
大河は、プラスチックの日焼け用の横になる寝台に寝ころび、背中を天に向ける。
白い肌が、惜しげもなく展開される。
真っ白な小さい背中、伸びる細い足。
筋肉がついてるようには見えない華奢な体は、どこまでも繊細さを引き立たせる。
「ちゃっちゃっと塗ってよね」
大河はふん、とふんぞりかえるように言うと目を閉じた。
俺の手元には日焼け止めクリーム。
クリームをまず掌に出す……グニュリ。
それを大河の背中に向け……ゴクリ。
実際の音を出さずにを息を飲み込む。
これ、俺が触っても良いのか?
「ちょっと、早くしなさいよ」
「お、おぅ」
いいのか?いいんだな大河?
心の中で何度も問いながら塗り始める。
ヌリヌリ……。
「きゃっ!?ちょっ!?冷たい!!」
「へ?ああ、そうか」
「そうか、じゃない!!なんとかしなさい駄犬!!」
「無茶言うな!!」
ヌリヌリ……。
俺は怒りながらも背中、太もも、を塗っていく。
「ってちょっと待て、背中以外は自分で塗れるだろ!?」
「だってめんどくさいし。それより竜児、終わったならかき氷買ってきて」
「お前って奴は何処まで我が儘なんだ?」
「いいからさっさと行け駄犬!!」
癇癪を起こす大河。
ったく、今日はいつにも増して我が儘だ。
仕方ない、折角遊びに来てこのまま険悪な雰囲気になりたくないし、買ってきてやるか。
俺はとりあえず海の家へと足を向けた。

223 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:26:51 ID:f2rxSPKI
***

海の家に歩きながらふと掌を眺める。
……大河って柔らかいんだな。
「ハッ!?」
何を考えてるんだ俺は。
しかし、脳裏には先程触った白い肩、うなじ背中……太もも。
フトモモ。
FUTOMOMO。
こう、ぷりっと……。
「だぁぁぁぁっ!?」
思いなすな思い出すな思い出すな。
スーハースーハーと深呼吸を繰り返す。
実は素直に買い物に行った理由の一つがこれだったりする。
ちょっと、男としては仕方のない状態だったのだ。
今までそうそう女の子の肌に触れる機会なんてのはなかったし。
自然と、その感触を思い出そうとしてしまう。
待て、大河だぞ?あの大河だぞ?
あの天上天下唯我独尊の大河だぞ?
……まぁ、可愛いのは認める。
そういや一時は告白ラッシュみたいのがあったんだっけ。
わかる気がするなぁ。
「ハッ!?」
俺は頭をぶんぶんと振り、考えるのを止める。
これ以上考えてたら何か取り返しのつかない事になりそうだ。
今はとにかくかき氷を買う事に集中しよう。

***

まったく、竜児の奴は何を考えてるんだろう?
だって一緒の部屋だよ?
なのになんであんなに飄々としていられるの?
それとも何!?私なんてそんな対象として見てないってワケ!?
……なんか腹立つ。
イライラする。
「ねぇ、君」
そう私が腹を立てている時、知らない男に声をかけられた。
金髪で海水パンツのみ。
首からはジャラジャラとアクセサリーを下げていて体は真っ黒。
何なのコイツ。
「君かわいいね、良かったら一緒に遊ばない?」
ああ、そういうこと。
くだらない。
今時そんなナンパあるんだ。
「興味ない、どっか行って」
ピクッ。
男は邪険に扱われたのが納得いかないのか、少し眉をつり上げた。

224 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:28:04 ID:f2rxSPKI
「ねぇ、そんなこと言わずにさぁ」
しつこく男は薄気味悪い笑顔を貼り付けて近寄ってくる。
「来んな、ウザイ」
「なっ、ちょっと酷くないソレ?ああ、めっちゃ傷ついた俺。これはもう一緒に付き合ってくれないと癒されそうにない」
……なんでこいつこんなにしつこいの?
「悪いようにはしないって。楽しませてあげるから。ほら、さっき男といたみたいだけど喧嘩してたんでしょ?」
「アンタには関係ないわ」
「そう言わずにさぁ、君みたいな可愛い子にはあんな奴似合わないって。君に怒鳴ったりする最低な奴みたいだし」
竜児は私に似合わない?最低な奴?
その言葉は、私の沸点を下げるのに十分だった。
「ねぇ行こうぜ」
がっと腕を掴まれる。

─────プチン─────

「触るなぁ!!」
ドン!!
思いっきり蹴り飛ばす。
「アンタ、誰が私に触れて良いって言った?私に触れて良いのは限られた人間だけよ。アンタのような雑草にそんな権利は無いわ」
「な……てめぇ!!」
男は逆上にしたように殴りかかってくるが、大河はしゃがんでかわし、アッパーでカウンター。
「ぐぼぉっ!?」
「オマケに、せっかく塗った日焼けクリームがべとついたじゃない。どうしてくれんのよ」
「ぼ、ぼまへ……」
男は顎が効いてるのか、呂律が回っていない。
「それにね」
大河はすっと足を後ろに一旦下げ、
「私に竜児は似合わない?……そんなのわかってるのよ、あいつの隣に……きっと私のスペースは作ってくれない。……でもね……」
ひゅっ!!
風を切る音がする。
「お前みたいな奴が竜児を最低呼ばわりするなぁぁぁっ!!!」
ドガァァァァァッァァッァアン!!!
男はもろに蹴られ、海の藻屑よろしく、海水までぶっ飛んでいく。
「ぽげらぁっ!?」
情けない声を上げ、男はそうして砂浜から退場した。
「………………」
だが、思いっきり蹴り飛ばして制裁を加えてやったというのに、心は全然晴れない。

─────似合わないって─────

重く、その言葉がのし掛かる。
「私は……」
そう、何か言いかけた時、
「大河?」
ようやく戻って来たらしいアイツの声が耳に届いた。

***

225 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/05(土) 20:29:37 ID:f2rxSPKI
とりあえずここまで。
続きは……急いで書きマス。

226 :まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2009/09/05(土) 20:33:21 ID:BWPF7XpB
まとめサイト更新しました。

 「あれー? まとめサイト更新されてないよお〜、もしかしてやっちゃんいじわるされてる…?」

NON!そんな方はページの更新をしてみてください!
あと、リンクミスやまとめから漏れてる等がありましたら、ご報告をお願いいたします!

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 21:11:46 ID:y5EcQg7m
>>211
OSの話ですよ

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 21:57:27 ID:E8um3aSg
>>212
213です、茶化してすまない。
気にしていたのならあやまるよ。
ごめんさい。

>>214 >>215 >>216
すまなかった。こういうのは注意してもらう方が助かる。
少し調子に乗ってたかもしれないな。
今後気をつけるよ。

>>225
GJ!
続きが楽しみだ!

>>226
いつも、いつも、ありがとうございます(涙)

>>227
そうですOSの話です。
は、しまった!!ここは竜虎スレだったぁぁぁ。



229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 23:10:06 ID:y5EcQg7m
>>226
おつんつんつん

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 00:17:24 ID:yPiVr7l7
>>225
おかえりなさい!
新作待ってましたー次回も楽しみ

>>226
いつも乙です!

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 00:27:51 ID:aXM5Jno3
>>225 続き楽しみにしています

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 00:57:45 ID:G3sxOxe0
>>225
おかえりなさい。

GJ!!

タイガチュウドクとかラブレターとかも好きでした

期待してます

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 01:56:09 ID:5iOWX8xu
>>225
おつです!

234 : ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:52:59 ID:vikNijXf
>>88
>「シリアル・クリーナー」ってタイトルでSS一本書けそう。

だから誰か書いてくれ、と書いたつもりだったのだが、どういうわけか >>90 >>92 から
ブーメランが帰ってきた上に >>110 に気まで遣われてしまった。

てことで

「シリアル・クリーナー」

235 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:54:40 ID:vikNijXf
「高須君、やめてくんない?マジむかつくんですけどぉ」
「おぅ?」

クラスメイトにいきなりきつい言葉をかけられて、高須竜児は思わず目を眇めた。夏休み明けの9月の第一週。休みぼけから立ち直り切れていない生徒達は、3時限目の終わりに始まった突然のアクシデントを興味津々に見守る。教室前方、
教壇の上にはちょっと離れて男子と女子が1人ずつ並んで仲良く黒板を消している………ように見えるのだが。女子生徒のほうは思いのほかとげとげしい声である。

声を掛けたのは木原麻耶。大橋高校2−C公式美少女トリオの一角を担う、押しも押されぬ当世風ギャル。ミルクティー色に染めたロングヘアーは夏の間少しだけ焼いた肌に溶けて、1学期よりいっそう魅力を増している。ちょっと短めのスカートからすらりと伸びた脚がまぶしい。
が、黒板ふきを持ったまま竜児を見つめる目は、とてもとてもとてもきつい。

一方、文句を言われた竜児のほうは、目がきついってレベルじゃねーぞ、と文句のひとつも言いたくなるようなツラ。やや長身の竜児は顔つきこそ並だが、目つきの鋭さが尋常ではないのだ。つり上がった目の中には嵌めこまれた眼球は白目の部分がほの青く光り、
その中心の瞳がぐっとちいさく絞られて狂気を振りまく。いわゆる三白眼。町で目が合えば9割9分は相手が目をそらす凶眼の持ち主。ついたあだ名がヤンキー高須。
今もいきなり付けられたクレームに、このくそアマ、2、3発ひっぱたいて二目と見られない顔にしてやろうかと怒りを燃やしているように見えるのだが………そう思っているわけではない。戸惑っているのだ。なにをマジむかついているのかと。
見た目に反して竜児はおとなしい男の子だ。気の強さで言えばむしろ麻耶の方が数段上で、実際の所竜児は麻耶の事を少し苦手に思っているくらいだ。だって怖そうだし。麻耶の方も進級当初こそ『高須君って、ヤンキーなんだよね』と密かにびびっていたものの、
どうやらこいつは無害らしいということで同じクラスの男子連中よりよほど度胸の座った対応をしてくる。

「なんで私が黒板拭いたあと高須君が拭き直してるわけ?1時間目も2時間目も拭いてたたじゃない」
「いや、俺はただ黒板はきれいな方がいいかと」
「なにそれ、私が拭いた後は汚いって?信じられないんですけどぉ。マジ信じられないんですけどぉ」
「俺はそういうつもりじゃなくて」
「あーもう、うざい、うざい、うざい!だったら初めから高須君が全部拭きなよ!」
「高須!」

それは良いアイデアだ!と返そうと思ったところにあきれたような声で割って入ったのは北村祐作。2−Cのクラス委員にして生徒会副会長。竜児とつきあいが長く仲のいい祐作は、普段は竜児のよき理解者なのだが…

「黒板を拭くのは日直の木原の仕事だ」

今日に限って大声を上げている麻耶ではなく竜児に非があると採決を下す。もっともこの場合、それが公平と言うものだろう。なにしろ竜児は日直じゃない。余計なお節介と言われても仕方ない。しかしながら

「いや、だって…」

と、竜児が抵抗するのは別に祐作のツラが気にくわないとかそういうわけではない。黒板をきれいにしたいのだ。

236 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:55:29 ID:vikNijXf
麻耶は確かに黒板を拭いている。前の授業で教師が書いた文字は、ちゃんと消えている。だが、竜児はそれだけではダメだと思うのだ。麻耶の拭き方は次の授業で文字を書くという意味では合格だろう。だが、それときれいにするということは別なのだ。
たとえば消し方。麻耶は腕を扇型に振りながら黒板拭きをつかう。だから黒板に車のワイパーで拭いたような跡が残る。それじゃダメだろうと竜児は思うのだ。粗拭きはそれでもいい。だが、仕上げはいけない。次の授業が国語なら縦に、数学なら横に拭いて仕上げを行うべきだ。
もちろん、仕上げは文字があった所だけではなく、黒板全体に行うべきだ。そして仕上げ拭きを終えたらクリーナーで黒板拭きを綺麗にし、二度仕上げを施す。時間があれば三度仕上げをかけたい。そうして初めて黒板は深い緑がかった黒へと美しく沈み、
落ち着いた気持ちで次の授業を受けられるいうものだ。だから祐作にもその気持ちを理解して欲しいのだが、

「だってもへったくれもないぞ。ほら、木原に黒板拭きを渡してやれ」

残念なことにまったく理解してくれるつもりはないらしい。言葉を捜している竜児からひったくるように黒板拭きを奪うと、麻耶はキッとガンを飛ばしてぷいっと顔を背けてクリーナーへと向かった。そして竜児に飛ばしたガンとはまったく違う愛らしいまなざしを北村に向けると

「まるおありがとう!おかげで助かったよ〜」

と体をくねらせて見せる。なにが助かっただ。あの剣幕から見て、放っておけば黒板拭きで叩かれたのは竜児のほうだったろう。

黒板拭きを奪われた竜児は所在なく立っていたが、立っていても仕方がないので席に戻った。4時限目もあるのだから教科書を出して準備しなければならない
。筆箱を机の縁に合わせてきちっとおき、教科書をノートを開こうとしたところで猫の気でも引くような「チチチチ」と舌打ちをする声に振り替える。

斜め後ろ先のほうから、淡色の長い髪に包まれた小柄な少女がこちらをにやにや笑いながら見ていた。逢坂大河。通称手乗りタイガー。高須家に居候同然に厄介になっているその美しい少女は、意地の悪い笑みを浮かべたまま、声を出さずに口を動かした。

ばーか。

大きくため息をつくと、竜児は祐作の号令に従って立ち上がる。

◇ ◇ ◇ ◇

237 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:56:12 ID:vikNijXf
昼休み。祐作の号令に合わせて礼をしたあと席に着いた竜児は、パンを買いに行ったりお弁当を食べるために席を寄せたりと騒がしいクラスメイト達をよそに、黒板を拭く木原麻耶を見るともなく見ていた。
揺れるロングヘアーや、背伸びするたびにつんと延ばされる足首や、思いのほか柔らかい曲線を描くスカートに包まれたあたりを眺めていたわけではない。

ああ、雑な拭き方だ。と沈痛な気持ちに浸っていたのだ。それはもう、『早くちゃっちゃっと終わらせてお弁当食べなきゃ!』と黒板拭きで書いているような雑な拭き方だった。文句があるわけではない。だが、あの雑に拭かれた黒板を見ながら昼休みを過ごし、
5時間目を過ごすことになると考えると気が沈むのだ。あのかわいそうな黒板を救ってあげたい。きれいに拭きあげて、どこに出しても恥ずかしくないきれいな姿に、例えるならば校舎が建築されたころ、
なにもかもピカピカだったころの姿に戻してもう一度希望に燃える生徒たちのまなざしを向けさせてやりたい。そう考える竜児の気持ちをくんでくれる人が一人でもいてくれたなら。

「……うじっ!竜児っ!聞こえないの?この馬鹿犬!」
「ててて!何するんだよこの暴力女!」

かなうはずもない願いを思う白昼夢から呼び起こしてくれたのは手乗りタイガー様。

「『なにするんだ』じゃないわよ。自分こそいやらしい目で木原麻耶を見てたくせに、よくそんなこと言えるわね」
「見てねぇよ!」

痴漢同然の扱いを受けて思わず声が大きくなる竜児だが、クラスメイトは知らん顔。高須竜児と逢坂大河のけんかなど日常茶飯。いちいち相手にしているひま人などいない。ただ、いやらしい目で後ろから見られていたと言われた木原麻耶だけがお尻のあたりを押さえて振り返り、
竜児をにらみつけている。が、竜児は手乗りタイガーへの応戦に手いっぱいなので、幸いにもその非難のこもった目つきに心を傷付けられずに済んだ。

「あらどうかしら。そもそも竜児はお掃除とか整理整頓とか、高校生らしからぬものに異常に興奮するじゃない。そっちのほうがおかしいのよ。ある日突然木原麻耶に異常な興奮をする高校生になったからといって、不思議はないし、むしろそちらのほうが健全だわ。
そんなことはいいからお弁当よこしなさい。みのりんが待ってるんだから」

散々ひどいことを言ってくれた上に自分勝手この上ないことを言いやがる。しかし、櫛枝実乃梨を待たせているといわれては、竜児としてはくだらない言い争いで時間をかけるわけにも行かなかった。ぐいと身をそらせて教室の斜め後ろを振り返る。
竜児とはほぼ反対の位置で櫛枝実乃梨がこちらを見ていた。目が合って、にっこり微笑んでくれる。あわてて引きつり笑いを返す。

かわいい。

実乃梨は竜児の片想いの相手だ。ひまわりのような笑顔を誰にも均しく振りまく天真爛漫さにあこがれて早一年以上。先の夏休みではついに一緒に旅行にまで行く仲になったのだが、最近どうも避けられているような気がして竜児は気が重い。

とにかく、避けられているのが事実かどうかは別として実乃梨を待たせるようなことはしたくない。大河の弁当を取り出して渡そうとするのだが………

「高須君、私のこといやらしい目で見ないでくれる?!」

いつの間にか二人の前に来ていた木原麻耶が、仁王立ちで両手を腰に当て、かみ殺してやろうかといった目つきで睨み付けている。さっきの大河の軽口を真に受けたのだろう。竜児のほうこそいい面の皮だ。

「いや、俺はそんな目で見てないぞ、あれは大河が言っただけで」
「言い訳しないでよ!」
「竜児、私のせいにするつもり!?」

突然のことだった。まだ暑さの残る9月の平日。とある高校の2年生の教室で、ステレオ音声による高須竜糾弾大会が始まったのだ。

238 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:57:04 ID:vikNijXf
「信じられないんですけど、おちおち黒板も拭けないんですけど!」
「あんた男らしくないわよ!自分の目つきの悪さくらい自分で責任を取りなさいよ。この馬鹿犬!」
「高須君って、すっごく勝手!お姑さんみたい!」
「何とか言いなさい、この変体連続掃除魔!」
「お掃除好きって変!男の子らしくないしぃ」
「あんたその顔で家事好きって、どんだけ自分アピールしてんのよ」
「目つきだって、すっごい怖いし、信じられない!」

雨あられのように降り注ぐ罵詈雑言に、竜児は呆然とするしかない。一応言葉を返してみるが、聞いちゃくれないしそもそも交互にわめかれたのでは会話にならない。延々と罵倒されること3分、やがて竜児の表情が焦りから諦めへとゆっくりと変わっていった。
ぎゃあぎゃあうるさい教室の一角にいい加減にしてくれ、とほぼ全員が目を向けたころ。がたりと椅子を揺らして立ち上がると

「木原、悪かったな。本当にそんな目でみていたわけじゃねぇんだ。だけど、俺の目つきが気に入らなくて気分を害したってのなら、すまねぇ。謝るから許してくれ」

竜児は深々と頭を下げた。

「え、てか、あれ?いや、高須君、私…」

そうして、気勢をそがれた麻耶をよそに、机の上に弁当箱を放ったままその場を離れて教室を出て行こうとする。

「竜児、あんたどこ行くのよ」
「頭冷やしてくる」
「お弁当忘れてるわよ」
「食欲ねぇんだ。欲しけりゃ食っとけ」

そういい残したまま、本当に教室から出て行ってしまった。

「あららららぁ……高須君怒らせちゃったぁ」

女子二人の剣幕にのまれて、しんとしらけてしまった教室の後ろのほうから涼やかな声。麻耶と大河が目をやると、整った顔にはめ込まれた信じられないほど大きな瞳に意味ありげな色を浮かべて、川嶋亜美が楽しげに笑っている。

「ええ??亜美ちゃん、私?私が悪いって言うの?てか、私被害者じゃん」
「さぁぁぁぁぁどうかしら?亜美ちゃん当事者じゃないし。わかんなぃ」

しらを切る亜美を横目で睨みながら大河が憎憎しげに舌打ちをする。竜児の分の弁当を引っつかんで実乃梨の元にもどろうとするが

「口を挟むのもどうかと思って見ていたが、今のは二人が悪いぞ。いくらなんでも言いすぎだ。高須が落ち込むのも仕方がない」

想い人の北村祐作にばっさり斬られて大河が凍りつく。

「き、き、北村君、そんな…私…」
「まるおぉ」
「二人とも後で高須に謝っとけ。いいな」

その日の昼休み、麻耶はひそかに想いを寄せる祐作に諭されてしゅんとしていた。大河は祐作に諭された悲しみを竜児への静かな怒りに転換することに成功。それでも、竜児の弁当には手をつけなかった。

◇ ◇ ◇ ◇

239 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:57:46 ID:vikNijXf
5時間目が始まる直前に教室に戻ってきた竜児は、誰とも目をあわさずに自分の席に戻ると、だまって教科書とノートと筆記用具の用意をした。手付かずの弁当を手にすると、MOTTAINAIとも、洗わないと不衛生だとも言わず、かばんに入れた。その様子を、憮然と大河は見ていた。

◇ ◇ ◇ ◇

帰りのSHRの後の掃除。教室掃除当番だった竜児は、淡々と掃除をこなした。ごく当たり前に床を掃き、机を並べると、特になにもいわずにみんなと一緒に掃除を終えた。2−Cの面々が異変に気づいたのはこのときである。

竜児が普通に掃除を終えた。異例の事態だった。なにがあっても人の3倍掃除に力を入れ、手を抜くクラスメイトを叱咤激励し、頼まれても無いのに窓のサンを一本一本拭き、机を定規でそろえたように並べるのが竜児である。その竜児が普通に掃除を終えた。
これが変じゃなかったら、地球温暖化だって変じゃない。

◇ ◇ ◇ ◇

竜児は明らかにおかしくなった。授業の間の休憩時間では、もっぱら机につっぷすか、窓の外をぼんやりと見つめるだけになった。昼休みもどこで食べているのか一人で弁当を持って教室を出ると、終わりの時間まで帰ってこない。話しかけるときちんと受け答えするが、
自分から話を振らなくなったし、人が増えるとそっと話の輪から抜けるようになった。別に落ち込んでいるような顔はしていない。だが、歩くときには伏目がちになり、自分から人とかかわるのを避けるようになった。

「あんた、いったいなに拗ねてるのよ」
「拗ねてるって、何をだ」

たまりかねた大河が問い詰めたのは例の事件の翌日のことだ。大河は短気だからたまりかねるのも光の速さ。

「あんた昨日から変じゃない」
「別に変じゃないぞ」
「変よ!」
「そうか。すまん」
「すまんって、あんた」
「気分を害したなら謝るよ」

一か十までこの調子である。

問い詰めても言葉すくなに返事をするだけで、たいていは大河が大声をあげる前に竜児が謝って話が途切れる。こんな相手に寛大になれる大河ではない。怒りまくり、怒鳴りまくり、罵詈雑言をあびせかけ、キックを見舞い、いらいらオーラを投げつけたのだが……………
竜児は泣くでもなくわめくでもなく怒るでもなく、ただ、

「すまん」

で、話を切る。こんなことがなんと1週間も続いた。

◇ ◇ ◇ ◇

「高っちゃーん、最近どうしたのよ、変じゃなくね?」
「おう、いや、別に変じゃないぞ」
「高須、変だよ、高須。最近全然話しかけてくれないじゃない」
「そうか?」
「そうだよ高っちゃん、元気だしなよ」
「おう、元気だぜ。食欲もある、体力も絶好調だ」
「ええ??なんかへんだよ高須ぅ」
「高っちゃん、この前の麻耶様のことなら気にしなくていいって。『連続掃除魔』ってなんかかっこいいっしょ」
「春田何言ってんのよ!それ言ったの私じゃねーし!」

こういう会話がなんども交わされたが、竜児はあいかわらず話しかけられたら答えるだけ。

割を食ったのは2−Cの面々である。竜児の変調のせいで、大河が不機嫌になってしまった。なにしろ天下の手乗りタイガーである。本来いつ爆発するかわからない不発弾のような大河がそれなりにクラスでうまくやっていけていたのは、
ひとえに爆弾安定化器である竜児が抑えていたからだった。その竜児が無気力無関心無感動を決め込み、学校には勉強以外用は無いという姿勢を貫いているのだ。大河は竜児の態度に不機嫌になり、それをあからさまに亜美に指摘されてさらに不機嫌になり、
1年生当時のイライラ爆弾に逆戻りしてしまった。櫛枝実乃梨と話している時にはいくらか落ち着いているものの、それ以外の時の2−Cは撤去作業の完了していない地雷原と化し、生徒たちから青春の日々は去っていってしまった。

それでも、1週間も続けばどんなことでも受け入れる者は出てくるのだ。すでに何人かにとって、高須竜児は「そういう感じの奴」という事になりつつあった。自分からは話しかけず、話しかけられたら愛想良く返事をする、よくいるおとなしい奴。

ただ、何人かが話を切り出すタイミングを計っている。ある者はどこまでなら踏み込んでいいかと考えており、ある者は世話が焼けるとあきれいた。そしてあるものは幾分場違いに思える小さな胸の痛みに戸惑っている。

◇ ◇ ◇ ◇

240 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:58:27 ID:vikNijXf
「おう、先客がいると思ったら川嶋か」

3時間目の終わり。本当は自動販売機を使うことが禁止されている時間。校則違反上等でやってきたコーナーには、八頭身現役プロモデルの川嶋亜美がいた。普段はクラスメイトに囲まれてきゃっきゃうふふと楽しげな亜美だが、
今は知られざる定位置ともいえる自動販売機の間に体育座りで陣取って孤独を楽しみたい気分らしい。

「うわー、めっずらしぃ。今日雨?雪?亜美ちゃん傘持って来てないのにどうしよ」
「…………なんだよ、俺が話しかけちゃ悪いかよ」
「だって高須君最近誰にも話しかけないじゃん」
「そんなことねぇよ」
「あるわよ」
「そうかよ、すまねぇ」

そう言った竜児はふっと電気が切れたような表情を顔に浮かべると右向け右してその場を立ち去ろうとする。

「待ちなって。ほら、座んなよ。お話ししよ」
「話って、なんだよ」
「冷たいなぁ。私にそんなに冷たいの高須君だけだよ。みんな優しくしてくれるよ。高須君ももっと優しくしてよ」
「別に冷たくしてないぞ」
「ううん、冷たい。私にだけじゃない。高須君、最近変。みんなに冷たくなった。タイガーにも」

腰を下ろした竜児が二人の間の床を見つめたまま、にぃっと力なく笑う。

「ねぇ、どうしたの?麻耶のことまだ怒ってる?らしくないわよ」
「いや、木原のことは怒ってねぇ。けど、らしいからしくねぇかって話なら、今のほうが俺らしいよ」

そう言って竜児があきらめたようなまなざしを亜美に向ける。亜美のほうはチワワのような目をくりくりさせて微笑みながらも竜児の腹の中を読みかねて小首をかしげる。先を続けて、と。

「もともと俺はこんなだよ。お前は知らねぇけど。嘘だと思うなら北村に聞いてみろ。俺の言うとおりって言うさ」
「だから?」
「だから、本来の俺に戻っただけだ。今までが調子に乗りすぎてただけだ」
「亜美ちゃんわかんな〜い」
「だろうよ」
「で、高須君はどうしたいわけ?白馬の王子様が助けに来るのをまつってか?」
「あほか。助けなんか来るわけねぇだろ」
「じゃぁさ、助け待つのなんかやめちゃいなよ」
「だから待ってねぇって」
「柄じゃないよ」
「こっちのほうが柄だって言ったろ。俺の話聞いてねぇのかよ」
「麻耶、気にしてるよ。タイガー寂しそうだよ」

実乃梨ちゃんもさびしそうだしぃ、と亜美が漏らしたときだけ、ほんの少し竜児の体が揺れた。

「気にするなって言っといてくれ。俺が調子に乗りすぎてただけだ。あれで頭が冷えた。むしろ感謝してるくらいだ」

そう言って立ち上がると、竜児は何も買わずにその場から歩き始める。

「サンキューな、話聞いてくれただけでもすっとしたぜ」
「亜美ちゃん同情なんかしないよ」
「お前が同情なんかする玉かよ」

そう言って振り返ると竜児はもう一度にぃっと笑う。

「気分がすっとしたら、元の高須君に戻るのかな?」
「ああ、お前の知らない元の高須竜児にちゃんと戻る事ができそうだ」

その言葉を最後に竜児はその場を立ち去った。自動販売機の隙間に小さな声が漏れる。

「だめじゃん」

◇ ◇ ◇ ◇

241 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 12:59:26 ID:vikNijXf
「な〜んかさぁ、高須君要領得ないんだけど。てか、べつにつらそうじゃなかったし。達観しちゃってるよ。もう、悟り開いちゃうかも。高須君あきらめムード?って感じ。亜美ちゃん的にはあれもありって感じだけど」
「高須はそんなことを言ってたのか」

祐作が大きくため息をつく。亜美のほうは、もう知らな〜いといった風情でへらへら笑い。人気の無い階段の踊り場。そもそもこの場に祐作、麻耶、大河、亜美の4人をセットしたのは亜美じゃない。麻耶が嫌がる亜美と不機嫌オーラ発生中の大河を引っ張ってきたのだ。

「二人が謝ったのにそんなに意固地な高須も高須だな………」
「………」
「………」
「おい、謝ってないのか?!」

気まずそうな二人に、さすがの祐作も声が大きくなる。

「亜美ちゃんしーらない。関係ないしぃ」
「え、だってだって、まるお聞いてよ、私被害者だし」
「き、北村君、わ、私も、謝るような事してないよ。いつも、りゅ、竜児にはあんなだし」

祐作が溜息をつく。

「木原、お前は何を言ってるんだ。何の根拠も無いのに高須を痴漢呼ばわりして。あいつの言い分に耳を貸さなかったろう」
「え、あ、だって」
「俺だって無実の罪であんな剣幕でぼろくそに言われたら立ち直れないぞ。逢坂、お前もだぞ。高須は優しくて寛容なやつだが、限度ってものがある。いくらなんでも甘えすぎじゃないか。正直言ってお前には落胆したぞ」
「き、北村君!」
「もう、俺は知らん。二人とも勝手にしろ。俺は高須の肩を持つ」
「あ」
「え」

消え入りそうな二人をよそに、亜美は実に楽しそう

「あははは。まぁまぁまぁ。祐作が麻耶とタイガーを切り捨てようと知ったこっちゃねぇけど、高須君はなに言ってるわけ?亜美ちゃん的にはそっちのほうが気になるんだけど」

右から麻耶のそんなそんな光線、左から大河の殺すぞお前光線を浴びながら、亜美は悠然と腕を組んで笑みをたたえながら幼馴染に問う。祐作は少し話しにくそうにしていたが、決心がついたような顔をして口を開いた。

「確かに去年の初めのころ、高須はあんな感じだったよ。同じクラスの連中はみんな覚えてるはずだ」
「へー、高須君がねぇ。自分から壁作っちゃって。あんな顔なのにねぇ」
「壁を作るってのは少し違うな。誤解を解きたいんだが、かえって泥沼になるのを怖がっているようだった」
「泥沼?」
「ああ、俺はよくわからんのだが、中には高須を怖いって言うやつらがいるらしくてな。そいつらがいつも過剰反応するんだ」
「え、わかんないって、それ変くね?亜美ちゃん、高須君を怖いって思うほうがまともだと思うけど。祐作、メガネ作り直しなよ」
「そうだな、メガネを作り直すか。この話はこのくらいにしとこう」

興味があるといったくせに、それほどまじめに聞く気がないらしい亜美に、祐作はあからさまに不愉快そう。話を打ち切りにかかる。友達のあまり楽しくない話を無理にする必要など感じてないのだ。だが、

「北村君、聞かせて」

大河が食い下がる。亜美は黙ったまま、横目で興味深げに大河を見ている。

242 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 13:00:08 ID:vikNijXf
「逢坂。正直、お前に話しても都合のいい解釈しかしないんじゃないかと思うんだが」
「で、でも聞きたいの。つ、都合のいい解釈なんてしないから。お願い」

想い人の自分への評価が地に落ちていると知って、足から力が抜けそうになりながら大河は必死の表情。祐作はその表情を汲み取ったのかどうか、そこまで言うならと口を開く。

「高須は去年一緒のクラスになったころ、つまり入学したころだが、確かに今みたいな感じだった」
「か、壁作ってたってこと?」
「そうじゃない。あいつは人から話しかければきちんと答えるやつだったし、今もそうだ。高須は誰も拒んでない」
「じゃぁ高須くんは何してんのさ」
「自分から話し掛けないようにしてるんだろ」
「どうして……竜児はそんなことしてるのかな」

祐作は大きく息を吸い込むと、顔をゆがめて言う。

「あいつを悪く言う奴がいるからだ。ヤンキーだとか根も葉もないことを言う奴がいるんだ。それだけなら別に放っておけばいい。だが、それをいちいち真に受ける奴がいる。せっかく少し仲良くなってもバカな噂を吹き込まれて距離を取る奴がいたよ。
その度に高須は1からやり直していた。あいつはやさしいやつなのに、見かけでしか判断しない奴がいつもあいつを傷つけてた」
「………」

一同が黙り込む。少し時間を置いて、恐る恐る口を開いたのは麻耶。

「ねぇまるお、高須くんは、その、また1からやりなおすつもりなのかな」
「わからん」
「わからないって……」
「1からやりなおそうとしているのなら、まだましだろ」
「祐作、もったいつけないではっきり言いなよ」

問題から超然とした距離を保ったまま腕組みをして聞いている亜美が先を促す。

「あいつは、2ーCのこれまでを失敗だったと悔やんでいるのかもしれない」
「失敗?」
「あいつは…というか、俺もだがこのクラスはうまくやれていると思っていた。特に荒々しいいがみ合いがあるわけじゃないし、いじめもない。高須もみんなとうまくやれていた。ところがふたを開けてみたらどうだ。痴漢よばわりされるは、
いまさら目つきがどうのとガミガミ言われる。ようするに仲良くなったなんてのはとんだ思い込みだったわけだ。木原に火のような剣幕で噛みつかれて、高須はそれをしみじみ思い知ったってわけだ」
「まるおぉ、私はどそんなつもりじゃ」
「じゃぁ、どんなつもりだったんだ。お前は高須に噛みついていたとき、一度でもあいつがどんなやつか振り返ったか。痴漢をするようなやつか振り返ったか。ちがうだろう。目つきが悪いからそのくらいのことはしそうだとでも思ったんじゃないのか」
「私はそんな…」

厳しいことを言われて麻耶はほとんど泣きそうになっているが、祐作は容赦ない。

「同じだ。木原、俺はお前の言い訳なんか興味ない。お前が高須の中身に興味ないのと同じだな。逢坂、お前もだ。お前は一番近いところで一番長く高須を見ていて、もっとあいつのことを分かっていると思っていたが、あのときの態度には本当にがっかりしたぞ。
お前のことを見損なったよ」
「………」
「とにかく。高須はこのクラスは失敗だったと考えているかもしれない。お前たちにはどうでもいいことだろうが、あいつは多分小学校でも中学校でも人間関係では苦労している。2ーCのことは、もう諦めても不思議はない」
「どうしよう」

と、漏らしたのは麻耶。大河は下を向いたまま。

243 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 13:01:02 ID:vikNijXf
「どうもしなくてもいい。謝る気なんかなかったんだろう。もう、関わらないでくれ。高須のことは俺がやる」
「でも」
「高須に関わるな!」

よほど腹に据えかねたのか、祐作はきつい調子で言葉を吐くと、肩をいからせてその場を去って行った。お通夜のような空気の踊り場で、亜美だけ場違いな笑みを浮かべている。

「あららぁ、祐作があんなに怒るなんてねぇ。お二人さん絶交されちゃった?どうなるのかしらねぇ」
「亜美ちゃんどうしよう」
「さあぁ?あんなに怒った祐作見たことないしぃ。てか、あれ、いくら何でもキモくない?男の友情?時代遅れよねぇ。暑苦しくて亜美ちゃん気絶しそう」
「そんなぁ」

情けない声をあげる麻耶をよそに、下を向いたままだった大河が何かを決意したように歩き出す。

「タイガー、ちょっと待ちなよ」
「なによ」

振り向いた顔には火のような眼差し。全身の毛を逆立て、唇を歪め、近づけば食い殺すとでも言いかねない顔だが、亜美の方は怒り全開の手乗りタイガーを前にいたって涼しげな表情。

「その顔、あんた高須君に喝入れてやろうなんて思ってんじゃないでしょうね」
「あんたには関係ないわよ」
「きゃはっ、図星だぁ。信じられねぇ。元気ないからケツひっぱたいて喝入れてやろうなんて、ばっかじゃねーの。漫画の読みすぎだっつーの」

本当に図星だったのだろう、大河は唇を噛み締めて亜美を睨みつけるばかり。

「タイガー、あんたマジ馬鹿だから教えてあげる。今の高須君にそんなことしたって無駄。事の発端はあんたがみんなの前でボロカスに言ったってのもあるんだから。同じ事繰り返したって高須君は余計引きこもるだけよ」
「ばかちー、あんたには関係ないって言ってるでしょ」
「そうねぇ、あんたと高須君がどうなろうと知ったこっちゃねーし。てか、むしろこのまま破綻してくれたほうがいいかも。あんたが『竜児はわたしのだーっ』って泣いて叫んだから、可哀想になってからかうの止めてやったけど、ほんとうに別れちゃったら高須君フリーだし。
亜美ちゃん的にはそっちのほうが面白いかも。てわけだ。行きな、タイガー。高須君に噛みついてトドメをさすのだ!。あ、でもあんたが本当に高須君と仲直りしたいなら、これだけは忠告しとくよ。今すぐ行きな。放課後になったら祐作が出てくるから。
そうなったらあんたに出る幕はないからね。タイガー死亡のお知らせってか」
「くっ」

笑顔の亜美を憎々しげににらむと大河はその場を走って去って行った。

「あーあ、分かりやすすぎるっつーの」

ニヤニヤ笑う亜美の横で一人困惑顔の麻耶がどうしたらいいのかとおろおろしている。

「ねぇ、亜美ちゃん、私どうしたらいいのかな」
「だから自分で考えなよ」
「そんなぁ」

◇ ◇ ◇ ◇


244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 13:19:28 ID:Uyky7fbG
ここは支援か?

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 14:12:10 ID:G3sxOxe0
支援!!!!!続き気になりすぎ!!!

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 14:27:24 ID:P9s+IeHx
いいとこ過ぎだろ。あれか?悶々としたまま過ごせと?
ってことで1時間過ぎてるが支援。

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 15:03:09 ID:XW/LGIZ3
このままでは北村ルートに……

248 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:53:32 ID:vikNijXf
「竜児!」

聞きなれた声に顔をあげると、大河がこちらに走ってくるところだった。昼休みもあと10分くらい。そろそろ引き上げないと弁当箱を洗えない。

「こんなところに居たんだ。あちこちさがしたわよ」
「おう、最近涼しいからな。屋上は飯を食べるのに絶好の場所だ。もう授業が始まる。戻るぞ」

珍しく息を切らす大河を見ながら腰をあげるが、

「待って。話があるの。聞いて」

大河に押しとどめられる。

「大河、俺はこんなツラだが無遅刻無欠席で鳴らしている優等生だぞ。5時間目サボらせて本当にグレさせるつもりか」
「不良なめんじゃないわよ。1時間くらいサボったって不良になんかなるわけないじゃない」
「知らないのか、素行不良の芽は」
「いいから聞いて」

気乗りしない風で話している竜児を黙らせて、大河はコンクリを背に竜児と並んで座る。

「北村君から聞いたわ。あんた、前もこんなだったの」
「そうか、お前の耳にも入ったのか。別に隠すことでもないけどな」

竜児は少し遠い目をして反対側のフェンスを見ている。その横で大河は竜児の顔を見上げる。いつもは刃物の様に鋭い目も、最近は力ない光をたたえているだけだ。

「あんた、みんなの事、嫌いになったの?あ、たんま違う。そうじゃなくて」

相変わらず遠くを見ている竜児の横で、大河は真剣な顔をして言葉を選んでいる。

「……怖くなったの?」

にたぁと、竜児の顔にいつもの凶悪な笑みが広がり、大河はため息をつく。どうやら北村の言う通りだったらしい。そして、そうとう根が深そうだと目を伏せる。

「ねぇ、竜児。私はこんなだからさ。馬鹿だから。あんたの事ひどく言ったりするけど……あんたの事本気で悪く言ってるわけじゃないのよ。って、これじゃ言い訳だ。何言ってるんだろ、私。言い訳なんかしに来たんじゃ無いのに」
「おい、予鈴が鳴るぞ」
「いいじゃない。話しよう。ちゃんと」
「ちゃんと、何の話をするんだ?」
「……わかんないよ」

竜児が目を細く眇めて遠くを見ながら軽く吹き出す。

「まったくお前はよう、後先考えてから行動しろよ」
「だって、馬鹿だもん。ドジだし」
「分かってるなら落ち着いて行動しろ。この件はお前が気に病まなきゃいけないような事じゃない。俺が勝手にこうなったことだ。木原にも言っとけ。気にするなって」
「気にするとかしないとかじゃないわよ!」

大きな声を出したことを後悔したように大河が声を潜めて付け加える。

「みんな心配してるのよ」
「おい、よく目を開いてまわりを見回してみろ。みんなが心配しているのはお前のイライラだ。俺じゃねぇ」
「みのりんだって心配してる。あんた本当にこれでいいの?みのりんとせっかく仲良くなれたのに」
「……櫛枝のことは……今は考えたくねぇ」

大河が目を丸くして口をつぐむ。口をつぐむ理由は竜児にもわかる。確かに竜児は片思いの相手である櫛枝実乃梨に対して、積極的とは言いかねる態度を取っていた。それに大河がイライラとしたこともある。それでも、竜児は実乃梨のことを諦めていたわけじゃなかった。
少しずつ前進していたという感触もあった。それを知っているからこそ、大河は口をつぐんだのだろう。

249 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:54:29 ID:vikNijXf
「あんた、一体どうしちゃったのよ。ちっともつまんないわよ」
「俺は元からつまんない奴だったろう」
「今よりはマシだったじゃない」

あまり慰めになってない言葉を受けて、竜児は苦笑。

「べつにどうもしてない。前に戻っただけだ」
「それ、北村くんに聞いたってさっき話した」
「おう、そうだったな。って、チャイム鳴っちまったぞ。あーあ、これでお前も俺もサボリ決定だ」

しばらく二人で黙って座っていた。竜児は遠くを見たまま。大河はつまんなそうに目の前の膝小僧の辺りを眺めている。

「あんたがそんなだと、つまんないじゃない」
「俺は前からつまんない奴だったろう」
「それもさっき聞いたわよ。ねぇ竜児。あんた閉じこもっちゃっみたいよ。何だかあんただけの世界に。ううん。多分あんたとやっちゃんだけの世界。私だけつまはじきよ。つまんないじゃない」
「心配するな。飯も弁当も作ってやるから食いに来い」
「ご飯の話じゃないわよ。なんで私だけつまはじきなのよ。そりゃ、あんたがこうなった原因の一端は私だし、こんなこと言えた義理じゃないし。だけど、それだったら私を追い出せばいいじゃない。なんであんたが引きこもるのよ」
「追い出されたいのか」

聞かれて大河は小さな声になる。

「……嫌よ。知ってるじゃない」

おう、だから食いにこいという竜児の言葉に、やはり大河は納得がいかない。

「だから、なんであんたはやっちゃんとあんたの二人の世界に閉じこもっちゃうのよ。私と木原麻耶が悪いなら私とあの子だけ除け物にすればいいじゃない。他の子は関係ないじゃない」

そう言われて竜児は口をつぐむ。しばらく前を見つめたまま、ようや口を開いたのは3分ほどもしてからだった。半ば諦めて膝小僧を見ていた大河は、竜児の顔を見上げる。

「なあ、大河。片親の子は、いい子じゃないといけねぇんだ」

黙って見上げる大河の横で、竜児は自嘲気味に唇を歪める。

「ちょっと違うな。ツラが悪くて片親の子はいい子じゃないといけねぇんだ」
「……」
「なんでか、ガキのころからなかなか友達ができなかった。やっと友達ができても、ある日突然口を聞いてくれなくなる奴がいた。何でだろうって思った。分かったのはずっとずっと後だった」
「……なんでよ」
「片親だからさ。片親で、たった一人の親は水商売。父親は何者ともしれない。多分チンピラやくざ。そういうことが分かると、親が嫌がる。みんな潮がひくみたいに離れていくんだ」
「あんたが悪いんじゃないじゃない」
「ああ、俺が悪いんじゃない。けど、俺が悪いんじゃないって思っても友達はできねぇ。わめいても暴れても友達は減るだけだ。俺はお前ほど強くないから、友達は欲しいって思った。だったら、いい子でいるしかなかったんだよ。『僕はお父さんが怖い人なので怖い顔です。
お母さんは水商売をして一人で僕を育ててます。でも僕はいい子なので友達になってください』ってな。毎年、クラス替えがある度にこれの繰り返しだった。みんなが俺を理解してくれるまで待つ。クラス替えのないこともあって、その時は少しうれしかった。
まぁ、中学になってからはさすがに片親だからって事はなくなったのかな。去年、進学してまた1からやり直した。今までより時間がかかったよ。なんでかはわかんねぇ。進学校だからかな。みんな育ちよさそうだしな」
「そんなのおかしいよ。片親だからって」
「おかしくたって、俺にはみんなを変えられねぇ。だったら誰よりもいい子でいるしかねぇ。こんな顔でも俺がいい子だってみんなが気づくのを待つしかねぇ。このクラスは楽しかった。
すぐに打ち解けて……まぁ、お前が大暴れして助けてくれたんだけど……みんな俺のことを分かってくれてるって思ってた」
「なんで過去形なのよ」
「多分、俺は調子に乗ってたんだと思う。みんなが理解してくれてるって勝手に思い込んでた。だからしっぺ返しがきた」
「違うわよ」
「理解してくれてるなんて思っちゃいけなかったんだ」
「違う!」
「きっと理解なんて望んじゃいけねぇんだ」
「違うっ!」

250 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:55:11 ID:vikNijXf
大きな声を出した大河を竜児が見つめる。

「そんな事言わないでよ。他の奴がどう思ってるかなんて放っときゃいいのよ。あんたをこんな目に合わせた私が言うのも変だけど。他のやつなんか気にしなきゃいいじゃない。だいたい、あんたに馬鹿な事言ったのって私と木原麻耶だけじゃない。
他の子まで悪く見ることないじゃない」
「だめなんだよ。大河。だめなんだ」

小さな間があく。空は青い。まだ暑さが残っているが、風は秋の気配を運んでいる。空の色は秋だ。話しては黙り、話してはだまり、2人はそんな風に5時間目を屋上で過ごした。

「あんた、また1からはじめるの?」

竜児は小さなため息をつく。

「わかんねぇ。もうこのクラスも1/3が終わっちまった。また始めるより黙ってこのままやり過ごす方がいいかもしれねぇ」
「嫌よ」
「少し考え直したいんだ」
「考え直す必要なんかない!あんたは私の知らない竜児なんかに戻らなくていい!私の知ってる竜児じゃないとやだ!」
「俺だっていじけてわざとふさぎ込んでるわけじゃない。ただ、なんてか。支えみたいなものがぽっきり折れちまったみたいなんだ。自分じゃどうにもならねぇ。なぁ、大河。こんな男面倒くさいだろ。ほっといたらどうだ」
「やだ」
「なんでだよ」
「なんでだよじゃないわよ!あんたが『竜は虎の横にいる』って言ったんじゃない。」
「言ったよ。飯は作ってやる。困ったことがあったら呼べ」
「それじゃダメなのよ。なんで分かってくれないのよ。あんたはお節介でしつこいくらい掃除好きじゃないと高須竜児じゃないのよ」
「お前だけだな。そんな事言うのは」
「違うわよ」
「違わねぇ。さあ大河。もうすぐチャイムが鳴る。6時間目はサボらないぞ」

立ち上がって歩き始める竜児を大河は少しの間見ていた。そして唇を噛むと走り出して、竜児の横に並んで歩いた。傍らを見上げる瞳は決然としていて、きれいな空をうつし込んでいる。

◇ ◇ ◇ ◇ 

251 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:56:10 ID:vikNijXf
「それではみなさん、今日のSHRは終わりです。涼しくなってきたから薄着で寝て風邪なんか引いたりしないでくださいね。それから高須君と逢坂さん。あとで先生の所に来てください。用件はわかってますね」

夏休み明け以来、原因不明の脱力症候群を患っているらしい2−C担任恋ヶ窪ゆり(ついに30歳 独身)は、脱力気味ながらも大人の女性のすてきな声で5時間目の脱走者2人に出頭を申しつける。よりによってその脱走者がヤンキー高須と手乗りタイガーなのだから
普段の恋ヶ窪なら舌でも噛みそうなところ。それが滑らかに呼び出しを宣告できたのも、幾分人生を投げ出し気味だからかもしれない。

そして、普段と幾分違っているのは恋ヶ窪だけではなかった。いつもなら胸板を貫通するような舌打ちを飛ばすだろうこの場面で、

「はいはいはい!先生!私高須君と一緒に行きます!」

と、大河が無駄に元気に手を挙げて大声で宣言したのだ。教室がざわりと揺れ、みなの視線が大河に向けられる。

「……逢坂さん。とっても元気でいい声ですね。先生、返事のいい人は好きですよ。でもね、サボらない人はもっと好きです。それじゃ、あとで職員室にね」
「はいっ!高須君、一緒に行きましょう!」
「……」
「……それじゃぁ北村君、号令お願いします」

目の前の出来事に動じない北村の号令に、全員が起立し、礼をする。礼が終わると同時に大河は席を飛び出して竜児の机にかじりついた。

「竜児!職員室行くわよ」
「おう。って、お前は呼び出し食らってなんでそんなに張り切ってるんだよ。まだ先生そこに居るだろう」

いきなり名指しされた独身が、苦笑しながら2人を横目で見る。書類を教卓の上でとんとんとそろえると、その苦笑いのまま教室を後にした。

「なんででもいいわよ。呼び出しをされたら職員室に行くの。竜児は優等生なんだからちゃんとやるの」
「1人で行ける」
「私も呼ばれたんだから一緒に行くわよ。ほら、立った立った」

背中を押されて教室を出て行く竜児を見ながら、教室の後ろの方で亜美は片方の眉をつり上げてニヤニヤ笑い。横からは香椎奈々子がクスクス笑う。

「うふふふ、タイガー復活しちゃったね」
「あーあ、けつに火がついちゃったってか。ちぇっ、亜美ちゃんつまんな〜い」
「えええ?私だけ置いてきぼり?どうしよう」
「てか、麻耶、あんた遅すぎ」

◇ ◇ ◇ ◇ 

「竜児!帰るわよ」
「竜児!遅刻しちゃう!早く学校行きましょ」
「竜児!お弁当!みのりんとききき北村君も一緒に食べよう」

大河はエンジンの止まったバイクを押し続けた。そのバイクはいつも大河を乗せていい調子で走っていたのだが、エンジンが止まってしまったのだ。止まったきっかけはわかってる。理由もわかった。でも、どうしたらもう一度エンジンが動くのか、誰にもわからない。
バイクにもわかってない。だから、大河はひたすら押し続けた。

◇ ◇ ◇ ◇ 

252 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:57:25 ID:vikNijXf
大河が竜児の横でひたすらカラ元気を出しまくって、もうすぐ一週間になろうとしている。しかし竜児は相変わらず「おとなしい高須君」のまま。

「大河、きょうは高須君とお弁当食べないの?」
「うん、ちょっとお休み」

実乃梨の問いかけに大河が力なくこたえる。

大河がイライラする暇もないくらい竜児にかまけているせいで、2−Cの空気は一層「高須ってこんな奴」に傾きつつある。『もう高須にかまうな』と言った北村は、あれ以来見守ってくれているのか何も言わない。
だが、正直言って大河もどうしたらいいのかわからなくなってきた。いや、最初かららわかっていなかったのだ。そんなことは百も承知。がむしゃらに押し続ければ何とかなるとだけ信じて竜児につきまとい続けた。今までと同じように振る舞えば竜児も元気になると思っていた。

でも竜児は、というか竜児の心の中の何かはこたえてくれない。その理由は竜児にもわかってないようだった。大河もわからない。そして、大河は自分の中に芽生え始めた考えに身震いしていた。こんな竜児もありかもしれない、と。
特に苦しそうな顔をするでもなく、淡々と毎日を送っている竜児を見ると、ついそんな気になってしまうのだ。

「みのりん、なんとかならないかなぁ」
「なんとかって。大河が頑張らなきゃどうにもならないよ」
「そうだけど」

いっそ言ってしまおうかと思う。何度も浮かんだ考えだった。実乃梨にぶちまけてしまおうかと。竜児は実乃梨の事がすきだから、実乃梨が声をかければきっと元に戻ると。
その度に、エサで釣るようなそのやり方が気に入らなくて、胸の中にわき起こる何とも言いようのない気持ちの整理がつかなくて、首を振ってきた。でも、もうどうしたらいいのかわからない。

竜児からかっさらってきた自分の弁当に箸をつける。竜児は自分で言ったとおり、お弁当から手を抜くような事をしなかった。むしろ丁寧になっているようにさえ思える。きっと息をするようになめらかにお弁当を用意しているように見える竜児にだって、
大河にはわからない手間や妥協があるのだろう。そして、学校では何もしない、大河が頼むまで大河の部屋の掃除もしないと決めてしまった竜児は、きっと高須家の家事に前よりも専念できている。泰子と竜児の2人の世界をきれいに守っている。

おかげで2−Cの教室は大河が見てもわかるくらい汚くなってきた。いや、客観的に見れば十分きれいなのだ。きっとまだ余所の教室よりきれいだろう。でも、教室の隅に綿埃がおちているのがわかる。窓のさんに埃が薄く積もっている。机の並びが乱れている。
黒板の黒に深みがない。以前は気にもしなかったことなのに、どうしても竜児が執拗に埃を拾い、窓のさんをふき、通りがかりに机を並べ直していた頃と比べてしまう。

どうしたらいいんだろう、そう思いながらふと箸が軽いことに気づいた。

「あれ?」
「ちょっと大河!なにやってんのさ!」

目の前で大声を出す実乃梨を見て、もう一度箸に目をやる。無い。口に運んでいたおかずがない。

「あれ?ミートボール」
「何ぼーっとしてんの!あんたスカートの上に落としたのわかんないの?」
「あーーーーーっ!!」

竜児特製の甘酸っぱいソースをまとったミートボールは、どうやら虎口を逃れ、スカートの上を転がって教室の床へと大脱走を敢行したらしい。その証拠に逃走経路には見事にソースが付着している。

「みのりんどうしよう!」
「どうしようじゃなくて早く拭きなよ!シミになるって」
「あれ、ハンカチがない」
「何やってんの、もう。ほら、私のハン………」

実乃梨の言葉が途切れる。大河は釣られたように顔を上げ、実乃梨の顔を見る。その瞳は自分ではなくて横を見上げていて……

「このドジ。お前は物を汚さずに食事をすることができないのか?」
「……竜児……」

竜児が立っていた。

253 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:58:23 ID:vikNijXf
校庭側の窓から差し込む光をまとって黒々とした影のような痩身が、大河の横に立っていた。高い位置にある双眸には青白い火花のような光が揺らめいている。気にくわないのだろう。己の作ったミートボールでスカートを汚されたのが気にくわないのだろう。
おしゃべりしながら食べていたのが気にくわないのだろう。一所懸命作ったお弁当をちゃんと味わずに食べているのが気にくわないのだろう。人間のために命を落とした豚の肉を床に落とすというMOTTAINAI所業が気にくわないのだろう。

「ぼさっとするな!ほらっ、拭いてやるから立て!」

催眠術にかかったようにおとなしく立ち上がる大河の足下に跪くと、いつもポケットに入れて持ち歩いているウェットティッシュで丁寧にソースを拭っていく。

「あーあ、お前このままじゃシミになるぞ。とりあえず拭けるだけ拭いとくけど駄目だ。後で水道で洗ってやるから飯が終わったらジャージに着替えとけ」
「竜児……」
「ったくお前はよう。1人じゃ飯も食えないのかよ」
「みのりんと2人で食べてたんだもん」
「屁理屈言うな。ちょっと目を離すとこれだ。盛大に汚しやがって」
「だってドジなんだもん」
「わかってんなら気を付けて食え。何度言わせるつもりだ」
「だって」
「だってもヘチマもあるか!お前は毎日がみがみいわれないとわかんねぇのかよ」
「だって」

竜児がスカートに向かって延々と繰り出す小言に、大河は見下ろしているのかうつむいているのか、いちいち素直にこたえていく。

「飯を食うときにおしゃべりするのがおかしいんだ。黙って食え」
「だって、お話ししてたほうが楽しいんだもん。みんなそうしてるもん」
「そういうのは話しながらきちんと食える奴の特権だ。お前はできねぇんだから黙って食え」
「そんなの寂しいよ」
「飯を粗末にする奴が何言ってやがる」
「………竜児。私やっぱりこっちの竜児の方がいい」
「………」

昼休み。いつの間にか全クラスが注目していたお小言ショーは突然の中断。言葉を切った主演男優がヒロインを見上げる。

「生意気言うな」
「なによ」

ふっと、教室の雰囲気が変わった。どうやら一区切りついたらしい舞台に、クラス中からヒューヒューと声が上がる。

「熱いねぇ」
「勘弁してくれ、まだ残暑かよ」
「いやー、いいもの見せて貰った」
「きゃっ、これからどうなるの、どうなるの?」

注目を浴びていたと気づいていなかった2人は赤面。気まずそうに顔を背けるが

「いやぁ、大河。高須君復活してよかったね」

実乃梨の声に2人ともぴくりと体を震わせる。そしてやおら立ち上がった竜児が顔を真っ赤にしたまま切り裂くような凶眼をクラスメイトに振り向けた。

「うるせーぞお前等!だいたいこの教室の汚さはなんだ。お前等よくこんなところで飯が食えるな。俺は毎日毎日汚くなっていく教室に心を痛めながら、いつ病気にかかるかと気が気じゃなかったぞ」

2−Cの面々は竜児の照れ隠しに、息を呑む。この怖い顔。迫力。
ヤンキー高須、大・大・大復活。怪しく輝く双眸の中心の黒目はぎゅっと縮まり、クラスメイト1人1人をねめつけながら狂気のお説教を垂れる。しかし、お茶にむせても、おにぎり落としても、俺の卵焼き返せと思っても、これで引き下がるようじゃ2−C生徒としてモグリだ。

254 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 15:59:18 ID:vikNijXf
「えーっ?教室きれいだろ」
「そうよ、隣のクラスよりきれいよねぇ!」
「そうそう、ちゃんと掃除してるし」
「照れ隠しに八つ当たりするな高須!」
「なになに?高須君調子出てきたじゃん」
「私高須君に一票入れる!前はもっときれいだったよ」
「そうよねぇ、ちょっと今汚いかも」
「ええ?でも掃除ダルイ!」

同時多発漫才が始まった2−Cは久々の切れた笑いに包まれる。
パンを買って戻ってきた春田や能登といった連中も最初は何事かと目を丸くするが、やがて事態が飲み込めてきて騒ぎに乱入。そして安堵感と愛すべきドタバタにゆっくりと制御を失いつつあった教室の手綱を引いたのは、はやりこの眼鏡。

「もういい!静かにしろ!お前達、昼休みだからと言ってはしゃぎすぎだぞ。高須も落ち着け。掃除はお前の趣味だろう。趣味をクラスメイトに押しつけるな」
「何だよ、北村お前」
「まぁまぁ。とはいえ、俺もここのところ教室の荒れ具合には目に余る物があると思っていたんだ。我々生徒にとって、まなびやをきれいにするのは重要な勤めだ。2−Cはよそのクラスよりきれいなことが自慢だったが、これでは折角の我々の誇りも失われてしまう。
今日は恋ヶ窪先生にかけあってLHRはクラス全員で掃除をしよう。監督は高須だ」

ぎゃーっと悲鳴が上がる。高須が監督?めんどくせーとかあーあとか言う声が上がるのだが。

「ああん、祐作ナイスアイデア!亜美ちゃん教室が汚れて悲しかったんだ。ね、みんなで一緒に教室きれいにしよ!高須君が監督でみんなが力を合わせればぴっかぴかになるよね!」

腹黒モデルの意外な発言で急に風向きが変わる。

「おお、そうだよ!教室きれいにしよう!」
「亜美ちゃんとお掃除!亜美ちゃんと窓ふき!」
「よーし、お父さん張り切っちゃうぞ!」
「高須君、わ、私もマジ教室きれいな方がいいって思ってたんだ。てか、一緒に黒板拭こう?」

大騒ぎは2−Cの華。久々の風変わりなイベントもお調子笑いや苦笑いで受け入れられている様子。その様を見ていた竜児の袖が引っ張られる。

「ねぇ、竜児。ごめん、ミートボール落としちゃった」
「まったくお前は。心配するな俺の食わせてやる」
「でも……」
「また作れば良いんだ。いくらでも好きな物好きなだけ食わせてやる」
「本当?」
「おう」
「やった!」
「そのかわり」

と、目から怪しい火花を散らしながら竜児は大河にずいと顔を近づけてにやりと凶暴に笑う。

「今日はお前の部屋チェックに行くからな。最近散らかしてるだろう。びしびし注意してやるから覚悟しやがれ」
「なによ………いいわ。来るなら来なさい。どうせ掃除するのはあんたなんだから」

睨まれた大河も、唇をゆがめ、挑戦的な笑みを浮かべて返す。

255 :シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 16:00:58 ID:vikNijXf
「高須ぅ、元気になったね高須ぅ」

能登の声に振り返る。周囲からワラワラと人が2人の周りに集まってきた。

「おう、俺は元から元気だぞ」
「なんだよしらばっくれちゃって。心配させないでよ」
「そうだよ高っちゃん、俺心配で夜も眠れなかったよ」
「ほんとかよ」
「睡眠不足で授業中居眠りしてたんだよ」
「「「「いつもだろ!」」」」

周囲からサラウンドでツッコミをウケながら、それでも春田はどこ吹く風。

「でさー、俺考えたんだよ〜。高っちゃんを元気づける方法。だから応援歌つくっちゃった〜」
「何だよ応援歌って」

発想の斜め上加減にあきれつつ、周囲は春田が考え出した新しい馬鹿な事に幾分興味深げ。

「もう高っちゃん元気だからいらないかなあ。でも、折角つくったので歌っちゃうので〜す!」

ここでかよ!とテレパシーで突っ込む面々を置き去りに、春田は空いた机に腰掛け、行儀悪くも脚を椅子にのせる。見えないギターを抱えてこんな時だけは細かくチューニングの格好。左手で髪をかき上げて気取った表情をする。

「それでは行きます。高っちゃん応援歌。タイトルは『連続掃除魔』」
「応援じゃねぇし!」
「悪口じゃねぇか」
「馬鹿なの?死ぬの?」

周囲でわき起こる嵐のようなツッコミも、もはや馬耳東風。

『♪ ずん、てんてれってて、てんてれってて、ちゃ、ちゃ、ちゃあーん ♪』
「なんだよこの曲」
「ドラムとベースとギター1人でやるの無理だろ」
「かっこいいの?馬鹿なの?」
「馬鹿だ」


『♪ ちゃちゃちゃーん、ちゃちゃちゃーん、ちゃらちゃちゃちゃーん、ちゃららーらーん ♪』
「く、折角の名曲がなんてこと」


『♪ 俺はシリアス・クリーナー!なんでも掃除しちゃうぜ! ♪』
「「「「「シ・リ・ア・ル!!」」」」」


(お・し・ま・い)

256 : ◆fDszcniTtk :2009/09/06(日) 16:12:09 ID:vikNijXf
事情があってあまり時間が掛けられないので急いで書いた。掘り下げ不足過ぎる作品ですまん。
ま、日曜日の暇つぶしくらいには読んでもらえると思う。とらドラ!のSSを名乗るなら、もっと情景描写
を入れたいところだよな。>>243>>248 の間の大河の気持ちの入れ替えとかも書くべきだと思う。

時期的には8,9,10月は4巻、「THE END OF 夏休み」「虎、肥ゆる秋」「秋が来たから畑に行こう!」5巻と
作品が密に並んでいるところなのでちょっと厳しかった。大河の髪型とか、ご飯ネタでつなげればもうすこし
良かったんだろうけど。

まあ、軽い気持ちの発言が命取りになるという教訓的作品って事で(w

>>244-246
サンキュー

>>247
そのルートは大河が望んでも俺がゆるさん。てか、竜児×祐作ルートか。嫌すぎる(w



257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 16:20:51 ID:G3sxOxe0
>>256
いやぁ〜めちゃよかったっす!!


教訓ではなく、もっとあなたの作品が読みたいお


258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 16:24:16 ID:XW/LGIZ3
乙すぎるぜ

259 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 16:53:51 ID:G3sxOxe0
>>256
GJ!!

さっきもコメントしましたが、思わずまたしちゃいました。



『ヤンキーだって』続き書けました。

投下します。

コメントくださった方々ありがとうございます。

ほかの作者様よりつまらない作品ですが、よろしくです。



260 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 16:55:42 ID:G3sxOxe0
タイトル『ヤンキーだって』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
竜児は夢を見た。

一人の少年の夢。


高須竜児は高須泰子の一人っ子にして高須家の長男である。

長男であるといっても特別家の柵があるという家柄でもない。

柵はないのだけれど、ただ竜児は使命感に似た感情を持ち合わせていた。

小学生の時喧嘩で泰子のことを出された時、竜児は初めて人を殴った。

確かに泰子は人に胸を張って誇れる生き方はしていないかもしれない。
しかし、たった一人の家族だった。

この家を泰子を大事なものを絶対に守る。

幼い彼にとって、そして今の竜児にとってもそれはとても大事な感情だった。

守るためには、強くならなくちゃ。

そこからの竜児は喧嘩では必ず勝った。

自分がバカにされるのはいい。

だが、自分の大切な家族や仲間を傷つけられることは、絶対にゆるさない。

デッドマン高須の誕生の瞬間だった。




「うお!!」
夢から覚めたのは午前四時。

周りは静けさの中すこしの朝ぼらけ。
何だ。まだ四時か。と、彼は再び眠りについた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第一章 それは突然嵐のように




261 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 16:56:43 ID:G3sxOxe0
-----------------------------------------------------------------------
「いってきまぁす。朝食冷蔵庫に入ってるから。」
竜児の高校二年生として始まりの朝だった。






高校に着き、親友である北村や能登などと「今年も同じクラスだな。」
などと話をした。

中学でブイブイいわせていた竜児。
ブイブイっいっても、浮いた話などなく喧嘩の話ばっかりだが。
去年、高校に入学していきなり大橋高校番長グループを返り討ちにしてしまったこともあり、周囲は余り彼に関わろうとはしなかった。

しかし、その時何も恐れずに竜児の中身を知ろうとしてくれたのが北村だった。
そんなこんなで、この生徒会副会長にして男子ソフト部キャプテンの優等生北村とは親友の仲にあった。


去年は同じクラスではないものの、春田というヤンキー仲間(めちゃ弱い。)も同じクラスになった。

えっ!!!まず、春田ヤンキー??春田が?
作者、ここまでバカなの?妄想パワー全開じゃん!!!ちょっと病気じゃん。
ごめんなさい。
春田がヤンキーとかどうでもいい設定入れたかったんです。
うん。でも、そこはそっとしておこう。

兎に角、竜児にとっては馴れ合った友達が多い。
なんともラッキーなクラス分けである。

-----------------------------------------------------------------------


「ほぉ〜。ロマンチックに(※ベタに、の間違いだよ)その男の子に助けてもらったと。それで大河、今朝はルンルンなわけだ。って、大河の浮気者ぉ〜!コンニャロ!コンニャロ!」

「みっみのりん、ごめんごめん。浮気なんて、まだ名前も知らないないのに。」

「いやーでも格好良いじゃないか。そんな格好良い子あんまりこの世の中いないんだよぉ。ジェントル麺だよ。早く見つけないと伸びちまうぜぇ。」

そんな会話をしながら、実乃梨が今年から一年間お世話になるであろう教室のドアを開けた時であった。


262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 16:58:02 ID:YQBmpN5i
>>256
どちらかというと原作よりアニメ版のファンなので問題無いです

でも原作読破後にアニメ見ると物足りなくなるんだよね〜

263 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 16:58:05 ID:G3sxOxe0
「うそっ。。。……//」
実乃梨の後ろにいた大河は驚いたよぉに手で口を覆った。大河の薔薇の蕾のような唇が少し開く。


嘘ぉ〜。もはや、お決まりベタベタ展開。
作者、もぉちょっと芸増やせ。

「おや?どおした大河?」

「みっみっみのりん。あっあっあ、あの人なの……//」
いるのだ。昨日確かに大河を助けてくれた男の子がいるのだ。
名前すら教えてくれなかったあの男の子が。

「大河。もしかして高須君のこと?」
実乃梨の顔がいかにも興味津々といったそれにみるみる変わっていく。
それと共に、大河のそれはみるみると赤くなっていく。

大河の視線の先にいる高須竜児を指差して問い掛ける親友に、コクッと頷くのがやっとだった。

高揚か混乱か緊張か焦燥かまさしく、おそらくそれら一つ一つではなく全ての感情が彼女の小さな胸に混在していたのであろう。(2つの意味で小さな胸なんだけどね。)

大河の表情はそれら感情を一つで表せるものではなかった。


「高須君っていうの?」
大河が絞りだしたその言葉に実乃梨は優しく微笑んだ。
しかし、直ぐに実乃梨は大河を抱えて教室から少しはなれた非常階段の踊り場に向かう。

人が来ないことを確認した後話しはじめる。

「ではでは明智くん。私が手取り足取り腰取り尻取り教えてえてあげよう。」

「何を隠そう高須君は、この大橋高校最強の不良男子高校生なのだぜ。見た目からして結構恐いグループじゃない?この学校では有名人なんだけど、知らなかったかい?
でも、性格は本当にいい人らしいんだよ。ほらっ、私ソフト部じゃない?男子のソフト部に北村君っているんだけど、北村君は高須君の親友らしいんだよ。それで、北村君が言うにはあんないい奴みたことがないって。。。みんな、高須のことを見た目で判断しすぎだ。って。。。」

実乃梨の話をコクコクと頷く大河。

「北村君とも仲いいし。。大河も私もみんなで仲良くなれるといいね。大河。」


264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 16:59:24 ID:YQBmpN5i
ワクテカしながら続き待つぜ

265 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:00:55 ID:G3sxOxe0
話を終え、教室に戻る。

北村が教室に入ってくる実乃梨に気付いたらしく、こちらを見て朝+新学年の挨拶をする。

実乃梨もその挨拶に応え、北村の方に近づく、実乃梨と行動を共にしている大河も連れ立って近づく。

当然、竜児達のグループも多かれ少なかれ実乃梨の方に視線が向かう。

大河は、竜児が自分に気付いてくれることを望んでいた。
ここで、気付いてくれたならあの人と接点を持てたなら…。

いけ!竜児!お前が助けた女の子に気付いて、格好良く「大丈夫だったか?気を付けろよ。」って言ってやれ!
プロローグで見せたお前ならいけるぞ!人生初めての彼女じゃねーか。それもこんな可愛い子とじゃねーか。いいなぁ。いいなぁ。


「おう!お前、あの時のチンチクリン!」

えっ?

作者は目を疑った。(あくまで文章だからね。)
これまでベタベタ展開上等で来ていたこの物語。

ロマンチックに再会をきめてくれる。作者は安心仕切っていた。
そんな作者は、頭の中で妄想に耽っていた。

その間にこの顔面般若男はとんでもないことを口走りやがった。

チンチクリンは禁句だろ。
何してくれんだ竜児!(いや、お前が書いたんやろ!)

大河の顔がみるみるうちに硬直していく。

「竜児!こいつだよ。去年言ってた『手乗りタイガー』」
アホの春田が付け加えて言い放つ。

みるみる、硬直から苛々に変わっていく。

「おう!?お前があの手乗りタイガーか!」

みるみる…いや、苛々から殺気に変わったのは一瞬の出来事だった。

ビシッ!バシッ!

あぁ〜。今までうまい具合にいってたのに。ごめんなさいね読んでくださってる方々。。。期待を裏切ってしまって。

竜児と春田が気が付いた時には、床に尻餅の体制で大河を見上げていた。

実乃梨があたふたする。大河を止めようと…。

その実乃梨を制止させたのは北村だった。


266 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:01:47 ID:G3sxOxe0
付け加えて、呟く。
「高須は女には手をあげないし、大丈夫だ。それにあいつにあんな風に接する女子なんか今までいなかった。もう少し様子を見よう。」

実乃梨は先ほど階段で大河に話した内容と、北村の思いを考える。
そして、クスクスッと擽ったそうに「わかったよ。」と笑顔で一言かえす。

「誰が手乗りタイガーじゃ!誰がチンチクリンじゃーー!」

「うわー!!!ごめん!すまん!ごめんなさい!!」
「まちやがれぇー。。。」
竜児と春田と大河。

昭和のコントですか!?

そうツッコミを入れたくなる追いかけっこ。
三人を北村と実乃梨は楽しそうに見ていた。

でも、実乃梨は(作者も)見逃さなかった。

追いかけっこの中、大河の表情に興奮と怒りにかき消されて気付くのは難しいけれど………少しの紅潮が混じっていたことを。

そして、横で温かい笑顔を見せる北村を見て。

なるほどね。そういうことか。

実乃梨だけが知る大河の変化。
それは実乃梨がこれまで大河とずっと居たから分かる。

そしてその変化はこれまで大河が実乃梨に見せてきた表情のどれにも該当しない
ことを実乃梨は理解していた。

北村も竜児の内面を一番真っ直ぐに知ろうとしてきた人物だ。

実乃梨の大河に抱くそれと北村が竜児に抱くそれは少なからず同類であろう。

何やらベタベタラブコメモードが戻ってきたようだ。
今年のクラスは楽しくなりそうだな。

そう作者は思い、彼は屈託のない笑顔で笑うのだった。



って、作者かよ!!


267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 17:02:56 ID:YQBmpN5i
作者自重しろw(いいぞもっとやれw)

268 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:03:17 ID:G3sxOxe0
-----------------------------------------------------------------------

「あぁ〜」

夕食を済ませた大河は溜め息と共に見もしないテレビをつけた。

広い空間にポツンと一人取り残されたような世界。

大河にとって自分の家はそんなものだった。

「ただいま。」に返事してくれる相手はいない。

自分しか音を立てない。

さみしくて、テレビから聞こえてくる音だけが彼女を落ち着かせる。

そんな毎日であった。


溜め息の後、大河は竜児のことに思い耽る。

再度溜め息をつく。

あんな再会があったものか…………。

折角、運命の人との再会だったのに。

だいたいなんだ?チンチクリンって……

デリカシーもあったもんじゃない。

好きになんかなってない。

あんな失礼な奴。



ふと、カーテンが風に揺れているのが見えた。

真っ赤なワイン色のカーテンは微かに揺らめく炎か。
それとも、大河の揺れる乙女心か。

でも、確かにカーテンは炎のように揺らいでいた。

少し肌寒い。なんと言っても季節の変わり目だ。

換気のために空けておいた窓を閉めに、重い腰を上げる。



「高須竜児!!!!」
窓をあけると、エプロン姿の竜児がいる。信じられない展開に驚く大河。

でもでも、そんなの関係ありましぇん!!俺の妄想ばんざぁい!!



269 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:07:06 ID:G3sxOxe0
竜児も驚いてしまう。

「逢坂!!お前なんでここに……!!」

「ここっこ、ここは私の家なの。あんたには関係ない。とっところで、何でエプロンなのよ?」

「うぉおう………//見るな!!!」

「フン。あんた学校ではヤンキー気取ってるけど、そういうタイプだったんだ。」

それが意識する相手に浴びせる眼差しか??作者も呆れ顔だ。

「ほっとけ。……俺んち、母子家庭でな。泰子、あっ母親が夜のしてるからいつも一人で家事してるんだ。今だって洗濯物で…そういう事だ。」

「そっそうなんだ。………じゃ、私と同じだ。。。。。」

「私、親と折り合い悪くていまここで一人暮らしなんだ。。。。。」
少し間をとって大河はそれを告げた。

夜のベランダ、月明かりに照らされて愁いを帯びた儚いその表情は、悲しい話をしているに違いないのだけれど、竜児の視線を釘付けにするだけの美しさを兼ねさえていた。

美しいものを見ているはずの竜児はなぜか腹立たしい感情になっていた。
大河を一人にしたくない。
なぜ、彼女を一人にするんだ。。。。

出会ってまだ互いのことを知らなすぎる。

でも、一人にしたくない。。。。。



「…お前、飯もうくっちまったか??」

何を口ばしってるんだ俺は!!竜児がそう思ったのも、当然だろう。
竜児はこれまで女に無頓着なタイプであった。こんな勇気があるはずがない。
しかし、確かに口から出だのだ。
大河は本当にビックリした!!の表情を見せた。


「まだだけど……//」

「おう!!じゃ、俺んちこいよ。余り物だが、今日はトンカツだ。」
竜児のその口調は先ほどのそれではなく。
今度はしっかりとしたものだった。

「あんた、まさか晩飯を口実に家に連れ込もうって魂胆じゃないでしょうね……//」

「おおう??ちげーよ。そんなんじゃねーー!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ竜児。

竜児がさけぶやいなや、大河は応えた。
「わかった……//すぐいく!!!着いたら、インターホンおすから!!」
そう笑顔で言い放って彼女はすぐに部屋に戻って行った。


270 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:08:54 ID:G3sxOxe0
おいおい。窓しめわすれてんぞ。そう叫ぶ作者の声も虚しく大河は一目さんに自室へ走った。何を着ていこう。胸が躍る。





窓から見えなくなった大河のさっきの笑顔。
竜児は戸惑っていた。
胸を締め付ける。

そして、今朝の夢を思い出す。

そっか、、そっか、、大切か、、

何もない平凡な幸せな日々に突然現れて、

突然こんなにも自分を混乱させて。




そう、それはまるで嵐のように。


-----------------------------------------------------------------------



大河は急いで用意をした。

嘘こけ!30分は余裕でこしとるぞ!!
まぁ、落ち着け作者。それはお前の妄想だ。


用意をすませ、竜児の家へ向かう。

照れくさい……//

何であんなデリカシーの欠片もない奴のために……突然現れて、突然失礼なこと言って突然優しくご飯誘ってくれて…もう何なのよ……//


そう、それは突然嵐のように



自室の扉を期待と不安と共に空けた。

風が少し勢いをましたせいか、誰もいなくなった部屋で炎のように揺らぐカーテンの勢いも少し増したみたいだった。




第一章 それは突然嵐のように 終



271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 17:10:00 ID:YQBmpN5i
おつんつん

272 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:18:22 ID:G3sxOxe0
>>264
>>267
支援?ありがとうございました。

支援じゃなくても、結果的助かりました。ありざっす。

コメントくださった方ありがとうございます。


ほかの作者様もコメントくださってうれしかったです。ありざっす。

皆さんの続き、また新作楽しみにしてます。

273 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 17:24:55 ID:G3sxOxe0
シリアル・クリーナー ◆fDszcniTtk 氏

頼んだの覚えてます。頼んでよかった♪

いいもの見れました。ありざっす。

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 17:41:40 ID:HDjW/P/K
>>272
GJ!!
面白かったっす〜w
昭和な香りがするのは俺だけ?w
一番面白いのが竜虎でもなくみのりんでもなく北村でもなく…作者w
次回まで全裸で待機させていただきまする。

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 21:11:38 ID:fQbaDfMi
週末はやっぱり凄いな〜
職人の皆様GJです!

シリアスとシリアルの区別が出来なくなったよ\(^o^)/


>>228
亀レスですいません。
>>212は俺です。
全然気にしてないんで、大丈夫ですよ。
>>216さんの言う通りの勢いで書いてましたし。
普段はギシアンしか書いてない俺ですんで、あなたのギシアンレーダーが何かを察知したんでしょうw
これからもがんばってくださいね

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 21:24:01 ID:yPiVr7l7
>>256
久々の投稿おつでした
やっぱりどうしてもヤス大河が浮かんでしまう原作の雰囲気が素晴らしい
>>88を見た時は大河がぶちまけたシリアルを掃除する竜児しか浮かばなかったw

>>272
これはうまい、続きも期待!
作者のツッコミも作風の一つだけど、もし照れ隠しならそれが不要なくらいしっかりした内容だと思うね

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 21:33:43 ID:Uyky7fbG
>>256
焦らしやがって!!焦らしやがって!!
こんちくしょーGJ!!

氏の大河好きだなぁ。
必死に竜児を支えようとするとこがいい。


>>272
274のレスで気づいたぜ。
作者最高!!(そういう書き方もありか!)

第二章楽しみにしてるぜ!!


278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 21:40:32 ID:Uyky7fbG
>>275
228です。
> 全然気にしてないんで、大丈夫ですよ。
すまねぇ友よ。

> 普段はギシアンしか書いてない俺・・・
あんた、生き別れの兄さんか?!


これで、心置きなく復帰できるぜ?!


279 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/06(日) 21:56:10 ID:G3sxOxe0
>>271
>>274
>>275
>>276
>>277
ありがとうございます。
自分的には第一章より、プロローグの方がお気に入りなんですが。。。

第一章は力不足っぽい感じがでたかなって不安だったんです。

そういっていただけて幸いです。

第一章ではプロローグ141-143で書いた設定がわからないので、、、一様説明を

竜児はリヤルヤンキー設定です。



280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 22:58:19 ID:K4V6uWiI
【大河を歯医者に連れて行こうとする竜児】

大変です! 大変ですよ、おまわりさん! 誘拐事件です!
私が道を歩いていたら「嫌だ!放して!」っていう女の声が聞こえたもんですから、
何事かと思って声のする方へ行ってみたんですよ。
そしたら、目つきの鋭い男が小さな女の子の腕を掴んで無理やりどこかに連れて行こうとしてるんです!
女の子が「痛いのは嫌!行きたくない!放せ!」と叫んで抵抗すると、
男が「今行かなかったら後でもっとひどい事になるぞ」と脅していたんです!
かわいそうに、女の子は涙目になっていました。
その時、男と一瞬目が合って、私は怖くなって逃げ出してしまいました。
女の子は、怖さのあまり気がふれてしまったのか、「駄犬」とか「エロ犬」とか、
支離滅裂な言葉を叫んでいました。
おまわりさん、この先の路地を曲がったところです! 
早くあの子を助けてあげてください!
とにかく早く行かないとあの子の命が危ないですよ!

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 00:11:34 ID:uc4cVlTU
>>280
支援

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 00:15:51 ID:V8ByNjhw
>>281
2時間前だから、これで終わりなんじゃないの?多分。


283 : ◆fDszcniTtk :2009/09/07(月) 00:16:50 ID:HgQlN6kE
>>257 >>273
サンキュー!

>>275
区別は付けようぜ(w

>>276
ありがとう。一番嬉しいほめ言葉だ。ちなみに俺は結構ヤスの大河が好きだったりする。

>>280
う、救急車呼ぶべきだな。きっと男が倒れてるから(w

284 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 00:31:07 ID:uc4cVlTU
大河「◆fDszcniTtk様がきてくださったわね。
  うれしいわぁ。ファンクラブ作っちゃおうかしら?」
竜児「すげぇよなぁ。◆fDszcniTtk氏の大河
  あまりにも健気で俺、胸キュンだぜ。」
大河「・・・」
竜児「?」
大河「キモいから、やめなさい。」
竜児「・・・」
大河「◆qWFz8iR9.HMB様のヤンキーも
  なかなか目の付け所がいいわよね。」
竜児「そうだよな。
  肉食竜はタダのエロだけど、あっちは本物ヤンキーだぜ?!
  ちょっとかっこいいよな。」
大河「あんたも、あれぐらい勢いがあればいいんだけど・・・
  で、竜児、ちゃんとお礼言ったの?」
竜児「おぅ、そうだ。
  275氏、あなたの寛大なお人柄は、この晴れ渡るそらのいろより」
大河「だぁぁ、簡潔に言えんのかぁ!!」
竜児「ありがとう。心の広い方でたすかりました!!」
大河「ほんとに有難う。って作者も言ってたわ!」

大河「あ、そうそう、今回は注意事項をかいとかなくっちゃね!!」

==========注意事項==================
・原作キャラ崩壊しています。
 →元々壊していますが、今回あるサブキャラを
  大幅に壊しすぎてますので、注意!!
===================================

竜児「じゃぁ。」大河「うん」
竜虎「「肉食系竜児はじまりはじまり」」


★肉★食★竜★児★の★お★か★い★も★の★

大河「りゅーじぃー。
  今日、晩ご飯どうすの?
  肉?肉?肉どーんよねぇ。」
竜児「うーん。
  お前の意見を聞いてやりたいのはやまやまなんだが、
  お前の話を聞いていると
  肉ばっかりじゃねぇか?!」
大河「なによ。そんなことないわよ。」
竜児「月曜日からのおまえんちの晩メシだが、
  月曜:豚の冷シャブ
  火曜:ハンバーグステーキ
  水曜:トリのソテーオレンジソース添え
  木曜:牛肉となすの甘辛煮
  金曜:本格ビーフカレー+とんかつのカツカレー
  だったろ?」
大河「う、あんたよく覚えているわね。
  だけど、水曜日はトリだから肉じゃないわよ!!」
竜児「いいや、トリも肉だ。
  お前には、DHAが不足してるんだよ。
  よって、今日は魚に決定。」
大河「うぅぅぅ、でDHCって?」
竜児「だぁぁ!!、DHAだ。
  DHAの摂取は血中の中性脂肪(トリグリセライド)量を減少させ、
  心臓病の危険を低減させるんだ。(Wikipedia参照)」


285 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 00:32:18 ID:uc4cVlTU
大河「へぇ。で、でも今日は、肉食べたいもん!!
  肉、肉、肉。」
竜児「だめだ。お前のママも甘やかしすぎなんだよ。
  昼は俺が弁当作ってやってるけど、
  晩メシはどうにもできねぇ。」
大河「いやだー!、にくー、にくー」


スーパー狩野屋でいつも通りの夫婦喧嘩っぷりを
発揮する二人の横を、大橋高校3大美少女の一人が、

??「あれ、高須くんに逢坂さん、お買い物?」
竜児「おぅ。香椎、晩ご飯のおかずを買いにな。」
大河「香椎さんもお買い物?」
香椎「ええ、私も晩ご飯のおかずを買いにね。
  あら、今日は牛肉の特売日じゃない。
  お父さん牛肉すきなんだぁ。
  はぁ。」
竜児「はぁ、ってどうしたんだよ?
  うちは魚だけど、香椎は牛肉嫌いなのか?」
大河「ぐるるるる。『にくぅーーー』」
香椎「うぅうん。好きなんだけど、ちょっと。」
大河「すきなら、たべればいいのに。
  あれ?香椎さん何聴いてるの?」
竜児「お、めずらしいなぁ。
  何聴いてるんだ?」

めずらしい、普段は音楽を聞いていない香椎が
ipodで音楽を聞くなんて。

香椎「ちょっとね・・・
  高須くんきてみる?」
竜児「おぅ。」
香椎「はい、じゃどうぞ。」

  シャララシャカシャカ、シャララシャカシャカ

竜児「なんじゃこりゃ。シャカシャカいってるだけじゃねぇか」
大河「竜児、かして!!」

  結構いい人だったから、好きになってもよかった。
  結構いい人だったから、愛してもあげてもよかったけどね!!

大河「ひぃ。」
竜児「どうした、大河!!」
大河「こ、これ、」
竜児「シャカシャカだろ?」
大河「違うわよ!!
  『釈迦』じゃない!!」
竜児「だから、シャカシャカだろ?」
大河「ちがうちがう、筋肉少女帯の『釈迦』よ!」
竜児「な、なんで、大河が筋少(筋肉少女帯)を?
  ってその前に、なぜ香椎が!?」
大河「くぉらー、アホボクロ!!、
  あんたなんのつもり?!
  あ、あんたがフィ、フィクサーなのね?」

286 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 00:34:27 ID:uc4cVlTU
黒奈々子(黒奈)
  「ふふふ、ばれてしまってはしかたがないわね。
  でも、二つ間違っているわ。」
大河「な、何を?!」
黒奈「わたしは、フィクサーつまり黒幕じゃないわ。
  それに、
  『釈迦』じゃないわ!、『大釈迦』よ!! 」

竜児「だ、だいしゃか!」
黒奈「そう、よりパワーアップした『釈迦』ってことね。
  あとは、ググレカスよ。」
黒奈「あたしは、ずぅーーとあなたたちをうらんでいたのよ。
  こんだけ努力してボインスレンダーなのに、サブキャラ。
  あんたたちはうだうだやってるだけなのに、
  いつも一緒にいちゃいちゃお昼ご飯一緒に食べて、」
大河「あ、あんたそんなことで。
  竜児とはその、あの、」
黒奈「そんなこととは何様のつもり?
  私は、大好きなお寿司をお父さんがかってきてくれても、
  食べずにがまんして、
  今日だって、お肉買うのはお父さんの分だけ。
  私はしいたけだけなのに。」
竜児「(いちゃいちゃじゃなく、そっちかよ・・・)」
黒奈「なにか、言った?高須くん」
竜児「いや、なにも。」

もう秋だというのに、竜児は背中に、いやぁな汗をかいてしまう。

黒奈「前置きは、もうおわりよ。
  私もそろそろお腹がへったから、
  さっさとかたづけるわ。」
竜児「く、くっそぅ」

黒奈「今回は記念すべき第4巻よ!!
  私たちサブキャラをほっておいて、亜美ちゃんの別荘に
  とまりにいったのは覚えているわよね?!」
大河「あ、あんたそれもうらんでいるの?!」
黒奈「あたりまえよ。
   サブキャラだとおもって舐めてるんじゃないわよ!!」
竜児「(キャラが変わりすぎだ、)
  (しかも、サブサブキャラだろ?)
  (こぇぇぇ)」
黒奈「高須くん、何か言ったかしら?」
竜児「い、いや、なにも・・・・」
黒奈「じゃ、いいのよ。

  4巻P160  
  別荘にて、あなたたちは夜二人っきりになるのよ。
  高須くんは櫛枝さんと、逢坂さんは北村くんと二人っきりの
  時間を作る機会があるんだけど、竜虎で一緒にいるほうが、
  気楽だよなぁってはなしになって、
  逢坂さんが、4巻の初めの夢の(犬の竜児との結婚)の夢が
  正夢でもいいかって言おうとするけど、結局言えなくて・・・

大河「う、そんな前の話を。」
黒奈「だまらっしゃい。メス猫!」
竜児「ひぃ。お、おまえ香椎じゃねぇ!」
黒奈「何とでもおお言い、
  さぁ、いくわよ!!」
大河「きゃーぁ、やめてぇぇぇぇ」

287 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 00:35:25 ID:uc4cVlTU
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『肉食系竜児その四』


それはなんとも不思議な感覚で、・・・
むしろ、お守りにもにた安心感と言うか・・・
安心といってしまうには、大河はあまりにも獰猛なやつではあるが。
当の大河はどうおもっているのやら、少し眠たそうに目元を擦り、
大河『ね、竜児。私、思ったんだけどさ……こないだの、あの夢さ……意外と……』
竜児『ん?警告夢のことか?』
大河『やっぱりいいか、そうじゃなくて
竜児『ふぅ、気になるよなあの警告夢。
  結局、俺たちうまくいかずにってな。』
大河「へ?』
竜児『あ、ちがうちがう、俺たちがうまくいってさ。』
大河『はい?!、え、え、
  竜児、あんた目が怖い。
  え、え、え、なに、なんなのよ?』

竜児は、大河にまっすぐ向き直り、

竜児『大河はどう思ってるんだ?
  あの警告夢。やっぱりいやか?』
大河『・・・・そんなこと言えるわけないじゃない。』
竜児『そうだよな。
  おれさ、おれはあれも悪くないかなって思うかもしれねぇ。
  あ、犬は別だぞ。犬は』
大河『ば、ばかねぇ。犬じゃなかったらどうなるのよ。
  許されるわけないじゃない。』
竜児『・・・
  さっきから、二人っきりだけど、
  お前と一緒にいると、なんていうか、
  おちつくっていうか、なんつうかなぁ』
大河『な、なによ・・・』
竜児『しあわせなんだ。』
大河『しあわせ?!
  なんでよ?みのりんじゃないの?
  なんで私なのよ?』
竜児『わかんねぇよ。
  いや、わからねぇようにしてるんだしてるんだ。
  自分で。』
大河『はぁ?、あんた自分で整理できてんの?』

竜児とて整理して話しているわけではなかったのだ。
ただ、幸せだというのは事実だろう。
大河のお弁当をつくっているとき、これは幸せだ。
大河のスカートの汚れを落とすとき、これももちろん幸せ。
大河の家を掃除するとき、シンクを綺麗にするとき、もちろん言わずとも分かる。
大河が笑っているとき、これも幸せ。
大河がご飯をおいしいって言ってくれるとき、もちろんうれしく思う。
大河が泣いているときはやっぱり悲しいけど、立ち直ってくれたときはうれしい。
大河の幸せそうな寝顔をみていると、何だか自分も幸せで抱きしめたくなる。


288 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 00:36:10 ID:uc4cVlTU
これって、好きじゃないのか?


大河『ねぇ、きいてるのに答えなさいよ!!』
竜児『ふぅ、今整理した。
  大河!!』
大河『はひぃ』
竜児『おれは、お前を好きになる。
  いや、好きだ。
  だから、お前は俺の嫁になれ。』
大河『ふえっくしょん。
  はい?今何と?はい?え?なに?』
竜児『まぁ、おちつけ。
  好きだ、結婚しろ。と言っただけだ。』
大河『ちょ、ちょっとまってよ。
  話飛躍しすぎじゃない。
  わたし好きとも何ともいってないじゃない。』

顔を、いや耳まで真っ赤に赤くしてしまった虎を
当然竜児はみすごすはずもなく。

竜児『こたえは、顔にかいてある。
  わかった。了解!!
  お前の答えはよくわかった。』
大河『え?いってない。いってない。
  答え言ってないし。』
竜児『いいんだよ。
  俺とお前は竜と虎。
  あまえのことはよくわかっている!!』
大河『だぁぁ。かお近づけるな!!
  目が血走ってる。鼻息荒い。唇痛そう!!
  いや、だめ。ちかよらないでぇぇぇ!!』

バッチーーン


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

289 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 00:37:30 ID:uc4cVlTU
香椎「あれ?うまくいくはずだったのに?」
大河「だめじゃない。最後これビンタよねぇ?」
竜児「多分そうだな。
  多分、全力でぶたれている。
  1週間はなおらんな。」
香椎「は、しまった。(ぐ、ぐ、ぐぅぅぅぅぅぅぅl!!!)」

大河「い、いまのは?」
竜児「(香椎の腹の音だつっこんでやるな)」
香椎「ひぃ、おなかすいたぁ。
  おすし、たべたかった。
  あぁ、あぁ、
  お、す、、、、(バタ・・・)」

竜児「香椎、香椎、
  くっそう。だれなんだ。
  一体誰が?!」
大河「・・・
  どうやら私たちをねらうものがいるようね。」
竜児「ゆるせねぇ。
  櫛枝も北村も香椎まで巻き込みやがって!!
  ぜったい、
  ぜったい、2chの名にかけてぇ、
  犯人をみつけてやるぜぇぇぇぇ」


ほくそ笑む一つの影がしずかに、
スーパーをさっていったことを、二人はしらなかった。


To be continue?



290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 00:42:11 ID:V8ByNjhw
>>289

奈々子様が orz

でも、これはこれでいい!
毎回楽しみっす。
続きも期待してます。
10巻までいったら1巻へのループを希望。

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 00:58:13 ID:HgQlN6kE
>>285
寝る前に覗いてみたら、よりによって大釈迦かよ(w
じゃ、7巻のカレーのシーンは春田であの曲か。

ちなみに黒幕の正体は2人にまで絞れてる。悪意だったらあの人、善意だったらあの人だ。

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 02:34:08 ID:A6Pp/eon
ちょっと目を離したら大量に投下されてるな
書いてくれた人たちGJ&乙です!

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 02:49:06 ID:jLzNRsoJ
おそらく2レス程お借りします。

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 02:52:48 ID:jLzNRsoJ
嫌な夢を見た。
いや、決して悪い夢じゃあないんだ。

うん、悪い夢じゃない。



「竜児!」
「おう、どうした?やけに機嫌良いじゃねえか」
「私ね!付き合うことになったの!」
「…へ?」
「だーかーら私!北村君と付き合うことになったの!」
「…え?ええぇぇ!?」
「さっきね!もう一度告白したのよ!」
「そしたら北村君も私のこと最近になってまた気になってたんだって!」
「ま、まじかよ…北村のやつ…いつの間に…てか狩野先輩はもういいのか…?」
「二度も告白してくれるなんて嬉しいって!」
「竜児とはただの友達ってこともわかってくれて…」
「それでね、付き合おうって!」
「……………」
「竜児?」
「お、おう、良かったじゃねえか!今夜は告白成功祝いってことで豚カツにでも…」
「それで今日これから北村君とディナー行くことになったのよ!」
「…あ、…そ、そっか!そうだよな!」
「だから今日は私、夜ご飯いらないから!」
「そ、そうか!せっかくの初デートなんだからドジすんなよ?」
「わかってるわよ!いちいちうるさい駄犬ね!」
「…あ、あのさ大河…」
「それじゃあね!あんたもみのりんと上手くいくように頑張りなさいよ?」
「!…あ、大河!待てよ!大河!!」



これが今日の午後に授業中見た夢の内容だ。
ちなみに教科は英語。担当である我がクラスの担任は久々に俺を見て怯えてたな。
そりゃそうだ。あんな夢を見た後じゃ俺の目つきだって悪くもなる。…いや悪い夢じゃなかったんだが。というかそもそも元々目つきは悪いか。

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 03:02:41 ID:jLzNRsoJ
悪い夢じゃない。
大河が北村と付き合えることになったんだ。良かったじゃねえか。

俺と大河はお互いの恋を応援し合ってるんだ。一番に喜ぶべきは俺だろ。


「だから今日は私、夜ご飯いらないから!」
大河が北村と付き合うことになったらきっとうちで飯を食うことは少なくなるんだろうな。

そりゃそうだ。彼氏がいるやつが他の男の家に上がるなんていいわけないだろう。
いや北村なら許すかもな、あいつ変なところで自信あるし。

それでも…やっぱり大河は北村との時間を大切にしたいだろうしな。俺なんかに構ってる時間なんてもったいないだろ。

おれの隣に立つ時間はどんどん少なくなるだろう。

そしていつか。
あいつの頭の中から俺は消えてしまうのだろうか…?

「……」
ふと俺の頬に冷たい何かが伝った。
「…あれ…?」

prrrrr
「おう!?」
突然響いた着信音で我に返った俺は慌てて携帯を取り出す。

『ちょっと竜児!』
『お、おうどうした大河…』
『待ってて!って行ったのに何で先に帰っちゃうのよ!?』
『…あ…す、すまん…忘れてた…』
『はあ!?ほんっとに使えない犬ね!今どこにいるのよ!?』
『……』
『ちょっと竜児!?』
『…なぁ…大河…』
『何よ!?』
『……』
『…ちょっと、竜児…?』
『…いや何でもねぇ、それより今日の晩飯は豚カツにでもしようかと思うんだけどよ』
『ほんとに!?』
『ああ』


なあ、大河。
お前にとっての俺って何なんだろうな。やっぱり、身の回りの世話をしてくれる便利な恋の協力者なのかな。
北村がもし…お前と付き合うことになって、お前の身の回りの世話をしてくれるって言ったら…
俺なんかもうどうでもよくなるのかな。

「…何で俺こんなこと考えてるんだ…?」
『はぁ!?あんた何言ってんの!?まさか豚カツはなしなんて言うつもりじゃないでしょうね!?』
『おう!?す、すまん、こっちの話だ』


頬を伝った冷たい何かは乾いていた。彼の気付かない間に。何かが頬を伝った理由と自分の気持ちはどこかへ乱暴にしまわれ、彼は家路を後にした。

そのしまわれた理由と気持ちが再び取り出されるのは、もう少し後になってから。

冬の足音がする夕暮れ時のお話。

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 03:05:34 ID:jLzNRsoJ
以上です。
なんか日本語おかしいとことか読みづらいとこあったらすみません。
規制…しんどいです…

297 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/07(月) 06:13:53 ID:uc4cVlTU
>>296
GJ!
竜児のそういうきもちっていうのも、いいねぇ。
日本語、別におかしくはなかったよ。

>>290
ループはむづかしいなぁ。
結構シリーズってしんどいことを思い知ってる。
早く終わってほしい・・・(かなり弱音モード)

>>291
お、黒幕の犯人かんがえてくれてるんだ!
全部書き終えたら、ぜひ「○○○」じゃねーのかよー!!
ってお願いしますね。


298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 07:30:05 ID:HgQlN6kE
>>297
埋めネタにすると気が楽だよ。

あと、自分の中で書きたい気分と投稿したい気分を切り分けるとか。

299 :ラジオ ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:04:01 ID:4pnnWFm6

「「「妄想とらドラジオ!!!」」」


My Silky Love 〜♪  24時間ずっとぉ♪
My Silky Love 〜♪  キミのこと想うたびぃ♪
My Silky Love 〜♪  もどかしいこの気持ちぃ♪
My Silky Love 〜♪  ただ溢れかえってくぅ♪

スキと言えば簡単なのにぃ♪

「はじまりましたね!!【とらドラ】竜児×大河【モグモグ妄想】vol15とシンクロ率120%でお送りさせていただいています。パーソナリティー、『ヤンキーだって』の作者です。」

「ヤンキー設定の高須竜児です。」

「手乗りタイガーこと逢坂大河です。BGMはsilky heartです。」

「いやぁ、ついにラジオ進出はたしましたね。俺の妄想。すげー!!」

「おう?作者、お前ちょっと出しゃばりすぎじゃねぇか??」

「ちょっと竜児!!あんた、この変態妄想作者がいなかったらアンタ喧嘩強くないのよ。口を慎みなさい。」

「おお!!なんか酷い言葉も混じってるけど、大河サンキュウ!!作者、感激!!」

「チェ…しゃーねーなぁ!!って、そんな事話すためにラジオの電波借りてるわけじゃねーぞ。」

「そっそれもそうね。ちょっと、作者アンタが妄想して進めるメインMCなんだから早く進行しなさい。」

「はいはぁい!!では、まず>>281 肉食系竜児の◆.CzKQna1OU様より頂いたおたよりです。お褒めの言葉を頂戴してます。ありがとうございます。作者、感激!!」

「竜児!!アンタ格好いいなんて言われちゃってるわよ??アンタがねぇ。」

「おおおう!?俺、ただのヤンキーだぞ?腕力は自信あっけど、恋愛方面は苦手だぜ!!むしろ、女に関しては肉食系竜児の方が格好いいだろ!!」


300 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:11:26 ID:4pnnWFm6
「そうねぇ。肉欲竜児…肉食系竜児は押しってのを持ってるのよ。乙女にはあれくらいがうれしいかもだわ。」

「そうだな。面白いよなぁ。俺もあんな風にかけたらな。今期注目のシリーズだよな。やっぱ、推理とか楽しいしね。
ワクワクさせるシリーズだな。シリーズは疲れるけど、一緒に頑張っていきましょう!!
ってか、お前ら!!世間知らずが!!取り敢えず、お礼を言いなさい!!こんな光栄はないぞ!!」

「何よ!!えらそーに!!変態エロ肉欲旺盛作者が!!…でもそうね。」

「おう!作者の言ってるのも正しいな。」

「「ありがとうございます!!」」

「よろしい。よくできました。」

「続きまして、一通お便りがきてますね。
『ぼくは◆fDszcniTtk 様の大河がすきです。胸キュンです。…◆qWFz8iR9.HMB 』」

「って、お前じゃねーか作者!!」

「ごめん。ついw」

「でも、竜児に作者。◆fDszcniTtk 様の私ってホントに健気で可愛いわね。こっちの私まだ可愛いことなんにもしてないもね。…遺憾だわ。」

「おう??こっちのお前もかっかわいいぞ……//」

「…………//」

「ラブラブラブラブ〜♪まだ本編でもお前ら付き合ってないんだからそのへんにしとけ。」

「おう……//てか、◆QHsKY7H.TY 様も復活してらっしゃるよな。」

「そうね。彼は偉大な作家だわ。どっかのボンクラ作者とは全然違うわよね。。」

「おいおい!!誰がボンクラじゃ!!でも、彼の『逢坂大河remember』や『タイガチュウドク』には影響受けたよな。」


301 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:12:09 ID:4pnnWFm6
「作家としては、三題噺の◆Eby4Hm2ero様なんか素敵よね。」

「おう。自分の確固たる位置を築き上げたって感じるよな。」

「そうだな。作家として憧れちゃうよ。しかも、毎回テッパンだしな。」

「なぁに言ってるのよ。ボンクラ作者!!アンタまだ2作品目でしょ。確固たる位置になんか無理にきまってるじゃない。身の程をわきまえろ。」

「すいましぇん。まだまだ誤字脱字多いしな。でも、皆さんとこうしてわいわいするの楽しいから頑張るお。」

「『たいが』で有名な. ◆askgvpoGB様も『朝の挨拶』書いてくださってる。また氏の長編がみたいものよ。」

「だよね。こーしてみると数々の文豪がいらっしゃるなぁ。」

「あと、様の『とらドラ! again』も見物よね。あれはひきこまれるわ。」

「おう。あの大河ってかなりの借金背負ってたよな?ラストどうなるんだろ?」

「作者的には…」

「「をお前がかたるな!!!!!」」

「すいませんorz」

「作者、元気だせ!!でも、今のエースは何と言っても ◆x6jzI2BeLw 様の『真夏のシンデレラ』だよな!!」

「あの作品は売れるわ!!自分で言うけど、大河可愛いよね。」

「作家として尊敬してます。氏の文章は洗練されてる。」

「おう!!作者、あんな作家になれたらいいな!!」

「ありがとう。竜児!!」


302 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:13:04 ID:4pnnWFm6
「あと、1話 if も私は大好きよ。」

「おれも」

「おれも」

破れそうな シルクのハート〜♪

「っお、もう終わりか??早いな!!」

君に逢って 気づいたやっとぉ♪

「おい!!あれ、みんなで言うぞ。竜児に大河!!」

「そうね。」

「おう!!」

愛には不器用だったんだってぇ♪

「「「まとめ人さん!!!いつもありがとうございます!!!!!」」」

弱さを隠すために わざとぉ♪
強がっていたとしても きっとぉ♪

「楽しんでいただけましたか??またお会いできるようがんばります。」

「おう!!作者、途中で放棄すんなよ。」

「放棄した時はモルグに葬り去ってやるわ!!」

いつかは私らしく すき、とぉ♪

「はい!!!」

「「「いつもコメントしてくださる皆さん!!ありがとうございます!!このスレ好き!!」」」

君にこの気持ちをちゃんと伝えよう――♪

「「「じゃ、そよーならぁ〜」」」


303 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:14:39 ID:4pnnWFm6
「作家としては、三題噺の◆Eby4Hm2ero様なんか素敵よね。」

「おう。自分の確固たる位置を築き上げたって感じるよな。」

「そうだな。作家として憧れちゃうよ。しかも、毎回テッパンだしな。」

「なぁに言ってるのよ。ボンクラ作者!!アンタまだ2作品目でしょ。確固たる位置になんか無理にきまってるじゃない。身の程をわきまえろ。」

「すいましぇん。まだまだ誤字脱字多いしな。でも、皆さんとこうしてわいわいするの楽しいから頑張るお。」

「『たいが』で有名な. ◆askgvpoGB様も『朝の挨拶』書いてくださってる。また氏の長編がみたいものよ。」

「だよね。こーしてみると数々の文豪がいらっしゃるなぁ。」

「あと、様の『とらドラ! again』も見物よね。あれはひきこまれるわ。」

「おう。あの大河ってかなりの借金背負ってたよな?ラストどうなるんだろ?」

「作者的には…」

「「をお前がかたるな!!!!!」」

「すいませんorz」

「作者、元気だせ!!でも、今のエースは何と言っても ◆x6jzI2BeLw 様の『真夏のシンデレラ』だよな!!」

「あの作品は売れるわ!!自分で言うけど、大河可愛いよね。」

「作家として尊敬してます。氏の文章は洗練されてる。」

「おう!!作者、あんな作家になれたらいいな!!」

「ありがとう。竜児!!」


304 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:16:20 ID:4pnnWFm6
「作家としては、三題噺の◆Eby4Hm2ero様なんか素敵よね。」

「おう。自分の確固たる位置を築き上げたって感じるよな。」

「そうだな。作家として憧れちゃうよ。しかも、毎回テッパンだしな。」

「なぁに言ってるのよ。ボンクラ作者!!アンタまだ2作品目でしょ。確固たる位置になんか無理にきまってるじゃない。身の程をわきまえろ。」

「すいましぇん。まだまだ誤字脱字多いしな。でも、皆さんとこうしてわいわいするの楽しいから頑張るお。」

「『たいが』で有名な. ◆askgvpoGB様も『朝の挨拶』書いてくださってる。また氏の長編がみたいものよ。」

「だよね。こーしてみると数々の文豪がいらっしゃるなぁ。」

「あと、様の『とらドラ! again』も見物よね。あれはひきこまれるわ。」

「おう。あの大河ってかなりの借金背負ってたよな?ラストどうなるんだろ?」

「作者的には…」

「「をお前がかたるな!!!!!」」

「すいませんorz」

「作者、元気だせ!!でも、今のエースは何と言っても ◆x6jzI2BeLw 様の『真夏のシンデレラ』だよな!!」

「あの作品は売れるわ!!自分で言うけど、大河可愛いよね。」

「作家として尊敬してます。氏の文章は洗練されてる。」

「おう!!作者、あんな作家になれたらいいな!!」

「ありがとう。竜児!!」


305 : ◆qWFz8iR9.HMB :2009/09/07(月) 10:19:50 ID:4pnnWFm6
三重カキコすんません。。。。。。

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 10:22:50 ID:Tb0WshP/
大事なことだから(ry

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 10:31:59 ID:+AbkHBKk
>>305
どんまいっw
いやぁ、やっぱ面白いわw
引き込まれる文章、GJ!

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 10:42:22 ID:qqMSsCMe
これは吹いた
壮大すぎるだろwww

309 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/07(月) 15:21:32 ID:+uQWzPSl
レス遅れてごめんなさい!!

>>226
まとめ人様いつもお疲れ様です!

>>228
ありがとう!

>>230
お、覚えてる人が……?ありがとう!

>>231
ありがとう!

>>232
おかえり……なんて良い言葉なんだ。ありがとう!

>>233
ありがとーう!

>>256
シリアル・クリーナー、相変わらず書き方が上手くて羨ましい。流石です。

>>279
盛大にふいたw作者オモシロス。

>>289
これもうシリーズ化決定ですなw

>>300
おお?ラジオで作品と俺の話が……しかも影響を……?どうしよう!?お赤飯炊かなきゃ!!ありがとう!!

続きはもう少しまって下さい(汗)
ホントはもう出来てるハズだったのに……くそぅなんで書き始めるといろいろ続くんだ(泣)


310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 19:07:10 ID:bQCFdeYq
でかい波が来てるな

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 21:14:48 ID:HgQlN6kE
>>277
ありがとう。夏の終わりの頃の大河って、暴君加減にすこし陰りがでてるんだよね。
まぁ、きっついんだけど(w 1巻で互いの境遇しみじみ語り合ってるし、竜児の本当の
トラウマに当たって、こういう大河も良いんじゃないかって思った。

あと、ようやく春田に良い役振れた作品だったよ。

>>291
日本印度化計画は祐作が使ってたんだな。見落としてた。

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 22:05:34 ID:lmAbdBpQ
>>296
これはいいな、何か引き込まれた。
規制は大変だろうけど頑張って!

しかし、この勢い久しぶりだ。
ラジオも面白かったぜ、これからも頼むw

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 22:15:02 ID:lmAbdBpQ
ところで余談で申し訳ないけども、
アニメ版の大河ってさークリスマスとかロッカーの中の表情とかもいいけど、
それ以外も全編に渡って細かい感情がよく出てていいね(今さら)

見逃しがちなお勧めとしては
5話で竜児が「雑巾取ってくる、先に帰ってろよ」直後
顔のアップになる直前の1コマでロッカー内からのカメラ視点

一瞬だけど竜児を見上げる拗ね方というかこの表情がいいわー
原作1〜2巻で無意識にべったり竜児に甘えてたんだなと思えた
ここらへんはアニメの描写少ないから余計に気に入ったのかも


314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 22:34:34 ID:S0OBla9I
>>313
俺は海から帰ってきて、駅で竜児の背中を見ながら、一瞬だけ見せる不安気な表情が好きだw
原作じゃ電車の中の描写もあったけど、アニメの方がよかった希ガスw

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 22:44:31 ID:HgQlN6kE
>>313
俺、じいちゃん家からの帰りの電車のシーンが印象深かった。

行きと違って竜児に寄りかかってるんだよ。で、話をするときに竜児見上げるんだけど、
そのとき足をもぞって動かすんだよな。この辺の描写の細やかさとか見て、ああ、
「アニメスタッフは前の晩『特別なこと』が2人にあったと解釈したんだなぁ」と感慨深かった。

あと、例の独占水着ショーの「どうよ」のセリフ。もう、人生投げ捨てた表情してる(w
で、それがあるからこそ翌朝の「お嫁に行くとき…」の表情が生きるんだよな。



316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 23:11:18 ID:43mHMPoy
>>313

>5話で竜児が「雑巾取ってくる、先に帰ってろよ」直後
>一瞬だけど竜児を見上げる拗ね方というかこの表情がいいわー
おおっ、いいねー。ちょっとバツが悪そうな感じも良く出てるねー。教えてくれてサンキュー

私は月並みだが、「Silky Heart」のOP終わりの方、竜児がお弁当を置いたあたりから、2人で目を眇め合う前までの
素の大河の表情が好き!

「あ、竜児のお弁当だ。今日はなんだっけ? 肉入ってるかな?」
そんなことしか考えてなかったりするんだがなw

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 23:43:22 ID:lmAbdBpQ
>>314
そこ3週目くらいまで気付かなかった不覚!

>>315
電車内での距離感の違いは岡田さん(演出)も言ってたところだからね
でも足モゾモゾは気付かなかった、というかそこまで深読みしなかったw

>>316
同志が増えたw

318 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/07(月) 23:52:06 ID:zKfiYADA
まだ途中だけど投下するぜぃおりゃぁああ!!

ちなみに俺は雪山帰還後、大河が少しの間学校に来なくて、イキナリ竜児の家に来て竜児が驚き大河のマフラーごと大河を揺らして質問するシーン。
その後大河にビンタくらって「逃げるんじゃない!」って顔が近づいて竜児が赤くなり、連鎖して大河も赤くなるシーンが好き(マニアックかもw)

319 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/07(月) 23:53:25 ID:zKfiYADA
あれから、結局大河は一度も海に入らずに昼間を過ごした。
不機嫌なのはいつものことだが、大河は当初と幾分違う機嫌の悪さを滲みだしていた。
逆に俺は昼間の事が嬉しく、不満は殆ど消えていた。
しかし、このままでは折角の旅行もつまらなく終わってしまう。
その為、俺は夕方になるにつれ、大河の機嫌を少しずつ上方修正していくことにした。
やっぱり、旅行は楽しまないといけない。
部屋に戻り、着替えを終えた所で、俺は大河に切り出した。
「大河、楽しみだな」
「は?何が?」
大河はポカンと口を開く。
「いや、これだけ凄いホテルだからさ、晩飯はさぞ豪華なんじゃないのかなぁと」
「……そ、そうね」
大河は一瞬何かを考え、口端が弛む。
……手応えアリ。
「これテーブルに乗ってたんだけどよ、バイキングみたいだな」
「た、食べ放題なの?」
「多分そうじゃないか?」
ホレ、とテーブルにある案内を見せる。
案内の紙には、
『夕方7時より10時までにお越し下さい。○○会場にてバイキングを行います。会場では実に100品もの料理数とステーキの直焼きなどを行っております。お客様のご出席を心よりお待ちしております』
などと書かれていた。
どうやら、この紙自体が出席の際に渡すチケットのようだ。
「……ステーキを目の前で焼くって書いてあるわ」
大河は、穴が開くのではないかというくらいにチケットを凝視している。
目は、料理人がステーキを焼いている写真に釘付けだった。
「おぅ、すげぇよな。わりと目の前で作ったりしてくれるみたいだぞ。多分そういうのはオーダーするんだろうな。バイキングだから他にもいろいろあるだろうし」
大河は俺の話を聞いているのかいないのか、チケットを眺めたまま動かない。
「……お腹すいた」
「イキナリだなオイ」
ようやく口を開いたかと思えば、いつも家で聞く言葉。
どこからともなく普段の距離感が戻ってくる。
部屋は広くとも、お互いのいる距離は2DKのそれ。
俺はこの距離が嫌いじゃない。
「だって、こんなの見ちゃったら我慢できないわよ、これは必然なの運命なの自然の摂理なの」
大河は、余程夕飯が楽しみになったのか、不機嫌なんて何処吹く風というように上機嫌だ。
「うし、じゃあそろそろ食べに行くか!!」
「うん!!」
大河は今日一番の笑顔を見せる。
時刻は6時59分だった。

***

320 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/07(月) 23:55:11 ID:zKfiYADA
「りゅりゅりゅ……竜児!!わらひこれおいひっんっひゃべてみて……」
「いいから落ち着いて食え」
席についてバイキングで取ってきた物を食べ始める。
「おひゅふいぺりゃんていりゃりぇりゅひゃ!!」
「落ち着いてなんていられるかって……お前な、誰もお前の皿の上のモンとったりしねぇから」
「うるびゃい!!でぁってぴぴはひゃい!!」
「うるさいじゃねぇ!!黙って食いなさいってそりゃあ俺のセリフだ!!ああもう、食べるか話すかどっちかにしろ!!」
「ングングングングング……」
「って食うのかよ!?」
大河は最初からクライマックスのようだ。
もの凄い勢いで食べていく。
「……んっくん……ぷはぁ、竜児、これおいしいから食べてみなよ」
「お、おぅ」
大河に勧められ、大河がさっき食べていた酢豚を食べる。
「これもおいしい!!竜児、このスープ飲んでみて!!何が入ってると思う!?」
「おう、ちょっと待て」
大河は口の周りにケチャップをつけながらはしゃぐ。
俺は手元のおしぼりで大河の口を拭いてやってから大河の勧めるスープを飲む。
「……お、美味いな。これは……コンソメを使わずにガラだけでダシを取って……にんにくを入れてるのか……?いやいや待てよ……?」
「ね、ね、ね?おいしいよね!?」
「おぅ、美味い」
俺は残りのスープを飲み干すと、ぐいっと手の甲で唇を拭う。
「……ん?」
何か手の甲に……これはケチャップ?
はて?俺はケチャップのついた食べ物はまだ口にしてないハズだが。
ざっとテーブルを見渡すと、どうやら今ここでケチャップがあるのは大河の持ってきたオムライスくらいだ。
「……んん?」
大河の持ってきたオムライス。
大河の口の周りのケチャップ。
俺の口周りにあるケチャップ。
「……んんん?」
大河の飲んだスープ。
大河が飲む前に手をつけてた大河のオムライス。
俺の口周りにあるケチャップ。
導き出される答えは……。
「……ヤベ」
もしかして俺、大河と同じところに口つけて飲んだ?
こ、こここここここここれって、か、か、かかかかかんせつきちゅ!?
いや、きちゅじゃない、焦るな俺、キスだろ。
……問題どころはそこじゃない!!
急に気恥ずかしくなる。
俺は焦りながら手元のおしぼりで口周りを拭き……手元の?……あ!?
……これ、さっき大河の口周り拭いた奴じゃねぇか!!
都合二回目……になるのか?
「何ぼけっとしてんのよ」
焦る俺に、大河は焼き鳥を食べながら話しかけてくる。
と、話しながら食べたせいだろう。
口元からタレが垂れる。
「あ……ちょっとソレ貸して」
大河は俺の手元のおしぼり───大河の口を拭いて、俺の口を拭いたソレ───を俺からひったくり口元を拭う。
「あ……」
これ、三回目って言うのかな?
はっ!?何考えてんだよ俺!?
「さぁ、次取りに行くわよ!!」
「ってまだ食うのかよ!?」
テーブルには皿が堆く積まれていた。
ドラゴ○ボールの孫○空かお前……?

***

321 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/07(月) 23:56:09 ID:zKfiYADA
「はぁ〜食った食った」
驚異の食欲を見せ付けた大河は、しかしサイズが変わるでもなくそこにいる。
胸囲は無いのに驚異があるとはこれいかに。
……こんなこと本人に言ったら殺されそうだ。
「ねぇ竜児、大浴場って何階?」
「おぅ?お前案内見なかったのか?」
幸い大河は俺の思考が読めるなんてエスパーではないため、先ほどの一瞬よぎったタブーには突っ込まれない。
「え?何が?」
「ここ、大浴場は無いんだ。部屋の風呂だけ」
「えーっ!?こんなにでっかいホテルなのに?」
「でもお前、部屋の風呂めちゃくちゃでかかったぞ?しかもジャグジー」
「泡ブクブク?」
「ブクブク」
「ぐるぐる?」
「グルグル」
「ならよし!!」
大河は満足そうに腕を組んで納得する。
「お前、単純だよなぁ」
「何よ?いけないっていうの!?」
大河が怒ったように俺に噛み付く。
「いや、むしろそういうところは良いと思う」
「良いって?」
「う〜む、それがお前の魅力の一つというか、まぁ……なんだろうな、上手く言い表せねぇ……大河?」
「………………」
「おーい?たいがー?」
「……」
大河はなんだか固まったように動かない。
「……りょく……み、りょく……魅力……大人の女……魅力……可愛い……魅力……色っぽい?」
何かブツブツ言い始め、最後に大河は意味不明な事を疑問符をつけて俺の顔を見ながら言い出した。
「……は?」
「……私、色っぽい?」
「お前、何言い出してんだ?」
俺はよほど不思議そうな顔をしていたのだろう。
大河がそれを悟ったかのように溜息を吐き、しかし次いで思いついたように言い出した。
「ねぇ竜児、ちょっと付き合ってよ」
「おぅ、なんだ?」
「ん……ちょっとね。竜児と二人じゃないと出来ないことをしたいの」
「二人じゃないと出来ないこと?」
「そう、終わらせようと思えばペースを上げればすぐに力尽きるけど、時間をかけようと思えばいくらでも……そんなこと」
やたらと大河はゆっくり話す。
何処と無く妖美さを醸し出して。
思わず、ゴクリと唾を飲み込む。
「な、何をやるんだよ一体?」
「……ふふ……?」
「大河……?」
「竜児……一緒に、ね」
大河の白く細い指が俺の手に絡みつく。
逃れることなど出来ない。
逃れる気も無い。
ただ、誘われるがまま、何もわからず大河の少し大人びた声色に惑わされたように着いていく。
「さぁ……汗を、かきましょう……?」

***

322 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 00:00:50 ID:2YIThQmA
パンパンパンパンパンパン!!
「た、大河、はぁはぁ……俺もう……!!」
「……っ!?もう限界!?だらしないわね、さっきより持ってないんじゃない!?」
「んなこと言ったって……はぁ、はぁ……」
「ほら無駄口叩かずに動く!!」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!
段々と勢いが増していく。
「うわぁ!?おまっ!?そんな急に激しくしたら……」
「ほらぁ、どんどん行くわよ!!」
「くっ!!こなくそ!!」
「やれば出来るじゃない!!ほら、もっと腰入れて打ちなさい!!」
「も、砕けそうだ……」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!
「情けないわね!!しょうがない、止めを刺してあげる!!」
「……っ!?まだ強くなるのか!?もう限界だ……っ!!」
「てりゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
最後に一際大きい音がして、コトが終わる。
……出し尽くした。
俺は全精力を使い果たした。
「ふっふーん♪また私の勝ちー♪」
大河は額を拭って自慢げに笑う。
「くっそぉ」
コロリ、と俺の足元に転がるのはオレンジの……卓球の弾。
俺と大河は卓球をしていた。
終わらせようと思えばペースを上げればすぐに力尽きるけど、時間をかけようと思えばいくらでも長くやっていられる汗のかくこと……卓球。
しかし、先ほどから俺は全戦全敗。流石に大河は強かった。
「竜児、アンタ運動不足じゃないの?」
「お前が凄すぎるんだよ」
あれだけ食べて、それだけ動いて、何で平気なんだコイツは。
大河は誇らしげに大して張ってもいない胸を張り、鼻高々に言う。
「まだまだだね」
「それ、キャラ違う」
「あれ?そうだっけ?まぁいいわ、あー汗かいた」
大河はパタパタと自分の首下のシャツを動かして中に空気を入れる。
「おまっ!?人前でそれはやめろよ!!」
「?……っ!?アンタ見たの?このエロ犬!!」
「いや、見てない、まだ見てない!!」
「まだって何よ!!見る気だったのねこのケダモノ!!ああ恐ろしい!!」
「ばっ!?なっ!?ちがっ!?」
「うるさい発情犬!!ああ恐いわぁ、襲われる前にさっさと逃げなきゃ」
きゃっきゃっと大河は笑いながらいつもよりやや早足で部屋へと駆け込む。
「ったく、言いたい放題言いやがって」
俺は半分呆れながら後を追う。
部屋の中に入ると、既に大河は風呂の準備万端だった。
具体的に言って、洗面用具と下着を握りしめていた。仏教用語でパンツと呼ばれるそれを。
「!?な、何見てんのよ!?」
「わ、悪い!!」
俺は慌ててあさっての方を向く。
「ってかお前も俺が来るのわかってんだろ!?」
「何!?女の子の下着見て、この上さらに言い訳する気?最っ低ね」
「ぐ……」
何も言い返せない。この場が裁判なら、俺は間違いなく有罪だろう。
ちくしょう、女性って優遇されすぎじゃないか?
レディースデーしかり、レディースセットしかり、レディースなんとかしかり。
「じゃあ私お風呂に入るから……覗いたら殺すわよ」
「覗かねぇよ!!俺も入りたいんだから早く入っちまえ!!」
俺はこの場を終わらせるため、さっさと大河を入浴させることにした……のだが。
「……え?アンタも入るの?」
大河は不思議そうに尋ねてきた。

323 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 00:01:59 ID:2YIThQmA
「いや、入るのって……そりゃあこれだけ汗かいたし入るだろ普通」
「あ、そっか。そうだね」
大河は納得し……、
「うん、わかった。竜児、アンタは今日風呂抜き」
てなかった。
「はぁ!?なんで!?」
大河もトンデモナイことを言い出したものだ。
「う、うるさい!!ご主人様が抜きって言ったら抜きなの!!」
「意味わかんねぇよそれ!!俺だって汗で気持ち悪いし昼間から風呂を楽しみにしてたんだ!!」
「だって嫌なんだもん!!私が入った湯にアンタが浸かるなんてなんかヤダ!!」
「……は?」
「だってエロ竜児のことよ!?きっと……『ああ、大河様の臭ひ』……とか変なことをするに決まってるわ!!おお恐い!!」
俺は頭を抑える。
「アホか!!そんなことするわけ無いだろ!!大体なんだ『臭ひ』って!!臭いでいいだろバカ!!」
「バカって言うな、エロ犬!!」
「そんなこと考えるお前の方がよっぽどエロいわ!!」
「とにかくアンタはお風呂抜きっ!!」
「ふざけんなぁ!!そうだ、だったら俺から入れば問題ないだろ?」
「ダメよ!!私すぐに入りたいんだもん!!」
「お前なぁ!!どんな我が侭だよそれ!!」
「それに竜児の入った後ってなんか浮いてそうでヤダ!!」
「お前俺をなんだと思ってるんだ!?」
「駄犬」
もはや何かを言う気力がなくなってくる。
「流石に俺だって風呂抜きはつらい。大河が風呂入った後、俺が一度風呂掃除をしてから入るってのはどうだ?」
「ん、それでいい」
大河もここが譲歩線と踏んだのか、納得する。
「じゃあ、さっさと入ってくれ。俺も汗で風邪引き……っしゅん!!」
くしゃみが出る。
「竜児、寒いの?」
「ちょっとな、汗かいたし」
「……やっぱ竜児からでいい」
「何言ってんだよ、いいからさっさと入れ。俺はお前が出た後の掃除もあるんだから」
「……やっぱ、掃除まではしなくてもいい」
大河はそれだけ言い残すと風呂へと向かった。

***

「竜児、あがったよ」
「お………………………………ぅ?」
返事が異様に遅くなる。
「何よ?」
大河がタオルで髪を拭きながら歩いてくる。
「い、いや……」
大河は風呂あがりに、火照った体を隠すように白いバスローブを着ていた。
よくテレビとかで見る、高価そうな……艶やかな。
それは程よく体のみを隠しており、細い素足は丸見えで、肩も見えるほどぶかぶかというか、小さいというか。
薄桃色の頬、白く細い腕、火照ったような時折見える体。
バスローブが大きいのか小さいのかよくわからない。
今俺がそれを理解しようとしているのかわからない。
そもそも、今俺が何を考えているのかがわからない。
先ほどの大河の言葉が蘇る。

──────私、色っぽい?──────

今なら、頷いていましそうだった。

***

324 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 00:03:09 ID:2YIThQmA
ぼけーっと湯に浸かる。
何も思い浮かばない。いや、浮かぶ。けど浮かばないことにする。
バシャバシャと湯を顔にぶつけ、またぼーっとする。
あれだけ楽しみにしていた風呂も、全然何も感じなかった。

***

ちょこんとビッグサイズのベッドに座る。竜児はまだお風呂。
パジャマに着替えた私は裸足をもじもじさせる。
「きょ、今日はもう寝るだけ……よね」
ちらりと見ると、ベッドは一つ。そう、一つ。ビッグサイズ一つ。
「と、とと当然使うのは私よね?竜児はそこらへんの床かソファーでも……」

──────っしゅん──────

「………………」
たんなるくしゃみ。
寒いからでた、それだけのもの。でも……。
「わ、私には……か、飼い犬の面倒を見る義務もあ、あるのよ、ね?ね、ね、ね?」
もう一度ちらりと見ると、枕も一つ。
まぢですか、ここは高級ホテルでしょうに。
なんで枕一つなのよ。
いや、むしろこれはでかいとはいえ本来一人用のベッドだからいいのか。
本来は一人用……ぼふっ!!
顔が火照る。私、今何考えた?
いや、しょうがない、しょうがないけど!!
バタン……!!
ビクゥ!!
「よぉ、あがったぞ」
竜児がお風呂から上がった。
「お前が納得してくれたから、すぐに風呂に入れて助かった、サンキューな」
竜児はホクホクと湯気を出しながらTシャツ短パン姿。
ふにょん、と私の隣、ビッグサイズベッドに一緒に座る。
「大河?どうかしたか?」
「……そ、その、今日はもう寝るだけよね?」
「おぅ」
「その……ベッド、なんだけど……」
「ベッド……?あっ!?」
竜児は今思い出だしたように驚く。もしかして気付いて無かったの?私が昼間あんなにイライラしてたのに?
「そ、その一つしかないし、お前使っていいぞ」
「あ……」

──────っしゅん──────

思い出す竜児のくしゃみ……連想される風邪。
「俺はソファーで……」
竜児が立ち上がろうとする。私は、手を伸ばしていた。
「……大河?」

***

俺はベッドから立ち上がろうとして大河に掴まれた。
白い指は震え、何かを伝えようとしている。
大河を見ると目は潤み、恥ずかしそうにしていた。
「……大河?」
俺は気になって大河に疑問の眼差しを向け、
「……その、竜児も一緒にベッドで寝よう?」
瞬間、俺の時が止まった。

325 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 00:05:07 ID:2YIThQmA
とりあえずここまで。

みんなはもちろん卓球だってわかってたよね?

続きはまた待ってくれ、いや待って下さい!

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 00:11:12 ID:+cV8deYY
>>325
乙でした。
また楽しみにしてますw

>みんなはもちろん卓球だってわかったよね?
そ れ は な い w

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 00:31:47 ID:RTj8QyuQ
卓球の擬音でパンパンはないわなあw
コンコンとかカンカンだろう。

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 00:41:27 ID:tf1u5Az7
ラブひなにこんなんあったな

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 01:01:55 ID:9GauK/q4
>>313
話を戻して申し訳ないんだけど、
17話で竜児を指さしながら「貴様もやるのだ!砂糖なめくじ犬!」って言う大河がいい。
みのりんよりも先に竜児を誘うところがポイントだな。

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 01:46:21 ID:wO7CzERJ
続き超期待なんだけど・・・卓球かよwwwww

まぁ大河なら全球スマッシュでそれっぽくも・・・ならねーよw

ノリノリ具合が伝わってきて面白かった!

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 01:50:49 ID:wgUbNMYS
>>325
ヤバい!!続き超気になる(*´д`*)
うちもミンナ忘れてるであろう幼児化竜児を早く書き上げなきゃな。放置しすぎだww

332 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/09/08(火) 01:54:30 ID:eVZhJYaT
お題 「クラス」「筋肉」「道」



 風呂からあがって体を拭いてから、竜児は着替えを持ってくるのを忘れたことに気がついた。
「しまったな……」
 さっき脱いだ服を着るという手もあるが、
「ま、いいか」
 大河が帰った今、家の中には竜児一人きり。自室までのほんの数メートルぐらい、裸でも別に構うことはない。
 まあ気分的に全裸というのもなんなのでバスタオルを腰に巻き、脱衣所の扉を開けたら大河が居た。
「……竜児、あんた露出狂の気もあったわけ?」
「た、たた、大河!お前、帰ったんじゃなかったのか?」
「テキスト忘れたから取りに来たのよ」
「おう、それなら明日の朝渡すつもりだったんだが……」
「あら、そうなの。で、何でそんなに変態をこじらせちゃったわけ?」
「変態じゃねえ。単に着替え出すのを忘れてただけだ」
「ふーん……」
 大河の視線はずっと竜児に注がれたままで。
「な、なんだよ」
「この間みのりんとちょっと話したんだけどね、竜児って意外にいい体してるのよねー」
「そ、そうか?」
「何よ、自分のことじゃないの」
「いや、あんまりそういうの気にした事ねえからよ」
「それなりに筋肉あるし余計な脂肪はあんまり無いし、まあうちのクラスでは上位に入るんじゃないかって、みのりんが」
「お、おう、そうなのか」
「ニヤつくんじゃないのよこの裸犬。まだ続きがあるんだから」
「ら……って、続き?」
「そう、確かに体格は悪くないけどね、それを全部台無しにしてるのがその黒乳首なのよ」
「く……くろっ……」
「まともに見ればやたらと印象に残るし。そうでない時も妙に視界の隅でチラチラチラチラと。
 この前なんて夢に出てきてうなされたわよ。いっそのこと毟り取ってやろうかしらねそのゴミレーズン……」
「ひぃっ!」
 思わず胸をかばう竜児。
 その拍子にバスタオルがはらり……と。
「おうっ!」「ひぁっ!」
 咄嗟にバスタオルを掴む竜児。くるりと後ろを向く大河。
「な、なに汚いモノ見せようとしてるのよこのエロ犬!」
「わ、わざとじゃねえ!事故だ事故!」
「あーもう、これ以上変なモノ見せられたらたまらないから帰るわ」
「おう帰れ。さっさと帰れ」

 階段を下りた大河は、道端で足を止めてふと考える。
 なんで竜児の体から視線を逸らせなかったんだろう。なんで妙に動悸が早くなったんだろう。
「……きっとあの黒乳首のせいね」
 おそらく蛍光灯の光かなんかのせいで催眠効果を発揮していたのだ。
 でなければまるで自分が竜児の体に見蕩れていたようではないか。
 北村君ならともかく、竜児に対してそんなことがあるはずがないのに。
「やっぱり毟り取ってやろうかしら……」

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 02:09:27 ID:wO7CzERJ
>>331
幼児化忘れてないよー
期待して待ってまっせ!

>>332
魔性の黒乳首おつ!
どんな夢だったかも知りたいねw

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 03:00:21 ID:FGF4gSxI
>>325
> 「……その、竜児も一緒にベッドで寝よう?」
す、ストレート直球160K!!
続きが、きになってねむれねぇぜ!!

>>332
相変わらず、すげぇ。
よくこのペースでネタがでるもんだ!!


335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 13:01:49 ID:tmDBj9aE
「おーい起きろ大河」

スー…スー…

「朝だぞ大河、もう起きろ」

スー…スー…

「早く起きないと…」

スー…スー…

「…今日はキスしてやらねえぞ」

パチッ

「あら竜児、おはよう。んー」

「なんだその唇は」

「キス」

「まずは顔洗ってきてからだ」

「ええ〜…ケチ」

「だめだ」

「ふん!竜児のバカ!嫌い!もう寝る」

「ぁあ〜もうしょうがねえなぁ!こっち向け!」
ちゅっ♥

「えへへへへ〜♪竜児大好き♥」

「おう、俺もだ大河。顔洗ってくれる大河はもっと大好きだ」

「しょうがないわねぇ〜じゃあ洗ってきてあげるわ」

「やれやれ…世話がかかるぜ」

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 15:55:04 ID:e+zyHpDr
やれやれだぜ

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 19:07:41 ID:tmDBj9aE
「ね、ねえ竜児、今日の私の下着気になる?」

「おうっ!?」

「ねえってば」

「そ、そりゃ気になるといえば気になる」

「へえ〜〜〜やっぱり竜児も男の子だったんだぁ〜」

「当たり前だろ。俺だって18だ」

「えへへへ♪じゃあ今日は特別に竜児にだけ教えてあげるっ♥」

「い、い、い、いや結構だ」

「遠慮しなくていいから。あ、それとも直接見せてあげようか?」

「わーっ! それは勘弁してくれ!!」

「あはは、竜児ったらウブだ♪」

「〜〜〜〜っ/////」

「そんな純情な竜児に…チラッ」

「わわわわわ!やめなさい!」

「あははははは♪」

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 19:08:58 ID:tmDBj9aE
「わかった!わかったから!口で言ってくれ!」

「んーとね、オレンジ!」

「オ、オレンジか。お前好きだもんな。で、素材は?」

「は?」

「だから素材だよ。コットンとかシルクとか…」

「はぁ〜? なんで素材なんか知りたいの? てゆうか普通男が知りたいのは色じゃない!?」

「だって洗濯するときのために素材把握しとく必要あんだろ!!」

「あ〜ん〜た〜ね〜(プルプル)」

「ぉうっ!?」

「つくづくド変態ね…!」

「ま、待て。おちけつ」

「充分落ち着いてるわ…さあ覚悟なさい!!」

「ひいっ!」

ぎゅっ

「お?」

「なーんてね♥あんたが洗濯好きなのは想定内よ」

むぎゅっ♥

「て、てか大河さん。なんか柔らかいものが当たってるんですが…」

「あててんのよ」


Cカップタイガーシリーズ「天使の○○○○」
命名権:for まとめ人

終わり。

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 20:32:44 ID:Zu5Vn77W
>>325
GJです!
賑やかさと本音の織り交ぜ具合が、イイ!
てか、パンツって仏教用語だったんだ…

>>318
ナカーマ(・∀・)人(・∀・)
決してマニアックではと思うぞ。この回の最萌シーンだ!

>>332
大河、みのりん、よく観察してることw

>>338
くぎゅうボイスが頭の中でエンドレスリピート


340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 22:06:22 ID:Rxxk3gE5
http://apr.2chan.net/may/b/src/1252413566662.jpg

341 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 22:40:01 ID:2YIThQmA
>>326
ありがとう、>そ れ は な い ? なんてこったいw

>>327
い、痛いところを……(汗)

>>328
まさか元ネタ知ってる方がいようとはw俺のラブコメ歴史はラブひなから始まったと言っていいw

>>330
ありがとう!>卓球かよ?……フフフ、ここに一人まんまと策略にハマッた……いや何でもないw

>>331
ありがとう!幼児化俺も楽しみにしてるよ!さぁ、大河との××で竜児を……!!

>>332
アンタは凄いよホント!!ペースが凄い!!もう常連連載作家だよw

>>334
竜児のハートど真ん中にストライク!!

>>339
ありがとう、パンツに関してはRoutesと呼ばれる奇跡の声優コラボな面白ゲームでそう書かれてた。
ナカーマナカーマw

>>340
不覚の涙を禁じ得ない(泣)



続き投下行きます。これにて『これは』完結。

342 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 22:41:13 ID:2YIThQmA
***

おかしい。
いつからこうなった?
俺は今、ビッグサイズの『一人用ベッド』で大河と一緒に横になっている。
『一人用ベッド』で大河と一緒に。
大事な事だから二回確認。
……やっぱりおかしい。
たとえ今俺が右に出来るだけ、今にも落ちんばかりに寄っていたとしても、大河が同じように出来る限り左に寄っていたとしても、『一人用ベッド』で大河と一緒という事実は変わらない。
何故こうなった?
俺は事の起こりを思い出す。

***

「……くそ」
朝、七時三十分。
天気快晴、ただし室内暗し。
木造二階建て戸建、二階部分の借家。私鉄の駅から徒歩十分、南向き2DK。
家賃、八万円。
「もうやめだ。どうにもならん」
苛立ちに任せ、曇る鏡を乱暴に掌で拭っ……いやちょっと待て。
これは原作第一巻、電撃文庫絶賛好評発売中本体価格510円(税別)の冒頭部分じゃないか!!
事の顛末を思い起こすにしても戻り過ぎだ!!
俺はよっぽど混乱しているのか、沸騰した脳みそを沈めようと頭を振った。
と、瞬間的に肌寒く感じる布団で肩を震わせる。
大河とのベッドの距離がありすぎるため、布団に隙間が出来て若干寒い。
夏だから気にならない程度ではあるが、これでは風を引きかねない。
見れば、離れたところにいる大河も、少し寒そうにしていた。
「大河……?寒いのか?」
「ん……大丈夫」
大河は少々小刻みに震えながら答える。
確かに大丈夫かもしれないが、そんな姿でいられて黙ってみてはいられない。
「おい、やっぱお前一人でベッド使えって。俺はソファーでいいから」
「……!!ダメよ竜児!!また風邪ひいたらどうすんのよ!!」
また……?ああ、あの件(byドラマCD)を気にしてるのか。
「お前、そんなこと気にしてたのか」
「だって、くしゃみしてたし……」
「いや、確かに風呂に入らなければ二の舞だったかもしれんが……」
「ふ、ふん!!主人は飼い犬のケアも必要なのよ!!いいからアンタは黙って寝てなさい!!」
「いや、んなこと言ったって……お前、震えてるじゃねぇか」
「こ、これは武者震いよ!!」
大河はヤケになったのか、わけのわからないことまで言い出した。

343 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 22:42:21 ID:2YIThQmA
「いや、一体何と戦う気だよ」
「竜児という名の性欲の塊とよ!!だいたいアンタが風邪引かないように気を使ってやってるんだから感謝しろこの駄犬!!」
大河はこちらをキッと睨む。
怒っているように見せてはいるが、実際は俺に気を使っているんだろう。
「けどお前が風邪引いたら意味が無いだろうが」
「私は大丈夫よ」
「何でだよ」
「頑丈だから」
「何の根拠もねぇよ」
「いいから寝ろ愚図犬野郎!!」
「……久々に聞いたなGIY」
「いつまでも昔の事をネチネチと……だからアンタは犬なのよ!!」
「はいはい、じゃあ犬はソファーで寝ますよっと」
このままでは埒があかない。
俺は無理矢理布団から出る事にした。
俺の体調の為に大河が体調を崩すなんてことがあるのはダメだ。
しかし、
「!?」
俺は布団から出る事を許されなかった。
「何処に行く気?」
「お、おまっ!?正気か!?」
何と大河は布団の中で足だけを俺の方に伸ばして俺の足をがっちりと挟んだのだ。
「うるさい!!せっかく主人が気を利かせてやってんだ!!素直に受け止めろ!!」
「アホか!!受け止めるも何も、このままじゃお前が風邪を引くだろうが!!俺は出るぞ!!」
「させるか!!ふんぬぬぬ!!!」
「うおっ!?」
俺は勢い良く布団から出ようとしたが、大河の足の拘束はさらに強くなる。
ハタから見れば滑稽意外のなにものでもないが、しかし俺達は大真面目だった。
「くぅぅ!!負けるかぁ!!」
俺は手を伸ばし布団の外へ……ガシッ!!……ガシ?
「なっ!?」
大河は、足だけではダメだと悟ったのか、コアラが木に抱きつくように俺を羽交い絞めにする。
「これでも逃げられないわ竜児」
大河が……近い、近すぎる。
鼻腔を、ゆずの香りがくすぐる。
そういや、風呂の入浴剤はゆずだったっけ。
ゆずに混じって、なんとも言い表しがたい大河の香りともいうものが、俺の体に纏わりつく。
……逃げられない。
体全体できっちり絞められてるし、何より、見えない香りによって、俺は今動けないでいた。
「さぁ、観念しなさ……竜児からゆずの香りがする」
「ああ、お前からもいい香りがする……」
「な、ななななに急に言い出すのよ竜児!!」
ギュッと絞められる力を強くされ、ミシミシと骨が軋む音がするが、何も感じない。
今感じるのは、大河の温かみと、香り。
「大河って、暖かいんだな……」
「なぁっ!?」
大河は急にヘナヘナと力を抜き、動かなくなる。

344 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 22:43:26 ID:2YIThQmA
***

「あ、あんた何急にそんなこっぱずかしい事言い出してんのよ!!」
私は布団で顔を隠して、しかし竜児の腕だけは念のために掴んだまま、搾り出すように口を開いた。
「いや、なんつうかさっきまで割りと冷たかったせいか、大河がやたら暖かくて」
「っ!?だ、だからそ、その暖かいとか、そ、その……」
こ、こいつはなんなの!?
なんだって急にそんなこと言い出すのよ!?
私はパニックの余り、足の甲を何度もこすり合わせて、変に動いて、頭を揺らす。
「それに、何か良い香りがする」
「っ!?」
「ゆずの香りと、大河の香り」
か、香りぃぃぃぃぃいぃぃぃぃっ!?
な、何よゆずと私の香りって!?
そりゃ確かに入浴剤はゆずだったけど……ん?
「竜児からだって、同じ臭いがしてるよ」
「おぅ!?」
竜児は素っ頓狂な声をあげて驚いた。
私が腕を掴んでるのも忘れて、また布団から出て行こうとする。

***

「竜児からだって、同じ臭いがしてるよ」
「おぅ!?」
き、急に何を言い出すんだ大河!?
そりゃあ同じ入浴剤使った風呂に入ったんだから同じ臭いはするかもしれないが……恥ずい。
それはあ何かものすっごく恥ずい。
やばい、大河の温もりが俺の恥ずかしさをどんどん増長させていく。
ここはやはり布団から出なければ。
クンッ……?
腕に何か強い力を感じる。
「……え?」
俺の腕は、白くて小さいがしかし、力強い手が掴んでいた。
「た、大河……?」
「い、いいから寝なさい!!これなら寒くないでしょ!?」
大河はそう言うと、布団の中にもぐる。
大河の熱が、体全体にめぐってくる。
大河に、包まれている。

─────あったかい。

俺は、いつの間にかゆっくりと目を閉じていた。

***

345 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 22:45:24 ID:2YIThQmA
暖かい。
竜児の吐息を感じる。
いつの間にか竜児は眠ってしまったようだ。
「……可愛い寝顔しちゃって」
普段からギラついている三白眼も、閉じてしまえば効力を発揮できない。
そもそも、私はこいつの事を恐いなんて……。
「……何考えんのかしら、私、寝よ寝よ」
そうひとりごちながら、竜児から離れベッドの端で横になる。
「……寒い」
が、すぐに異常なほどの寒気を感じた。
おかしいな?
夏なのにこんなに寒いなんて冷房利きすぎじゃないの!?
私は冷房を切ろうとベッドから出るが、別に冷房はついていなかった。
ということはつまり、ただ単に体が寒冷を訴えているということだ。
「……寒」
私は急いでベッドに潜りこむ。
かつて、夏にこれほど寒い夜を体験した事があっただろうか。
ちらりと横を見れば、竜児は安らかに眠っている。
私は慌てて目を逸らす。
……もう一度ちらりと竜児を見つめる。
さっきより、閉じられた竜児の瞼が近く見えた気がする。
私はやっぱり目を逸らす。
でも、もう一回だけ竜児をちらりと見つめる。
「!?」
竜児は私の目の前にいる。
いや、私が竜児の前にいる。
動いていたのは竜児じゃない、私だ。
自然と、暖かい方へと体が勝手に動いていた。
「竜児も、あったかいや」
私は、竜児の温もりに抱かれて、目を閉じた。

***

次の日、俺達は全く同時に目を覚ました。
だが、言葉は何も交わさない。
朝食をレストランで済ませ、身支度を整える。
会話は一切無かった。
二人で来た時と同じ電車に乗って家へと向かう。
向かい合うようにして座っているが、俺も大河も窓の外をじっと見つめて何も語らなかった。
ようやく駅につく。
大河と一緒にいて、ここまで何も話さないことは無かったが、それでもやっぱり何も言わずに俺達は家へと歩き出した。
心なしか、大河の歩く位置がいつもより半歩程、俺に近い気がした。

***

次の日、私達は全く同時に目を覚ました。
でも、言葉は何も交わさない。
朝食をレストランで済ませ、身支度を整える。
会話は一切無かった。
二人で来た時と同じ電車に乗って家へと向かう。
向かい合うようにして座ったけど、私も竜児も窓の外をじっと見つめて何も語らなかった。
ようやく駅につく。
竜児と一緒にいて、ここまで何も話さないことは無かった。
別に避けているわけでも避けられているわけでも無いけど、いつもの位置で竜児と一緒にいたら、何故か竜児がとても遠く感じた。
私は、初めて自分から半歩程、竜児に近づいた。

***

346 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/08(火) 22:46:34 ID:2YIThQmA
真夜中の自宅のベッド。
そのベッドの傍にある窓を開け、隣に見えるベランダに降り……ドン!!
「……やば」
結構な音を立ててしまった。
慣れない事はするもんじゃない。
ベランダのガラス窓に手をかけガラッと開ける。
下調べどおり、竜児はあの日同様ここには鍵をかけていない。
部屋の中を歩き、サァと小さい音を立ててとある襖を開けるとそこには……。
「……竜児」
眠っている竜児がいる。
あったかい竜児。
一緒にいると、気持ちの良い竜児。
あの日、初めて一緒のベッドで寝るハメになってから、あの温かみが忘れられない。
日に日に寒く感じる体温に、恐くなってきた。
なのにコイツはなんだってこんなにぐっすり寝てるのよ?
「……理不尽よね」
全く持って腹立たしい。
私がこんなことをしているのが腹立たしい。
こうしたいと思って行動している自分が腹立たしい。
でも、一番腹立たしいのは……それが私だけでコイツはちっともそんな傾向が見られないのが腹立たしい。
「……本当、理不尽極まりないわ」
眠ってる人間に小声で何を言おうと伝わらない。
もともと伝える気もほとんど無い。
無い、けどこうも安らかに眠っているとやっぱ腹立たしい。
「……なにかイタズラしてやろうかしら?」
落書きをする、とか鼻を摘む、とか布団をひっぺがす、とか。
「布団……か」
思い出される始めての夜。
何処と無くノリで、成り行きだったとは言え、たった一度だけ床を共にした仲。

─────トクン。

何かが疼く。
もっと、もっとと求めてやまない。
本当は、こうしたくて来たんだろう?と自分じゃない何かが囁き、誘われるように竜児の布団へと潜りこむ。
「……やっぱり、あったかい」
布団に入ると、途端に体が満たされる。
先ほどまで足りなかった、消耗し尽していた何かがようやく充填され始める感じ。
「んぅ」
竜児が寝返りを打つ。
竜児の顔が私の顔の正面に向けられる。
目を開く気配は無い。開けば面白いのに。
朝まで待ってみようか?うんそれがいい。それは面白い。
なんだかドキドキする。
そうだ、これを腹いせとしよう。
腹立たしかった腹いせ。
何かしてやろうかと思ったイタズラ。
竜児、起きないかな……?





to be リュウジチュウドク。

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 23:38:48 ID:Y4y12iP1
>>346
GJ!
くはぁ、そうきたか! 匂いとぬくもり、そう繋がっていくわけだ。うまい!
あの・・・まで、あと3万秒ぐらい?

みんな、この続きは、Vol.7 ドキドキ妄想 だぜ。とても印象深い作品の一つだ!

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 23:40:23 ID:FGF4gSxI
>>346
GJ!!
大河がかわいくてよいね!!
初めて気になる人と一緒に寝る夜。
いいねぇ。どきどきするよ。


349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/08(火) 23:54:22 ID:sGPpg9uK
>>346
やっぱうまいっすね!!
GJ!!
ドキドキ2828とまらんぜ!!

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 00:21:36 ID:XBayykEM
>>346
まさかチュウドクにつなげるとは…良い!

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 00:23:07 ID:XBayykEM
リュウジチュウドク。
http://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS07/411.html

ということで

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 02:31:30 ID:hAjSwMJL
最近このスレに流れ着いて、まとめサイトで先人の素敵な作品をニヤニヤと読んでたんだが……。
8スレ目で補完されてる、「夫婦喧嘩は虎も喰わない」って奴。
これ、多分盗作だと思う。当時のログで「元ネタわかる人いたら……」って言ってるが、
元ネタ云々以前に、固有名詞を入れ替えた以外、文章が丸っきり一緒。

1998年に書かれてる、「大喧嘩」ってエヴァンゲリオンのSS。
もう閉鎖されたサイトだけど、当時のエヴァ2次創作じゃかなり有名なサイトだったので、読んですぐ思い出した。
ttp://web.archive.org/web/20060429230915/www6.big.or.jp/~tarm/evasite/epistles/indexs1.html

まあ、たかが2chのSSスレで著作権云々もないし、既に消えたサイトのはるか昔のSSなんで問題にもならないだろうけど、
当時凄く好きなSS作家さんの作品だったので、ちょっと気になってしまって。
スレ汚しすみません。

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 06:27:58 ID:bAXBlirT
ハハハ…まんまじゃないか

弁当作ったりするんだね
知らなかった

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 06:38:14 ID:kWj4zfd+
>>352
読み比べてみた
ttp://web.archive.org/web/20060429230915/www6.big.or.jp/~tarm/evasite/epistles/indexs1.html
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS08/477.html
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/kako/kako08.html#R406

これ、話にならないな。SSでやっていいことを大きく踏み外してるよ。このスレの十人の一人として
教えてくれたことに礼を言うよ。スレ汚しなんてとんでもない。ありがとう。

まとめ人さん、指摘のあったSSをまとめサイトから削除することを提案します。

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 06:51:31 ID:YEK+LfNK
>>まとめ人様

しっかしあれだな。SSなんてのは、自分が作って、初めて価値があるものだし、
他人に作品を流用して楽しいのかね。目的を逸しているというか…。
まぁ、流用出来る作品を見つけることが出来るのも一種の才能なんだろうな。

いずれにせよ、俺も削除されるべきだと思う。

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 07:15:10 ID:9Ur0miok
あー、それ読んだときに「面白いけど、何か変だな」と感じた違和感がやっと解った。
何で竜児が外泊しなきゃいけないのかとか(元がこの二人なら、完全同居だからシンジが出てくわな)、
大河がチョコを作り分けられるのかとか、
何故絡むのが北村でなく春田なのかとか。

いずれにせよ、削除に異議なしです。

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 07:33:41 ID:BfTp9UzB
98年に公開されたのを未だに覚えてるって凄いな

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 07:53:47 ID:yPwyYKkH
パクリは徹底的に糾弾されるべき

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 09:01:39 ID:Q6RCPbQM
つられてまとめサイト久しぶりに見返してみた
そしたら一昔前に比べて飛躍的に見やすいのに気付いた
あああまとめ人さまあああ大好きだああああああ

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 09:02:29 ID:2QiwUbrM
目くじら立て過ぎな気がするんだがなあ
竜虎バージョンだと思えばいいんじゃね?

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 09:08:38 ID:2QiwUbrM
といっても2ちゃんねらーには通用しないことは歴史が証明しちゃってるけどね
改変とかうんぬん以前に単純に面白いか面白くないかでいんじゃね
商業作品でもねえし案外作者自身が同一ってこともあるしな
むしろ目くじらさんたちのおかげで二次創作小説の敷居が高くなってるよ

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 09:17:36 ID:2QiwUbrM
ま、最初に元ネタ提示しときゃ逆鱗に触れなくて済んだのにねーとは思うがな

さてここからいつものギシギシアンアン


363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 12:15:06 ID:Q6RCPbQM

「どすこーい!」
「うわっ!いきなり何すんだ大河!?」
「ふん、決まってるじゃない」
「ま、まぁここはベッドだし、分からないでもないが」
「でしょ?」
「ちょっと落ち着けよ、竜河も康児も寝てるんだしさ」
「起こさないようにするから平気よ」
「そうだ!アレがねえぞ、アレが」
「いいの」
「いいのって・・・・まだ欲しいのか?」
「うん。あと3人くらい」
「3人・・・・・・・・・・・・・・・だと・・・・・・・?」
「そそ。ほら、こども手当てが出るじゃない?5人育てると家が建つくらいもらえるらしいわよ?」
「待て大河。何か勘違いをしてんじゃねえか?もらえる額はそうかもしれねえが」
「あーあーあー聞こえなーい」
「ちょ!?現実を見ろ大河!待てまてまてま」
「待たない!りゅーーじーーーーっ!」
「おわああああ!?」

ギシアンギシアン




何故昼飯も食わずこんなこと書いてんだ・・・orz
まぁいいや、よーし続け野郎ども!

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 15:55:24 ID:0OOpHBgF
掘り返してすみませんが、聞きたいことがあります。
少し前に盗作の話がありましたが、今私が投下させようとしている物に様々なパロディが多々登場します。
これはアウトでしょうか?

皆さんの意見をお聞きしたいです。
OKなら是非投下したいんですが、どうでしょうか?

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 16:18:44 ID:YEK+LfNK
>>364
それは、ありじゃないの?原作でもゆゆぽ氏が散々やってるしな。
投下期待してます。

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 16:18:54 ID:0P+Lg+wc
>>364
上で問題になってるのは、ある作品の登場人物をとらドラ!の登場人物に置き換えただけの作品が存在するということ。
オリジナルをそっくりそのまま引用するのが盗作。
いろいろな作品から小ネタを拝借ってのは問題ないと思うよ。
それがダメってことになると漫画もアニメもこれから先作れなくなっちゃうでしょw


367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 16:41:07 ID:BfTp9UzB
二次小説自体が盗作なんだから「あれ消せこれ消せ」なんて
普通いえる立場じゃないだろ
そんな事言うくらいの立場と権利持ってるなら話は別だけどね
盗作くらいでガタガタ抜かすのはほんと子供だと思う

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 16:59:32 ID:Q6RCPbQM
さっき問題になってた盗作ってのは、
誰かが作った二次創作作品を丸ごと流用したからだよな
二次を流用したってところに反感を持つ人がいるってことだ

原作の設定、台詞、イベント、言い回しとかは当然のように作品に盛り込むし、
それを盗作って言うんじゃなくて、それが二次創作なんだと思うわけだ

ゆゆぽが出来ないくらいあからさまなパロディを入れても自由というか
商業的にどこからも文句言われないのも二次創作の利点だし、
読む側としても楽しみな部分だから全く気にする必要は無いと思うね

だから、まぁ、要は、投稿待ってますぜ!


369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/09(水) 17:31:57 ID:0OOpHBgF
>>364です。
意見どうもありがとうございます。
丸々一時一句同じというわけじゃないので、大丈夫とは思ったんですが、ちょっと不安になってしまったので…
ですので家に帰ったら投下させていただきます。
よろしくお願いします。

370 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/09(水) 20:24:07 ID:/chILVeA
>>347
ありがとう、そう来ましたwリュウジチュウドクへの誘導もありがとう。

>>348
ありがとう、どきどきするよね、うん。大河可愛いよ大河。

>>349
ありがとう、こっちも書いてて2828、読んでて2828、コメもらって2828……頬の筋肉が……。

>>350-351
ありがとう、おおリンク付誘導もありがとう、最後はそう言う形にしたほうが良かったかな。

371 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/09(水) 21:14:13 ID:GltcrbgQ
>>298
> 書きたい気分と投稿したい気分
なるほどね。いつも一気に書いて一気にだしてるしね。
工夫してみるよ。

>>299
お!、肉食竜もラジオデビュー!?

>>309
まぁ、シリーズ化決定です。
がんばりますわぁ。

>>311
おぉ、氏も筋少きかれるのですか!?
いやぁーーんうれしい!!

>>318
おぉ、またおいしいお話が!!GJ!!
> 大河にビンタくらって「逃げるんじゃない!」って
あれいいよねぇ。
どちらかといえば、竜児がかわいい!!

>>331
幼児化さん、たのしみにまってますぜ。

>>346 >>370
いやぁ、本当に大河がかわいい!!
いいねぇ。どきどきするよ。
大事なことなので、2回目書き込み!!



372 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/09(水) 22:07:50 ID:GltcrbgQ
大河「ねぇねぇ、みてみて!!
  こんなに、お返事いっぱいもらったよ!!
  みなさーんありがとー。
  竜児!!きいてんの?」
竜児「お、おぅ、ちょっと今日は寝かせろよな?!
  昨日もおそかったんだよぉ。」
大河「どうしよー。もう。私。うーーん。」
竜児「はいはい。まぁ、勝手にやっててくれよ。
  俺は寝るから。」
大河「こら、起きろ。起きないと、ひねりつぶす!!」
竜児「ぐはぁ!!、って蹴ってんじゃねぇ!!」
大河「ねぇ、お願いだから、ね?!」
竜児「なんだよ。なんだっていうんだよ。」
大河「書いてほしいのよ。
  だって、」
竜児「あー、あー、わかったわかった。書く書く。」
大河「ほんとに?犬のように?」
竜児「あー書く。
  え?」
大河「じゃー。
  さっさと書け!!」
竜児「ぐへぇ。だから蹴るな!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大河「今日の映画たのしかったねぇ。」
竜児「そうだな。たまには映画もいいもんだなぁ。」

受験勉強の息抜きに、日曜日映画を見にきていた。
大河「ねぇ、あれ、独身(31)じゃないかしら?」
竜児「こら、独身っていうんじゃありません。」
大河「じゃ、独神!」
竜児「だぁーー。俺たちの前の担任だろ?
  恋ヶ窪先生のおかげで、いろいろ助かったじゃねぇか」
大河「そうよね。
  あのエスケープであんたが停学にならなかったのも、
  私が退学にならなかったのも、独神のおかげよね。」
竜児「って、また独神っていってる。」
大河「あら、いやだ。遺憾だわ。」


竜児「恋ヶ窪せんせー」

ゆり「(いちゃいちゃしやがって、いちゃいちゃしやがって、
  いちゃいちゃしやがって。)」

大河「せんせー!!」



373 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/09(水) 22:09:27 ID:GltcrbgQ
ゆり「はっ、高須くんに逢坂さん。」
大河「こんにちわ、先生どうしたんですか?
  洒落たスーツきこんで」
ゆり「既婚で?、あーあーわるうござんしたねぇ。
  私は、独身ですよ、独身。」
竜児「いやいや、服を着込んでって言っただけですよ。
  先生今日はお一人ですか?」
ゆり「え、えぇぇまあ、そのぉ一人よ。
  一人の方が動きやすいし。そうよねぇ。」
大河「(あんた、なに聴いてるのよ?一人に決まってるじゃない。)」
ゆり「せ、先生今日はたまたま、一人なんだぁ
   いつもは、いつもは、いつもは、」
   
どこからともなく聞こえてくる音楽

  だーけど、かわいいあの娘に、裏切られてからは、
  ・・・  
  アリゾナタワーのアリゾナタワーの
  上でピエロは独ーり
   

大河「ん?」
竜児「ぐ、先生までグルだったとは?!」
大河「ど、どういうこと!?
   なにがどうなっているの?」
竜児「この曲、筋少の「電波Boogie」って曲だ。
  ブギだから、非常にテンポはいいんだが、
  歌詞がやっぱりいっちゃってるんだよ。」
大河「そ、そうなのね。
  独身にぴったりかもしれないわ。」
    
独神「いわせておけば、
  いつもどおり、肉食で恥ずかしめにあわしてくれるわ!!」
大河「ど、毒神(31)でたわね。ラスボスかと思っていたのに!!」
毒神「ふふふ、私はどうせ、雑魚ですよ。
  雑魚でわるうござんしたねぇ。
  そうよそうよ、合コンいってもいつも一人ぼっち。
  余った男は三流以下、
  いくら私でもいらない男ばっかり。
  友達はみんな結婚してしまったし、
  同じ独身仲間のA子ちゃんは、来月結婚。
  実家帰って紹介してもらったクソ男は詐欺紛いだし、
  今日も当然一人ですよ、わかってますわかってます。
  もういや。
  結婚なんて、こいびとなんて!!」
  
竜児「(そうとうあれてるな!)」
大河「(な、なにがあったのかしら?)」


374 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/09(水) 22:10:09 ID:GltcrbgQ
毒神「くっ、
  前置きはこれくらいにして、早速いくわよ!!
  原作5巻P302よ!!

  文化祭の最後、高須くんと櫛枝さんが一緒にゴールして、
  逢坂さんは北村くんはダンスしておどるんだけど、
  最後の最後で、こんな風にしめくくられているの。

  『笑う度に走る痛みも、このつらい夜を乗り切れば、
   多分、きっと、本当にーーやがて大丈夫になっていくと
   思うから』

  ここの意味するところが何?って初めはおもうんだけど

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『肉食系竜児その五』

きっと大丈夫になっていくと思うから、、、

そう、きっと大丈夫。
北村くんともおどれたし、竜児はみのりんとなかよくなれたし、大丈夫。
なにが、不満なんだろう?

大河は文化祭の打ち上げの後、帰路につき、そうおもっていた。
あえて、竜児とは一緒に帰らず、一人でマンションに。

あのクソオヤジももういない。ちょっとは楽しかったなんて思いたくもない。
あんなことは、忘れてしまうべきだ。
わすれなきゃ。

ああ、そうだ。
竜児、よかったね。
みのりんと仲直りできて。
あのとき、「一緒に踊ろう」ってくれた竜児をふってよかった。
本当にそう思う。たぶん。きっと。
私だって、北村くんと一緒に踊れた。よかったじゃない。


家の鍵をあけ、ベットに飛び込む。

よかった。きっとよかった。

ぴりりりりー。
ぴりりりいー。

あっ竜児からだ。


375 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/09(水) 22:11:00 ID:GltcrbgQ

竜児『よ。元気か?!
  先にかえったから、みんな心配してたぜ。』
大河『わたしは大丈夫よ。
  打ち上げも楽しんだ。北村くんとも一緒に踊れた。
  あんたは、みのりんとうまく仲直りできた。
  全部よかったのよ。』
竜児『・・・
   なぁ、大河、窓を開けてくれないか?』

大河は、高資につながる窓をあける。
そこに、竜児はたっていた。

大河『なに?』
竜児『聞いてほしいこと、
  いや、お前に聴いてほしい。』
大河『なにを聞くの?』

竜児は大きく息を吸い込むと、突然うたいだしたのだ。

竜児『 You are too beautiful, my dear, to be true 
    And I am a fool for beauty 』
大河『へ?』
竜児『 Fooled by a feeling that because I had found you
    I could have bound you to.』
  
  (おまえは、あまりにも綺麗で、おれをだめにしてしまう。)
  (きみをみつけたんだから、僕のものにしてもいいんじゃないか?)


大河『な、なに大声で、うたいだしてるのよ?
  き、近所迷惑でしょ。』
  
竜児『・・・
  俺さ、昔好きな子がいて、それで歌を歌ったんだけど、
  ふられちまったんだよな。』
大河『そんなはなしきいてない。
  恥ずかしいからやめてよ。』
  
竜児『・・・
  お前に、手がとどくようにって、思ってたんだ。
  あのミスコンのときから。
  なのに、お前逃げてただろ?
  だけど、歌ならとどくかなって。』
大河『とどくわけないじゃん。とどかないよ。
  ・・・
  だって、私たちの間には、こんなに大きな隙間があるんだよ。』
竜児『俺の歌だと、とどかないか?』
大河『とどかないよ。だってその歌は私に届くべきじゃない。
  ・・・
  私のために歌うべきじゃないもの』


376 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/09(水) 22:12:02 ID:GltcrbgQ
竜児『・・・
  なぁ、大河、ここからじゃとどかないなら、
  おまえんちにいって、うたってもいいか?』
大河『だ、だめにきまってるじゃない。
  なにいってるのよ!
  そんな、・・・下手な歌、・・・聴きたくないわ。』
竜児『でもな、ここからうたうと、
  やっぱり、近所迷惑になっちまう。
  だから、おまえんちにいくわ』
大河『あ、りゅ・・・』

顔を真っ赤にして、竜児はそういうと、
窓をしめ、部屋の中へ消えていった。

竜児がうちにくる。
うれしいんだろうか?
いまはまだわからない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大河「って、これくさすぎるんじゃない?
  先生こんなのが趣味なの?」
ゆり「え?、これいけてないの?」
竜児「さすがに、
  歌はないとおもいますよ。」
ゆり「う、う、
  だから、だめなのね。だからだめなのね。
  うぇぇぇぇぇぇぇぇん。」

竜児「You are too beautiful いい曲だよな。
  でも、しらべてみたら、結局二人は結ばれないんだよな。」
大河「だ、だめじゃん!!
   ま、今回はギャグパートが冴えなかったから、次は頑張らないとね!」
竜児「そうだな、じゃ、気をとりなおして、」
大河&大河「「次回も試してガッテン!」」

To be continue?



377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 11:26:35 ID:i9/tMoDx
大河は哀れ乳
ゆりちゃんは哀れ人生

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 13:03:05 ID:vLe1WLoz
とらドラ!OP1,2 ED1,2 詰め合わせ
http://www.youtube.com/watch?v=Bmg4N6KKIHg

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 14:06:07 ID:VTXvBKby
「肉が食べたい!!」

「駄目だ!今夜は魚だ!」

「肉!」

「魚!」

「肉ったら肉!」

「魚ったら魚!」

「竜児!」

「大河!」

「…………」

「…………」


ギシギシアンアン

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 14:56:41 ID:49BVrJgC
肉になったわけだw

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 15:01:24 ID:qygLvY1O
肉なら竜児にも(ry

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 22:38:34 ID:Hve9tn6G
せつこ、それはソーセージやない、にくぼうや

383 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/09/11(金) 00:53:38 ID:EfqyBim9
お題 「みのりん」「一本」「幼馴染」



「大河ー。たーいーがーってば」
「あ、みのりん、何?」
「『何?』じゃないよ。そっちの春巻一本とこっちの唐揚げ一個、交換しようって」
「あ、うん、いいよ」
「それじゃ、いっただきまーす……うん、やっぱり大河の弁当は絶品だねえ!
 ところで、何をぼーっとしてたのさ?」
「んー、幼馴染っていいなあ……って」
 実乃梨が大河の視線を追えば、そこには何やら言い合い?をしている北村と亜美が。
「あー、北村君とあーみんか。あれはあれで良い事ばっかりでもないとは思うけどねえ。
 隠しておきたい恥ずかしい事知られてたりとかさ」
「うん、でもさ、ああやって気がねなくなんでも言い合える関係っていいよね……」
「うーん……まあ、そうかもね」
 と、そこに、小さなカップを手にした竜児が。
「ほら大河、デザートのプリンだ」
「おや高須くん、今日は宅配便かね?」
「おう、俺がまとめて持ってくれば保冷剤が一つで済むからな」
「あ、そうだ。竜児、今日私みのりんと帰るから」
「何? おい大河、今日は卵の特売だって言っておいたじゃねえか」
「そんなもん竜児が一人で行けばいいじゃないの」
「卵はお一人様一パック限りなんだよ」
「だったら二回レジに並べばいいじゃない」
「そんな不正をするわけにはいかねえ」
「まったく、あんたはそんな面のくせに糞真面目なんだから」
「あー、大河、私ならまた今度でもいいけど」
「いいのよみのりん、こんな駄犬のために気を使わなくても。たかが卵なんだし」
「たかが卵だと?いつもその卵の恩恵にあずかっているのは誰だ。
 卵焼きにオムライスに茶碗蒸し、どれも大河の好物じゃねえか」
「それはそうだけど、卵が無ければ他の物を食べればいいだけじゃないの」
「ほう……そんな事を言うならこのプリンはお預けだ。こいつだって主原料は卵なんだからな」
「何ですって?この鬼!悪魔!」

 実乃梨の視線は、言い合う大河と竜児を交互にチラチラと。
 やがて「ふ……」と溜息とも笑いともつかない声を漏らすと、ひょいひょいと弁当をたいらげて手を合わせ、一言。
「ごちそうさま」

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 00:59:32 ID:UDrR2SJ2
確かにごちそうさまw

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 01:12:06 ID:6ZGU8mnb
うん。確かにおいしかった。
ごちそうさま。

386 : ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:31:16 ID:TsgjIFyg
>>169です。
感想などいろいろありがとうございます。



>>172
そのギャップが楽しいんですけどね。

>>173
お待たせしました。

>>174
お気になさらずに、大丈夫ですから。

>>182
ありがとうございます。

>>183
案外、適当だったりしますw

>>194
読み返してもらえるなんて、嬉しい限りです。

>>256
さらりと読ませてしまうところがまたすごいと思います。GJでした。

>>301
ありがとうございます。書いた甲斐がありました。

>>346
GJでした。楽しく読めました。ラストの繋げ方も2828でしたし。

>>383
ホントに「ごちそうさま」って言いたくなりますね、これ。


以下、続きとなります「真夏のシンデレラ」投下します。

387 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:33:24 ID:TsgjIFyg
広い部屋の中央に並んだベッドがふたつ。
そのひとつに腰を下ろして座る大河が今、竜児の目の前にいる。
結論から言えば、ふたりで一部屋・・・ツインルームに竜児と大河は仲良く収まっていた。

ほんの少し前、フロントで部屋の有無を問うた竜児にフロントマンは無情にもシングルルームは満室だと告げたのだ。
・・・別々に部屋を取れば問題ないか。
そう思っていた竜児は残された選択肢がほとんど無いことに気がついた。
ツインルームなら2部屋用意できるが宿泊料金は4人分と言われて、竜児は悩んだ。
・・・ふたりで4人分だと、モッタイナイ!
・・・でも、同じ部屋はまずいぞ、うん。
・・・出費は痛いが仕方ない。
・・・ここはやっぱりふた部屋で。
竜児がそう決心してフロントマンに「ふた部屋で」と告げようとしたまさにその瞬間。

「何、ひとりで騒いでんの?」
フロントから戻って来ない竜児の様子を見に、大河が来ていた。
竜児の短いが、縮尺32分の1、ジオラマ京都名所シリーズ清水寺の舞台から飛び降りるがごとき心の葛藤など気にする風もなく、ツインしか無いと言う説明を聞いて、大河はひとこと・・・「いいんじゃない、ひと部屋で」といともたやすく言ってのけた。
ぎょっとして大河の顔を凝視する竜児。
「・・・い、いいのかよ。一緒で」
思わず、どもり気味に大河に念押しをする。
「別に、いつも同じ部屋でごろごろしてるんだし、おかしくないでしょ」
「そう言うが俺の家とは違うぞ」
「同じよ」
「本当にいいんだな」
「くどい・・・それとも竜児は私と一緒だと何か具合悪いことでもあるの?」
「別に、ねえぞ」
「なら、いいじゃない。早くしてよ、私、眠いんだから」
ふわ〜と小さくあくびをする大河。
確かに眠そうだ、大河は。
もう、こいつの頭の中には白いシーツとふかふかのベッドのことしかないのだろう。
ならば、遠慮はいらねえ・・・ひと部屋にしますと竜児は指を一本立てて、フロントマンへ突きつけた。

「宿泊カードに記入をお願いします」
カウンターに差し出された小さな厚紙の紙片。
・・・名前、高須竜児・・・住所、大橋市・・・電話番号は携帯でいいか・・・
ボールペンを手にさらさらと必要事項を記入していた竜児の動きがある箇所に来て急に止まった。
記入欄には同行者氏名とある。
大河の名前を書くんだよな、ここ。
竜児は瞬間的に考え込んでしまった。
名字の違う男女が同じ部屋に泊まると言うことに対して、変な印象を持たれないかと不安になったのだ。
プロのホテルマンがそんなことくらいで表情を変えたり、興味ありありの態度を示したりするはずがないのだが、竜児とてそんな社会経験を積んでいるわけではない。
取り越し苦労と笑ってしまうのは簡単だが、この時竜児は真剣に悩んでいたのだ。
ためらった末、宙に浮いていたボールペンを動かして、『高須大河』と空欄に記入した。
斜め後ろから竜児の手元を見つめていた大河が目を丸くする。


388 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:34:51 ID:TsgjIFyg

「・・・私、竜児の家に引っ越したつもり、ないんだけど」
「当たり前だろ、大河の家はあのマンションなんだから」
ルームキーを手に案内を断って、22階の部屋に向かうべく乗った貸切状態のエレベーターで、大河が言い出した。
「何で、そんなこと聞くんだ?」
「高須大河・・・って何?」
「そのことか・・・深い、意味はねえ」
「ふ〜ん」
「何だよ?気に障ったのか」
「別に・・・ただ、竜児がどういうつもりでああやって書いたのか、知りたかっただけ」
「言っただろ、深い意味はないって」
「・・・逢坂大河・・・高須大河・・・ひと文字減るんだね、名字が変わると」
「まあ、高須の方が少ないからな」
「・・・高須、大河か・・・ちょっと新鮮な響き・・・悪くないかも」
大河はそう言い、くるりと竜児に背を向けると手を後ろで組んだ。
「ねえ、竜児」
「ああ」
「いいよ。今夜ひと晩・・・」
大河は天井を見上げるみたいにして、そこで言葉を切る。
そして後ろ手に組んだ両手を振り解くと、再びくるりと竜児の方へ向き直った。
「・・・高須大河でいてあげる」
わずかに笑みを乗せ大人びた表情でそれだけ言うと、大河はうつむき加減に顔を伏せた。

突然見せた大河の不可解な行動。
まるでシナリオを無視して演技を始めた女優に直面した映画監督になった気分で、竜児は狭い空間を共有している大河を見つめる。
・・・どういう意味だ?
大河が冗談やからかうつもりで言った台詞でないことぐらい、竜児には分かる。
それだけにその真意が掴み取れなくて、竜児は大河との距離のとり方が分からなくなってしまう。
・・・面白い冗談だな、家族ごっこか?
笑いの中で切って捨ててしまうのは一番簡単な処理法だった。
ある意味一番無難とも言える。
大河は「そうなの。家族ごっこ、はは・・・」とか言って笑いそうだ。
多分、それっきり大河はその話題を深く掘り下げて来ないだろう。
でも、その後に大河が見せる表情を竜児はなぜかありありと思い浮かべることが出来た。


大河が抜こうとしているのは研ぎ澄まされた真剣。竜児はそんな気がしてならない。
鞘に戻すなら、この瞬間を逃せばチャンスはもう廻ってこないだろう。
果たして俺は大河が振り回す抜き身の真剣を掴み取れるんだろうか・・・竜児の思考は激しく空回りする。
・・・1年先の天気予報をするようなもんだな。
いくら予想したって当たりっこない・・・しょせん,晴か雨だ。吉と出るか凶と出るか、ふたつにひとつ。
竜児は大河のさせるままにすることに決めた。
それが今後、ふたりの間にどんな影響を及ぼすのか不安が無いと言えば嘘になる。
だけど・・・と竜児は思う。
大河・・・ドジだから・・・抜いた真剣、仕舞いそこねて手を切るのがオチだろう。
だったら・・・お前が怪我するより俺が取り損ねた方がマシだ。
ま、多少失敗して大河も巻き込むかもしれねえけどな・・・ふたりであいこってことで納得してくれ。

それから、チンと言う22階に到着したことを知らせるチャイムが鳴るまで、竜児も大河もミュートボタンを押したかのように無言のままだった。



389 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:36:14 ID:TsgjIFyg

「降りないの?」
先に降りた大河が、ドアが開いているのにエレベーターから動かない竜児を振り返って言う。
「いちばん上まで、行かないか?」
閉まりかけるドアを手で押さえながら竜児は大河に誘いをかけた。
このまま部屋に入り、ふたりだけになってしまうのを少し遅らせたくなったのだ。
「上?・・・何かあるの?」
「展望ラウンジがあるみたいなんだ・・・夜景見たくないか?」
エレベーターの壁に貼られた広告を見る竜児。
「・・・きれいかな?」
「ああ、保証する」
「竜児の保証なんてあてにならないけど、行ってもいいよ」
「わりいな・・・眠くないか?」
「まだ、大丈夫・・・さっき、ちょっとだけ眠かったけど」
「じゃ、少しだけな」
竜児は大河が再度エレベーターに乗り込むのを待って、最上階の階数ボタンを押した。



深夜0時を過ぎた展望ラウンジは静かだった。
竜児と大河は既に営業を終えた喫茶室の窓際にあるテーブルに向かいあって座り、眼下を眺める。
照明が半分に落ちた喫茶室は程良い明るさで、外を見ることが出来た。
床から天井までガラス張りの開口部を通して見える地平線の彼方まで続く東京の夜景。
宝石を散りばめた様なと、よく言い回されるが、それがぴったり来る表現だった。
「・・・なんか吸い込まれそう」
じっと外を眺めていた大河が感想をもらす。
「光の海ってとこか。さしずめ、あのビルは赤いさんご礁だな」
航空機の衝突防止灯が赤くゆっくり点滅する近くの高いビルを指差す竜児。
「・・・似合わないよ。竜児がそんなこと言うと」
「なんだよ、人がせっかくムードを盛り上げてやってるのに」
「ごめん。そうだよね・・・こんなとこできれいな夜景、見てるんだから雰囲気作らなくちゃ」
大河は言うなり席を立ち、竜児の隣に腰を下ろす。
「へへ・・・竜児の隣」
顔をほころばせる大河。
「そんなに嬉しいもんか? 俺の隣なんかが」
「そだね・・・なんでかな・・・嬉しいよ、とっても」
テーブルの上に右の頬をぺたりと付け、横顔で下から見上げるように竜児を見る大河。
大河の長い髪がテーブル一面に広がり、川みたいに流れを作る。
もの言いたげに揺れる大河の黒い瞳が竜児を捉えて放さない。
竜児はまばたきも忘れたみたいに、大河を見つめ返した。
竜児のわずかな表情の変化にも大河は反応し、首の角度を変えたり、「えへ」と含み笑いをして見せたりする。
「・・・大河」
何度も呼んだ名前に新たな回数を付け加えて竜児は呼びかけた。
普段見せたことがないくらいの取って置きを披露して、大河は竜児に微笑む。
「・・・竜児・・・私ね・・・」
テーブルから上半身を起こし、大河は竜児の耳元でささやく様に言う。
「竜児がこの世に居てくれて良かったって思うの」
大河はそのまま、ことりと頭を竜児の肩に預ける。
「・・・本当だよ」
それだけ言うと大河は目を閉じた。
ほんのちょっとだけ右を向けば、そこに大河がいる。
竜児がわずかに首を振れば・・・・・・そう。



390 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:37:59 ID:TsgjIFyg

大河が何を求めているのか、竜児には痛いほど伝わって来た。
完全に安心し切って、竜児に身を寄せている大河。
でも、それが大河の背伸びだと同時に竜児は気づいていた。
だらりと伸ばした腕の先・・・小柄な大河に似つかわしい小さな手。その中指がわずかに震えている。
・・・大河、健気だよな,お前は。
竜児は空いていた右手でそっと大河の長い髪に触れた。
目をぱちりと開け、竜児を見る大河。
「さらさらだよな、大河の髪・・・ほら」
清流の透明な水に手を浸すように竜児の右手は大河の髪の中に沈む。
竜児は指の間を広げ、手を櫛のようにして上から下へ向かってゆっくりと大河の髪を梳いた。
毛先に引っかかることもなく竜児の指は髪の先端を抜ける。
通り抜けた竜児の手は振り子のように元の場所に戻り、さっきよりもゆっくりと大河の髪の中を通り過ぎて行く。
大河は心地いいのか再び目を閉じて竜児に軽く寄り掛かった。
そばに寄る大河を感じながら竜児はしばらくの間、忘我の境地。
何度も、何度も手を動かし続ける。
大河はほとんど体を動かすことも無く、竜児にされるがままになっていた。

やがて、動きを止めた竜児の手は大河の髪を飾る赤いリボン・・・少しずれたのを形を整え、直してやる。
「よし、きれいになった・・・良く見せてくれよ、大河」
竜児の言葉に大河はすっと立ち上がり、その場で軽く足を軸にターンして見せた。
「上出来、上出来」
竜児の拍手に「まあ、こんなものよ」と大河はお決まりのポーズで胸をそらして、得意気。



「のど渇かないか?大河」
「そう言えば・・・少しだけ」
「待ってろ、今何か買って来るから」
エレベーターホールのところに自動販売機があったのを思い出して竜児は椅子から立ち上がった。
「私も行く」
「いいよ、大河は待ってろ」
竜児は大河を座らせるとテーブルの間を通り抜け、喫茶室の外へ向かう。
入り口付近で後ろを振り向いた竜児は、座った姿勢のまま、竜児の軌跡を追い掛ける様にまなざしを送って来ている大河の姿が目に付いた。
淡い光の中に浮かぶ大河は妙に儚げで竜児を慌てさせる。
・・・あれじゃ、飼い主が戻って来るのを不安げに待つ、犬だよな。
これじゃ、いつもと逆かと竜児は苦笑する。


「ほらよ」
竜児は買って来たばかりの冷えた飲料の缶を大河の頬に押し付けた。
「冷た・・・・・・ってこれ何?」
「何って、見ての通りだ」
竜児が買って来た銘柄を見て大河は不満そうに口を尖らせる。
「のどが渇いた時はポカリがいちばんだ」
「いらない・・・甘いのがいい」
「ったく、しょうがねえな」
竜児はぶつぶつ言いながら背中に隠していたカルピスウォーターを大河に手渡した。
「これならいいだろう?」
「うん」
「オレンジ、無かったんだ、それでがまんしてくれ」
「いいよ、これで・・・これも好きだし」
プルトップを引き起こしながら大河は缶と竜児を等分に見比べた。


391 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:39:52 ID:TsgjIFyg

「ん、んんく・・・ふう」
三口くらい飲んで、大河は缶から口を放す。
竜児もテーブルを挟んで大河の前へ陣取り、買って来た飲料をのどへ流し込んだ。
「気分悪いの、直ったか?」
「あれ?・・・そう言えば」
忘れてたくらいだから、もうすっかりいいと大河は全快を表明する。
「そりゃ、良かった」
言い置いて、缶を口元に持って行く竜児。
その仕草を大河はじっと見つめる。
「・・・何だよ?」
「それ、飲みたい」
「それって、これか?」
竜児は自分が手にしている缶を大河の前にかざした。
「うん」
「ポカリは嫌なんじゃないのか?」
「急に飲みたくなったの」
「・・・しゃあねえな、もう一本、買って来てやるよ」
「・・・それでいい」
大河は竜児が持つ缶を指差した。
「これは俺のだ・・・お前が飲んだら、俺の分が無くなるだろう」
「じゃ、これあげる。交換しよ」
大河は自分が手にしていたカルピスウォーターの缶を竜児に押し付ける。
「おま・・・勝手なやつだな」
まんまと竜児の手から青い缶を奪い取ると、大河はいったん竜児を見つめ、すぐに手にした缶へ視線を落とす。
「えへ、もらうね」
コクっと音を立てて大河は缶を傾けた。
「・・・ったく」
そう言いながらも竜児も白い缶を口元へ運んだ。


缶の中身が半分以下に減った頃、横を向いて外を眺めていた大河が言い出した。
「大橋の町ってどの辺?」
「大橋か・・・あっちが新宿だろ」
背の高い建物が密集して並ぶ方角を差す竜児。
「うん」
「あの向こう側だな・・・あの辺から大橋に行く、電車が出てる」
「ふうん・・・ここから見えないのかな?」
「難しいんじゃないか。スモッグ掛かってるし」
新宿の高層ビルですらぼやけた様に見える今夜の都心。
「空気がきれいな時なら大丈夫かもしれないけどな」
「ふうん・・・いつもは見えないんだ・・・・・・まるで・・・竜児と・・・私の・・・・・・・・・みたいだね」
つぶやくように言う大河の声は小さくて、竜児の耳に届かなかった。
「そろそろ、行くか?」
部屋に行こうと言う竜児に大河はうなずいた。



392 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:43:53 ID:TsgjIFyg

「靴ぐらい、脱げ」
「もう、起きられない」
「だらしないだろ」
「じゃ、竜児やって」
「どこのお姫様だ、まったく」
部屋に入るなり、手近なベッドに大河はダイビング。
うつ伏せの姿勢のまま寝転び、ふわふわの枕に顔をうずめ、ひどくご満悦な様子。
それはいいのだが、靴を履いたまま・・・なのである。
上等なヘリボーン織りのリネンに対する冒涜だ・・・と竜児は大河の行為を糾弾する。
「やってやるから、足をじたばたさせるな」
「へ?」
「痛い!」
不用意に大河の足に近づいた竜児に大河のかかとが見事、クリティカルヒット。
「大河!」
「あら、やだ・・・不幸な事故。遺憾だわ」
「そうじゃねえ・・・だろ」
「別に狙ったわけじゃないのよ」
「どっちでもいい、さっさとそこへ座れ!」
「いいわよ、靴くらい自分で脱ぐから」
大河は本気で竜児に靴を脱がせろと思ったわけではない。
だから、自分でやると言ったのだが、竜児はもうお構いなしだった。
「男に二言はねえ」
さあ、早くしろとせかす竜児に大河は素直にベッドサイドに腰を下ろし、足を床へ向けた。
「ほこりだらけじゃねえかよ」
薄汚れた大河の赤いローファーが今日一日の苦闘をもの語る。
大河の前にひざまずき、下僕よろしく大河の靴をうやうやしく脱がしてやる竜児。
その竜児に対する大河のひと言はとても感謝の念からかけ離れていた。
「あんた・・・汗くさい」
・・・さっきはそんなに感じなかったんだけど、と大河は付け加える。
竜児は腕やら何やらに鼻を着けて己の臭いを確かめた。
「そう言えば・・・少しにおうな」
「ばっちいわよ・・・それ」
汚染感もあらわに竜児をみる大河の視線。
「・・・ああ、安心していいぞ。大河も同じようなもんだから・・・」
「ひっ!」
竜児の指摘に大河は慌てて、自分の腕やお腹の臭いを確認する。
「・・・やだ。うそ・・・ああ、もう」
竜児の言い分に間違いが無いことを知るや、大河は慌てて立ち上がった。
「シャワー、浴びてくる」
そう叫ぶや否や、追っ手から逃れ縁切り寺へ駆け込む女性のように、大河はバスルームへ飛び込んで行った。



393 :真夏のシンデレラ6 ◆x6jzI2BeLw :2009/09/11(金) 01:45:44 ID:TsgjIFyg

「あ〜大河。さっきのぞいたけど、浴槽深いから溺れんなよ・・・足がつかなかったら浮き輪を使え」
「馬鹿竜児・・・そんなお風呂あるわけない!」
そう言い返すと、大河は顔を引っ込め、ぴしゃりとバスルームのドアを閉じた。

まったくと・・・竜児は自分のベッドに寝転ぶ。
バスルームの方からは大河が何かにつまづいたのか、派手な音が伝わって来る。
・・・大丈夫かよ、あいつ。
竜児がそんなことを思っていると、閉じられたはずのバスルームのドアがかちゃりと開き、すき間から大河が顔だけ覗かせて、竜児の方を見る。
「どうした?」
「・・・竜児」
情けなさそうな声で大河は竜児を呼ぶ。
「まさか、一緒に入ろうとか言うんじゃないだろな?」
「誰もそんなこと言ってない」
竜児の軽口に、怒りもせず、ますます情けなさそうな大河の様子が竜児の目にはっきりする。
「ホント、どうしたんだよ?」
竜児はベッドから立ち上がり、バスルームへ近づいた。
大河はさっき、バスルームへ飛び込んだままの姿で竜児をお出迎え。
「なに、やってんだ?・・・入らないのか?」
「・・・入れないの・・・」
「何でだよ?」
「あのね・・・脱げないの・・・服」
「はあ!!」
あまりにも突飛な理由に竜児の語尾が上がる。
「ワンピの背中のファスナー・・・いくら引っ張っても・・・下りない・・・どうしよう、竜児?」
「ど・・・どうするって・・・」
「ねえ、竜児・・・お願い」
「ああ」
「ファスナー下げて」
それだけ言うと大河は竜児に背中を見せた。



394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 01:46:41 ID:TsgjIFyg
以上、今回はここまでです。
ようやく 冒頭部分へ戻りましたw

次回が最終回になる予定です。
しかし、夏が終わってしまうなあ・・・。

次は1週間先くらいの予定となります。



395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 01:48:57 ID:6ZGU8mnb
>>394
ドキドキしたよ。
あぁ、寝る前にいいものが読めた!!
GJでした。またまた、来週を楽しみにしております。

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 03:15:00 ID:pI+p5uLW
>>394
ロケットの打ち上げが終わって、ここにやってきたら、萌え殺されそうになりました。
展望ラウンジの描写すべてが素晴らしくて、死んでしまいそうです。
GJ!

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 12:42:16 ID:VwbOld3Z
>>383
ごちそうさまでした。
うまいなぁ。

>>394
ほんわかした気分になれました。
大河かわえぇ。

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 17:30:17 ID:6ZGU8mnb
>>394
> ようやく 冒頭部分へ戻りましたw
おお、そうだった。
まとめサイトへのリンクはっとくぜ
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS13/665.html


399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/11(金) 22:40:57 ID:Ps1ufox/
>>394
乙でした!


400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 02:19:40 ID:vFmmHrHK

大河「ちょっと竜児どういうことよ!」
竜児「何が、何がだ?」
大河「私のことAAAカップとか言ってくれちゃってるんだけど」
竜児「あ、あぁ、当たらずも遠からずってところ・・・グボァ!」
大河「虎にだって逆鱗はあるのよ?あんただけの専売特許じゃないんだから!」
竜児「ゲホゲホッ!ひでえな、いきなり殴るなっつか意味不明だぞ?!」
大河「厚みが2.5cmしか無いとか、どんだけ薄いって思われてるのかしら」
竜児「何とも言えねえのが申し訳ないところだな」
大河「竜児」
竜児「おう?」
大河「確かめて!」
竜児「へっ?」
大河「た  し  か  め  て」
竜児「ど、どっどどどどどうやって?」
大河 キラーン!
竜児「ひっ?!」


ギシアンギシアン

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 06:48:24 ID:gk7Dvmv8
どんどん!!どんどん!!
竜児「ごほっ…はーい…って何だ大河かよ」
大河「何だとは何よ」
竜児「ごほっごほっ…」
大河「うわっ…やめてよね、犬菌が移ったらどうするのよ」
竜児「…病人にかける言葉かよ…で?どうした?」
大河「え…あ、えっと」
竜児「夜飯か?さっき作っておいたやつが冷蔵庫にあるからちょっと待っとけ」
大河「…え、あんた体調悪いんじゃ」
竜児「ほら、まだ体だるいからちょっと手抜きだけど勘弁してくれよな?」
大河「……」
竜児「ん?なんだ?ああ、しっかり手洗いうがいしてマスク着用で作ったから風邪の菌は入ってないと思うぞ?」
大河「違っ……そんなことじゃなくて私は…」
竜児「ごほっごほっ…なんだ?夜飯がオムライスじゃ不満か?」
大河「…………もういい!!」
竜児「おい大河!?何なんだよ一体…ちゃんとレンジで温めて食えよー!!」



大河「……」もぐもぐ
大河「…体調悪いくせにしっかり美味しいじゃない…」
大河「…本当にあの鈍犬は…」
大河「……」
大河「…心配で見に行ったなんて言えるわけないじゃない…」
大河「……」
大河「ふん!!」
大河「生産者のみなさまごちそうさま!!」
大河「お米の神さま、トマトの神さま、ニワトリの神さま、その他もろもろの神さまごちそうさま!!」
大河「……」
大河「…それと…」
大河「……」
大河「……」
大河「…………ごちそうさま、竜児」
大河「…風邪、早く治してね…」


402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 06:51:42 ID:gk7Dvmv8
あ、>>296です。
感想くれた方、読んでいただいた方ありがとうございます。
携帯で文章て難しいですね〜規制とけたらPCでちょっと長めの書けたらいいなーと思ってる次第です。

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 08:31:52 ID:PH3n+xQG
>>401
やべえ俺堕ちそうwwww

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 09:50:27 ID:GKIPQrsM
気付けば430KBくらいに到達してたしおみくじひいてみた

45 名前:大橋高校の生徒さん[] 投稿日:09/09/12 09:47:58
【とらドラ!】大河×竜児【ハフハフ妄想】Vol16

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 10:53:06 ID:oGse/CIK
>>402
PCで書く→校正→適当な量に分割→携帯に送信→携帯で投稿

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 11:13:50 ID:oQZGd9c8
>>402
携帯でも快適に書けるようにキーボード搭載のに機種変した俺は変態。

ギシアンしか書い(ry

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 12:42:13 ID:Nx28mJvd
>>393
この時期の大河にしては物わかりがよすぎるなと思うけど、今一番
読ませる作品だってのは間違いないなぁ。

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 16:27:56 ID:fDbJyfDm
>>394
乙です!

「・・・高須大河でいてあげる」
うひょおおおぉぉぉぉ


正座して待ってます!

409 :まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2009/09/12(土) 21:35:31 ID:uww7QlO0
まとめサイト更新しました。

>>352で話題になった作品について、まとめサイトより削除いたしました。

暇を見つけて、作者別の作品一覧を作成中です。
ああ…それにしても時間が欲しいっ……!


410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 23:57:15 ID:vFmmHrHK
>>409
いつもお疲れ様!

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 00:19:03 ID:EWK+FR7A
>>409
よつんつうん

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 00:21:22 ID:EWK+FR7A
>>409
まとめ人さま

>>335>>337-338は同じ人ですがそれぞれ別の物語だったりしますので分けていただけると助かります

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 00:23:15 ID:EWK+FR7A
ついでに言うと>>335はCカップタイガーですら無かったりしますの

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 01:04:34 ID:MoncRmai
>>409
いつもお疲れ様です!
俺の駄文にステキなタイトルをありがとう!

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 03:37:05 ID:HGQ+4J3/
「勝負下着ってどんなのが良いのかな?」
「ブウゥゥ!!ゴホォ、ゴホォ」
「竜児!ちょっと大丈夫?」
お茶吹いちまったよ、まったく大河のヤツ突然何を言ってんだ。
「勝負下着?。」
「そう、勝負下着。クラスの子が話してたの、ここぞって勝負する時に履くんだって。やっぱり動き易いのが良いのかな?。」
「イヤ……俺に聞かれてもな。」
それにオマエは勝負の意味を取り違えてるんじゃないか?動き易いとか言ってるが。
「竜児に聞いても分かんないよね……」
「スマンな、でも勝負って意味は『勝負服なら持ってるんだけどな』勝負服?。」
「見る?。」

話の流れでオチは予想出来ているがとりあえず勝負服を見学に大河の家へ。
「どうよ?。」
10分程待つと大河は勝負服に着替えてドアを開けた。
白のパンツに白のジャケット、腰にはブラックベルトって柔道着……やっぱりか。
「それに黒帯って有段者かよ!」
「ハァ?何にツッコンでんの?。でも久しぶりに袖を通すと血が騒ぐわね。竜児!かかってきなさい!。」
それから約10分程投げられたり、押さえ込まれたり……でも大河も女の子なんだなあ……軟らかくてプヨプヨしてて……悪くない……ビバ!柔道!。
「アンタは立ってる時のバランスは良いんだけど、寝技はヘタね。押さえ込むとモゾモゾしてるだけだし」
「……そうか?。」
「これじゃ歯ごたえが無いわ、寝技の返し方を教えてあげるから。」
「上四方固めの返し方を是非!。」

それから2週間の特訓の結果、俺たちは彼氏彼女の関係になった。

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 03:37:50 ID:HGQ+4J3/
「ぃが…大河…タイガァ!!」ピィーン!!!

「……ハァハァ……オレの想像力ハンパねぇ」カサカサカサ
「でも大河を使うと終わった後の罪悪感がハンパねぇな」ポィ

「さてオカズにしたお詫びに旨いおかずでも作るか」

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 05:10:56 ID:HGQ+4J3/
「竜児、ご飯できてる?」
「オウ!出来てるぞ」
「今日はヤケに豪華じゃない?」
「まっ!まあな……偶には大河に日頃の感謝の気持ちをと思ってな。早く座れよ、喰おうぜ」

感謝の気持ち?何か感謝されることしたかな?

「大河!そんな座り方したら下着が見えるぞ」
「覗くな!ヘンタイ!」
「べっ!別に覗いてないだろ」
「なにキョドってるのよ……もしかして私で興奮した?」
「そりゃ大河は女の子なんだから興奮するさ」
「へぇ〜そうなんだ、じゃあ私も竜児への感謝を示してあげる」
「抱きつくなよ!いろいろ当たってるぞ」
「当ててんのよ」

その夜、俺たちは彼氏彼女の関係になった。

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 05:12:15 ID:HGQ+4J3/
「うわっ!……なんだ夢か。でもスゲエ夢だったな、おかげでカッチカチだぞ……スマン大河、チカラを借りるぞ」ゴソゴソ

ガラ!「竜児いつまで寝てる……キャ〜!!」
「うぉー!!大河違うんだ!いつもは大河を使ったりしてない、今日は偶々だ!」
「わっ私を想像してたの?」
「スマン」
「イイヨ、許して上げる。だから私を…」

その朝、俺たちは彼氏彼女の関係になった。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 05:14:15 ID:HGQ+4J3/
「って!!アンタは妄想ノートになんてこと書いてるのよ!このヘンタイが!」
「スマン」
「……そんなに私とシタイの?」

その日、俺たちは彼氏彼女の関係になった。

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 05:39:01 ID:HGQ+4J3/
「ってシチュの話はどうかな?」
「……みのりん、何の話をしてるの?」
「いやぁ同人誌って儲かるって聞いてさ、私もコレを書いてコミッケーで一儲けしようかと思って」

「ハハハ……みのりん」
「何だい?」
「ソレ誰が買うの?」
「……オレ買うかも」
「さすが!高須君はわかってるねぇ!」

「フン!!」ボスッ!!!「犬は大人しく床に這いつくばってろ」ガスッ!

その日、気絶した俺はメイド服の大河に素足で顔面を踏みつけられて喜ぶ夢を見た。

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 05:43:21 ID:jURGFQLl
なんというキャラ崩壊w
でもワロタ。GJです。

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 05:54:11 ID:HGQ+4J3/
「って夢を見てさ、ハハハ……高っちゃんってそんな趣味なの?」

「そんなワケねぇだろ!!ったく、毎回お前は何て夢を見てるんだ」

「ハハハ、良いじゃないか高須。春田だって悪気があってのことじゃないんだ、許してやれ」

「夢の内容までとやかく言わないが、もう人前で話すな。分かったな春田」
「分かった、ゴメンよ高っちゃん」
「もういいよ」

その日、俺は家に帰ってフリフリワンピで素足の大河を見てソレも悪くないのでは?と思った。

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 06:08:57 ID:jURGFQLl
なんという夢落ちw


424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 06:17:26 ID:/Dq1muMs
ワロタわwww

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 06:18:04 ID:HGQ+4J3/
「……ドコ見てんのよ」
「えっ?」
「パンツ見ようとしてたでしょ」
「違う!違うんだ大河。最近肩とか背中が凝っててな、大河の足で踏んだら丁度イイ感じじゃないかなあ〜と思って」

「そうなんだ……ヨシ!良いわよ、竜児に何か遭ったら私もいろいろ困るしマッサージしてあげる」
「ホントか!!」
「偶にはペットにもご褒美あげなくちゃね、でも手で揉んだ方が良いんじゃない?」
「いや、踏んでくれ。さあ早く!」
「分かったわよ、こんな感じでイイの?」
「オウ!良い感じだ。でも、もう少し上の方を頼む」
「この位?」
「まだ上」
「この位?」
「まだまだ!」

その日、私は竜児の頬を30分間踏み続けた。最初は嫌だった筈なのに最後はゾクゾクと未体験の感情が込み上げ顔は笑っていた。

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 06:44:24 ID:HGQ+4J3/
「って関係じゃないの?アンタたち2人は」
「ぶん殴るゾ!バカチワワ」
「川嶋……オマエ完全に男を見下してるよな」

「だって亜美ちゃんカワイイから男なんて黙ってても寄って来てウザイんだもん」
「だからといってクラスメイトをそんな目で見るな。その女王様気質は早く直した方が良いぞ」

「へいへい、分かりましたよ。サッサとあっちに行けこのバカップルが!目障りなんだよ」

「なんだと!この万年発情期が!」
「止めろ大河!ジュース買ってやるから行くぞ」
「……覚えてろよバカチワワ」



「大河、今日も踏んでくれるか?」
「もぅ、しょうがないなぁ……首がゴキッ!ってならないくらいだからね!」
「オゥ!」

−DEATH−

荒らしじゃないよヘンタイだよ!

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 07:24:27 ID:728oE+Zj
>>426
大河「このぉーーーどMがぁぁぁぁぁl!!!」

って言ってほしんだよね!?(作者に対し?!)

分かるよその気持ち。うんうん。


428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 07:40:04 ID:J/dWeC2L
この連発は破壊力あるわぁwww
笑わせてもらいましたサンクス!

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 09:52:00 ID:MoncRmai
朝っぱらからワロタwww

430 : ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:43:09 ID:nu3/NN1/
「キスに関するあれこれ」

431 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:43:50 ID:nu3/NN1/
高須竜児、逢坂大河、出会ってから4ヶ月目

◇ ◇ ◇ ◇

「おーい、大河。入るぞ−」

蝉がみんみんうるさい、夏休みのある日。豪華なマンションの1フロアを丸々占める部屋の扉を開けて、のそりと1人の男が入ってくる。年の頃なら17,8。目のあたりに嫌に鋭い光を宿した男は、あたりに気を使いながら部屋の様子をうかがっている。
まるで見つかるのを恐れているような風情だが、一方で

「おーい、大河!起きてるかぁ」

と、声を上げるさまは、逆に『早く見つけてくれ。出来れば遠くで』、といった風。そう、まるで北海道の山に登る人々がヒグマを避けるために大きな鈴を鳴らして歩くように。『会いたくないけれど、もし会うのならなるべく遠くでこちらに気づいてくれ。
出会いがしらだけは困る』とでも言いたげな様子。まるっきりヒグマを恐れているような体のこの男は、泥棒でも空き巣でもない。大橋高校2年C組、高須竜児。目つき以外はどこへ出しても恥ずかしくない良い子である。そしてもちろん、恐れているのはヒグマではない。

虎である。

「おーい!朝だぞう。朝飯できてるぞう……って、あいつマジで寝てるのかよ。もう9時だぞ。いくら夏休みだからって寝過ぎだろう。あの馬鹿寝すぎで頭が痛くなったりしないのか」

あの馬鹿呼ばわりされているその人は、大橋高校2年C組、逢坂大河。人呼んで「手乗りタイガー」。小学生サイズの可愛い体にフランス人形のごとき美貌と虎のような獰猛さを秘めた少女であり、竜児のお隣さんである。

「おーい、大河!どこだー?」

街ですれ違えば10人のうち9人が目をそらすと言われるこの強面の男が少女の部屋に忍び込んでいるのは、寝ているのをいいことに簀巻きにして危ない連中に売り飛ばそうとしてる……わけではない。ましてや自分で何かしてやろうと考えているわけでもない。心配なのだ。

知り合って4ヶ月。手乗りタイガーの二つ名で全校生徒から恐れられている超絶美少女は、どんだドジだった。歩けば転び、ご飯を食べればポロポロおとし、ジュースを飲めばこぼす。せっかくいいおべべを来ているのにどんどん汚す、シミにする。
見ているだけで気が狂いそうになるドジっぷりに、何の因果か竜児が面倒を見ることになってしまったのだ。

結果、大河は竜児におんぶに抱っこ。毎日三食を竜児の手料理でまかなわれている。にもかかわらず、あろうことか竜児を犬呼ばわりし、主人気取りときたもんだ。だが、ご飯の流れを見れば誰が誰を飼っているのか、言うまでもない。

とにかく、ドジで生意気で生活力皆無なくせに腹時計の正確な大河が食卓に現れないのだ。食器をかたづけられないのも癪に障るがそれ以上に、体でもこわしたのではないかと心配でしかたがない。結局、母親が預かっていた合い鍵で起こしに入ってここに至る。

「おおい、大河?風呂か?」

と、一際大きな声で聞いてみるのは、もちろんうっかり風呂場に近づいて鉢合わせし、「このエロ犬!」と殴る、蹴る、なじる、の変死コンボを食らわないための用心である。だが、どうやら朝からおしゃれにシャワー中でもないらしい。

となると。子虎が潜んでいそうなところといえば、あとは一箇所しかない。

「大河、お前本当に寝ているのかよ」

寝室である。あの、大きな部屋で、大河は天蓋付きの豪奢なベッドに小さな体を横たえて、今だ夢のなかをさまよっているのだ。あるいは熱にでもうなされてなければいいが。と、手に負えないドジっ子を見舞いうる災厄と病気の数々を数え上げながら、ノックし、
声を掛けておそるおそるドアを開く。

「たい……が?」

居た。真っ白なシーツの海の中央。寝るとき専用のお下げヘアで、ガーゼを重ねたようなふわふわネグリジェスタイルの子虎が居た。高熱にうなされるでもなく、悪寒に震えるでもなく、謎の痛みに苦悶するでもなく、タオルケットにくるまってすやすやと惰眠をむさぼっている。

432 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:44:32 ID:nu3/NN1/
「ちぇっ、結局寝坊かよ。あほらし。ほら、大河!起きろ」

エコロジーを鼻で笑うがごとく全力稼働中のエアコンを切ると、竜児はベッドに近づき、

「大河!大河!飯食わねぇのか?インコちゃんにやっちまうぞ」

乱暴な声をかけるのだが、昨日の晩夜更かしでもしたのか、大河はいたっておだやかな表情で就寝中。

「ちくしょう。いい気なもんだぜ」

独りごちながら顔を覗き込んだ竜児は、ふとその寝顔につりこまれる。普段から竜児の事をボロカスに言い、暴力三昧でおまけにドジで馬鹿な憎たらしい女だが、こんな穏やかな寝顔を見ると、つい、憎い気持ちも消えてしまう。

いつもそうだ。図々しくも竜児の家で昼寝を決め込むことの多い大河だが、そのあどけない寝顔を見る度に、日頃受けている暴虐の数々もついつい許してしまうのだ。別にこの女が好きなわけじゃないし、それどころかちゃんとした片想いの相手は居るのだが。

「おい大河。ほんとに寝てるのかよ」

なんという無防備さ。大河は寝坊したときなど、竜児が合い鍵で起こしに来ると知っている。それどころが、起こしに来い、寝坊したら竜児のせいだとまで言い張る始末。この女にだって生意気にも好きな男が居るのだが、それでいて他の男に起こしに来いとは、
いったいどういう了見なのか。

正真正銘馬鹿なのか、お花畑で育ったように純真なのか(ない。それはない)、それとも貞操観念がないのか、犬っころごときが人間様に手を出すはずがないと思っているのか。たぶん最後だろう。

「まったくよう。いいのか?俺だって男だぞ」

ベッドに腰掛け大河の横顔に声を掛ける。そんな無防備な格好を見せられたら、自分だって何かの拍子にうっかり何をするかわからないではないか。

「おーい、起きろ!いいかげんにしろよ。片付かないんだよ。折角朝飯作ったのに冷えちまったろう」

本当に世話が焼ける。

「おい、大河。起きてくれ。起きないと襲うぞ。襲っちまうぞ。俺だって男だぞ」

起きない。あーもう、と髪をかきむしる。馬鹿にされているのか?いやいや、もちろん知ってるとも。馬鹿にされているのだ。絶対安全な男だと。手を出す度胸などない奴だと。そうじゃない、俺は誠実なだけだと大声で叫びたい。
鉄の誠実さで己の煩悩を押さえ込んで日々を生きてるだけだと世界中の人々に知らしめたい。大河、お前も人の数に入れてやるから、知れ。知ってくれ。

「ったくよう。知らねぇぞ。そんな無防備で寝てたらキスしちまうぞ。唇奪うぞ。舌入れるぞ」

ぼそっと吐いたセリフはもちろん本気ではない。言ってみただけ。そもそも生まれてこのかたキスなんかしたことない。ましてや寝ている少女相手になど、考えたこともない。だがそんな言い訳は、ぱかっと開いたまぶたの前にはもちろん通用しない。

「何を入れるですって」

午前9時13分。手乗りタイガー、起床。

「こたえによっては殺すわよ」

殺す元気があるなら早起きしろ。竜児は天涯を見上げて溜息をつく。

◇ ◇ ◇ ◇

433 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:46:03 ID:nu3/NN1/
高須竜児、逢坂大河、婚約から3ヶ月目

◇ ◇ ◇ ◇

「ようし、チャーハン一丁あがりだ。大河、コップ運んでくれよ。大河、大河!って、寝てるのかよ!」

寝ていた。5月ももうすぐ終わる、とある日曜日。久しぶりに高須家に遊びにきた大河は、さんざん竜児とおしゃべりに興じた後、おなかがすいたと騒ぎ出し、飯を作ってやったら寝ていた。なんだこれは、と婚約者じゃなくても言いたくなる有様である。

「ま、こいつでも疲れるんだろうな」

と、チャーハンをちゃぶ台に置いた竜児は大河の傍らにどっかりと腰を下ろす。

今年の2月、半ば駆け落ち同然に互いの親から逃げ出した二人は、雪のバレンタインデーの夜に初めて胸の内を打ち明けあい、そのまま婚約まで交わしてしまった。激情に流された、というわけではない。ザクザクと胸を切り刻まれるような日々の中で、気がつけば、
二人にとってお互いの無い生活など考えられなくなっていた。二人、一緒にいられればそれだけで幸せ。そう考えたのだ。

その後なんやかんやで大河は竜児のもとを去り、そして戻ってきて一か月半たつ。幸い、もう誰も二人を引き裂こうとはしていない。あとは時間が過ぎ去って、二人がみんなに祝福されて結婚する日を待つだけだ。

だが、竜児と大河ではほんのすこし境遇が違う。半居候だった大河が来なくなって、確かに竜児はさみしい思いをしている。だが辛いことと言えばそれだけ。一方で、大河は一度は自分を置いて去って行った母親と同居している。おまけにその再婚相手も一緒だし、
さらに生まれたての弟の面倒まで母親と看ている。

「赤ちゃんって毎晩何度も泣いちゃって大変なのよ」

と、大河は笑ったことがある。眼の下にくまを作って。竜児と一緒に暮らすという目的のために大河は一日一日を全力で生きているのだ。チャーハンが冷えるくらいで腹を立てるのも偏狭すぎるだろう。とはいえ暖かいうちに起こさないと、
このいつも腹ぺこの愛すべき婚約者は逆にむくれるかもしれない。どうしたものか。

「大河ぁ。昼飯だぞぉ。お前の好きなチャーハンだぞぅ」

起きない。

お気に入りの座布団を二つ折りにして枕にし、畳の上に転がった大河はすやすやと寝息を立てている。投げ出された腕の先の小さな手のひらは軽く開いた形で、それがモミジの葉のよう。今でも学校に行けば『手乗りタイガー』の伝説は健在である。
こんな姿を想像できる奴がいったい何人いるやら。

日当たりの悪いぼろアパートにも、窓の外からさわやかな風が流れ込んでくる五月のある日。久々に見たふわふわコットンをまとった大河は、勝手知ったる他人の居間でこの上もなく幸せそうな寝顔で横たわっている。

我知らずため息が漏れる。今、目の前にだらしなくも愛らしく転がっている少女が自分の婚約者だというのが急に信じられなくなる。こんな幸せなことがあっていいものだろうか。実のところ、これまで何度も竜児は自分の頬をつねっている。ひょっとして夢なのかと。
だが、まだ夢が覚めたことは一度もない。ひところは朝目が覚めてから家を出るまでびくびくしていたものだが、大河は毎朝竜児の家の前でにこにこもじもじしながらちゃんと待っていた。

これが仮に夢だとしても、どうやら一生続く夢らしい。と、最近は竜児も心配するのをやめている。とはいえ、心配するのをやめても、容易に信じられるようになるかというと別だ。
時折、去年までさんざん世話を焼かされた逢坂大河が自分の婚約者だというのが冗談に思えてくる。

434 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:46:46 ID:nu3/NN1/
とりあえず、そよ風に吹かれて顔にかかった髪を払ってやりながら

「大河」

再び小さく声をかけてみるが、やはり起きない。我に返っておかしくなる。小さく声をかけたのでは起きるはずがない。しかし、大きな声を出すとひと時の安眠に身を任せている婚約者を起こしてしまう。
己の心配しているジレンマのばかばかしさに笑みが漏れるのをとめられない。

「おーい」

顔を近づけてみるが、やはり起きる気配がない。大河から昇ってくる暖かい空気がふわりと顔を包む。あまい香りに包まれ、頭がくらくらする。唐突に頭に浮かんだアイデアに跳ねたのは心臓。キスしてみようか。

自分のツラを冷静に考えれば、寝ている婚約者にキスなどちゃんちゃらおかしい。が、一方で竜児は恋の魔力というやつを骨の髄まで思い知らされている。大河が帰ってきたのが4月の登校初日だから、付き合いだしてまだ実質1か月半。
なのに、二人の世界にはいってしまうとどんな歯の浮くようなセリフでも口をついてしまうのだ。そして大河もそんなセリフを耳元でささやかれる度に頬を染め笑顔をとろかして喜んでくれる。逆もまた然り。暴虐の女王がはにかみながら吐くセリフは、
何度でも、何度でも、繰り返し竜児を骨抜きにする。

もっと顔を近づけてみる。どこにキスしてやろうか。触れるだけで手がとろけそうなほど柔らかい頬か。愛らしいおでこか。小さくてかわいらしい鼻か………でも、やはり磁石のように竜児を吸いつけるのは、薔薇の蕾の唇。

「おーい、大河。どうなっても知らないぞ」

小声で警告して、どうなっても知らないのは自分のほうだと、吹き出しそうになる。去年の四月ごろだったか、ひとんちで図々しくも夜まで寝っ転がっていたのを起こそうとして、寝ぼけた大河に壁際まで吹っ飛ばされたことがある。

まあいい。壁際まで吹っ飛ばされかもしれないとわかっていても、目の前の大河は抗しがたい魅力を放っている。体温を感じるほど顔を近付け、一呼吸。ちょんと、唇に唇を押しつける。そしてもう一度、今度はきちんとキス。

起き上がる。自分の顔が燃えるように熱いのは無理な姿勢を続けたから………だけではない。心臓は収拾が付かないほど暴れ回っており、軽い罪悪感に眩暈を感じる。ああそうだとも。これは罪だ。悪だ。その証拠に、手を染めてしまったが最後、やめられそうに無いじゃないか。

唇を奪われたとも知らずに安らかに寝息を立てる眠り姫に、そしてもう一度。

「大河、起きろよ」

この世の物とも思えないほど柔らかな唇に我が唇を重ねる。駆け巡る多幸感。震えるような高揚。このまま小さな体を強く抱きしめたいという衝動が体を貫く。かすかに、大河の唇が竜児にこたえるように吸い返してきたのは、たぶん錯覚ではない。

「ん…」

その唇の動きに竜児も吸い返してやって

「……ん?」

ようやく起きたらしい大河から顔を離す。

「竜児……」

435 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:47:26 ID:nu3/NN1/
ぼんやりした表情をしている。短い昼寝だったはずだが、眠りが深かったのだろうか。というか、まぁ、こいつの眠りが深いのはよく知っている。ぼうっとこちらを見ているのは、ひょっとしてまだ半分眠っているのか。微笑みかけてやる。
あいかわらずぼんやりとこちらを見ている。そして突然目をぱっちり開くと、両手の指で唇を押さえた。

「おう、起きたか」

優しく声をかけてやるのだが、目の前に仰向けに寝たまま、大河は見る見る赤くなるばかり。そして目を丸くしたままごろんと横に転がって竜児に背を向けた。照れているらしい。

「なによ」

と、不機嫌そうな声を出してみせるが、覗き込むと目をつぶって口を押さえたまま、漏れる笑顔を我慢できないといった表情をしている。

「チャーハン出来たぞ」

声を掛けるとぱっちり目をけ、そしてちらりと横目で竜児を見る。目があって、顔を隠すために今度は竜児のほうに反転。そっちに逃げ場はないのだが。逃げ場がないことに気づいたか、手で顔を覆った。

「竜児ったら。キスしたでしょ」
「お、おう。お前があんまり起きないから」
「ひどい」
「怒ったか」
「怒るに決まってるじゃない………たんま………怒ってないかも。やっぱり怒ってる」
「どっちだよ」

苦笑い。婚約者殿においては、寝てる間に唇を奪われたのが随分と腹立たしい様子。というのを、演出したいらしい。

「怒ってるわよ」
「機嫌直せ。飯食おう」
「そんなこと言ったって……お腹はすいたけど。竜児は……機嫌なおしてほしいのかしら?」
「おう」
「じゃぁ……」
「なんだ」
「……もういっかいキスしてくれたら機嫌直す」

そう言って照れながら、花が開くように笑顔を浮かべる。そしてこちらに小さな両手を伸ばしてくる。きっとこんな大河に抗えるようになる日は来ないだろう。そう思いながら、竜児は今一度唇を寄せる。

◇ ◇ ◇ ◇

436 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:48:06 ID:nu3/NN1/
高須竜児、高須大河、結婚から3年目

◇ ◇ ◇ ◇

「よし、完璧」

蓋をあけたフライパンの中の目玉焼きは、二つとも見事なピンク色。卵が焼ける甘い香りが強くなって、ウキウキ気分を盛り立てる。朝一番から冴えわたる自分の家事の腕に気分は上々。
(馬鹿野郎、のぞき窓が蓋についてるんだから出来て当然だ)という声が頭の隅で聞こえるが、無視無視。

「りゅーじーぃ、ご飯よーっ!」

火を消し、目玉焼きを皿に盛って食卓に運ぶ。返事がない。寝ているようだ。

「ねぇ竜児ぃ、りゅーじー!パパー!ダーリーン!あなたー!おとうさーん!ご飯よー!」

野郎、まだ起きないか。鰺の開きに続き、ご飯と味噌汁を食卓に運んで準備完了。エプロンを脱いでくるくる丸めながら寝室に突撃をかける。今時珍しい1DKだから、食卓から寝室まで襲撃はあっという間だ。ベッドにダイブを決めてやろうかと考えて、危うく思いとどまり

「りゅーーーじーーーー!」

いまだ夢から覚めない夫を揺する。

「おうぅっ!……おう、朝か……あと10分寝かせてくれ」

いつもながら、あんたの寝姿には感服するわね。と大河は思う。夜、ベッドに眠る時と朝起きた時に姿勢が同じというのが理解できない。どうして朝、目がさめる時に気を付けなの?大丈夫?寝ている間死んでない?

「残念でした、竜児、今日はいつもより10分遅いわよ。もう愚図愚図している時間はないわ」
「ああ?……そうか、寝かしててくれたのか……サンキュー」

ようやくベッドから起き上った竜児が眠そうに大河を見る。ここに映画のカメラがあったら、すごいホラー映画を撮れるんじゃないかしら。と、大河は考える。『ゾンビの目覚め』ってタイトルで。開けたままの目に生気がないってのがすごい。

「あんた昨日何時に帰ってきたの?」
「1時だ。寝たのは2時か」
「まったくもう。いつまで残業続くのよ?」
「おう、来月は終わるはずだぞ」
「ほら、早く立った立った。先月も先々月も『来月』って言ってたわよ。大丈夫なの?あんたの部署」
「面目ねぇ。さすがに人事が騒いでるらしい。今週末から土日両方休めるぞ」
「ほんと?やった!て、ほら!しゃきっとして」

のそのそ歩いている背中をぱん!と平手でどやしてやる。竜児、起きなさい!

437 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:48:50 ID:nu3/NN1/
「おうっ!っっってーー。お前……心臓が止まりかけたぞ。俺を殺す気かよ」

振り返ってぎろりと睨む。そうそう、あんたはそういう危険物取扱免許が必要な顔じゃないとだめなのよ。と大河は笑う。ようやく目が覚めたみたいね。でも、今ちょっと聞き捨てならないことを言ったわよ。

「なによ。『私を置いて先に死なない』って約束じゃない」
「『俺を殺さない』って約束も追加しようぜ」
「考えとくわ。さ、顔洗って」
「おう」

朝は忙しいんだからボヤボヤしているひまなんかない。冷えたオレンジジュースと温かいお茶を用意して食卓で竜児を待つ。

「ああ、やっと目が覚めたぜ。今日も朝飯がうまそうだ」
「へへん。どうよ、この目玉焼きのピンク色」
「おう。100点だな」
「あら、今日は採点が甘いわね」
「今朝は重箱の隅をつつくより、日々の幸せをしみじみかみしめたい気分だな」

あらいやだ。今日は雨かしら。お洗濯の日なのに、などと軽口が飛び出す。ご飯を食べおわって、お茶をすすりながら竜児と二人でニュースを見る。

「ねぇ、もう歯を磨いてトイレ行かないと間に合わないわよ」
「おう、わかってる」

ニュースが天気予報にかわる。今日は一日いいお天気らしい。天気予報を見終わったら食器を下げて、テーブルを拭いて。お茶碗を洗い終わる頃には竜児がちょうどネクタイを締め終わる。これが二人のいつもの朝。

「ねぇ、竜児。この前のおじいちゃんの話だけど」
「いっしょに住まねぇかって話か」
「うん」

先々週、竜児と二人で高須の祖父と祖母の家に遊びに行ったとき、一緒に住まないかと言われたのだ。家が広すぎて寂しいなどと笑っていた。竜児と大河にはあと100年くらい言えそうにはないセリフだ。

438 :キスに関するあれこれ ◆fDszcniTtk :2009/09/13(日) 17:49:31 ID:nu3/NN1/
「それがどうかしのたか」
「どうかしたのかじゃないわよ。竜児はどう思う?」
「俺は学生時代じいちゃんちから通ってたからな。一緒に住んでもいいけど。お前はどうなんだよ?」
「私?私は大歓迎よ。大勢のほうが楽しいじゃない。おばあちゃんと一緒にお料理したらいろいろ教えてもらえそうだし。お掃除はお手伝いできるから役立たずってことはないわよね?部屋はきっと十分でしょ」
「おう、このアパートより確実に広々と住めるぞ。お前が気疲れしないってのなら、俺はいいよ。通勤も楽になるしな」
「それよ。毎朝30分遅くまで寝ていられるし、帰るのも30分早くなるじゃない。あんたにも私にもいい話よね。でさ、竜児は私がおじいちゃんたちと住んでもOKなのね?」
「お前がいいならいいって言ったろ」
「そうじゃなくてさ」
「なんだよ」
「こんなお嫁さんで恥ずかしくない?」
「あほか。じいちゃんもばあちゃんもお前のこと気に入ってると思うぞ。いろいろ規格外れだけどな」
「なによ、その言い方。はいハンカチ」
「お前が言いだしたんじゃねぇか。ま、向こうが俺たちと住みたいってのは本音だろうし、泰子のこともあるしな」
「やっちゃん?」

唐突に泰子の話をされて大河の声が裏がえる。竜児は竜児であきれ顔。

「なんだ、わかってないのか?じいちゃんとばあちゃんの作戦の最終目標は泰子を家に呼び戻すことだぞ」
「どういうこと?」

靴をはく竜児に大河が聞く。なにそれ、わけわかんない、と顔に書いてある。

「自分の親と息子夫婦が同居してるんだ、泰子としちゃ、帰って来いと言われたら断れないだろ」
「私たち、餌?」
「そう言ってやるなよ。俺たちだってメリットは多いし、ばあちゃんがお前のことえらく気に入ってるってのはガチだろ。お前はどうだ。泰子と住みたくないのか?」
「住みたいわよ。決まってるじゃない」
「だろ。じいちゃんちなら今すぐ3世代住める」
「竜児、4世代」
「おう、そうだな」

竜児が大河のおなかに目をやる。ね?と、大河。あと5か月で我が家は3人家族になるでしょ。あれ?おじいちゃんちに住むなら6人家族か。

「私ママのところで産もうと思ってたんだけど」
「それさ。俺たちが今の部屋に住んでいると、初孫を最初に抱っこするのはお前のおふくろさんだろ。でも、じいちゃんちで産めば、泰子が先に抱っこできるわけだ。強烈な餌だぞ」
「餌って言わないでよ。でも、そっか。水面下でそんな陰謀が働いていたのね」
「餌って言い出したのはおまえだろ。とにかく、じいちゃんもばあちゃんも孫抱き損ねてるからな。俺たちと住むのもおれたちの子供が生まれるのも楽しみだろう。取り合いされるほど好かれていることを幸せだと考えようぜ。
大河、お前がよければ週末にまたじいちゃんちに言ってちゃんとお願いしよう。引っ越しをするならお前のお腹が大きくなる前がいい」
「そうね。そうよね。そうしましょ。じゃ、竜児。いってらっしゃい」

かがんだ竜児に背伸びしてキス。毎朝やってる二人の挨拶。ニッコリ笑って、今日も元気に大河の旦那様が仕事に出ていく。

竜児を送りだしたら大河は洗たくの準備。つらつらと同居の話を考える。おじいちゃんちに住むのは本当に楽しみ。二人ともやさしくしてくれるし、おばあちゃんには竜児の知らない料理を教えてもらえそう。それに、あそこの玄関が素敵なのよね。
このアパートの玄関と大違いよ。土間が広くて、板の間に高さがある。そこがいい。

だって、と大河は微笑みを漏らす。



あれだけ高さがあれば、背伸びしなくてもキスできるじゃない?

(おしまい)

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 18:19:18 ID:728oE+Zj
>>438
いいね。なんか、心が温まったようで。GJ!!

竜虎も結婚して子供ができたら、
あっちいったり、こっちいったりするんだろうなぁ
なんて、妄想しました。


440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 18:22:30 ID:MoncRmai
>>438
GJ!
ずーっとにやけ面がおさまりませんでした。
見てるこっちがとろけそうw

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 18:27:36 ID:60SvDg9M
>>430
おつかれさま
感動した

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 19:57:44 ID:2yFUCDbE
玄関|<イッテラッシャーイ!チュッチュッ!

襖|ω・`)泰子
襖|ω・`)泰子父
襖|ω・`)泰子母
襖|ω・`)泰子孫

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 22:09:04 ID:J/dWeC2L
襖|ω・`)泰子孫2
襖|ω・`)泰子孫3

だなw

恋人期間が甘酸っぱいね!
読んでて心地いい地の文が好きだなー


444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 22:46:28 ID:J/dWeC2L
あ、3つ子が生まれると勘違いしたスマソ
俺はどうもPSPのあれが脳裏に焼きついてるらしい

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 22:58:19 ID:xXwaAbrr
>>438
うわー、やられたなー 胸がキュンキュンするぜ! GJ!
結婚後のかいがいしい大河に萌え

>そうそう、あんたはそういう危険物取扱免許が必要な顔じゃないとだめなのよ。と大河は笑う。
>でも、今ちょっと聞き捨てならないことを言ったわよ。
この辺とそのあとのやり取りが好き。色々乗り越えてきた末に掴んだ平穏というか互いの理解の深さとか
短い文章の中に込められている。

こういう穏やかな日常や、じいちゃん&ばあちゃんと大河の絡みとか、もっと見てみたい希ガス

>あれだけ高さがあれば、背伸びしなくてもキスできるじゃない?
いや、背伸びタイガーも中々いいもんですよ。奥様
大河に合わせて、背中丸める竜児もね

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 23:06:53 ID:QIU8xCXk
萌えるなあ。作者殿GJだ。

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 23:21:57 ID:kjnlmUfP
「あーみん!あーみん!」
「実乃梨ちゃんどうしたの?」
「体育倉庫で大河と高須君が居眠りしてんだよ!」
「マジで!?亜美ちゃんすっげー興味あるんですけど!行こ行こ!」

「……わぁ!タイガーのヤツ、高須君のお腹を枕にしてんじゃん!」
「あーみん、声が大きいですぜ。奴らが起きちまう」
「あ、ごめーん……つい……」
「いいってことよ!ねぇ、ほら、高須君の手がさりげなく大河のお腹を冷やさないようにしてるんだよ」
「うわぁ……いいねいいね。本当にさりげないね〜。っていうか、あいつら実はお互いに冷やさない様にしてるんじゃない!?」
「かー!そうか!本当にお熱いやつらだぜ〜!」


たぶんギシアンすぎで睡眠不足なんですね。わかります。


448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 23:24:42 ID:JnzDw86R
事後か

449 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/09/14(月) 01:22:17 ID:23Vb3g1q
お題 「強情」「微妙」「ポーズ」



「……こう……かな?
 ……うーん、微妙に違う……かな……
 ぼ、ボタンとか外してみたほうがいいのかしら……」
「……おい大河、何してるんだよ」
「ぅひゃうっ!」
 突然かけられた声に跳び上がって驚く大河。
「りゅりゅりゅ竜児!あんた何勝手に入ってきてるのよ!」
「勝手じゃねえ。ノックもしたし声もかけたぞ、俺は。
 返事がねえから何かと思ったら鏡の前でクネクネと……前衛舞踊かなんかか?」
「違うわよ!北村君を、の、悩殺するためのポーズの練習よ!」
「のうさつ……?」
 『脳殺』などという言葉を思い浮かべつつ見れば、大河の周囲にあるのはグラピアページが開かれた漫画雑誌。
「ああ、なるほど……って大河、お前はアホか」
「……なんですって?」
「そういうのはさ、どっちかというと川嶋の」
 ぶぅんっ!
 いつの間に手にしたのか、大河の振るった木刀の切っ先が竜児の喉元に突き付けられる。
「……今、なんか不穏な名前が聞こえた気がするわねえ……?」
「いや、だからよ、川嶋」
「あくまでその名前を引っ込めないのね……その強情さをあの世で悔いるといいわ!」
 大河が振りかざそうとする木刀の先端を必死で掴む竜児。
「まて大河、話を最後まで聞け!」
「うるさいうるさい!どうせあんたも私の貧相な体じゃ似合わないって言うんでしょ!
 悪かったわね!ばかちーみたいにスタイル良くなくて!」
「そうじゃねえ!俺が言いたいのは、似合う似合わない以前に、お前にそんなものは必要無いってことだ!」
「……どういう意味よ」
 大河の腕の力が少し緩む。
「だから、そういったグラビア的ポーズは川嶋向きっていうかあいつの得意技だけどよ、別に大河がそれを真似る必要なんかねえじゃねえか」
「……やっぱり似合わないっていうんじゃないの」
 ぎり……と、腕に再び力が込められる。
「違うって!そんな妙なポーズをとらなくても、大河は十分に可愛いってことだ!」
「……え?」
 大河の顔がみるみる朱に染まり、木刀から完全に力が抜ける。
「あ、あんた、今何て……」
「だからよ、大河はそのままで十分に、その、か、可愛いし、綺麗なんだよ」
「……嘘」
「嘘じゃねえ。大河と初めて会った時のことだけどよ」
「ラブレターの時?」
「その前だ。始業式の日に廊下でぶつかったじゃねえか」
「……ああ、そんなこともあったわね。すっかり忘れてたわ」
「あの時、俺はお前の気迫だけで倒れちまったわけだけどさ、その時……
 ぶっちゃけ、その、一瞬見蕩れちまったんだよ。大河があんまり綺麗だったから、さ」
「へー、そ、そうなんだ……」
「大体、北村もお前のストレートな所が好きだって言ったんだろ?だったらさ、変に捻るよりそのままの大河でいたほうがいいんじゃねえかと思うぞ」
「うん……そうかな」
「さ、メシにしようぜ。早くしないと冷めちまう」
「ねえ竜児、その前に、さっきのもう一度言ってくれない?」
「ん?ああ、大河はそのままの大河でいたほうが……」
「そうじゃなくて、その前の……」
「あ、えーと……た、大河はそのままで十分可愛いし、綺麗だ……って、これでいいか?」
「うん……えへへ……」

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/14(月) 08:40:12 ID:B2lw22fk
>>439-446
サンキュー!

>>440
へへへ。甘ったるく書いたかいがあったよ。

>>443
最近ゆゆこに文体を似せる努力を以前ほどしていないので、肩の力が抜けたかな?
恋人期間は、付き合いだして2ヶ月目くらいを書くのが一番楽しい。本人達もとろとろに
幸せだろうしね。

>>445
>この辺とそのあとのやり取りが好き。色々乗り越えてきた末に掴んだ平穏というか互いの理解の深さとか
>短い文章の中に込められている。
ありがとう。そこは今回の作品で描きたかったところだから、嬉しい。高校2年生の時だったら大声出したり
喧嘩になったり気分を害したりするだろう言葉をぽんぽん投げ合う。だけど全然ぎすぎすしない毎日になる
といいね。





451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/14(月) 13:53:37 ID:Jix36jXr
KARs氏にギシアン部分を詳し(ry
とか考えるのは俺だけでいい

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/14(月) 18:41:35 ID:BGjP6dg3
>>449
今日も乙だぜ

>>450
気楽に書けるっつーのはいいこっちゃ


453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 01:55:24 ID:1eJvJWTC
乙ー

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 02:16:23 ID:qqKvt16+
>>451
エロパロのあーみん三銃士は大河SSには手を出さなそうな。
単発ネタだったら(特にVM氏が)食い付きそうだけどね。

455 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:03:54 ID:h6LQqJyp
大河「ねぇ、ねぇ、ねぇってば。」
竜児「おう!」
大河「そろそろ。書かないの?」
竜児「ああ、ちょっと最近忙しくてなぁ。
  昨日も、夜遅かったんだよ。
  眠いよー、眠いよー」
大河「何いってんのよ、この駄犬!!
  他の作者さまをご覧なさい。
  夜の1時、2時、お休みの日まで書いてくださっておられるのよ。
  あんた、やるきあんの?」
竜児「いや、そうはいわれもなぁ。」
大河「駄犬の意見なんかきいてない!!
  ご主人様が書けっていったら、書くんだぁぁぁ。」
竜児「おっと、おまえの蹴りはみきわめ・・・
  ぐはぁぁぁぁ」
大河「ふ、あまいわね。
  連続回し蹴りよ。
  あんたが、一発目を避けることぐらい、
  お み と お し!」
竜児「ぐ、ぐ、ぐ」
大河「そ、それにね。」
竜児「それに?」
大河「あんたも、蹴られるの好きでしょ?」
竜児「そんなわけねぇ!!


  もじもじしながら言うなぁ!」


★肉★食★竜★児★の★お★せ★っ★か★い★

竜児と大河は学校の帰り道・・・

大河「ねぇ、竜児。あれたべよ!」
竜児「だめです。
  おまえ、家に帰ったら自分でご飯作るだろ?
  ご飯作るときにお腹いっぱいだったら、
  手を抜いちまうじゃねぇか」
大河「そ、そんなことないもん。」
竜児「いいや、これは経験談だ。
  さらに、お前の買おうとしているのは、
  去年かってまずかったドーナツじゃねぇか?
  おまえ、ちょっとは学習しろよな。」


456 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:04:44 ID:h6LQqJyp
大河「う、う、う、
  り、竜児のケチ!!
  私のお金だから、いいじゃない。」
竜児「だめだ。おまえのママからも頼まれてるんだ。
  買い食いはいけません! ってな。」
大河「な、な、なんでママとつうつうなのよ!
  卑怯よ!、私を差し置いてママとつうつうなんて。」
竜児「ふ、将を射んとすればまずなんとやらってな。
  もう、おまえのママは俺のとりこだぜ。
  『高須くん、週末うちの掃除お願いしていいかしら?』
  だってよ。くっくっくっ、笑いがとまらねぇぜ。」
大河「(うまく利用されてるだけじゃない。)」
竜児「何か言ったか?くっくっくっ。
  まあ、それに、
  将来おまえが、どうなるのかっていうのをはかる指針だ。
  よくもわるくも、親に似るからな。」
大河「わ、わたしが?
  そんなわけないでしょ!?」
竜児「ま、そのはなしはおいといて、買い食いはダメ!」
大河「えぇぇぇ?、ねぇ、だめったら?だめぇ?」
竜児「はいはい、だめなものはだめですよぉ。」
大河「ちっ。」

大河が舌打ちをしたそのとき。

??「お、そこにいるのは、高須と逢坂か?」

竜児「か、狩野先輩。」
大河「狩野すみれ・・・先輩。」
すみれ「よう。ひさしぶりだな。
  みんな元気しているか?」
竜児「は、はい元気です。
  先輩は、こっちに帰ってらしたんですか?」
すみれ「ああ、休暇をとれたんでな。」
大河「ふーん。北村くんとはどうしてるのよ?」
すみれ「お、逢坂あいかわらず、威勢がいいなぁ。
  北村とは週に1度程度、メールの交換をするぐらいだな。
  まぁ、おかげで、こっちの様子は大体分かる。」
大河「今日は、北村くんには会わないの?」
すみれ「ああ、今日は会う予定はない。
  今日の予定は、
  
  おまえたちだ!!」


457 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:05:30 ID:h6LQqJyp
どこからともなく、聞こえてくる叫びと言うべきか、
いや、うめきというべきかおぞましい声がきこえてくる。

 らららら〜ら〜ら〜ら〜、らららら〜ら〜ら〜

大河「な、なにこれ?」
竜児「だ、だまってろ。」
大河「う、うん。」

 フェティシストの兄はいくじなし
 フェティシストの兄はかわいくて
 それでも根性なし男と恋におちました

竜児「・・・『いくじなし』だな。」
すみれ「ほう、よく気づいたな。
  さすが、北村の親友だけはある。」
竜児「で、先輩が何用です?
  だれからの依頼で、俺たちに」
すみれ「普通、最終回まで黒幕は言わないものだ。
  私は今日は、逢坂に用があってきた。
  逢坂との決着がまだ、おわっていない。」
  
すみれはそう言うと、カバンから竹刀をとりだし、中段に構える。

大河「ふ、いい根性だわ。
  いまは、ヤンキーの猫と言われはしているけど、
  手のりタイガーの本当の恐ろしさ、思い知らせてやる。」
竜児「ふ、ふたりとも、やめろ。」

すみれ「いい根性だ。
  毎回同じパターンだが、

  今回は6回めだ。スピンオフを含めようとも考えたが、
  じゃまくさいからやめた。
  
  P276 北村が生徒会長立候補演説で私に降られて、
  高須が私を呼び止め、その後逢坂が私に殴り込みをかける前の
  シーンだ。
  
  逢坂が高須に「北村くんのところへいってあげて」と
  いったあと、本来なら私のところへなぐりこみにくるのだが・・・
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


458 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:06:19 ID:h6LQqJyp
『肉食系竜児その六』

竜児を見送り、北村のやさしさをかみしめ、
大河は右手を、ゆっくりと首の後ろへやる。制服の襟元から突き出して、
髪に隠されていた物騒なブツを確かめるように掴んだ・・・つもりだった。

大河『ん?ん?ぬ、ぬけない・・・』
??『なにするつもりだよ!?』
大河『りゅ、竜児!!
  なんで、あんたここに?、北村くんのところへ行けって言ったでしょ!!』
竜児『さっき、能登に電話をかけた。北村は大丈夫だ。
  それより、お前の方がおかしい。』
大河『わたしは、おかしくない。
  わたしは、北村くんの役に立ちたい。
  北村くんのために何かしたい。
  北村くんの悲しい顔をみたくない。
  そ、それだけなの。』
竜児『わかってるよ。
  おまえが本当にやさしいやつだってことは。
  おれが一番分かっている。
  でもな、』
大河『とにかく、はなしてよ。
  私はいかなくちゃいけないの!』
竜児『いいや、はなせねぇな。
  それもって、狩野先輩のところへいくつもりだろ?』
大河『そ、そうよ。いっちゃいけないの?
  わたしが、北村くんの仇討ちをしちゃだめなの?』
竜児『・・・
  だめだな。おまえがやっちゃぁ。
  俺に妙案がある。
  それが先だ。』

お互いの木刀を握る手に力が入る。
竜児は、はなすわけにはいかなかった。
大河をほっておけば、そのまま殴り込みにいくだろう。
学校で殴り込み?そんなことをすれば大河がこの学校に居られなくなる。
そんなこと、だれがのぞむだろうか。

2、3分二人は何もはなさず、木刀をにぎりしめていたが、
さきに大河が折れた。

大河『あんたが、そういうなら、しかたがないわ。
  あんたの妙案ってやつは、確かなんでしょうね!?』
竜児『・・・
  ああ、多分うまくいくだろう。』


竜児は、すぐに教室に戻り2通の手紙を書く。
2通の『果し状』。それぞれ、狩野すみれと北村祐作宛になっていた。

・・・


459 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:07:07 ID:h6LQqJyp
放課後、校舎裏で、大河と竜児は、二人がくるのを待っていた。

大河『本当に、二人共くるんでしょうね。』
竜児『大丈夫だ。果し状を送られて逃げるような二人じゃねぇはずだ。
  それに、能登、川嶋と香椎にも二人を見張ってもらうように
  声をかけている。』

ちょうど、17時1分前、その二人はあらわれた。

北村『やはり、おまえたちか?!』
竜児『こんなことでもしないと、でてこないとおもったからな。』
すみれ『ふ、で、相手はだれだ?
  逢坂か?高須か?それとも』

北村『会長!相手は私です。
  もう一度、私の心をぶつけます。』
  
北村は一呼吸おき、
  
北村『・・・会長が!あなたが!すきだぁぁぁぁぁーーーーーーーっっっ!!』

とうぜんここにいる3人ともが予測していた台詞で、

すみれ『北村、同じことをやるのはバカのやることだ。
  おまえは、私がアメリカへいくのをしっていて、
  なぜそんなことを言う?』
北村『・・・
  知っているからこそ、知ってしまったからこそ、
  言おうとかんがえていました!!』
すみれ『なぜだ?
  仮に私がお前のことを好きだといっても、
  すぐにわかれなければならないだろう?
  頭を冷やせ。』
北村『先輩。いや、すみれさん。
  好きになることは損得とは関係ない。
  たとえ賢くなくても、たとえ傷つこうとも、たとえかみ殺されようとも、』
すみれ『はかやろう。
  損をするようなものに手をだすんじゃねぇ。
  おまえは、おまえは、もっと得するように生きるんじゃねぇか!!』
北村『損?損なんかいまわかるわけないじゃないですか!!
  この心がそう動け、そう鼓動しろって言ったから、
  俺の心がそう言ったから、そう動くだけです。』
すみれ『ばかやろう。
  私はそんなことみとめないぞ。』
北村『みとめなくてもいい。
  俺は、俺は、ただ、ただ、
  あなたが好きです!』
すみれ『・・・
  私がお前をすきになったら、すきだといったら、
  おまえは、損をしてしまうじゃないか
  ・・・』
北村『か、会長・・・』


460 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:08:19 ID:h6LQqJyp
いつしか、北村とすみれの距離は縮まり、
北村はすみれを、抱きしめていた。


竜児『行こう。』

北村とすみれが両思いであることを、大河もわかっていたのだろう。
わかって、この場にいあわせたのだろう。
もう少し、大河のことを考えてやればよかっただろうか?
そのまま、大河に殴り込みをさせた方がよかったのだろうか?

竜児と大河は、その場を立ち去り、帰路についた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

すみれ「っていうのはどうだ!?」
大河「・・・これって、すみれ兄貴かわいいスレ用ネタじゃない!?」
すみれ「・・・そうかぁ?」
大河「そうかぁ?じゃないわよ。もうあったまきた。
  いざ尋常に勝負!!」
すみれ「ふ、さあこい」
  
??「その勝負、俺があずかる!!」

その影は、すみれの背後にまわりこみ、
すみれを羽交い締めにし、

竜児「き、きたむら」
大河「北村くん!」

すみれ「ゆ、ゆうさくぅ。」
北村「すみれさん、そんな物騒なことはやめてもらえませんか?」
すみれ「そ、そのなんだ、
  こ、公衆の面前で、その抱きしめるとは、
  その、あの、この、少々恥ずかしくはないか?」
北村「いいえ。あなたを止めるには、このぐらいしなければなりませんので。
  さ、逢坂もその木刀をしまって。」
すみれ「ゆうさく、そろそろ、はなしてくれないか。
  おまえにひっつかれていると、力がでないんだが・・・」
北村「それは、それで好都合、
  では、いきましょう。すみれさん。」
すみれ「あぁん、ゆうさくぅ。そ、その抱きしめないでぇぇぇぇぇ」

・・・


461 : ◆.CzKQna1OU :2009/09/15(火) 03:12:20 ID:h6LQqJyp
竜児「い、いっちまったな。」
大河「ば、バカップルじゃないの?」
竜児「ああ、バカップルだ。北村はともかく、
  狩野先輩があそこまでバカップルとは・・・」
  
ふと、大河とみると、なぜか機嫌が悪い。

竜児「ん?」
大河「なんで、私をだきしめてくれないのよ?!」
竜児「ぐはぁ、それは10巻の萌えゼリフじゃねぇか!」
大河「ふふふ、
  それじゃぁ。次回は7巻ね。
  ちょっと時間が開くかもしれないけど、
  バイバイキーン。」


--------------------------------------------------------------

大河「りゅ、竜児、今気づいたんだけど、
  竜虎スレ用になってないんじゃない?」
竜児「ん?どれどれ、
  げ!!しまったぁーーー!!
  竜虎の甘々シーンが・・・」
大河「あーあ、失敗よねぇ。」
竜児「面目ねぇ。」

To be continue?


462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 04:23:54 ID:LiqrN1a1
NO

おとわりします。

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 08:54:43 ID:5Iht267K
OKOK!

普通に2828したし今回も面白かったぜ!


464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 16:55:55 ID:ucBfJR9z
次スレ立ててきてみる

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 17:00:02 ID:ucBfJR9z
【とらドラ!】大河×竜児【ハフハフ妄想】Vol16
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253001418/

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 20:44:20 ID:TXh57WWC
>>461
不覚にも木刀が抜けないところで吹いたw

>>465
おつんつん

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 23:29:33 ID:yg4TANUe
「なんか夜が始まるの早くなったね」

「おう、涼しくなってきたしな」

「なんだか寂しいね」

「俺がいるだろ」

「それもそうね。じゃあ秋の夜長は…」


ギシギシアンアン

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 00:27:32 ID:2ZnzHIfd
「竜児、大変よ。もう埋めネタがない。あと20KBもあるのに、これじゃギシアンだらけになっちゃう。ごめん、私もう駄目だ」
「まぁ、すべてのスレを俺たちのネタで埋めるってのは無理だろうからな。けど、大河、あきらめるな。ネタを用意したぞ」
「だって、あんた、いつももうないって」
「考えたんだよ!お前が一所懸命考えた原作解説をやめさせたんだ。おれがここで奮起しないでどうするんだよ」
「ほんと?竜児?私のために?」
「あたりまえだ、言ったろう。虎と竜は並び立つんだ」
「……うれしい……」
「あほか、スレの埋め立てで泣くな。じゃ、ネタ行くぞ。題して『三白眼をさがせ!』」
「…………ぇ?」
「原作では俺の三白眼って、結構きつい書き方されているだろう。だけどさ、アニメは割と普通だよな。まぁ、全編ギャグにするわけにいかないから仕方ないんだけど、ところどころ、目つきのきつい所はあるんだ」
「そ、そう」
「きついって言っても、ギャグっぽい顔じゃないぜ。結構かっこいいんだ。それをみんなで探す企画だ。探すのはみんなだから俺たちが全部埋め立てる必要はない。どうだ、すごいだろう」
「う、うん」
「じゃ、行くぞ『第1話、隣のマンションのせいでカビだらけと泰子に話すシーン』。これは第一回だから登場人物説明の意味もあるんだけどさ、最初の独白から始まって、おれが泰子と二人暮らしであること、家事をおれがやっていること、
優しい性格であることが短い時間で説明されている。で、その締めが、カビだらけだと半切れするシーンだ。結構凶悪だが目がかっこいい」
「そう…ね」
「次、『第13話、福男レースのスタートシーン』。これは実は重要なシーンだぞ。これまでお前のために一肌脱ぐときには、仕方ないとか、周りに目に物見せてやるって言ってたのが、はっきりと自分自身を燃え上がらせてお前のところにたどり着こうとしている。
お前、5巻から恋愛小説って言ってたよな。それを象徴するようなシーンだ。茜色の空を背景にギラリと光る、三白眼。燃えるぜ」
「…そ、そうね。燃えるね」
「三つ目、『第16話、狩野すみれを追うシーン』。これは文武両道のスーパーガール、狩野すみれに、なぜ北村にはっきり答えてやらないと、食い下がるシーンだ。前半頼りなかった俺も、物語の中盤では熱い男になっていくんだよ。その熱さが三白眼からほとばしっているぜ」
「……うん、ほとばしってるね」
「最後が、『第25話、櫛枝に平手打ちを食らったシーン』。お前が黙って居なくなって、おれは胸が張り裂けるほどつらい。だけどその気持ちを押し殺している。それが平手打ちを食らった一瞬、にじみでてるんだよ。苦渋の表情が。アニメスタッフ、やるよなぁ」
「………やるよね」
「俺が見つけたのはこの4つだ。さぁ、みんなも俺のかっこいい三白眼をさがそうぜ!…………………大河、どうした?…泣いてるのか」
「…………竜児…竜児…あのね…」
「どうした、大河。何があった。言ってみろ」
「……あのね……あのね……ちゃんと聞いて。世界中のみんなが、あんたのことをね、キモイとか、ナルシス犬とか言ってもね、私だけは…私だけはあんたの味方だから…だから…だから…安心して」
「あ、なんだよナルシス犬って!お前慰めてるのか罵倒しているのかどっちかにしろよ!てか泣くな!ちくしょう、あーっもうしらね!埋めネタなんてもうやらねぇっ!」



469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 01:05:12 ID:eCm0qeNl
少々時期はずれなんで埋めかねてこちらに。

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 01:06:47 ID:eCm0qeNl
「ただいまー」
「あら竜河、お帰りなさい。泰児は?」
「お兄ちゃんなら後片付けでもうちょっと遅くなるって」
「あらそう。ところであんたはずいぶん早かったじゃない」
「早かったって……もう9時だよ?」
「だって、折角のクリスマスなんだし、てっきり朝帰りにでもなるかと思ってたんだけど」
「お母さん……私、まだ高校生だよ?」
「まあ冗談はともかくとして、実際の所どうだったの?」
「ど、どうって……」
「告白したのかってことよ」
「こ、ここ、告白なんて、そ、そんな……」
「はぁ……その奥手さは誰に似たのかしらねえ……」
「……でも、幸せの星にはお願いしてきたもん」
「……何それ?」
「あ、お母さん達の時にはまだ無かったのかな?
 あのね、うちの学校、ずいぶん前に生徒から寄贈されたっていうものすごく大きなツリーがあるのよ」
「それは知ってるけど」
「でね、その天辺にモザイク作りみたいなクリスタルの星が飾ってあるんだけど、それは実は一度砕けたのを直したものなんだって」
「……へ、へー……それで?」
「だからね、失敗したり上手くいかなかった事も、その星にお願いすれば、きっとまた上手く行くんだって。
 実際、二年生の時に家の都合で一度は引き離された恋人が、三年生になったら再会して婚約までしたって話もあるんだよ」
「……まさか、そんな話になってるとは思わなかったわね……
 ん? 『上手くいかなかった事』ってことは、ひょっとして告白しようとはしてたわけね?」
「う……」
「そのへん詳しく聞かせてもらおうかしらねえ……大丈夫、竜児や泰児には黙っててあげるから」


471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 03:10:19 ID:RhgGhwID
「ヒマね〜 何か私を楽しませなさいよ」
「ハァ?」
「犬なら芸の一つもして主人を楽しませなさいって言ってるの!」
「……分かったよ、ちょっと待ってろ」

手品?ふすまを閉めてガサゴソ準備してるみたいだし。
「たいが〜 手拍子を頼む」
手拍子?ダンスかな?
パチ!パチ!パチ!


ガラッ!
「パンツゥ!オレのパンツ!いろんな物に早変わりッ!
『テントウ虫』
あっソレッ!パンツ!オレのパンツ!」

私は何てことしてしまったの、私が芸を見せろなんて言わなければ竜児のブリーフ姿なんて見なくて済んだのに。
ゴメンね竜児、ワタシ北村君のことが好き。

「えぇ〜では会場のお客さんにも手伝って貰いましょうね、やってみたい人!」
周りを見渡しても家の中にはワタシ1人しか居ない。意を決して固く拳の握り、天を突き挙げるように手を上げた。
「ハーイ、ワタシヤリタイデス」
それから2人で『ラクダ』『双子座』『せんと君』を披露してステージは終了した。
「どうだ、俺のパンツ芸は凄かったろ?」

ダメ!ここで認めたら竜児がダメ人間になっちゃう、どうしよう……
「どうした大河、オモシロくなかったか?」

私が竜児を目覚めさせる!!
「まだまだね……私の方が凄いわよ、ちょっと待ってなさい」
大河はふすまの向こうに消えた。
俺のパンツ芸に勝てるものなんてないさ、俺はこのパンツ芸一筋で町内会・学芸会そして泰子を笑わせてきたんだからな。

「竜児、手拍子!!」
パチ!パチ!パチ!

バーン!
「パンツ!私のパンツ!」
どんなネタを仕掛けたんだ大河?後ろを向いてるってことは正面に一発でキメられる武器を仕掛けてるんだろ?

「パンツとブラで早変わりッ!」
クルッ!『仮面ライダー』

「ソッ、そのポーズは!!アマゾン?」
「ピンポ〜ン 正解!」

その日、私は竜児と初めての朝を迎えた

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 03:11:22 ID:RhgGhwID
「それが私と竜児の馴れ初めかな……」

「そんな話を信じるワケないでしょうが!!」
「…チッ、バカちぃのクセに」
「実乃梨ちゃんも言ってやんなさいよ」

「まぁ萌ポイントや愛の形は人それぞれだと思うけど、今ので2人が恋人になるとは思えないかな」

「珍しくこのメンバーでガールズトークしてるんだから正直に話なさいよ」

「……分かったわよ、話せばいいんでしょ……本当は『せんと君』じゃなくて『地デジカ』なの」

「やっぱりね!」


甘やかすからヘンタイが調子にノルンだよ!

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 08:55:44 ID:C9MnNBTz
これはワロタwww

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 10:11:09 ID:5Z3L/btH
カオスだ

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 19:42:33 ID:BfVdn4cH
>>459
北村のたった少しの回想シーンだけで込み上げるものがある自分って………


涙脆いんだなorz


GJ



476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 20:49:27 ID:7hP+19O6
あと15KB

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 22:11:55 ID:XL2ijWyh
「はっはっはっはー!正義とは勝利のために存在するのだー!!」
真っ裸は無敵!キングオブマッパ!北村祐作!

「走れ若人よ!さすれば汝は救われるであろう!」
体力は湧きつづけるのだ!カロリーは消費し続けるのだ!櫛枝実乃梨!

「亜美ちゃんが救ってあ・げ・る・!」
その美貌は反則!チワワ目で男子を釘付け!川嶋亜美!

「この高須棒で世界中の汚れを成敗してくれる!」
悪役と見まがうその双眼!カビの方が逃げていく!高須竜児!

「邪魔だ!どけ!おるぁあああ!」
鉄拳制裁発動までわずか10秒!木刀の染みとなるがいい!逢坂大河!

「っていうのを文化祭でやろうかな〜って〜」
「春田、それはマズイだろ」
「このアホロン毛!成敗してやる!」
「はっはっは!いいじゃないか!俺は構わないぞ!」
「亜美ちゃんの役、意味わかんなーい」
「いやいや、あーみんのがマシだって」


478 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/16(水) 22:37:30 ID:226E/+H7

まとめ人様、遅くなりましたがいつも乙です。
さて、なかなか埋まらないようなんで、スレまたいで新作投下します。
例によって未完ですので、また近いうちに更新します。
今回のタイトルの意味は、俺の以前書いたIF、まとめ人様命名のもしもラブレター事件がなかったら、を見たことがあるスレ住人諸氏ならわかるはず!!
さて、それは新作投下で埋めます。
もしこれから埋めようとしてる人いたらゴメン!

479 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/16(水) 22:39:03 ID:226E/+H7
─────何でもね?犬のようにしてくれる?私の為に何でも従順に?─────

それが、始まりだった。

***

天蓋の付いた大きなベッド。
そこで眠る栗色の、長いふわりとした髪を持つ乙女がいた。
名を逢坂大河。
小さく丸められたその肢体は、元々の体のサイズも相まって小動物を思わせる程に愛らしく、また儚げだった。
だが、見た目がそうだからといって彼女がおとなしい女の子だと思うなかれ。
彼女は、大橋高校で名の知らぬ者はいないというほどの異名、二つ名を持っているのだ。
下の名前の大河と、その暴虐の限りから虎をイメージさせる様、加えて高校生にしては若干足りない身長がその二つ名を作り上げた。
曰く、手乗りタイガー、と。
大橋高校では手乗りタイガーと聞けばある者は驚き、ある者は震え上がり、またある者は果敢にも彼女にアタックを試みる。
彼女は、二つ名を付けられる程の難がその性格にあるものの、ビジュアルとしては申し分の無いものがあった。
歩く男がいれば振り返り、その凛とした声を聞けば耳が澄み渡るような、全く持って『外面』は理想の女性というのに相応しかった。
幾分、サイズ的に自他共に認める小さい部分もあるが……それはここでは割愛しよう。
とにかく、彼女は内と外のギャップが激しい。
それを最近、富に感じる者がここにいた。
ギィ……。
やや軋む音をあげながら、乙女の寝室へと踏み込む黒い影。
影は一歩一歩慎重に慎重を重ねるように歩き、ベッドへと近づいて行く。
足跡は最小に、動きも最小限に。
そうして目的の場所────大河の眠るベッドまで辿り着いた影は、初めて意識的に小さい音を立てる。
「……はぁ」
吐息。
溜息と呼ばれるソレは、影が呆れかえってる証明でもあった。
「おい逢坂、起きろ、遅刻するぞ」
影こと、高須竜児は少し肩を揺するようにして、彼女の起床を促す。
彼は彼女の住むマンションの隣のアパート────このマンションに比べてそれをアパートと呼べるならだが────そこに住むクラスメイトだった。
ひょんなことから彼は大河と知り合いになり、これまたひょんなことから彼は彼女の面倒を見ることになった。
まぁ簡潔に述べてしまうなら、彼は世話焼きなのだ。
彼は、今時の男子高校生としては珍しい程の家事スキルを保持していた。
掃除をさせれば窓の桟の埃一つ残さず、包丁を握らせれば人参で鳳凰を作り上げる。
それは家庭の環境にもよるものだが、とにかく彼はそのスキル故にいつしか『家事の行き届いていない物』を許せない性格となっていた。
掃除当番でなかろうと汚れていれば積極的に参戦し、出来合いのお惣菜は金銭面、栄養面から見ても手は出さない。
そんなものを買ってしまうのはMOTTAINAI、さらに割り箸なんて使おう物ならさらにMOTTAINAI!!
およそ、若者らしくないCO2削減意識の塊でもある彼は、惣菜を買うなら作る、割り箸を使うならMY箸を用意する、といった徹底ぶりだった。
そんな彼だから、この見た目は完璧、中身は未熟も良いところの女の子を放っておけなかった。
大河は、両親との折り合いが悪く、いつしか宛がわれたマンションで一人暮らしを強いられていた。
どんなに気を張ったところでまだ高校生。
自立できるには性格的にも経験的にも早かった。
洗濯物は溜まり、キッチンには汚物が散乱し、部屋の中はゴミ屋敷。
匂いすらも鼻を摘みたくなる程の有様では、綺麗好きの竜児でなくとも手を貸そうと思うものだ。
そんな経緯で、この構図が出来上がる事となったのはまだ記憶に新しい。
「ほら、いい加減に起きろ逢坂、飯抜きになるぞ」
「ん……ごはん……抜きやだ……」
飯抜き、の言葉に引かれるようにして大河は目を擦りながら起きあがる。
「ふぁぁぁぁ……眠い……お腹すいた……」
欠伸をして、頭をポリポリとかき、次いで竜児を見る。
視線が合った瞬間、
「うわっ、恐っ!!」
深く、それは深く心優しき高須竜児の胸の裡を切り刻む。
「お前、朝起きて最初に俺に言う台詞がそれか?」
「うるさい、そんなことより朝ご飯食べる」

こうして、今日も一日が始まる。

480 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/16(水) 22:40:11 ID:226E/+H7
***

「アンタ、今朝のことまだ気にしてんの?」
大河は隣を歩く竜児に、呆れかえったように言い捨てる。
何の変哲も無い朝の投稿風景。
季節は桜舞う春だった。
「うるせぇ、どうせ俺は目つきが悪いよ、ああそうだよ、悪いかよ、好きでこうなったんじゃねぇよ!!」
半ばヤケになりつつ反論する竜児は、自らの前髪を引っ張ることは忘れない。
これこそが朝一番に大河に言われた『恐い』の原因であり、竜児の心の傷(トラウマ)であり、答えだった。
「アンタ、自虐して楽しいの?マゾなの?犬なの?」
「……うるせぇ」
大河の容赦の無い言い様に竜児は口では勝てないと悟り、それ以上の追撃を諦める。
そもそも、この『目つき』の事にはできるだけ触れたくないのだ。
竜児は生まれつき目つきが悪かった。
恐かった、ギラついてた、三白眼だった。
これは本人にはどうしようもない遺伝で、会ったこともない父親の職業のせいだと理解した時などは、言いようのない怒りを覚えた物だ。
否、今でも覚えている。
竜児は物心ついたときから母親と二人暮らしで育った。
父親の事については、
『かっこいい人だったわぁ』
という母視点での意見と、写真で見た姿程度の事しか知らない。
しかし、その姿が問題だった。
父親はいわゆるヤの付く人だったのだ。
その目つきは自分で見ても恐ろしいし、関わりたくないと思うほどギラついていた。
それと同じ物が自分にもあると思うと堪らない。
何故ならその目つきだけで散々苦労してきし、それにその男がいないせいで、母、泰子も相当の苦労をしてきたのだから。
何故いないのかなど知らない。
だが、いないものはいないのだ。
そしてそれらが、竜児にとって怒りを覚える、父親を毛嫌いする理由だった。
「アンタが自虐して快感を覚えるのは勝手だけど、ちゃんとしてよ、今日のこととか」
大河は竜児のそんな態度などは気にかける様子もなく、ただ竜児へと確認する。
「ああ、わかってるよ、それと誤解を生むような言い方はするな。俺はマゾじゃねぇ」
聞かれた竜児も頷く。
そもそも、家が隣同士などという接点以外、いや、その接点すら知ったばかりで全く接点の無かった二人がこうも一緒にいる理由は、先に起こったひょんなことからだった。
事の起こりは大河が間違えてラブレターを竜児の鞄に入れたこと。
そしてその中身が空っぽで、それを回収し、さらに竜児の記憶を消そうと大河が夜襲を竜児にかけたのが起点だった。
その大河の思い人、ソフトボール部兼副会長を務める北村祐作が竜児の親友だということもあって、竜児は大河の恋の手伝いをすることとなり、大河といる時間が増え、生活態度を知るに至り、今日に至る。
その際、『竜児は何も見返りを求めなかったし、秘密など無かった』事が、後に少々……いやかなりの勘違いを産むことになるのだが、まだそれを知る由は無い。
「まぁ、簡単にできるところからアプローチしてみようぜ」
向かう先、彼らの目的地である大橋高校はもう目の前だった。

***

481 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/16(水) 22:41:10 ID:226E/+H7
「……お前、ドジだな」
「……うっさい」
机に突っ伏すようにして大河は竜児に低く唸る。
「だいたい、アンタのプランが悪すぎるのよ」
「んなこと言ったってお前、最初はそんなことくらいしか出来ないだろ?」
「これだから駄犬は……もうちょっと頭を使いなさいよ」
「自分の失敗を棚に上げてそんなことを言うのか、この口は」
トン、と机に弁当を置き、竜児は大河の正面に座った。
それと同時に大河も起きあがり、即座に弁当の蓋を開けて憎まれ口を叩いていた口へとおかずを放り込む。
今日半日、竜児は思いつく限りのアプローチを試みさせた。
体育でのバスケットボールのパス練習。
ペア決めの際にまず竜児が大河と組み、北村のペアに『誤って』ボールをぶつけ、竜児はそいつを保健室へ連れて行き、残った大河と北村がパス練習……のハズだったのだが。
北村のペアにボールをぶつける前にたまたま北村のボールが大河の所へ転がり、それを大河が北村へ返した。
ここまでは良かったのだが、それが予想以上に嬉しかった大河は、竜児の投げたボールを受け取るということを失念し、顔面直撃 → 保健室直行 → 失敗。
その後も歩けば転び、立てば何かを落とし、話せば口が上手く回らずに失敗が続いた。
「お前もうちょっと落ち着けって」
竜児は、弁当にはまだ手を付けず、まずはMY水筒からお茶を注いで喉を潤した。
「うるひゃい!!わひゃしのきゃってれしょ!!」
「バカ!!食べながら喋るな!!米、米が飛ぶ!!」
竜児の中の逢坂失敗談に、食べればご飯を飛ばす、が加わる。
さて、ここまで失敗が続いたが、まだ竜児には最後のプランが残っていた。
「逢坂、今日の最後のプランだが、調理実習の手作りクッキープレゼント作戦なんてどうだ?」
「……?……!!……!?!?!?」
大河はガツガツと乙女らしからぬ食べっぷりの最中に話かけられたせいか、喉を詰まらせた。
「あーあーあー!!そのままでいい、ほら、これお茶だ」
竜児は水筒のお茶を、キャップに注いで大河に飲ませる。
「……っふぅ……ありがと」
「おぅ、落ち着け。飯はゆっくり食べろ」
「アンタお母さんみたいなこと言ってんじゃないわよ。で、クッキーって?」
「おぅ、今日の調理実習はクッキー作りだ、ここで美味しいクッキー作ってプレゼントで好感度アップを図る」
「上手くいくの?」
「まぁ絶対じゃねぇが、美味しいものを渡されて好感度が上がらない奴はいねぇと思うぞ。それにアイツ部活や生徒会で帰るの遅いからつまめる物があると喜ばれるはずだ」
「……そうか、そうよね。よし、午後の調理実習がんばるわ!!」
大河は自らの方針を定め、またもガツガツと弁当の中身を口に放り込んでいく。
その小さな口と体の何処に入っていくの不思議な程、その食べ方は豪快だ。
「だからゆっくり食べろって」
竜児は呆れたように笑いながら、自分も弁当を食べ始める。
それでも大河の箸のスピードは衰えない。
「……っぷはぁ、ごちそうさまっ、あー美味しかった」
大河は、あっという間に竜児謹製弁当を空にする。
「そりゃどうも。けどお前早食いは体に悪いぞ?」
「はいはい」
大河は竜児の声など話半分程度にしか聞かず、気持ちは既に午後の調理実習へと向いていた。
(美味しい物を貰って好感度が上がらない奴はいない、か。よぉし、クッキーがんばるわ!!)

***

482 : ◆QHsKY7H.TY :2009/09/16(水) 22:42:55 ID:226E/+H7
待ちに待った調理実習。
目に見えていたことではあるが、大河はやはり失敗する。
「……どうしよう、これ」
薄力粉を入れようと思えば入れすぎて、卵を割れば必ず殻が混ざり、泡立て器で混ぜよう物なら何故かボールの中身は空っぽに。
それでも僅かに残った物を生地として伸ばし、焼いてみたら真っ黒焦げ焦げ。
どうしようもないくらいに焦げ焦げ。
脱力する。
思わず力んでがんばったが、なにをしても空回り。
少し、ほんの少しばかり視界が滲『バフッ』……?
視界が滲むか滲まないかの瞬間、大河は誰かに……竜児に頭を撫でられる。
「な、何よ!?」
「ボーッと突っ立って辛気くさい顔してんなよ、まだ時間はあるんだぞ」
竜児の手には、焼きたてと思われるそれはそれは見事なクッキーがあった。
焼き色から見ても、市販のものと遜色無いのではなかろうか。
「う、うるさいわね、どうせ私なんて……」
サッと黒焦げの塊を隠しながら大河は反論を試み「ほれ」……何かを渡される。
それは、薄力粉。
「な、なんのつもりよ!?」
「失敗したんだろ?また作りなおせば良いじゃねぇか」
「簡単に言わないでよ!!私ががんばったところでどうせ……」
大河はその頭に可愛い三角巾をつけたまま、僅かに俯く。
が、その瞬間。
ぱくっ……んぐんぐ。
「……?ちょっ!?アンタ何やって……!!」
信じられない事に、黒焦げで、とてもじゃないが食べられるようなものではなかった大河謹製のソレ、クッキーと呼ぶことすらおこがましいソレをあろうことか竜児は食べたのだ。
「……ん、焦げてなきゃ結構イケたんじゃないか?ほら、作り直すの手伝ってやるからがんばろうぜ?」
それも、ニコッと笑顔を浮かべて。
明らかに、見るからにマズイとわかっているソレを、食べてイケてたと笑うその笑顔は、今朝方見た同じ三白眼とは思えぬほどに優しくて。
「……うん」
大河に、初めて素直な行動を促した。
「よし、いいか逢坂、薄力粉は……」
真面目にクッキー作りの指南を始める竜児の動きはスムーズで、大河は先程あれほど失敗ばかりだった工程を一つも失敗することなくオーブンに入れるところまでこぎ着ける。
「やればできるじゃねぇか」
焼き上がるまでの間、そう竜児は大河誉める。
実際、素晴らしかったのだ。
竜児の言うことに素直に従って動くその様には、淀みは感じられず先程の失敗が嘘のように滑らかだった。
だというのに、誉められた本人は目を丸くして竜児を見つめていた。
それは、まるでありえないようなもの……幽霊でも見たような目だった。
「な、何だよ?」
「今、誉められたの、私?」
「ああ、そうだぞ。お前、やれば意外に器用な事もできるじゃねぇかって」
「誉められた……」
大河は、信じられない、というような面持ちで、しかしまたオーブンに向き直る。
今度こそ焦がすわけにはいかないのだから。
そうして、ようやく焼き上がったクッキー。
大河は喜々として鉄板を取り出し、台に乗せようと……ズルッ!!
足が……滑る。
「あっ!?」
思った時には遅く、体は宙に浮き、為す術無く焼きたてのクッキーが鉄板から……落ちなかった。
「え……?」
「っぶねぇな」
いつの間に掴んだのか。
まるでそうなるとでもわかっていなければ助けられるはずの無いタイミングで、竜児は大河を脇から支えていた。
「ほら、立てるか?」
竜児に抱き寄せられるようにして大河は転ばずに立ち上がる。
「………………」
だというのに、大河は礼を言うでもなく、遅いと罵るでもなく、ただ竜児を見上げていた。
じっと、その三白眼をした男の顔を見つめ続けていた。

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 22:48:13 ID:4KHbw5Zr
                   /::::::::::: i::::::::: |:::::::: ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
                   イ:::::i:::::::ハ::::::::: ヾ:::: |:::\:::ハ::::| :::::::::::::::::::::::\
                   |::|::::l:::!:::/ \:::::: ヾ:::|::::::::| ::i::::1::リ:::: |: i:::::::::::::ゝ
 __                |::|::::|:::l::ハ|_ ヾ ::::::| ヽィ::::j/=、|::::::|::::7: /:::i::::| ____
     \ :'´⌒ヽ         |::ハ:::V:::| イ⌒゙`\:i リ \|ノ 弋_フノ /:::/: /
      |i   " )_,,, _     l:ゝ::.\::i〃⌒゙ヽ  〃⌒゙ヾ //::) | 'ハ::::: |
 た や |i         ヽ   | ト/人7} 〃〃    〃〃´ ∠イr 'ちノ::::: |  ふ 家
 え っ  |i      / ・ i     イ:リ::::|    '、        |:::::rイ:::::::: |  え 族
 ち た  |i          t    / i:::::ハ    r‐--ー、     /ハi!:::::::::::::::: |  る が
 ゃ ね  |i         〃 ●   ハ::::::: \   .イ_ _,,ツ  イ/'/:::::::::::::. <  よ
 ん    |i   r一 ヽ      )  /i::ハi::::i:::::>,, ___ _,, ´ /,,ハ/|/:::ii:::::::: |  !!
 !    |i   |   i   ∀"    "  ̄ ̄     ト、  //ヽ  ̄" ̄  |
        |i   |    i   ノi            ノ:r j       :ア` …‐: |
       |i ニ|   |二二◎        __,..'| /        /   :::: |
       |i  i    i   ヽ      __,,:'´   t/       /    :: |
       li           }    ,_:'´     {    ,,___ /     ,,/i \____
       |i           |  /j\    _:ヘ:ニヽ,,,/_,,    , /:::j      j
  __ /          / ⌒`)⌒) i:::::ヽ::`r‐'___ `   ヽ ,,:_,,_,,/:::::ノ"ノシ    〃
      ,ノ フr フ   メ   / ノ  ゝ:::::: ゝ- 、 ヽ     |::::::::::::::::::::ソ /     ./

502 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.02.02 2014/06/23 Mango Mangüé ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)